元国交事務次官による民間企業への人事介入が発覚、職員OBのあっせんなどに対する新たな規制が必要だ 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)
2023年4月19日衆議院国土交通委員会
○城井委員
立憲民主党の城井崇です。
今回も質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。
今回も、斉藤国土交通大臣、よろしくお願いしたいと思います。
さて、まず一つ目は、元国土交通事務次官の民間企業の人事介入問題からであります。
4月12日の本委員会の質疑におきまして、私から客観的な全省調査を要求しました。
立憲民主党天下り総点検チームからも、国土交通委員会理事を通じて、天下り状況の確認が国土交通省にあったと思います。
その後の国土交通省の対応状況について、まず大臣からお答えください。
○斉藤(鉄)国務大臣
まず、立憲民主党天下り総点検チームへの対応についてでございますけれども、国家公務員法等の規定に基づきまして届出された情報等を基に、令和2年度から4年度までの間の営利企業又は一般社団、財団法人の役員への再就職状況、国土交通省所管独立行政法人の役員への再就職状況、公益社団、財団法人の役員への再就職状況、国土交通省所管独立行政法人への現役役員出向の状況を整理の上、4月13日に御提出申し上げたところでございます。
また、前回の質疑以降の対応につきましては、前回のこの委員会における質疑も踏まえまして、質疑当日の夕刻、地方支分部局を含めた全ての国土交通省職員に対し、今回事案の経緯を含め、再就職規制の趣旨を周知した上で、規制の遵守を徹底したところでございます。
その際、委員会での御議論も踏まえ、OBから何らかの働きかけを受けた場合には、再就職等監視委員会の監察官に直接届け出るよう明示的に伝えたところであります。
また、従来の周知では、内閣人事局が作成する制度概要のみ記載された資料を添付しておりましたが、今回の周知では、再就職等監視委員会事務局が作成する、違反情報があれば直接再就職等監視委員会に提供するよう求めることや再就職等監視委員会の受付窓口が記載された資料を添付しております。
これによりまして、現役職員が何らかの再就職規制違反の情報を有している場合は、第三者機関である再就職等監視委員会に通報されることが徹底されることとなります。
○城井委員
大臣、規制の周知遵守では足りません。
今お触れになった点で、一つだけまず確認しますと、内閣府のその再就職規制委員会に、では、国土交通省の関係で、これまでに通報があったんでしょうか、一度でも。
お願いします。
○斉藤(鉄)国務大臣
今ちょっと持ち合わせておりませんので、後ほど御答弁させていただきます。
○城井委員
お触れになるのでしたら、これまでの対応状況の確認は是非お願いしたいと思います。
今の話もそうなんですが、後ほど詳しく聞きますが、この天下り総点検チームからのお問合せでお答えいただいた営利企業、一般社団、財団法人役員への再就職や、また、独法役員への再就職、そして、公益社団、財団法人の役員への再就職についてもそうなんですが、ポイントは、選ばれ方を確認したかどうかであります。
これまでの国土交通省の調査では、現役職員は関わっていないからいいんだということにやはり聞こえてしまう状況なわけであります。
この選ばれ方を確認したかという点で、以下、今ほど大臣からお答えいただいた点について確認します。
まず、府省の権限やそして補助金など関連の深い営利企業、そして一般社団、財団法人の役員への国土交通省出身者の再就職数、先ほどの令和2年度から4年度は、数字としてはこうでした。
まず、令和2年度で41件、令和3年度で61件、令和4年度で47件でありました。
大臣、このうち、省庁の許認可権限をちらつかせた天下りと疑われる事例がなかったか、国土交通省として調査をしましたか。
○斉藤(鉄)国務大臣
今回、国家公務員法によってきちんと規定がございます、その規定に従いまして、そういう関与が疑われる場合にはきちっと報告をすべき、先ほど申し上げたとおりでございますが、そういう規定になっておりますということで、そういう場合があればきちんと報告されるもの、このように思っております。
○城井委員
大臣、リストを是非いま一度見ていただきたいと思います。
チェックする側、国土交通省のポストから、チェックされる側、つまり業界団体などへのポストへと直接再就職をしているケースが大変多かったのが、このリストから分かります。
例えば、自動車関連部局にいた官僚OBが自動車関連業界への再就職、海事関係の部局だ
った人が海事業界への再就職という形であります。
