鉄道や電力の関連産業でも多く従事している建設業2024問題、工期・金額などの適正契約や必要な価格転嫁を推進すべき 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2024年4月17日衆議院国土交通委員会

○城井委員
鉄道産業、電力関連産業における建設業の時間外労働の上限規制、いわゆる2024年問題について伺います。
この公共インフラの維持発展に欠かすことができない鉄道や電力といった産業における建設業の時間外労働の上限規制、いわゆる2024年問題については、建設業の時間外労働の上限規制自体も多くの産業に大きな影響を与えるというふうに考えていますが、実はこれは鉄道産業や電力関連産業であっても同様で、有効な対策を講じなければ危機的な状況に陥る可能性があるというふうに考えています。
実際に現場からもお声がありました。
JRを始めとする鉄道産業からは、定められた検査や保守作業を施工することができなくなる可能性があり、列車運行に支障する事態を招きかねないとの声があります。
電力関連産業では、自然災害が発生した際のインフラ復旧を含めて電力の安全、安定供給に影響が及ぶのではないかという不安を抱えています。
時間外労働が上限規制され、労働者一人当たりの労働時間が短くなることで、これまでと同規模の工事であっても、施工要員が増員できなければ竣工までに時間を要することになります。
しかし、依然として人手は不足しています。
適正な工期設定が求められても、前の工程の遅れによるしわ寄せもあります。
工期を延ばしても、期間に応じた管理費等の負担が増えるため、増加した工事費を支払うことができる環境整備が必要です。
これは今後法案も出てくると思いますが、建設業界のみならず、鉄道産業や電力関連産業などの建設業に多く従事している産業にとっても、早急に解決すべき課題です。
これらを踏まえ、まず、鉄道産業や電力関連産業に関連する建設業における工期、金額などの適正契約について伺います。
建設業界、例えば多重下請構造で下流工程となる電気工事などの職種では、現在も、前工程の遅れによるしわ寄せを受けて、実際に施工できる期間が著しく短くなる事態、それに伴う長時間労働も生じています。
鉄道産業や電力関連産業においても、建設業に多く従事していることを踏まえ、2020年に策定された工期に関する基準を実効性のあるものとするため、基準の検証を行い、必要により見直しを行うべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

○斉藤(鉄)国務大臣
今月から建設業においても時間外労働規制が始まることから、前工程の遅れに伴って、後工程の工事がしわ寄せを受け、当初の予定よりも短い期間での作業を余儀なくされることのないよう、適正な工期の確保が今まで以上に重要となってまいります。
このため、国では、本年3月に工期に関する基準の改定を行いました。工事の受注者から時間外労働規制を遵守した適正な工期による見積りを受け取った注文者は、これを尊重し、受注者による規制違反を助長しないようにしなければならないことを明記したところです。
この新たな基準につきましては、法定の上限労働時間の遵守という観点から明確に判断し得ることから、実効性がしっかりと確保されるものと考えております。
さらに、国土交通省の職員で構成する建設Gメンの体制を今年度から倍増し、個々の契約を実地調査した上で、適正な工期確保を妨げる取引に対して必要な改善指導を求めるなど、工期適正化を一層推進してまいりたいと思っております。

○城井委員
もう一点伺わせてください。
適正な価格競争の下、契約されることは大変望ましいことだと思いますが、取引上の地位を不当に利用した、不当に低い請負代金による契約に加えて、価格競争における、利益を無視した不当に低い請負代金での契約も想定されます。
鉄道産業や電力関連産業においても、建設業に多く従事していることを踏まえて、不当に低い請負代金の禁止について、実効性のあるものとなるよう、企業に対する指導等を徹底すべきだと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

○斉藤(鉄)国務大臣
建設工事の注文者と受注者は互いにパートナーの関係にあり、注文者、受注者間の取引適正化は、工事の品質確保や、発注者の安定的な事業継続上、極めて重要でございます。
このため、サプライチェーン全体で適正な取引が行われるよう、必要な環境整備を進めてまいります。
まず、不当に低い請負代金で契約が行われ、労務費が適切に確保されなければ、技能者の処遇悪化を招き、さらに、建設業の持続に必要な人材確保も困難になります。
このため、今国会に提出中の建設業法等の改正案では、国があらかじめ示した適正な労務費の基準を著しく下回る積算見積りや請負契約を禁止する新たなルールを導入いたします。また、資材高騰分についても、適切な転嫁を促す取引ルールを強化いたします。
さらに、建設Gメンの体制を今年度から倍増させ、個々の請負契約を実地で調査の上、働き方改革や賃上げを妨げるような請負代金や工期について、改善指導を徹底してまいりたいと思います。
このような取組を通じて、不当に低い請負金額の禁止について、実効性を確保してまいりたい、このように考えております。

○城井委員
今の、今後議論する新たなルール案について確認をさせてください。
今、労務費等を確保する観点でということで、原価を割れるような契約の禁止は全ての事業者が担うべきだというふうに思いますが、その中には、当然、資本関係にある事業者間の取引であっても例外なくこの原価割れ契約の禁止は適用されるべきだ、こういう認識、考え、理解でよろしいかを確認させてください。

○斉藤(鉄)国務大臣
受注者と発注者という関係……(城井委員「資本関係にあった場合」と呼ぶ)関係でしますので、そこに資本関係があるかないかというのは関係ないと思います。

○城井委員
ありがとうございます。
今の点、大変重要な点だと確認させていただきました。
今のように、建設業であっても一見違う産業、鉄道産業や電力関連産業といったところでも関わってくるところがあります。
なかなか建設業という観点で国土交通省からお話は聞いていただけていないということでした。
ですので、是非、大臣には、こうした建設業全体、違う産業のところにも片足がかかっているような産業についても目配りいただいて、声を聞いていただきたいと思うんですが、最後にその点を確認させてください。

○斉藤(鉄)国務大臣
今回、法律を国会に提出させていただきました。働き方改革、そして今回、新たな労働法制も始まります。建設業界が魅力ある産業になるように、しっかりこの点、頑張っていきたい、このように思っております。

○城井委員
時間が参りました。
終わります。
ありがとうございました。

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)