教育費の負担軽減で、家庭の経済状況にかかわらず、子どもの学習理解を深めて進学機会を確保すべき 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2022年5月26日 予算委員会

○城井委員
続きまして、今日、私の出番、役割の本題ということで、教育費の負担軽減の必要性について順次伺いたいと思います。
立憲民主党の生活安全保障3本柱、2番目の教育の無償化、ここに関わる部分について中心に行きたいと思います。
なぜ必要なのか、そしてその必要性についても、データからひもといて皆様にお伝えしたいと思います。
まず申し上げたいのは、物価高の影響の前から家庭の貧困が子どもの学習理解や進学を阻んでいる実態が、昨年の内閣府による子どもの貧困に関する調査、令和3年子どもの生活状況の調査の分析報告書で鮮明になりまして、専門家などから政府に対策を求める声が上がっているということです。
内閣府が全国の中学2年生とその保護者5000組に実施したこの調査。
生活が苦しい層で、学校の授業がほとんど分からないとか、分からないことが多いと答えたのが何と24%、およそ4人に1人もいるということでした。
暮らしが比較的安定している層に比べて3.3倍も多いんです。
進学希望という点では、生活が苦しい層の33.9%、およそ3人に1人が、中学、高校までしか行けないな、そこまでかなと回答して、暮らしが比較的安定している層の4.3倍にも達しているという状況でした。
言い換えれば、子どもの貧困が学力の格差だけではなくて、人生の選択の格差、つまり、元から人生の選べる幅を狭めてしまっているような、こんな状況の引き金になっているということも明らかになりました。
龍谷大学の松岡亮二准教授の解説から、具体的なデータを紹介したいと思います。
この内閣府の調査で、まず、経済状況による学力格差を確認できます。
クラスの中での成績という資料とパネルを御覧いただければと思います。
あなたの成績はクラスの中でどのくらいだと思いますかという質問で、下の方と回答した中学2年生は全体で17.3%、暮らしが比較的安定している層では10.8%ですが、生活が苦しい層になりますと33.0%に跳ね上がります。
生まれと最終学歴をつなぐのは学力だけではないというふうに思っています。
たとえ学力が高くても、本人が進学を希望し選択しなければ、大学に進学することはありません。
次の図表に行きます。
子どもの進学段階に関する希望、展望という部分を御覧ください。
親の希望、展望、子どもが将来どの段階まで進学するかという希望。
大学又はそれ以上というふうに希望、展望を持っていらっしゃる方は全体で50.1%でしたが、暮らしが比較的安定している層だと67.2、でも、生活が苦しい層ですと25.9にまで下がってしまいます。
同様に、次に、子どもの進学期待を見ますと、進学したいと思う教育段階を御覧ください。
大学又はそれ以上は全体で49.7%、暮らしが比較的安定している層だと64.3%なんです
が、このグラフの並んだ一番下、生活が苦しい層ですと28.0%にとどまってしまいます。
これらの傾向は、世帯収入ではなく、親学歴の別で見ても確認できるということでした。
この表の中央のグラフのところには、中間所得で子供が多い世帯が入っています。
つまり、中間所得層で子どもをたくさん産み育ててくださっている世帯こそ、大学まで行くことを選べない、こんな社会になっているということが、このデータから残念ながら見て取れるわけであります。
暮らしが比較的安定している層でも、短大、高専、専門学校、大学までの進学希望を足し合わせても、76.7%しかないんです。
中間層まで入れても、中間辺りの方々でも59.7%ということですから、今後、高度人材育成をしていくことを考えますと、必要な人の確保ができない危機的な水準だというふうにこのデータから読み取れます。
これらの調査が指します学力の格差、人生の選択の格差、これは一人親世帯を中心にした生活が苦しい層への政府の支援が弱い結果だと見るべきです。
深刻なのは、これまでの自民党政権の下で現在までやってきた取組でこの状況であるということなんです。
個々の家計の負担の重さが、国家のレベルでの科学技術立国やソサエティー5.0に必要な人材養成や供給の不足を招いてしまっているという残念な状況。
今回の補正予算でも、低所得の子育て世帯に対する給付金の再支給も行われますが、約2000億円という全体、根本的な状況改善にはならない。
岸田政権の子ども、子育て政策は、これからの積み上げで、まだ姿が見えません。
立憲民主党からは、教育の無償化の実現を始めとして、子ども、子育て予算の倍増の具体化を強く訴えています。
これは、こうした教育費の負担、家計負担の重さが学習理解や進学機会に影響していることも理由にあります。
総理、家庭の経済状況によらず、子どもの学習理解を深め、進学機会を確保していくために、今後の対応を是非充実すべきです。
総理のお考えをお聞かせください。

 

○岸田内閣総理大臣
委員御指摘のように、経済格差が教育格差を生み、そして、それが将来の格差にもつながっているという負のスパイラルが生じているということ、このことについて重く受け止めなければならないと思います。
こうした状況に対して、従来も、幼児教育の無償化、保育の無償化、高等教育の無償化、様々な取組を進めてきたわけですが、それでもこれだ、こういう御指摘がありました。
今までの取組も、もちろんこれは大事な取組であったと思いますが、更にこれに上乗せして様々な取組を進めなければならないということで、まずは、今コロナ禍で、こうした方々が苦しんでいるわけですから、特にコロナ禍で苦しんでいる方々に焦点を当てた総合緊急対策等、様々な支援策を用意しなければいけないと思いますし、また、教育の将来ということにつきましても、教育未来創造会議において、給付型奨学金、授業料減免、こうしたものもできるだけ中間層へ拡大していく、こうした取組の重要性も指摘をされていますし、また、これも今日度々議論になりましたが、出世払いの高等教育への支援、こうした新しい取組についても実行に移していかなければならないと思います。
こうした取組を進め、なおかつ、こども家庭庁を中心とする子供政策の整理と拡充、こうしたことを併せて行うことによって、是非、先ほど御指摘があった負のスパイラルから脱する、こうした環境整備を行っていきたいと考えます。

 

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)