教員不足と教員の働き方改革、長時間労働の更なる是正と給特法の抜本改正の迅速化を 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)
2022年4月15日 衆議院文部科学委員会
○城井委員
教員不足と教員の働き方改革について大臣に伺います。
令和4年1月に、教師不足に関する実態調査の結果が公表をされました。
子どもを守る教員の数が足りません。
この調査でも、教員不足が全国の公立学校で約2,500人分もあるということが明らかになりました。
現場での穴埋め努力にも限界があります。
そこで、今国会での議論で触れられていない部分を大臣に伺います。
この調査は昨年度当初のものです。年度当初の実態として教師不足があるとしていますが、新規採用の勤務開始時期でもあり、人員は豊富なはずです。
新規採用は適切だったのか、年度後半は状況が悪化しているのではないか。
この現状を過小評価してはいけないというふうに思います。
2学期、3学期の実態はどうか、この実態は改善されたか。
まず昨年度、そして今年度の4月、この把握状況、大臣、いかがでしょうか。
○末松国務大臣
お答え申し上げます。
臨時的任用教員の確保ができませんで、学校へ配置する予定の教師の数に欠員が生じる教師不足につきまして、昨年度、令和3年度、初の全国調査を実施をいたしました。
その結果、令和3年度始業日に、全国の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の合計で2,558人、先生もこの数字を今御指摘されましたが、不足率0.31%の教師不足を生じている
実態が明らかになったところでございます。
この中には一時的欠員も計上されておりますが、中には、小学校の学級担任を管理職が代替している例も見られまして、懸念すべき危機的な状況であるという認識を持ってございます。
今年度の状況につきましては、全国的な悉皆調査は行っていないものの、幾つかの教育委員会にヒアリングをしたところ、昨年同様に依然として厳しい状況であるという話を伺いました。
広島県では聞き取り調査を行って、広島県は、今年度の教師不足状況は昨年に比べ、ここはちょっと改善している、悪化しているのは熊本市であるとか、同程度である宮城県、いろいろな意見がありますけれども、不足をいたしてございます。
また、昨年度の年度の後半の教師不足の状況につきまして、具体的な数についての調査は行ってはいませんが、今回の調査の際など、個別に教育委員会より聞き取り調査を行ったところでは、自治体により事情は異なるものの、年度後半の方が深刻化する傾向にあるという声が出ております。
これは、秋以降、産休、病休等の代替者の確保に苦慮しているという声、これは北海道ですけれども、いろいろな声がございます。
本調査は本年1月に中央教育審議会で報告したばかりでございまして、今後同様の調査を行うかどうかについては未定でありますけれども、お尋ねの年度後半の状況を含めまして、今後の実態把握の在り方については、新型コロナの拡大やそれに伴う教育現場の負担も考慮しつつ、教育委員会の関係者の声も聞きながら、適切に判断をいたしてまいりたいと思います。
先生の御質問からちょっと幅を持たせた答弁になりましたけれども、非常に厳しい状況は認識をいたしております。
○城井委員
実際に厳しい状況だというふうに思いますし、その厳しさが増しているのではないかという手応えであります。
特に、今年度の方が教員不足は厳しいんじゃないか。
例えば東京都内でも、昨年度はなかったけれども、今年度、さらに、担任が配置できないケースがあちこちであってというのが現場での聞き取りでございました。
令和4年度予算の教員配置は、実質的に前年度マイナスです。
先ほど、大臣も少し、どこに理由があるのかということに触れられましたが、例えば、講師に依存した学校運営が常態化した上で、教員職場の厳しい実態が知られたことで、教員を目指す人自体が減っていること、また、産休、育休する教員の一時離職する数を、甘過ぎた予測だった、読み違えたのではないか、また、特別支援学級の対象児童生徒の増加に伴う教員、特に男性教員が足りないといったこと、また、病休者を減少させられない、採用辞退を食い止められない、再任用も希望されないような過酷な職場環境が続いている。
原因を挙げれば切りがないというふうに思います。
教員免許状の保有者で埋めたり、また、退職者の講師化も、大臣、限界が来ているというふうに現場からは聞いています。
ですので、例えば、社会人特別免許状の条件付、期間限定での緩和などを免許の授与者であります都道府県に働きかけていくといった、ある意味切り札の部分までやらざるを得ないんじゃないか。
