新型コロナの影響を受けた国家試験受験者に追試験の機会をつくるべき 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)



2022年2月10日 衆議院予算委員会

 

○城井委員
それでは、次の質問に参りたいと思います。
次に、国家試験、特に医療、介護関係の追試験対応について、厚生労働大臣にお伺いをいたします。
1月31日に行われた介護福祉士の国家試験は、新型コロナの感染者と濃厚接触者は受験を認めていませんでした。
追試験もありませんでした。
今真っ盛りの医療従事者の国家試験、パネルやお手元資料でもお配りをしました。
御覧ください。
濃厚接触者は、検査で陰性、受験日も無症状で、別室受験ということになるそうであります。感染者は受験ができず、追試験もありません。
新型コロナの影響を受けた国家試験の受験者には、せめて追試験の機会をとの声が全国から寄せられています。
これまでも同僚議員から数度にわたってこの質疑はあったと存じます。
ただ、そのときに議論ができていなかった点を今日は伺いたいと思います。
厚労大臣、この各国家試験、予備の問題、大学入学共通テストでいいますと緊急対応問題という、追試験とは別にもう一段階準備をしてあるんですが、こうした国家試験の予備の問題というのは準備をされているんじゃないですか。

 

○後藤国務大臣
医療、介護関係職種である医師、介護士、介護福祉士、看護師等の国家試験に関しまして、国家試験の問題作成のプロセスなど具体的な内容については、機密性を厳に確保する観点から、お答えすることは困難ではあるんですけれども、少なくとも、お尋ねの追加試験を実施するために必要な試験問題を作成、確保しているかということについては、そういう作成、確保している状況にはありません。

 

○城井委員
それはおかしいですね。
私も公開情報を丹念に調べてみました。
過去に、評価は様々ありますが、事業仕分という政府の取組がございまして、その中で、各国家試験を作成している作成主体もその事業仕分での聞き取り対象になっていて、その中で幾つか、国家試験をどのように作っているかというふうなプロセスの説明がありました。
その中で、ある指定試験機関で作っていたものということで申しますと、少なくとも、9月までには問題を決定し、そして検閲をする。予備問題についても、秋口、10月、11月には決定、検閲をする。
こうしたプロセスをどこの国家試験の試験を作る機関もやっているのではないかというふうに考えておりますが、この予備問題の決定と検閲というものも、現在の国家試験、各医療、介護の国家試験で行われていないんですか。

 

○後藤国務大臣
私が申し上げたのは、追加試験を実施するために必要な試験問題を作成、確保している状況にはないというふうに申し上げております。

 

○城井委員
いわゆる予備問題の存在は、あるということでよろしいですか。

 

○後藤国務大臣
予備問題の、どういう実態であるのか、そのことについては少し調べさせていただきたいと思いますけれども、少なくとも、追加試験を実施するために必要な試験問題を作成、確保している状況ではないということだけははっきり申し上げさせていただきたいと思います。

 

○城井委員
予備問題はあるが、レベルの調整を含めて準備が十分ではないから使えないんだ、こういう認識ですか。

 

○後藤国務大臣
私、国家試験の問題作成のプロセスとか、予備問題がどのぐらいあるかとか、具体的な内容については、機密性を厳に確保する観点から、お答えすることは困難であるというふうに思っておりますけれども、追試験ができるのか、そういうお尋ねだということで、少なくとも、追加試験を実施するために必要な試験問題を作成、確保している状況にはないということで御答弁させていただいております。

 

○城井委員
それでは、大臣、2014年に追加試験を実施したときの問題はどうやって確保したんですか。

 

○後藤国務大臣
平成26年の看護師の国家試験、これにつきましては、大雪による交通障害で受験会場に到達できなかった方たちへの救済措置としてやられたものでございます。
そういう意味で、限られた一部の地域に限定して行われたわけでございます。
それで、例えば、入学試験で追試をやる場合でも、やはり、急に試験をやる場合に過去の質問の使い回しが行われたりすることについては、例えば、大学の特例試験、去年、特別に新型コロナで試験が行われた例があるわけですけれども、その特例追試験のときにおいても、過去の質問の使い回し等が多くて、それなりに、そのことについては大きな批判が出たというふうに思っております。
そうしたことも考えまして、もちろん、その当時、追加試験を、確かに例外的に一度、職業資格を問う国家試験としては例外的に一度やったわけでございますけれども、そうした中でやりくりをして試験をやったということだと思います。

