総合評価落札方式における賃上げ実施企業への加点措置、特定の業界だけに負担を強いるのは不公平 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

 

2022年2月10日 衆議院予算委員会

 

○城井委員
続きまして、公共事業の総合評価落札方式における賃上げを実施する企業に対する加点措置についてお伺いしたいと思います。
パネルと、そしてお手元に資料もお配りしております。御覧いただきたいと思います。
公共事業に携わる会社の労使の賃上げ表明で、3点のポイント加算をする仕組みです。
財務省で調整中と聞いています。
ゼネコンや中小の建設土木、そして設計関係の企業の皆さんの中では、賃上げ自体は長期的な担い手確保につながるとの受け止めなんですが、この今回政府から出された賃上げを促すやり方について困惑が大きく広がっています。
現場の声を踏まえ、以下質問します。
まず、財務大臣。
今御調整に汗をかいていただいていると思いますが、今回のこの仕組み、そもそも特定の業界に対して負担を強いるというのが不公平ではないか。
今回の賃上げは、総合評価方式であって、主に土木工事や設計業務などが対象となります。一方、建設関係は、主にプロポーザル方式であるため対象外となります。
特定の業界にのみ負担を強いることは公平性の観点から問題ではありませんか。
財務大臣、お願いします。

 

○鈴木国務大臣
今検討しております本制度でありますが、成長と分配の好循環を実現するため、賃上げ実施企業を政府調達において政策的に優遇をするものであります。
総合評価落札方式の入札に参加する企業に対しては、これはひとしく適用される制度でありますことから、特定の業界や企業のみを優遇やあるいは差別をするものではなく、公平性の観点から問題はないものと考えております。

 

○城井委員
業界関係者に対するプレッシャーは相当のものですよ。
今、都道府県からも通達が出始めているところでありますが、これはしっかり見直していただかなきゃいけない。
もう一点、御指摘を申し上げます。
今回の仕組みでは、過去の努力に対する評価が微妙だというふうに感じています。
建設業界は、これまで全ての産業の平均を上回る賃上げを行ってきています。
もし、一律の、前年比3%あるいは中小企業で1.5%賃金アップというのを仮に行いますと、各会社のこれまでの賃金内容によっては負担額が大きく異なりますし、公平性を欠く可能性があります。
過去の努力を評価せず、これから更に賃上げを要求するということは、これまで努力をしてこなかった会社を逆に有利な状況にすることにつながるのではないか。
日本建設業連合会からも、従来から賃上げしてきた企業が不利益になるようなことがないよう丁寧な運用をという意見があります。
財務大臣、これからの賃上げだけではなくて、過去の実績についてもしっかり評価をしていただけますか。
この点お願いします。

 

○鈴木国務大臣
先生御指摘のとおりに、建設業におきましては、これまで全産業平均を上回る賃上げが行われてきたと承知をしておりまして、その点に関し、業界関係者のこれまでの御努力に敬意を表したいと思ってございます。
その上で、今回の加点措置は、令和4年度以降の賃上げを促進する、そういう観点から導入するものであることから、令和4年度以降に賃上げ表明を行う企業に対して加点措置を行うものとなります。
したがって、過去の実績は加点措置の要件として評価することにはしていない点については御理解をいただければと存じます。
この措置により、これまで賃上げを行ってきた企業にとっては更なる引上げを、そして、これまで賃上げを行ってこなかった企業にとっても賃上げを行うインセンティブとなることを期待をしているところでございます。

 

○城井委員
過去分の配慮がないとやはり不公平という指摘は逃れないというふうに思います。
もう一点、伺います。
この仕組み、いつまで続けるかも問題です。
日本建設業連合会からは、経営計画の策定に関わるため、次年度以降の具体的な方針を明らかにしてほしいという要望があります。
複数年契約、具体的には、4年以上の国庫債務負担行為においては次回調達で更に追加で加点することとしています。
つまり、令和4年度だけでなく5年度における賃上げも評価対象とし、それに基づく加点を令和8年度以降も行うことを政府は表明しています。
財務大臣、この制度はいつまで続けますか。
政府は明確にしていないが、制度設計上は少なくとも令和8年度まで続けることを意味しています。
これまでの賃上げ努力をしてきた業界に対して更に最低5年間も継続をして賃上げを求め続けるというのが、非常識であり、かつ非現実的ではないかというふうに極めて心配をしています。
制度の見直しは避けられないと考えますが、即刻対応すべきと考えます。
財務大臣、見解をお聞かせください。

 

○鈴木国務大臣
この措置をいつまで続けるかという御質問でございますが、現時点でいつまでとは確定をしてはおりませんけれども、令和5年度以降も継続することを前提として制度設計を行っているところでございます。
このように、単年度を前提とした措置でなく、複数年度契約の場合もあることから、あらかじめその評価方法を決めておく必要があると考えております。
いずれにいたしましても、本措置によりまして、賃上げを促進した企業が評価されて賃上げ効果が表れますよう、適切な制度の運用をしっかりと努めてまいりたいと思っております。

 

○城井委員
一点、国交大臣に伺います。
日本建設業連合会から、仮にこの仕組みを導入するのであれば、賃上げの原資確保や更なる適正利潤の確保に向けた国の施策として、設計労務単価、現場管理費、一般管理費などの引上げ、これに伴う調査基準価格の引上げが必要、また、民間工事を含めた対応が必要不可欠であることから、国から民間工事を含めた他の発注機関への要請、指導をとの強い要望があります。
大臣、これは当然対応いただけますよね。

 

○斉藤国務大臣
公共工事の品質確保の促進に関する法律、いわゆる品確法においては、発注者の責務として、企業が適正な利潤を確保できるよう、予定価格の適正な設定やダンピング対策等に取り組むことが規定されております。
公共工事設計労務単価においては、取引の実例価格を考慮して設定するということとされており、これまでも市場実態等を的確に反映し、9年連続で引き上げてきたところでございます。
あわせて、直轄土木工事においては、適正な予定価格の設定に向け毎年度実施している諸経費動向調査等の実態調査を踏まえ、現場管理費や一般管理費などを算出するための計算式を見直してきているところでございます。
また、直轄土木工事の低入札価格調査基準については、契約内容に適合した履行がなされ、工事の品質確保ができるよう、実態を調査し、必要に応じて計算式や基準の見直しなどを行い、適切なダンピング対策に努めてまいりました。
本制度の導入に際し、日本建設業連合会などから御指摘のような御要望があることは承知しており、国土交通省といたしましては、引き続き、公共工事の実態把握に努めるとともに、適正な履行や工事の品質確保に努めてまいります。
あわせて、地方公共団体の公共工事も同様の取組を促してまいります。
民間工事につきましては、昨年12月に、パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ、転嫁をちゃんとやってくださいというパッケージですが、を取りまとめられたことを受け、民間発注者団体等に対して適正な請負代金の設定等について周知徹底を行ったところであり、引き続き様々な機会を通してこれを徹底していきたいと思っております。

 

○城井委員
賃上げ自体はいいんです。
でも、課題がたくさんあります。
拙速な導入をせずに、是非見直しをお願いしたいと思います。
総務大臣、若宮大臣、次の機会にまた質疑をさせてください。
ありがとうございました。

 

 

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