さらに、このいただいたリストで分かりにくかったのは、大臣官房付に一度移った上でその業界への再就職となっている分は、その前の職歴を追えないため、我々からチェックが届かないわけであります。
こうしたことも含めて注意が必要だというふうに考えます。
このほかにも、一般の社団、財団法人ということで申しますと、今週発売の週刊誌でも指摘があるようです。
国交省OBによる天下り要求音声の存在ということでありますので、こうしたことですと、調査や事実確認は不可欠だというふうに考えます。
大臣、もう一つ御指摘を申し上げたいと思います。
では、国交省所管の独法役員への再就職はどうかといいますと、令和2年度から4年度の間はありませんでしたという報告でした。
一方で、国交省職員の所管独法への役員としての現役出向が、令和2年度は17名、令和3年度で13名、令和4年度で14名でした。
全部で13の独立行政法人、そのうち、6法人は毎年役員として出向させて、7法人は、複数人、2人から3人を役員として出向させています。
この状況を見ますと、役員の出向が常態化をして、それが省庁の権限をちらつかせた天下りの要因になっているんじゃないかというふうに思うわけですが、大臣、この点、国土交通省として調査をしましたか。
○斉藤(鉄)国務大臣
先ほど申し上げましたように、我々としては、現役職員に対してまず法令の趣旨を徹底したところでございます。
その上で、今回の件に関しましては、現役職員に対しての何らかの働きかけがあったかどうかということにつきましては、朝日新聞から取材のあった3月29日から4月10日にかけまして、私から事務次官に対し、そして事務次官から技監、国土交通審議官、官房長、航空局長、官房人事課長に対し、また航空局長から航空局関係幹部に対し、また官房人事課長から関係が考え得る者に対して、それぞれ個別に確認をいたしました。
その結果、OBに対する情報提供の依頼を含め、現役職員からの再就職のあっせん、またOBから現役職員への働きかけ、そのいずれについても確認されませんでした。
こういう形で、現役職員に対しての、考え得る範囲での調査をしているところでございます。
○城井委員
全く考え得る範囲ではないですね。
OBが省庁の権限をちらつかせて天下りに利用したかということは、OBそのものに確認しないと確認できないわけであります。
現役職員だけ確認をして十分だということにはならないということを改めて申し上げたいと思います。
もう一つ確認します。所管の公益社団・財団法人役員への再就職数であります。
令和2年度で7件、令和3年度で8件、令和4年度で15件ありました。
これらが、公益法人役員が国土交通省出身者の指定席になっていないかということ。
省庁の許認可権限をちらつかせた天下りと疑われる事例がなかったか。
国土交通省として調査をしたか。
大臣、お願いします。
○斉藤(鉄)国務大臣
その点については調査をしておりませんが、先ほど来申し上げておりますように、まず、OBに対する調査につきましては、ちょっと原理原則論を申し上げますと、国土交通省OBが現役職員の関与なく行う知人への仕事の紹介や採用活動などは、既に公務を離れた予算や権限を有していない民間人としての活動であり、再就職のあっせん規制の対象外でございます。
このため、OBが行う再就職のあっせんについては、国土交通省として調査する立場になく、また、権限も有しておらず、こうした民間人の活動に対する調査については極めて慎重であるべきと考えております。
一方、そこに現役の職員が関与すること、これは法令違反でございます。
このことについては、我々としてしっかり調査をし、また、その趣旨の徹底をしているところでございます。
○城井委員
私から指摘を申し上げているのは、OBが関わって人事をねじ曲げるケースについて指摘を申し上げたわけです。今ほど申した、この公益社団・財団法人役員への再就職者も、やはり先ほどの一般社団・財団、営利企業と同様に、チェックする側からチェックされる側への直接再就職のケースがやはり見えてくるわけであります。
こうしたことを調べていないということ、これは調査が不十分だというふうに考えますし、更に言えば、ルールがないから調べないということだったら、ルールは作ればいいというふうに考えるわけであります。
さて、こうやってOBに対する規制のルールがないから起こったのが、先日からの元次官の介入でありました。
民間企業の人事介入をした元国交次官の本田勝氏が、東京地下鉄の現在の代表取締役会長であります。
この国土交通省の影響力を背景に民間企業への人事介入の働きかけを行った本田氏に、この東京地下鉄の会長の役割を預け続けるのは不適切であると考えます。
空港施設の経営陣に本田氏は、私は有力OBの名代、OBを社長につければ、省として全面サポートすると語ったわけであります。
官僚OBの特権意識にとらわれた、耳を疑う前時代的な発言であります。