 

○城井委員
やりくりでは説明が全く分からないわけですが。
今、大学入学共通テストと比較をおっしゃいました。
確かに、機会の確保とそして試験の公平性の確保というのを両立するのは難しい。
我々からも、特例追試験をやった場合に公平性は大丈夫か、こういう議論はしました。
ただ、あれは、倍率があって、定員があって選んでいく世界です。
国家試験は、その能力、識見がそのレベルに達しているかどうかというのを確認する試験なんじゃないんですか。
つまり、選抜するというよりは、そのレベルにあって、その仕事を全うしてほしい、そういうことを確認する試験のはずです。
ですので、これまでも、国家試験をどのように行っていくべきかということで、例えば、かつて使ったレベルのいい問題、良質な問題についてはもう一度使うことも、そのレベルを測っていく意味では役に立つのではないかとか、あるいは、それまでに作った問題をプールしておいて、そして、ある程度の規模になってくると、それを循環させながら使っていくことができるんじゃないかというプール制の議論だとか、こうしたことをやってきているはずなんですよね。
ですので、一定のレベルに達している方を是非現場でということを後押ししていく国家試験であるならば、そこは、この予備問題の活用を、その過去の蓄積も生かしながら、そして追試験の実施につなげていくということは、これはやるべきだというふうに考えるんですが、こうした過去の蓄積も含めての対応、御検討いただけませんか、大臣。

 

○後藤国務大臣
国家試験には、職業資格を担保するための国家試験という性格でありますので、やはり一定のレベルをしっかりとチェックするために、ブラッシュアップして丁寧に専門家が作り込んだ試験が必要だというふうに考えておりまして、そういう意味では、ブラッシュアップがきちんとできるのかどうか大変に難しいところで、それだからこそ、昨年も、心身の不調を理由とした追加試験をできるのかという議論の中で、緊急事態宣言下にあってもやれなかったということも御理解をいただきたいと思います。

 

○城井委員
新型コロナのコロナ禍ど真ん中、緊急事態宣言のときにもできていないというのも問題なんです。
そもそもが、今ほど職業資格のということをおっしゃいましたが、今回機会を奪われることで、就職内定の取消しですとか、実際に人材が足りない医療、介護現場で、来てもらえるはずの人が奪われてしまうというケースがあるんじゃないかという声が、医療現場や介護現場からもう既にたくさん上がっています。
今まで学んできて積み上げてしまった借金を今年の4月から返していかねばならぬという段階にある方が、そこで、それを返す手段を、目の前で、本人のせいではなくて奪われてしまうということになるわけです。
本当にそれでいいのか。
大臣、先ほどの2014年の件、災害のためだったから、そして心身の不調でやるという例はどうか、こういう趣旨の御答弁でございましたが、この間の新型コロナの対応について、歴代の自民党政権は、災害は災害、コロナはコロナといって、線を分けて対応してきたでしょうか。
私は、新型コロナの対応に当たった岸田政権を含めた三つの内閣で、その対応を分けていた例がどうだったかということを答弁ベースで調べてみました。
そういたしましたら、例えば、令和2年6月9日の衆議院予算委員会で、安倍総理がこんなふうに言っています。
百年に一度の大変な災害にある、国難の中にあるわけでありまして、今までの前例にとらわれる対応ではとても我々は雇用を守り抜くことができない、こうした答弁です。
これを含めて、災害時と同様の対応を新型コロナでも取るよという政府答弁は計9回ありました。
後藤厚労大臣、災害時と同様の対応、医療、介護の現場、命を守る現場、支える若い世代の背中を押すために、3月に追試験、工夫して努力してやりましょうよ。
大臣、お願いします。

 

