円安や原油価格高騰の影響を受けるタクシー事業者への支援や運転手の待遇改善に取り組むべき 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)
2024年4月24日衆議院国土交通委員会
○城井委員
2024年4月17日の衆議院国土交通委員会理事会にて報告されたタクシー特措法に基づく国会報告について、大臣に伺います。
タクシー事業者に改めて現状を伺いました。日本版ライドシェア対応もありますが、当面は、激しい超円安と原油価格高騰によるLPガスの高止まりに対して燃料対策のリッター25円を超えた分の助成金措置がないと、地方の運輸事業者はライドシェアどころではないとの悲痛な声が届きました。
また、ゼロゼロ融資の先延ばし分の返済が本格的に始まり、大都会の売上げの高い事業者でさえ単月赤字決算基調となっているため、カーボンニュートラル対応で燃費のよいEV車、プラグインハイブリッド車、水素自動車などのリースを行う際の与信が通らなくなるといった厳しい見込みをお聞きしました。
タクシー事業者のこれらの現実に国の支援が必要だというふうに考えますが、大臣の見解をお願いします。
○斉藤(鉄)国務大臣
国土交通省では、これまでもタクシー事業者に対して必要な支援を行ってきたところでございますが、令和5年度補正予算におきましても、LPガスを使用するタクシー事業者に対する燃料価格激変緩和対策事業、交通DX、GXによる経営改善支援、旅客運送事業者への二種免許取得支援等の人材確保支援などを盛り込んだところでございます。
なお、政府全体としては、民間ゼロゼロ融資の返済開始の最後のピーク、今年の4月でございますが、に万全を期すため、コロナ資金繰り支援策を本年6月末まで延長するとともに、再生支援のニーズの高まりを踏まえて、中小企業の経営改善、再生支援を強化することとしております。
これら全体としての支援と、先ほど申し上げましたタクシー業界への支援と、引き続き必要な支援を行ってまいりたい、このように思っております。
○城井委員
大臣、燃料対策は事実上3か月ごとの対応になっているというのが事業者の受け止めです。
経営の予見性が立たないというふうに嘆きが聞こえてきています。
また、東京を始め大都市で走っておりますジャパンタクシーは、カーボンニュートラルの対応の車ではなくて、ユニバーサルデザインの車です。燃料対策の充実とともに、トラック、バス、タクシーの、商用車系のカーボンニュートラル対応車を増やす取組、これは国としても引き続き応援すべきだというふうに思いますが、この点、大臣、いかがお考えですか。
○斉藤(鉄)国務大臣
今、DX、GXに伴いまして非常に環境が変化している、そういうことに対応した支援もしっかり行っていかなければいけない、このように思っております。
地方で、まだそれが遅れていることにつきましても、しっかり我々考慮しながら、その支援策を考えていきたいと思います。
○城井委員
続きまして、タクシー特措法と、そして日本版ライドシェアとの関係について確認をさせてください。
これまで、タクシー特措法においては、特定地域、準特定地域といった形で指定が行われてきています。タクシー特措法においては過当競争を防止する観点から減車が行われてきた、こういうことでございました。
その一方で、これらの地域の中でも、本年4月から始まった日本版ライドシェア、正式名称は自家用車活用事業でありますが、これに参入したい事業者が出てくる可能性があるのではないかというふうに思います。
この両方の規制を同時に受けるというのは矛盾するところが出てくるんじゃないかというふうに考えますが、この点、どのように整理をされるでしょうか。
大臣の認識をお願いします。
○斉藤(鉄)国務大臣
タクシー特措法に基づく特定地域、準特定地域の指定につきましては、タクシー運転者が十分にいることを前提に、タクシー車両数が供給過剰状態にあるか否かという観点で、客観的な指標に基づいて行っております。
委員御指摘のとおり、現在、タクシー特措法の指定地域においても、地域や時間帯によってはタクシー不足が生じております。このタクシーの供給不足は、タクシー運転者の不足により生じているものでございます。
具体的には、特定地域、準特定地域においては、タクシー事業者が保有するタクシー車両は供給過剰又はそのおそれがある状態にあるものの、タクシー運転者の不足によって実際には稼働していない車両が多数あるために、利用者の立場からはタクシーがつかまらないという状態が発生しております。
したがいまして、タクシー特措法による措置と自家用車活用事業の実施が矛盾するものではございませんが、国土交通省としては、コロナ禍で急減したタクシー運転者の回復にしっかりと取り組み、地域の皆さんがタクシー不足により移動で困ることのないよう対応してまいりたいと思います。
○城井委員
この度のタクシー特措法に基づく国会報告によりますと、日車月収は上がっているとの報告結果でした。
しかし、現実は深刻なタクシー運転手不足、先ほど大臣からもおっしゃっていただいたとおり、タクシー車両も余る状況です。
コロナの出口を模索する昨今、移動する方が増え、数が限られる営業中のタクシーにお客さんが集中した結果、日車月収を押し上げることになっているのではないか。
全産業平均と比べても、いまだに厳しいタクシー運転手の処遇改善の必要性は、今回の報告を踏まえてもなお必要だし、最優先課題だという認識でよいか、今後の具体的な処遇改善策も含めて大臣からお答えください。
○斉藤(鉄)国務大臣
まさに過去の教訓からの御質問かと思います。
タクシーの供給過剰による収益基盤の悪化や運転者の労働条件の悪化等の問題が生じて、タクシーが地域公共交通として機能を十分に発揮することが困難な状況となり、これを解消することを目的として、平成21年にタクシー特措法が制定されました。
こうした経緯も踏まえ、タクシー運転者の労働条件や処遇は大変重要だと認識しております。
委員御指摘のとおり、日車営収、一日当たりの上がり、日車営収の改善が認められる一方で、新型コロナウイルス感染症の影響を受け輸送需要が減少し、タクシー運転者の年間賃金は全産業平均に比して低水準にとどまっている状況が継続しております。
タクシー運転者の労働環境が十分に改善したと評価することは、まだ困難な状況にあると認識しております。
このため、運賃改定を通じた労働環境の改善や、配車アプリなどデジタル技術の活用を通じた多様なニーズへの対応を推進して、タクシー運転者の労働条件や処遇の改善にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○城井委員
待遇改善が必要なのは、先ほどのタクシー運転手だけではないというふうに思っています。
公共交通機関であるバスや、物流を担うトラック運転手など、人手不足と言われるエッセンシャルワーカーの待遇を改善すべきというふうに考えますが、残念ながらお時間が参るということでありますので、この辺りで今日は質問を終わりたいというふうに思います。
また、続きの質問は、次回以降させていただければと思います。
よろしくお願いします。
ありがとうございました。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)