子どもの権利を擁護するため第三者機関としての子どもコミッショナーの設置を 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2022年5月13日 衆議院内閣委員会

○城井委員

続いて、子どもの権利を擁護する独立機関、我々はいわゆる子どもコミッショナーというふうに呼んでおりますが、この設置について伺います。

この点も随分議論になりました。

附則には、国は、この法律の施行後5年を目途として、法律の施行状況及び子ども施策の実施状況を勘案し、子ども施策が基本理念にのっとって実施されているかどうか等の観点からその実態を把握し及び公正かつ適切に評価する仕組みの整備その他の基本理念にのっとった子ども施策の一層の推進のために必要な方策について検討を加え、その結果に基づき、法制上その他の必要な措置を講ずるものとすることとあります。

この大変長い一文でありますが、とても重要な一文だと思っています。

ただ、我々から見ますと、独立機関の設置を含めた、政府の外側から子どもの権利を擁護するための仕組みづくりについての言及が不明確かつ不十分だと考えます。

例えば、教育現場等でも、いじめや不登校など子どもをめぐる問題を扱う際の第三者委員会の設置について、その中立性の確保などでもめることが本当に多くあります。

それらを踏まえて、子どもの権利を擁護する、中立で、透明性を確保しつつ、調査権限と提言機能を備えた独立的な第三者機関としての子どもコミッショナー、あわせて、子どもの問題の初動対応に当たる各地域にも合議制の機関としての地域版の子どもコミッショナーを設置すべきであります。

そこで、以下、質問いたします。

この子どもコミッショナーや地域の合議制の機関を設置する場合、特に子どもコミッショナーについては、独立性や法的拘束力の強弱を考慮して、例えば、3条委員会での方式、あるいは8条委員会の形での設置、そして第三者委員会の形といった設置方法が考えられると思っています。

私どもからも事前に、立憲民主党案の中では、独立性が高く、そして法的拘束力も強い3条委員会方式での設置を提案していました。

こうした具体的な設置方法について、与党法案の作成段階でどのように検討されたか教えてください。

 

○加藤(勝)議員

私ども与党というか自民党の中ということで話をさせていただきたいと思いますけれども、まさに現実である児童の虐待、いじめ、様々な課題、また一方で進む少子化、こうしたことにどう対応していくべきなのか、政策的な対応と併せて、それをどう具体的に担保していくべきなのか。

例えば、学校におけるいじめといっても、学校だけではなく外との絡み、あるいは複合的な要因もあるわけであります。

それに対してどう対応すべきか、かんかんがくがく、いろいろな議論もさせていただいたところであります。

その上で、また、ある組織を置くということについて考えると、それが全体の統治機構といいますか、今の、子どもに対する様々な、今、体制があるわけでありますけれども、現存の体制の中でどう位置づけていくのかとか、あるいは組織がどういう所掌をするのか、あるいは権限、こういったことについて十分議論していかないと、行政組織全体、統治機構全体の中での位置づけというのは必ずしもできないと思っております。

いわゆる子どもコミッショナーについても様々な議論があったところであります。

諸外国でもそうした組織を設けている。

ただ、そのありようというのは、やはり国々における文化とか元々ある統治機構とか、それによって異なっているというふうに承知をしておりますし、じゃ、日本においてそれがどうなっていくのか、これについても、本当にいろいろな見方、今、一つの姿は城井委員からもお話がありました。

必ずしも現在議論が熟してはいないという我々は認識をしたところであります。

他方で、今回、政府から提出されているこども家庭庁設置法案で、家庭庁が設置されるということ、また、子どもの権利利益の擁護を任務として、まさに勧告権が子ども設置庁に与えられる、さらに、そこに審議会も設置をされる、こういったことが規定をされているわけでありますので、こうしたことをしっかりと、その動向を注意深く見守っていくということを含めて、先ほど読み上げていただいた検討条項を設けさせていただいた、こういうことでございます。

 

○城井委員

2つあったと思います。

まず、後半のところから申し上げますと、こども家庭庁、そして勧告権の設置、そして審議会の存在ということなんですが、どれも政府の中からの子どもの権利擁護の話だと思っています。

政策のずれで子どもに影響があった場合に、国がその当事者になってしまうケースがあるのではないか、そうすると、それとは違う立場で、どうやって子どもを守っていく機会を確保するか、機能を確保するか、この点が必要なのではないかというのが、我々が政府の外から権利を擁護する仕組みをつくるべきということを言っている理由の一つであります。

そしてもう一つ、統治機構全体の中での位置づけや権限ということでございました。

おっしゃる部分は大変理解ができるところであります。

現在ある仕組み、そして今回のこども家庭庁を設置する中で、外側からの権利擁護の機能をどのように置くかというのは様々な形があると思いますが、本当でしたら、自公案を国会提出いただく前に、超党派での議論でその必要な権限や機能といった部分についてもう少し煮詰める時間を本当はいただきたかったというのが率直な思いであります。

このイメージが合わないので、結局、条文の中に盛り込むための足がかりがないという状況になってしまったというのは、とても残念なことだったというふうに感じています。

そこで、一つ確認をしたいと思います。

子どもの権利擁護のための機能の確保について確認をさせてください。

中立性と透明性を確保して、調査権限と提言機能のある第三者による権利擁護、子どもの権利擁護の機能の必要性そのものについて、組織の在り方については先ほどお話しでした。この機能の必要性そのものについて提出者はどう考えるか、この点は必要だというふうにお認めになるか、この点を確認させてください。

 

○加藤(勝)議員

基本的な考え方は先ほど申し上げたのに尽きるところでありますけれども、いずれにしても、検討項目に書いてありますように、基本理念にのっとった子ども施策の一層の推進、
の子ども理念の中には、いわゆる、全ての子どもについて、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるということ、これが明確に書かれているわけでありますが、それをどう具体的に担保していくのか、この必要性ということは我々も認識をしておるところであります。

 

○城井委員

では、改めての確認をいたしますが、この附則にある検討事項におきまして、「実態を
把握し及び公正かつ適切に評価する仕組みの整備」、この実態の把握と公正かつ適切な評価の対象には、このこども基本法案の目的にもあるように、「権利の擁護が図られ、」とございますが、この子どもの権利擁護に関する取組も当然含まれるというふうに考えますが、含まれるとの理解でよろしいか、お答えください。

 

○加藤(勝)議員

先ほど申し上げました、子ども施策の基本理念として、「全てのこどもについて、個人として尊重され、その基本的人権が保障される」ということを掲げているところでありまして、検討条項における、「基本理念にのっとったこども施策の一層の推進のために必要な方策」と書いてありますから、当然、基本理念の中に、今申し上げた、個人として尊重され、その基本的な人権の保障、いわゆる子どもの権利の擁護、そのために必要な方策も当然含まれるものと考えております。

 

○城井委員

大事な答弁をいただきました。

子どもの権利擁護も当然含まれるということで、確認をさせていただきました。
この子どもの権利の擁護の在り方については、今後も国会で議論が続くことと思いますが、今ほどの御答弁がある意味で次の議論のスタートというふうになると思いますので、是非、何よりも子どもを守るために、前向きな議論を今後もさせていただきたいと思います。

よろしくお願いします。

 

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)