国民投票におけるインターネット広告規制は、可能かつ必要である 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2023年6月8日衆議院憲法審査会

○城井委員

立憲民主党の城井崇です。

今回は、国民投票におけるインターネット広告規制について、諸外国の実例を紹介しつつ、我が国の国民投票法においても導入する必要があることを申し述べます。

ネット広告規制については、諸外国の制度に関する報告書をまとめた国立国会図書館の参考人招致を私から求めていますが、残念ながら、いまだに実現していません。

そこで、今回は、その報告書を基にした資料を配付して、これを参照しつつお話をいたします。

なお、諸外国ではオンライン広告という表現が一般的ですが、ここでは、我が国の立法例等に倣い、ネット広告と表現します。

初めに、資料の一のとおり、諸外国のネット広告規制の内容を概観すると、規制の内容は、国によって幅がありますが、透明性表示、アーカイブ設置、支出規制、外国人等規制、偽情報等拡散規制、ターゲティング等規制、商業広告禁止といったものがあります。未施行、審議中のものも含まれていますが、十分参考になる内容です。

なお、各国では国民投票と選挙で一体の規制となっていることには留意が必要です。

今回は、代表的なものとして、表示義務、支出規制、偽情報、誤情報などの拡散規制、商業広告禁止を取り上げます。

まず、資料の二、表示義務です。

これは、透明性の確保を目的とする規制であり、英国やニュージーランドでは広告者等に対して名前及び住所の表示義務を課しています。また、アイルランド、米国カリフォルニア州、EUの規制案でも同趣旨の規制が設けられています。このように、表示義務はネット広告規制の手段として一般的なものと言えます。ネット広告の適正利用を確保するために非常に効果的な規制手段であり、我が国においても導入すべきです。

次に、資料の三、支出規制です。

これは、公平性の確保を目的とする規制です。

英国やニュージーランドに限られているようですが、この両国では支出額の上限を設けています。具体的な上限額等の制度の詳細は国によって異なりますが、資金力の大小によって広告量に格差が生じることを防ぎ、公平性を確保するために、支出金額の上限を設定し、報告等の義務を課すという手法は合理的なものと評価されています。我が国においても、国民投票法に支出規制を盛り込むべきです。

次に、資料の四、偽情報、誤情報などの拡散規制、いわゆるフェイクニュース対策です。

フランスでは、不正確あるいは誤解させる主張や批判については、急速審理裁判官が配信を中止させるための措置を命ずることができます。また、アイルランドでは、選挙委員会が偽情報、誤情報の監視、調査を行い、オンラインプラットフォーム等に対し削除通知等を発することができます。

もちろん、この問題は言論の自由と密接に関わるものであり、公権力による直接的な内容規制には極めて注意が必要です。

先ほど奥野委員からも言及がありましたように、立憲民主党から提案をしている広報協議会とファクトチェック団体との連携を実現していくのとともに、表現の自由や公職選挙法との関係を整理する点からも、総務委員会並びに政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会等とも連携した集中的な議論を行うことを森会長に求めます。

最後に、資料の五、商業広告、すなわちネット広告の規制です。

フランスでは、国民投票が行われる月の初日前六か月間及び投票日までの期間、インターネットを用いた商業広告を、国民投票に関する宣伝を目的として利用することが禁止されています。

このような外国の例を踏まえると、政党等によるネット有料広告を禁止するという立憲民主党からの提案は、ネット広告規制の手法として合理的だと考えられる一方、政党等以外によるネット有料広告の禁止については、更なる検討が必要だというふうに考えます。

以上の諸外国の実例を踏まえ、ネット環境の変化に対応した実効的な規制は可能かつ必要であることを訴えて、私の発言といたします。

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)