議員立法「子ども総合基本法案」チルドレン・ファーストの政策実現へ 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2022年4月19日 衆議院本会議

 

○議長(細田博之君)

この際、内閣提出、こども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案並びに加藤勝信君外十名提出、こども基本法案、城井崇君外十一名提出、子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案及び三木圭恵君外二名提出、子ども育成基本法案について、順次趣旨の説明を求めます。

(中略)

提出者城井崇君。

 

〔城井崇君登壇〕

 

○城井崇君

立憲民主党の城井崇です。

ただいま議題となりました子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案、通称子ども総合基本法案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

まず、この法律案の趣旨について御説明申し上げます。

この法律案は、子どもの最善の利益が図られ、その人権が保障され、及び社会全体で子どもの成長を支援する社会を実現するため、児童の権利に関する条約の理念にのっとり、子ども施策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、子ども施策基本計画等の策定、子ども施策の基本となる事項、子どもの権利擁護委員会及び都道府県等における合議制の機関等並びに子ども省の設置についての法制上の措置等に関する事項について定めることにより、子ども施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項を定めるものであります。

次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。

第一に、子ども施策とは、子育て、教育、福祉、保健、医療、雇用、少子化対策その他の分野における子どもに関する施策をいい、当該施策の性質上子どものほか若者を対象とすることが適当である場合にあっては、若者に関する施策も含むものとしております。

第二に、基本理念として、子ども施策の推進は、全ての子どもの最善の利益が図られ、その人権を保障すること等を旨として行われなければならないことや、子どもの意見表明権など、いわゆる子どもの権利条約、児童の権利に関する条約の四つの原則を余すところなく盛り込んでおります。

第三に、国、地方公共団体及び国民の責務等を規定することとしております。

第四に、政府は、基本理念にのっとり、子ども施策基本計画を定め、また、都道府県は、子ども施策基本計画を勘案して、都道府県子ども施策基本計画を定めることとしております。

第五に、子ども施策の基本となる事項として、子ども施策のための予算の確保、すなわち家族関係社会支出を倍増してGDP比3%以上とすること、子どもの意見の反映、子ども施策の実施状況に関する評価等について定めるほか、子どもの生活を経済的に安定させるための施策として、児童手当を高校卒業相当年齢までの全ての子どもについて支給すること、子どもの貧困率の低下についての具体的な数値目標の設定などを盛り込んでおります。

また、希望する者が安心して子どもを産み、育てることができる社会の実現のための施策として、妊娠、出産、育児及び子どもの成長に関する切れ目のない支援等を、子どもの生存と安全を保障するための施策として、虐待の防止等を、教育を受ける権利等を保障するための施策として、小学校就学前の子どもに対する教育及び保育の充実等を、特別の支援を必要とする子どもに関する施策として、ヤングケアラーの負担の軽減、修学及び就業のいずれもしていない子ども等の支援、特別の支援を必要とする子どもが学び、成長するための支援及び環境の整備等を定めることとしております。

第六に、内閣府の外局として、子どもの権利擁護委員会、いわゆる子どもコミッショナーを設置し、その任務、所掌事務、組織等について定めるとともに、同委員会による関係行政機関の長に対する資料提出その他の協力の要求、子どもの権利侵害が疑われる場合の調査等及び関係行政機関の長等に対する勧告について定めることとしております。

また、都道府県等に子どもの権利侵害に関する救済の申立てを受けてその解決を図ること等を所掌事務とする合議制の機関を置くこととしております。

第七に、政府は、子ども施策の総合的な推進を図るため、文部科学省の初等中等教育、幼児教育を含めた事務を一元的につかさどる子ども省の設置について、必要な法制上の措置等を講ずることとしております。

第八に、子どもの権利擁護委員会の委員等の秘密保持義務違反並びに同委員会の調査に対する虚偽報告及び検査忌避等に対して所要の罰則を設けることとしております。

なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から施行することとしております。

以上が、この法律案の趣旨及び内容であります。

何とぞ御賛同いただきますようお願い申し上げます。

 