本田氏が山口元副社長を支えるために、別の国交省OBの同社役員二人を同社に送ってあると発言していたことも分かっています。
名前の挙がった役員は辞任しました。
民営化を計画する東京メトロの会長として、本田氏の資質にも大きな疑問を呈せざるを得ません。
東京メトロは、全株式を国と東京都が保有しています。
会長人事は閣議了解されています。
斉藤大臣は、東京メトロの代表取締役の選定は国交大臣の認可を受けると4月7日の記者会見で述べました。
国としてどう対応するのか。
閣議了解をして代表取締役の選定を認可した国土交通省の責任をどう果たすのか。
大臣、明確にお答えください。
○斉藤(鉄)国務大臣
東京地下鉄株式会社の代表取締役につきましては、会社法の規定に基づき、株主総会において選任された取締役から、取締役会において選定され、国土交通大臣の認可を受けることにより効力が生じる、こういうたてつけになっております。
このため、まずは、今回の事案についての会社としての評価や判断を注視することが適切であると、このように考えております。
○城井委員
認可をした国土交通省としての調査がないというのがおかしいということを申し上げているわけです。
これまでの現役職員に対する調査だけでは大変不十分だということを繰り返し申してきておりますが、この本田氏に関わっては、そもそも国土交通省は、本田氏が名前を挙げた元次官の2人から話も聞いていないじゃないですか、大臣。
今回名前の挙がった元国交事務次官は、朝日新聞の取材に対して、昔は現役がやっていたが、法律上できなくなり、OBがやらざるを得ないと話しているわけであります。
なぜ本田氏が名前を挙げた元次官2人を調査していないのか。
OBをかばって事態を矮小化するつもりなのか。
この点だけでも、国土交通省の調査は不十分です。
大臣、どうするんですか、調査してください。
○斉藤(鉄)国務大臣
本田元次官への聞き取りは、本来、国土交通省としては調査する立場になく、また権限も有していないものですが、本人が、国土交通省がサポートするなど、国土交通省が本件に関与しているという誤解を招きかねない発言があった、こういう報道がなされたことから行ったものでございます。
その聞き取りで言及のあった2名の元事務次官につきましては、国土交通省の関与があった旨の誤解を招きかねない発言は確認されておらず、また、本田元次官からの聞き取りにおいても、国土交通省の権限に言及するといったような発言は一切ないとのことであり、聞き取りを行う予定はございません。
○城井委員
調査、確認もなかったら、かばっていると言われてもしようがないですよ。
大臣、今回の問題は、我々も、半分は冷静な目で見ているんです。
官僚OBの再就職において職業選択の自由は守らなければならないというのは当然だと考えるんです。
高い識見がある官僚OBに有能な人材として頑張ってほしいと求める企業もあるでしょう。
そこもいいと思うんです。
問題なのは、選ばれ方です。
省庁の許認可権限をちらつかせた天下りであります。
放置すれば、利益誘導などが、官民の癒着につながってしまうわけであります。
実際に、先ほど申したように、以前からOBが省庁の権限をちらつかせる問題の指摘があったのに、国が対応してこなかったというのが実情なんです。
今回、この元事務次官による人事介入が発覚した以上は、大臣、OBのあっせんなどに対する新たな規制が必要です。
国土交通省として、職員OBの振る舞いに対する新たな規制を設けるべきです。
大臣、対応いただけますか。
○斉藤(鉄)国務大臣
お尋ねの点につきましては、再就職等規制を担当している河野大臣からは、職員OBが現役職員の関与なく行う知人への仕事の紹介や採用活動などは、既に公務を離れた予算や権限を有していない民間人としての活動であり、これに関してどういった調査、規制ができるかということについては極めて慎重であるべきと考えておりますとの答弁がなされているものと承知しております。
○城井委員
今の大臣の御答弁の対応ですと、結局、許認可権限をちらつかせるOBは野放しということになります。
事実の解明や再発防止のためには、国土交通省の権限をちらつかせ、省の意向としてポストを要求した元国交省東京航空局の局長の山口勝弘氏、また、働きかけを行った元国土交通省事務次官の本田勝氏、本田氏への国土交通省の聞き取りで名前の挙がった元国交事務次官の小幡政人氏、そして安富正文氏の本委員会への参考人招致を要求したいと思います。
委員長、理事会でのお取り計らいをお願いします。
○木原委員長
ただいまの件につきましては、理事会にて協議をいたします。
○城井委員
この件については、また改めて質問をさせていただきたいと思います。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)