国交省OBの人事介入問題、人事情報は天下りあっせん支援資料、現職からの情報提供は国家公務員法違反ではないか 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2023年5月12日衆議院国土交通委員会

○城井委員

このメールのやり取りは、送信時点で未公表の人事情報の提供が含まれました。

これは国家公務員法違反を始めとした違法行為ではありませんか。

少なくとも守秘義務の違反であることは明確だというふうに考えます。

大臣、違法か否か、具体的にどの法律に違反しているか、明確にお答えください。

○斉藤(鉄)国務大臣

大臣官房総務課からのメールは、7月1日付異動情報を、報道発表した日である6月30日の1日前に送付しておりました。

いまだ公表されていない異動に関する情報が、内後ではあるものの、報道発表の前に外部の者に共有されていたことは大変遺憾なことであり、事務方に対して厳しく注意したところでございますし、今後この点を改善をしていきたい、このように思っております。

他方で、この情報の漏えいが守秘義務違反に当たるか否かは、その情報が国土交通省の機密扱いとされているかどうかによることになります。

国土交通省の内規では、内示情報は機密扱いとはされておりません。

機密扱いとされていない理由は、内示は異動の発令前に人事異動者に対して行われる事実行為でございまして、内示を受けた者は、前任者や後任者との引継ぎ、現在の部署からの退出、新しい部署での受入れが円滑に行われるよう、必要な範囲内で自身の異動情報を伝えることが行われているところでございます。

また、ちょっと遠方に行くときには引っ越しの準備もしなくてはなりません。

そういう意味で内示を機密扱いとはしていないところでございます。

したがいまして、直ちに守秘義務違反に当たるものではないと思いますけれども、しかしながら、今後、適切な異動情報の管理の観点から、改善策について検討を行うよう強く指示したところでございます。

先ほどの漏えいした、1日前に出したものも、自分の後に誰が来るなとか、自分の前任者は誰なのかとかということを線で結んだ、内部で情報を共有する、そういうものでございました。

この点を是非御理解を賜りたいと思います。

○城井委員

大臣、報道発表の1日前、未公表なんですよ。

遺憾では済まない。

機密扱いではないというお話です、内部のというお話でしたが、私は、ここであえて申し上げなければならないのは、内部ではなくて外部に出たから問題、未公表の段階で外部に出たから問題だということを申し上げているんです。

今回、そもそも、このメールに添付されていた人事情報は、いわゆる人事異動の一覧、今の、新しいところはここ、古いところはここと書いてある、例のあれだけではないんですよね。

大臣も今おっしゃったように、業界で、省庁は呼び方が違うそうなんですが、線引きとか棒引き表とか、何か片仮名の名前がついている省庁もあったそうですが、そういう一覧表も含まれていました。

実際にメールの添付ファイルの名前も線引きでした。

各部局の職員の前任、後任が分かる。

いつ退職しそうかも分かる。

実際、退職予定者も含まれるというふうに今回の国土交通省の一定の報告にも書いてあります。

つまり、個人情報の塊です。

本来は人事課に関わるごく少数が持っている資料だと官僚出身者からは聞きました。

この線引きは、大臣、現役職員が作っていますね。

恒常的に作って、恒常的かつ慣習的に、現役職員のみならず、職員OBにも送っていましたね。

大臣、この事実を確認させてください。

○斉藤(鉄)国務大臣

城井委員おっしゃるように、この情報が公表前に、それも外部に漏れたことについては、これは大変大きな問題だ、このように思っております。

ここはきちんとこれから規律を正していきたい、このように考えております。

そして、いわゆる線引きでございますけれども、この線引きは、事務系総合職に係る内示対象者の異動情報、具体的には、氏名、入省年次、現職及び異動先を記載するとともに、前後任の間を線で接続し、異動全体の流れを整理したファイルとして、省内事務系総合職職員を中心に、慣習的に広く共有されてきたものでございます。

いわゆるこの線引きを作成し、送付すること自体は、先ほど申し上げましたとおり、法律に違反するものではございません。

しかしながら、先ほど申し上げましたように、この情報が、内示後ではありますけれども、公表前に、そしてまた外部に漏れたことについては、これは我々も深く反省し、ここの規律はしっかり正していきたいと思います。

○城井委員

内示は理解をするんです。

内部での情報共有、あり得るでしょう。

問題は、未公表人事情報を外部に出していたというのが問題なんです。

そこについてお答えいただけていないんです。

この線引きは、若手職員に命じて恒常的に作っている内部資料だと国交省からも事前に説明を受けました。

私的ファイルだという説明だったんですが、そんな言い訳は通用しないんです。

人事情報という個人情報の塊が、慣習的に外部に出ているのが問題です。

職員の前任、後任が分かります、いつ退職しそうかも分かります、いつももらっているのでしたら、職員の職歴を追うことも可能なんです。

まさに、天下りあっせん支援資料なんです。

そんな資料を、民間人だと大臣がさんざん説明してきた、その民間人である職員OBにも恒常的に慣習的に送っていました。

そのOBが、許認可権をちらつかせて民間企業に人事介入していたわけであります。

守秘義務違反に加えて、国家公務員法第106条の2にある、あっせん規制の違反だと考えます。

国家公務員法第106条の2では、現職の職員が営利企業等に対し、他の職員、職員OBを、当該営利企業等又はその子法人の地位に就かせることを目的として、他の職員、職員OBに関する情報を提供することを明確に禁止しています。

