国の統計改ざんは公文書管理法、統計法に違反しているのではないか 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2022年2月17日 衆議院予算委員会第二分科会

 

○城井分科員
立憲民主党の城井崇です。
分科会でも質疑の機会をいただき、ありがとうございます。
金子総務大臣、黄川田内閣府副大臣、赤池内閣府副大臣、渡辺国土交通副大臣におかれては、今日は質疑でお世話になります。
よろしくお願いしたいと思います。
それでは、質問に入ります。
まず、この間、衆議院予算委員会でも幾度となく議論となっております国土交通省の建設統計の改ざんの件について、総務大臣と、そして公文書担当の内閣府副大臣にお伺いいたしたいと思います。
今日は、この件、法律に照らして違法な部分があったのではないかということをきちんと明らかにしたいという趣旨でお伺いしてまいりたいと思っています。
まず、総務大臣に伺います。
例の建設受注統計におきまして、手口がとてもアナログだったわけですが、消しゴムで元データを消しながら、合算をしたり二重計上したり、また、改善のチャンスが何度もあったのに、結果として隠蔽を続けたという形になってしまいました。
こうした3つのポイントのあった今回の統計の改ざんについては、統計法に照らして、その60条の違反に当たるというふうに考えます。
この統計法60条に照らした場合にどうかという点、そして、そこを踏まえて、総務大臣として、政府として、しかるべき措置をきちんと取ったかということを確認したいと思いますが、総務大臣の見解をお伺いします。

 

○金子(恭)国務大臣
城井委員におかれましては、予算委員会でも質問通告されていたんですが、なかなか答える場面がなくて、お答えをさせていただきたいと思います。
この度の建設工事受注動態統計調査における不適切な処理につきましては、大変遺憾なことだと考えております。
罰則規定である統計法第60条第2号は、基幹統計の作成に従事する者が基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をした場合に罰せられる規定となっております。
この行為とは、基幹統計を作成する過程において、通常の方法によって作成されるはずの結果と異なる結果を意図的に生ぜしめる不正な行為とされております。
いずれにしましても、個々の行為が統計法に違反し刑事罰の対象となるか否かについては、捜査機関が収集した証拠に基づき個々に判断すべき事柄であると承知をしております。

 

○城井分科員
大臣御説明いただきましたように、個々の状況によっての判断というところを仮に理解をしたとして、では、二つお伺いしたいんですが、一つは、今回の件、特に、改善のチャンスが何度もあったのに隠蔽があった、隠蔽を続けたという点について、大臣はそのように認識をされているかどうか、まずこの点を伺いたいと思います。

 

○金子(恭)国務大臣
国土交通省の検証報告書では、組織的な隠蔽や改ざんであるとはされていませんが、調査票の書換えによって、収集された有用な情報の活用を損ねた点、二重計上問題について、発覚後も事実を明らかにせず、問題が表沙汰にならない形で収束させようとした点などについて、大変厳しい御指摘があったものと承知をしております。

 

○城井分科員
大臣、そういうのを隠蔽と呼ぶのではないかということを確認したいわけです。
つまり、国土交通省の担当責任者が会議の場で何人か集っていて、話をして、最終的にそこで気がついたのに、意図的に伏せたわけです。
そのことを隠蔽と呼ぶのではないか、そこで担当者の意図が働いているのではないかというふうに認識するわけですが、大臣、その点は、これは意図的に隠したという認識で、総務大臣の立場としてよろしいかということを確認したいと思います。

 

○金子(恭)国務大臣
国土交通省の検証委員会の報告を基に、今、統計委員会におきましても特別な委員会をつくりまして、そこで精査をしているところでございますので、その精査の結果を待ちたいと思っております。

 

○城井分科員
委員会での精査を待つという御答弁でございました。
もう一つ私が申し上げたかったのは、先ほどの60条2号の解釈と申しますか、法令の部分にも触れていただきましたが、そこに照らして、今回の事案はやはり抵触するのではないか。
その場合に、そのことに、先ほどの委員会での結果を待つということでしょうけれども、そこで問題があると指摘がある場合には、捜査機関に対して、当然、総務省側から告発なりで情報提供するということはすべきだというふうに考えますが、この点はそういう取扱いをいただけるということでよろしいですか。

 