(中略)

 

○議長(細田博之君)

ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。

(中略)

森山浩行君。

 

〔森山浩行君登壇〕

 

○森山浩行君 立憲民主党の森山浩行です。

(中略)

立憲民主党案の提出者に伺います。

子ども総合基本法案で設置が明記された子ども省と、政府が提案しているこども家庭庁の異なる点は何でしょうか。

文部科学省所管の初等中等教育まで移管させるべきと考える理由と併せて御答弁ください。

(中略)

また、こども家庭審議会では子どもの権利擁護機能が想定をされていますが、教育委員会、社会福祉法人、学校法人等に関する調査権限は十分に発揮できますか。野田大臣にお伺いをいたします。

立憲民主党案に明記された子どもコミッショナーを設置する意義、政府からの独立性担保の方法、そして子ども省との連携、役割の違いについて、提出者にお伺いをいたします。

 

(中略)

 

○城井崇君

森山浩行議員から、子ども省とこども家庭庁の相違点、文部科学省所管の初等中等教育まで移管させるべきと考える理由についてお尋ねがありました。

今般、立憲民主党が提案している子ども省と政府提案のこども家庭庁の違いは、大きく二つあります。

一つ目は、こども家庭庁が内閣府の外局として設置されるのに対して、子ども省は、各省と横に並ぶ立場の省としたということです。

その上で、各省庁から一段高い立場で、子ども施策の企画、立案、総合調整を行う機能も有するとしております。

二つ目は、文部科学省所管のうち、幼児教育と初等中等教育に関する事務を子ども省に移管するとしたことです。

子ども施策の中心となる教育行政は、子ども政策を一元的に担う子ども省こそが担当すべきであり、子ども省において、おおむね18歳までの教育に係る施策を一元的に行うことが重要であるとの考えによるものです。

こうすることで、例えば、幼稚園と保育所、こども園、それぞれの積み重ねとよさを生かしながらの、役所としての所管の一本化、あるいは、いじめ、不登校といった学校現場を中心に発生する様々な問題に対して、国として一元的に取り組むことが可能になります。

その結果、責任の所在が不明確であるといった、所管の違いによって生ずる問題を可能な限り排除することができ、対象の子どもに対して、より綿密で効果的な施策を切れ目なく提供できるようになると考えます。

(中略)

○城井崇君

立憲民主党案に明記した子どもの権利擁護委員会、いわゆる子どもコミッショナーは、子どもの権利の擁護について、政府が講じる施策により十分に子どもの権利が擁護されないケースを想定し、政府から独立した立場から、子どもの権利の擁護の状況を調査、チェックするとともに、必要に応じて政府に対して提言、勧告を行うことができる機関が必要であると考え、設置することとしたものです。

この子どもコミッショナーは、その設立の意義を踏まえると、政府からの独立性を有し、特定の思想信条などに影響されないように、客観性、公正性、透明性が確保された組織でなくてはなりません。

そのため、子どもコミッショナーは、いわゆる三条委員会として内閣府に設置されるとともに、独立性等を担保する規定も設けています。

子ども省との連携については、子ども省がいわば政府の中で子ども政策を一元的に担う省として子ども施策を総合的に推進していくのに対し、子どもコミッショナーは、政府から独立性を有する三条委員会として、いわば政府の外から子どもの権利擁護、子ども施策の実施状況等についての実態の調査及び情報収集等の事務を行うことで、子どもの権利を擁護することが期待されます。

また、子どもコミッショナーは、いじめなどの重大な子どもの権利侵害事案の発生が疑われる場合には、透明性、中立性、第三者性を確保しながら、教育委員会や学校法人等を含め、その対象を限定することなく、強力な権限を行使して、独自に原因究明のための調査を行い得ることとされています。

この調査結果に基づき、同種事案の発生防止のため、諸施策について勧告等を行うのも任務に含まれています。

以上でございます。

 

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)