台湾周辺を航行する日本船舶に対する安全確保、新たな情報提供の仕組みを検討するべきだ 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)
2023年4月19日衆議院国土交通委員会
○城井委員
次に参ります。
続いて、台湾周辺の日本船舶に対する安全確保の観点からの情報提供について伺います。台湾周辺の海域における日本船舶の安全確保のために、今よりも更に十分な情報提供を行うべきであるとの観点から、大臣の考えを伺います。
台湾周辺の海域は、我が国の安全保障の観点はもちろんでありますが、経済面、貿易面、戦略上重要な価値を有する海上交通路、いわゆるシーレーンがございます。我が国にとっては、シーレーンの安全保障は大変重要、最重要の課題だというふうに考えます。最近では、台湾から、特に九州などに向かっての船舶で、半導体を連日運んでいる、こうした状況もございます。
この台湾周辺の海域で、昨年8月にも中国軍が大規模な軍事演習を行い、台湾をめぐる情勢が緊迫化し、一部の貨物船や石油タンカーなどが軍事演習が行われている海域を避けて運航するという事案が発生しました。
最近も中国軍の動きがあったところであります。
当然、我が国の海運を担う日本船舶も、この船舶には含まれるわけであります。
こうした事案を受けて、海運の現場を担う船員の皆さんからは、突然ミサイル発射や軍事行動が発生した場合に船舶の安全を確保できるのか心配だ、あらかじめ危険情報を提供してもらえるような仕組みが十分に機能していないのではないかと政府の取組を心配する御意見が寄せられています。
大変重要だと思っています。
そこで、伺います。
航行中の船舶に対して情報提供を行うため、航行警報という仕組みがあります。これまでに中国軍が台湾周辺で大規模な軍事演習を行ったときに、この航行警報による危険情報の提供は行われたんでしょうか。
大臣、お願いします。
○斉藤(鉄)国務大臣
その御質問にお答えさせていただきますが、ちょっと、いわゆる条約関係についてお話をさせていただきますと、海上における航行安全の確保を図るため、1974年海上における人命の安全のための国際条約、いわゆるSOLAS条約に基づき、射撃演習を実施する場合など、船舶の航行の安全に影響のあるときは、条約締約国である訓練実施国には、航行警報の発出等の必要な措置を講ずる義務があります。
また、条約締約国である我が国は、我が国周辺海域を含め、広く太平洋西部において、広域的な航行警報の発出を担当しておりまして、訓練実施国から軍事演習等の情報提供を受けた場合など、船舶の航行の安全に影響のある事象を認知した場合には、条約に基づき、航行警報の発出等の必要な措置を講ずる義務があります。
その上で、御質問、令和4年8月の台湾周辺における中国軍による軍事演習においては、射撃訓練を伴うことから、SOLAS条約に基づき、中国海事当局から航行警報が発出されるとともに、中国海事当局から海上保安庁に対して行われた事前の情報提供を踏まえ、海上保安庁として航行警報を発出いたしました。
引き続き、海上保安庁としては、条約に基づき、適切に航行情報を発出してまいりたいと思います。
○城井委員
もう一点確認します。
中国軍による台湾周辺での軍事演習について、中国から我が国に対する事前の情報提供はそもそも行われたんでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣
先ほど申し上げましたとおり、令和4年8月の台湾周辺における中国軍による軍事演習においては、射撃訓練を伴うことから、SOLAS条約に基づき、中国海事当局から航行警報が発出されるとともに、海上保安庁に対して事前の情報提供が行われました。
○城井委員
大臣、この航行警報の仕組み、これが仮にあっても、突発的に発生する事案についての危険情報が提供がされなければ、海運現場の不安は解消されないのではないかということを大変心配をします。
いわゆるミサイル発射ですとか軍事的衝突など、これはあらかじめ予測は難しいというふうに思います。
他国からの情報提供がなくても守らなければならない場面というのがあるのではないかというふうに考えます。
そうすると、現在の航行警報による情報提供では手が届かないケースがあるのではないかということを心配します。
そこで、航行警報の仕組みに限界があるならば、何らかの新たな情報提供の仕組みを検討するべきではないかというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣
SOLAS条約締約国においては、船舶の航行の安全に影響のある場合等には航行警報を発出することとなっております。
一方で、周辺国において、航行警報の発出や事前の情報提供を行わない場合もあるため、海上保安庁では、周辺国から航行警報の発出や情報提供がない場合においても関連情報の収集を行い、船舶の航行の安全に影響があると考えられた際には、速やかに必要な航行警報を発出することとしているところでございます。
○城井委員
これまでの仕組みに基づいての取組に対して、海運の現場からの心配の声でございましたので、今ほどの仕組みの徹底はもとよりでありますが、仕組みが手が届かない部分について、しっかり確認をしていただきながら、現場を支えていただくことを是非お願いしたいというふうに思います。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)