今、政令市が教員の配置については責任を持つようになりましたが、でも、社会人の特別免許状の授与権については移っていませんから、これを政令市に欲しいという声も現場からはございます。
こうした現場の意見は傾聴に値するというふうに考えます。
今後、具体的にどのようにこの教員不足の解消を図るか、大臣、具体策を示していただけますか。
○末松国務大臣
先生御指摘のとおり、教師不足の要因としては、近年の大量退職、大量採用を背景といたしまして、臨時的任用の候補者が正規採用されたことによる教師のなり手不足の、減少であるとか、先ほど申し上げましたように、産休、育休取得者や特別支援学級の見込み以上の増加などが挙げられております。
このような状況を踏まえまして、学校における働き方改革とか、教師の魅力向上、計画的な教員採用の促進等の取組を総合的に進めるとともに、現在中教審で行われております教師の養成、採用、研修に関する包括的な議論を踏まえつつ、質の高い教師の確保に向けた追加の施策を講じてまいりたいと思います。
それと、先ほど先生お話がありましたけれども、特別免許状ですけれども、200人ぐらいしか出ておりませんのでね。
社会的には、きちっとそういった、例えば活躍された方あるいは博士の方とか、いろいろな方がおられますので、そういう人望の厚い方につきましては、私は、どんどん教壇に立つように、積極的に特別免許状を授与していくべきであるという認識を持ってございます。いろいろな手だては講じる必要があると思います。
○城井委員
今の社会人特別免許状について、大臣、前向きな御答弁があったかと思うんですが、ここを少し、優遇策までは言わないんですが、それを取りやすい、薦めやすい、授与しやすい環境づくりが必要なのではないかというふうに考えます。
特に、今、小学校での教員が足りませんが、仮に、社会人を小学校の先生に送り出そうと思ったときに、今は、教科の専門性があるかどうかというところがまずハードルになっているものですから、なかなか社会人から行きづらいんです。
ですので、例えば、小学生の指導能力という基準を追加するということをお考えいただくといいのではないかというふうに思います。
そのほかにも、例えば、教員免許失効者を任期つきで採用するとか、離職者の本務教員への原則の無条件での復職を認めるとか、こうしたあらゆる手段を講じるべきではないか。
大臣、社会人の特別免許状を更に取りやすい環境をつくるならば、今申したようなことも含めて、具体的な誘導策というか、手だてが必要だと思うんです。こうした辺りを検討いただけないかということを明言いただけますか。
○末松国務大臣
城井先生にお答え申し上げます。
今、教育職員免許状の取扱いにつきまして、文科省でも、先ほど触れましたけれども、特別免許状の一層の活用を図るために、特別免許状の授与指針を改訂しまして、審査基準や手続の緩和を行うとともに、都道府県教育委員会に対しまして、積極的な授与が行われるよう、指導助言は重ねていたしております。
また、普通免許状を有する者を、これは先生の御質問から外れるかもしれませんけれども、採用できない場合は、臨時免許状を活用することも可能でありまして、例えば、中学校免許状を有する者には小学校の臨時免許状を授与することなども考えられるところでございます。
こうした方法も含めまして、任命権者である都道府県教育委員会において、あらゆる手段を講じて教師の確保に取り組んでいただきたいと考えておりまして、引き続き、あらゆる機会を通じて積極的に働きかけてまいりたい、そのように思っております。
やはり教育委員会なり、学校現場の方々でもそうなんですけれども、よく社会を見ながら、こういう方だったらというようなことは常々やはり頭に置くべきだというのは、私、そういうように考えております。
いろいろなところでいろいろな活躍をされている方々が、教壇に立って、どう子どもたちを育ててもらえるかということについて、大きな期待を持って社会を見る目が大切かなと思います。
そのための審査基準についての緩和ということは進めるべきであると思います。
○城井委員
今、審査基準の緩和ということにも言及いただきましたが、今準備ができている文部科学省からの指針だと、今ほど申したようなところ、私が3つほど提案しましたが、後ほど確認を
いただければと思いますが、まだそうした手だてまでは届いていないという認識ですので、是非そうした、今提案した部分も含めて御検討いただいて、現場に、教員の質と数の両立を念頭に置いての教員の確保ができるような手だてを増やしていただくようにお願いしたいと思います。
さて、もう一点、次に参ります。
そもそも、なぜ教員が選ばれる仕事になっていないかといえば、その厳しい労働環境があるから、特に教員の長時間勤務実態が改善されていないからだ、この問題があるからだというふうに考えています。
