10兆円大学ファンド、日本の研究力の底上げには地方や中堅の大学の研究者にも広く配分を 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)
2022年4月15日 衆議院文部科学委員会
○城井委員
あと五分弱となりましたので、最後に、10兆円大学ファンドと地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージについて、大学ファンドの法案審議に先駆けて大臣に伺いたいと思います。
通告は二問飛ばしたいと思います。
まず、10兆円大学ファンドの取組は、結局、従来と同じ、選択と集中に終わるのではないかということを強く懸念しています。
大学ファンドの指定対象はほんの数校であり、全国のほとんどの大学は支援対象にはならない、そして、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージの支援対象も、結局、数も支援金額も限定的になるということを懸念しています。
そこで、伺います。
各大学での基礎研究の支援の拡充や、若手研究者の継続的な研究の場の増加に今回の取組でどのぐらいつながるか。
近年の研究力の低下は、選択と集中による一部大学への予算の重点化だという声もあります。日本の研究力の底上げには、地方や中堅の大学の研究者にも広く配分をするべきではないか。
科学研究費や日本学術振興会特別研究員といった日本学術振興会による研究助成事業に今回の10兆円ファンドの運用益を充てるのがベストだと考えます。
大臣の見解をお願いします。
○末松国務大臣
城井先生にお答え申し上げます。
大学ファンドによる支援は、世界と伍する研究大学となるポテンシャルを有する大学に対しまして、諸外国のトップレベルの研究大学との資金格差を縮めるために集中的な支援を行うものでございます。
他方で、我が国全体の研究力の強化には、トップレベルの研究大学への支援のみならず、その基盤となる優秀な人材の育成、あるいは地域の大学の強化が極めて大切です。このため、大学ファンドの運用益からは全国の優秀な博士課程の学生への支援を実施することといたしております。
加えて、大学ファンドによる支援以外にも、世界トップレベル研究拠点プログラムや共創の場形成支援プログラムなど、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学への支援策を総合振興パッケージとして同時に講ずることといたしております。
意欲のある大学が地域の経済社会の発展や国内外における課題の解決、また、特色ある研究の国際展開を図っていくことができるように、大学と対話しながらきめ細かな支援を行っていきたいと思います。
これらの支援を通じまして、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学がトップレベルの研究大学とも互いに切磋琢磨できる関係を構築することで、多様な研究大学の、多様な研究大学群ですね、これを形成していくことができると思います。
御指摘をいただきました科研費であるとか特別研究員といった研究者の研究活動を幅広く支える支援策は、もちろん重要でございまして、大学ファンド等の新たな支援策と御指摘のような従来の支援策と効果的に組み合わせることで、日本全体の研究力を向上させることを目指してまいりたいと思います。
博士課程の方への支援、具体的には、個々に対する支援もファンドの資金を活用するということも念頭には置いておりますのですけれども、これから審議が始まってまいりますのですけれども、よろしくまた御指導くださいませ。
○城井委員
最後に、一点伺います。
今回、大学ファンドの運用益で支援を受けようといたしますと、年3%の事業成長が必要だということになっております。
ただ、3%の成長というのは、20数年後に収入が倍増するということを意味します。
文部科学省に聞きましたら、寄附や産学連携などでの事業収入を想定しているようですが、大学の仕事は研究と教育です。
寄附文化が根づいていない中では達成が厳しいと危惧します。
お金目当ての特定企業や団体と結びついたり、目先の利益が見込まれるような研究が優先される可能性が高いんじゃないか。
具体的な達成の道筋を、大臣、どう考えていますか。
○末松国務大臣
先生御指摘のとおり、大学が中長期的に成長を遂げていくためには、人材の育成と多様な学術研究、基礎研究への投資が不可欠でございます。
今般の大学ファンドがモデルとする諸外国のトップレベルの研究大学では、数兆円規模のファンドの運用益を活用して事業規模を広げる中で、研究基盤や若手研究者への投資を充実をしています。
事業規模を広げることで中長期的な視点での資源配分も可能となりまして、そうした大学では、新たな学問領域の創出も含めまして、多様な学術研究、基礎研究が展開されているものと承知をいたしております。
このため、大学ファンドからの支援を受ける大学には、自ら掲げる目指すべき大学像の実現に向けて、研究の土壌を豊かにするとともに、自らが持つ知的財産を磨き上げて、価値化しまして、これにより得られた資源を研究基盤に再投資することで事業規模の拡大を図るという好循環を生み出していただきたいというように考えております。
この際、大学の財務基盤の強化を図っていただくことが重要であります。
具体的には、組織単位による大規模な産学連携の推進、また大学発ベンチャーの創出促進、卒業生を含む関係者からの寄附、大学独自の基金の拡充などを通じて、自己財源の獲得を進めていただくことも期待をいたしております。
このような自己財源の獲得実績に応じて大学ファンドからの支援を実施していく予定としておりまして、自己財源と大学ファンドからの支援を活用して、大学には事業規模の拡大を実現していただきたいという、かなり長期的な思いを持ってございます。
○城井委員
大学ファンドの問題点については、今後、同僚議員からもしっかりただしていただけるものと思います。
時間が参りましたので終わります。
ありがとうございました。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)