○金子(恭)国務大臣
先ほどからお話し申し上げております国土交通省の検証委員会の報告書では、組織的な隠蔽とはされていないものの、厳しい指摘がなされているものと承知をしています。
繰り返しになりますけれども、いずれにせよ、個々の行為が統計法に違反し刑事罰の対象となるか否かについては、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断すべき事柄であると承知しております。
なお、総務省につきましては、他府省の職員の行為の詳細について把握や確認を行うことのできる立場にないため、告発を行うことは困難であると考えております。

 

○城井分科員
続いて、公文書管理に係る不正についてもお伺いしたいと思います。
業者が提出する調査票は、公文書管理法上の行政文書ファイル管理簿に記載する必要があります。
しかし、今回のこの一件で、国土交通省は調査票をファイル登録せず、保存期間が過ぎて調査票を廃棄する際にも、公文書管理法で求められている内閣府との協議もしていませんでした。
公文書管理法違反の可能性が高いと考えます。
この件は、先日の予算委員会で、内閣府の政府参考人が、公文書管理法七条及び八条に照らし不適切であり遺憾と答弁しています。
とするならば、法律にある手続を取っていない今回のケースは違法なのではないか、公文書管理法7条、8条違反に当たるのではないかという点、これを踏まえて政府はしかるべき措置を取ったかということを、内閣府の公文書担当の副大臣から見解をお伺いしたいと思います。

 

○赤池副大臣
委員御指摘のとおり、公文書管理法では、第7条、8条におきまして、各行政機関の長は、行政文書ファイルの名称、保存期間等を行政文書ファイル管理簿に記載すること、行政文書ファイルを廃棄しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得ることを定めているところでございます。
国土交通省からは、これらの規定にもかかわらず、調査票について行政文書ファイル管理簿に記載がなされていない、廃棄同意の手続を行わないまま廃棄をしたといった不適切な管理となっていると報告を受けているところであります。
私といたしましても、国土交通省からの報告のとおりであれば、公文書管理法に定める手続に反しており、極めて不適切であると考えております。
委員のお尋ねが第7条、8条に違反しているかどうかということであれば、私としても、同条に違反をしていると認識しているところであります。
その上で、今回の事案を受けて、若宮大臣の指示によりまして、国土交通省に、調査の継続や、不適切な取扱いの是正、再発防止策の検討、そして各府省に、ルールの遵守や、跡づけや検証に必要な文書の作成、文書廃棄時の慎重な確認、研修などあらゆる機会を捉えた基本的なルールの周知徹底を要請したところであります。
引き続き、適正な公文書管理について周知徹底を図ってまいりたいと存じます。

 

○城井分科員
公文書管理法7条、8条の違反ということで、副大臣から明言をいただきました。
おっしゃるとおりだというふうに思っています。
各府省に対しての対応を取っていただいている点については評価をしたいというふうに思います。
ただ、今回の公文書管理法そのものには罰則規定がない状況であります。
そこを踏まえますと、内閣府と協議もせず勝手に調査票を捨てた国土交通省の今回の不正は、調査票という公用文書を勝手に捨てたのですから、刑法258条にある公用文書等毀棄罪、つまり壊した、捨てたということですが、公用文書等毀棄罪に当たるのではないか、この違法行為に政府はしかるべき措置を取ったか、内閣府公文書担当の副大臣の見解を伺います。

 

○赤池副大臣
委員御指摘の刑法の公用文書等毀棄罪に当たるかどうかについて、これは捜査機関において収集された証拠に基づいて個別に判断されるべきものと承知をしておりまして、この場でお答えすることは差し控えたいと存じます。
いずれにいたしましても、先ほど御説明をいたしましたように、今回の事案を受けて、公文書管理の観点から、先ほど言った若宮大臣の指示により三点要請したところでありますので、引き続き、適正な公文書管理について周知徹底を図ってまいりたいと存じます。

 

○城井分科員
やはりこの手の違法行為は、捜査機関の個々の判断に最終的に至るまでの手前で、気がついた役所がきちんと捜査機関に情報提供するというのが筋だというふうに考えますので、今日御指摘を申し上げた三点の法律違反の疑いの部分については、是非各省で取組をいただきたいということを改めてお願いしたいというふうに思います。

 

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)