教員の働き方改革関連法の改正後も、教職員の過労死ライン超えの働き方は改善されていません。
残業は慢性化しています。学校での勤務時間内で業務が終わらないので、自宅での持ち帰り仕事も相変わらず続いています。
教育現場からの報告によりますと、具体的な業務削減が進まない一方で、時間外在校等時間の上限、月45時間に収めることだけが目的化し、ひどいケースでは管理職や教育委員会による虚偽の報告、勤務記録の改ざんが行われている実態もあるとの現場報告や報道があるような、こんな状況です。
そこで、大臣に伺います。
管理職による勤務時間把握は正確にできているでしょうか。
管理職等による虚偽報告や改ざんについて、文部科学大臣、どのように認識をされていますか。
○末松国務大臣
お答え申し上げます。
勤務実態の正確な把握は、働き方改革を進めていく上で必要不可欠なスタートラインでございます。
管理職等による勤務時間の記録の改ざんや、それに関わる懲戒処分等が生じているということは、もう大変遺憾なことでございます。
文部科学省といたしましては、改正給特法に基づきまして、令和2年1月に策定をしました教職員の勤務時間管理に関する指針におきまして、ICTの活用やタイムカード等による客観的な勤務実態の把握を求め、虚偽の記録を残すことがあってはならないことを示しているところではございます。
また、この指針のQ&Aにおきまして、万が一校長等が虚偽の記録を残させるようなことが
あった場合には、これは信用失墜行為として懲戒処分等の対象となり得ることも明示しまして、各教育委員会に対して周知をいたしてまいりました。
文部科学省といたしましては、改めて各教育委員会の人事管理担当者に対してこの趣旨を周知することに加え、様々な機会を捉えまして適正な勤務実態の把握が行われるように徹底いたしてまいりたいと思います。
まず、やはりそこがスタートラインだと思ってございます。
○城井委員
以上の、私からも申し上げたような厳しい現場状況を鑑みて、教員を選ばれる仕事にしていくためには、大臣、今年度予定の勤務実態調査を待たずして、長時間労働の更なる是正や、あるいは教職調整額による、私の言葉で申しますと残業代定額働かせ放題のこの現状を改善する給特法の抜本改正に一日も早く取り組むべきだと考えます。
この給特法の抜本改正については、前任の萩生田文部科学大臣も国会答弁済みであります。
この間の国会議論で、末松大臣から、この同趣旨の質問に対して、少し従来の姿勢よりも後ずさりしているんじゃないか、後退しているんじゃないかということを懸念しております。長時間労働の更なる是正と、給特法の抜本改正の迅速化、大臣、これはやるということを大臣から明言いただけますか。
○末松国務大臣
城井先生、全然私自身は後退している気がございませんで、今先生に御質問いただきまして、いろいろと、逆に意欲を燃やしていきたいと。
ただ、やはり勤務実態調査というのが一つはございますので、御理解いただきたいと思うんです。
学校における働き方改革は、何か一つやれば解決するというわけではなくて、国、学校、教育委員会が連携しつつ、それぞれの立場において、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境を整備すること、本務に集中できることが一番重要でございます。
文科省としては、各学校における働き方改革の推進に向けまして、令和元年の給特法によります教師の勤務時間の上限等を定める指針の策定、そして小学校における35人学級の計画的な整備や高学年における教科担任制の推進等の教職員定数の改善、また、教員業務支援員を始めとする支援スタッフの充実など様々な施策を総合的に講じているところでございます。
特に、給特法の法制的な枠組みを含めた検討に関しましては、令和元年の法改正時の国会審議におきまして、萩生田前文科大臣よりも答弁するとともに、衆参両院におきまして、これは御質問いただいた先生方にも御説明申し上げましたけれども、衆参両院におきましても、3年後を目途に教育職員の勤務実態調査を行った上で、関係法令の規定について検討を加え、所要の措置を講ずる旨の附帯決議がなされたところでございます。
このため、本年度実施予定の勤務実態調査におきましては、教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握をしまして、その結果を踏まえて、検討は必ず進めてまいりたいと思います。
余り長い答弁になってはいけませんので、一応、こういうふうにさせていただきたいと思います。
○城井委員
教員の処遇改善は、教員の確保、選ばれる仕事にしていくための核心部分だと思いますので、是非格段の取組をお願いしたいと思います。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)