○後藤国務大臣
今申し上げているのは、別に、災害とそれから今回の新型コロナウイルスを分けて議論しているわけでは決してありません。
看護師の試験についても、これも過去に一回だけ例外的にやったわけでありまして、そのときの反省材料、まあ試験についてとやかく私は言うべきでないと思いますけれども、やはり、きちんとブラッシュアップした質問を準備して、十分な資格試験ができるのかということについてのやはり深い反省とともに、我々としてはやはり準備ができないということを申し上げております。
本当に、何としても受験の機会を増やしたいということで、繰り返しになるとなんですけれども、先ほど委員からも御指摘のあった、試験当日に発熱症状がある方でも、検査キットで検査をして陰性の場合はそのまま受験を認める、また、濃厚接触者とされた方が、試験前にですね、試験当日に無症状等の条件を満たした場合は別室で受験ができるとかいうように、最大限の特例的な対応を、コロナ禍においてもできる限り受験が可能となるように最大限の対応をするということでございますが、やはり、試験問題が整う整わないというのは、特に、知識だけを問うようなものじゃなくて、実用だとかいろいろな点から作り込みのあるいわゆる国家試験につきましては、非常に、公平性を、実質性を担保する、そういう試験をしていくのが難しいのではないかということで前回もやれなかったということで御理解をいただきたいと思います。

 

○城井委員
2014年は災害を理由にというのは、これまでの過去の国会答弁もありますので、ここは言い逃れができないというふうに思いますよ。
大臣、今回、私も二、三歩踏み込んで申し上げているのが、やはり、受験と感染の二重のストレスで今回の受験生はさらされたわけです。
そして、この2年間、実習や学校生活の制約を受けた学年なんです。
気の毒ですよ、自分ではどうしようもありませんから。
さらには、医療・介護人材の確保が必要であるならば、ここは国が動かないとできませんから、国が責任を持って追試験の機会をつくるべきですよ。
少なくとも、問題作成努力をぎりぎりまでやるということを、是非大臣、言っていただけませんか。

 

○後藤国務大臣
いずれにしても、我々の、我々というか、厚生労働省としての見解は、受験のできない方たち、特に、新型コロナウイルスの影響によって、受験も含めて、本当に多くの皆さんが予想もしない不利益あるいは困難にぶち当たっている、日本中でそういうことが起きていることに対して、非常に遺憾な思いでありますし、何とかしていきたいという気持ちはあるんですけれども、そういう、国家試験としての担保ができるのかどうか、そういう点については、やはり今回の試験だけ、そこは特別な事情があるからということでなかなか認めていくということは難しいということで、先生のおっしゃっていることの気持ちは痛いほど共有するものでありますけれども、そういう試験の性格等を考えたときに厳しいということを答弁させていただかざるを得ないということで、御理解いただきたいと思います。

 

○城井委員
感染がこれだけ拡大して、若い人たちにも広がっていて、表に出かけずに受験勉強を頑張ってという学生さんに、感染があったから、はい駄目です、一年待ちなさいというふうに政府は背中を押してしまうんでしょうか。
予備問題もある、過去の蓄積もある、ぎりぎりまで努力して、3月追試験、是非やるべしというふうに思います。
大臣、これは是非検討をお願いします。
そうでないと、この若い世代は一体どうやってここから1年過ごしていけばいいのか。
ここで機会をつくってあげたいです。
感染だけを理由にして、これまでのこの2年の歯を食いしばってきた努力をふいにしてしまうのは、さすがに切ないですよ。
大臣、せめて検討だけは、せめて検討だけはお願いします。
もう一回お願いします。

 

○後藤国務大臣
今、試験というのは、非常に近づいたり、もう既に終わりつつあります。
私は、責任を持った答弁をするということからいえば、やはり条件の整わない資格試験をやることについての検討ということを答弁はできないというふうに考えます。
そこは、こうした、レベルをしっかりと確認するための、そういう公平な、実質的な試験をやはり守っていく、そのことも大切だと思いまして、御理解をいただきたいと思います。

 

○城井委員
残念です。
やらない言い訳ではなくて、やるための工夫と努力の答弁が欲しかったです。
この件は引き続きまたお伺いしてまいりたいと思います。

 

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)