内閣府の再就職等監視委員会に、大臣、国土交通省から申し出て、今回のこのメールの一件を含めて、あっせん規制違反か否か、諮っていただくべきです。

大臣、監視委員会に申し出ていただけますね。

○斉藤(鉄)国務大臣

今回、このメモは、先ほど申し上げましたように、部内で、誰がどういうふうに異動するかという情報を共有しようというものでございます。

現役事務系総合職の内示対象者の異動情報を整理したものであり、省内職員を中心に慣習的に広く共有されてきたものです。

このため、他の職員また職員OBを企業等の地位に就かせることを目的として情報を提供したものではなく、これが直ちに再就職等規制違反に当たるものではないと考えているところです。

一方で、一部に退職者情報が含まれており、発令前の時点で外部に共有されることが再就職等規制違反に関して国民の疑念を招きかねない、これは城井委員おっしゃるとおりだと思います。

今後、適切な異動情報の管理の観点から改善策についてしっかり検討していきたい、しっかり私自身先頭に立ってこの規律を正していきたい、このように思っております。

○城井委員

大臣、もう少しだけ認識を改めていただきたいと思います。

国民が知らないところで、官僚OBという上級国民が、官僚OBだから把握できる情報を共有して自分たちのポスト確保を図っている、こういう状況なんです。

いかにも公正性がないんです。

しかも、この人事介入に関わった官僚OB、本田氏も山口氏も頻繁に連絡していたということも、今回の第三者の報告や国交省の調査も含めて照らして明らかになったわけであります。

これまでの国交省の聞き取りとは矛盾をしていたわけであります。

第三者による証拠に基づく事実認定に照らしますと、当該官僚OBは国交省の聞き取りにすらうそをついていたということになるんじゃないですか。

面会のアポイントまでメールで確認されています。極めて組織的です。

大臣、複数の官僚OBによる組織的な関与があったということを、当然、お認めになりますよね。

○斉藤(鉄)国務大臣

OBが、現役職員の関与なく行う知人への仕事の紹介や採用活動などは、既に公務を離れた、予算や規制に関する権限を有していない民間人としての活動でございます。

これについて、国土交通省として組織的な活動であるかどうかを判断したり評価することは難しいと考えております。

いずれにいたしましても、OBの再就職につきましては、国家公務員法の定める再就職等規制を遵守して行われることが重要であると考えており、国土交通省としては、引き続き、規制の周知などを通じ、その徹底に努めてまいりたい、このように思っております。

○城井委員

大臣、ポイントは、現在法規制がない、機密情報の入手を含めた、省庁をかさに着て、省庁の許認可権限をちらつかせた官僚OBによる組織的な天下りあっせんをいかに防ぐかであります。

この手だてが必要なんです。

だからこそ、2つ、これまで言っていたのは1つ目、まず、客観的な全省調査です。

これをやらなきゃいけません。

もう一つは、これまでの調査内容を内閣府の再就職等監視委員会に情報提供して、あっせん禁止規制に抵触するかどうか調べていただく、この2つ、お約束ください。

○斉藤(鉄)国務大臣

まず、第一点目の客観的な全省調査についてでございますが、今回の事実関係の確認等においても、再就職等規制違反行為を行った疑いがあると思料するべき事実は確認できませんでした。

現在の事実関係の下においては、そのような調査を行う状況ではないと考えております。

また、国土交通省OBが現役職員の関与なく行う知人への仕事の紹介や採用活動などは、既に公務を離れた、予算や規制に関する権限を有していない民間人としての活動であり、こうした民間人の活動に対する調査については極めて慎重であるべきと考えております。

そして、二点目の再就職等監視委員会への申出、情報提供につきましてですが、国家公務員法上、任命権者は、職員等に再就職等規制違反行為を行った疑いがあると思料するときは、その旨を委員会に報告しなければならないこととされております。

4月28日に公表された報告書に記載のあった山口氏と現役職員とのやり取りを受け、事実関係の確認等を行った結果、再就職等規制違反行為を行った疑いがあると思料するべき事実は確認できなかったため、再就職等監視委員会への報告を行う必要はないもの、このように考えております。

○城井委員

大臣、残念です。

やはり、現在法規制がない官僚OBによる組織的なあっせんの規制、是非、与野党の委員の皆さん、一緒にこれを作りましょう。

ルールがないから役所は動けないんです。

是非やりましょう。

よろしくお願いします。

終わります。

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)