船員が選ばれる職種となるよう、学生支援の充実を 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

 

2021年3月17日(水) 衆議院国土交通委員会

 

(内航及び外航における船員確保の育成について)

 

○城井委員

続きまして、内航及び外航における船員確保の育成についてお伺いをいたします。
まず、船員の確保、育成体制の強化における予算について伺います。

令和3年度予算案では、1億1,500万円となっていました。補正予算で4,000万円の底上げが図られていますけれども、補正予算は本来イレギュラーなものであります。

この予算の傾向を見てみますと、低減傾向がようやく下げ止まったという数字になっております。

船員の確保、育成政策に逆行しているのではないかという現場の声もあります。

この今後の船員の確保、育成体制の強化における予算の方針について大臣の見解をお聞かせください。

 

○赤羽国務大臣

令和3年度の予算案で、前年と比べますと、前年までは入っておりませんでした船員の働き方改革の推進という項目がございまして、これは4,000万円入っておりますので、これを合計しますと、船員の皆さんの確保、育成に関する予算という意味で、当初予算比ですと、令和2年度は1億2,900万円、今年は1億5,500万円ということでございますので、そういった意味では、この予算が削られているというのは正確ではないのではないかというふうに思っております。

いずれにいたしましても、船員の確保、育成について、業界の実情を踏まえながら、必要な予算の確保に努め、そして、しっかりと育成が図られるように取り組む、これが大事だというふうに思っております。

 

○城井委員

今の大臣のおっしゃった、確保、育成の予算のところと働き方改革のところを足し算するとというのが国土交通省の現在の見解かというふうに私自身も受け止めております。

ただ、そこだけ見たときに、本当に、船員の数を増やしていこうという大目標がある中での支援の適切な形かというところを少し掘り下げた議論をさせていただきたいというふうに思いますが、次に、船員育成の中心を担う海技教育機構の運営費交付金について伺いたいと思います。

この話をすると少し実態が見えてくるというふうに思うので、取り上げたいと思います。

お手元に資料もお配りしておりますので、委員の皆様も御覧いただければと思います。

 

 

 

 

この20年間で運営費交付金は相当に落ち込んでいます。
令和3年度予算案では69億8,000万円となっています。
補正予算で約3億円の底上げを図っていますが、運営費交付金そのものの低減傾向には歯止めがかかっていないというふうに受け止めています。

ちなみに、2001年度は約105億円という形でした。

この20年間で国土交通省が運営費交付金を減らし続けた理由、そして今後の取組について、大臣からお答えいただきたいと思います。

 

○赤羽国務大臣

この間、皆様方も賛成されていたと思いますが、独立行政法人の整理合理化ということがあって、その計画に従って、組織がこれまで3つ、例えば3法人あったものが一つになったわけでありますが、3法人それぞれの管理費が、これは統合することによって削減されたりですとか、人件費の削減も行われた。

そうした効率化によって、全体の予算が、3法人の合計が105.1億円だったのが、今回、形では72.8億円となっておるわけでございますが、ここは、3割減少している中の、効率化による削減というところが、私はかなりの部分があるのではないかというふうに思っております。

他方で、減ったままかというとそうではなくて、これは平成19年8月の閣議決定において受益者負担を求められて以降、機構としても、自己収入についてそれは拡大を続けておりまして、ここ5年ほどは、そういう意味では総額80億円程度の予算で安定をしているというふうに承知をしております。

今後も引き続き、独立行政法人に求められる業務の改革を進めながら、自己収入の一層の増加を図って安定した船員教育を実施してまいりたい、こう考えておるところでございます。

 

○城井委員

大臣おっしゃったように、独立行政法人としてのということですが、一定の合理化あるいは自己収入を増やす自主努力を求めるという意味は、私自身も理解をしているつもりです。

ただ、この海技教育機構は教育機関です。

教育を施していくときに、人が真ん中で、そこに教育費用をかけていかなきゃいけないときに、そうして減らし続けてきた結果、今も海技教育機構が、ある意味で絞れる雑巾なのか絞れない雑巾なのかということはきちんと見なきゃいけないんじゃないか。

予算をかけて教育内容を充実したり、あるいは練習船の整備をしたりといったことを更に行うべきところを、国からの交付金を絞り込んだり、自主努力ということだけで、肝腎の教育は本当に届くのだろうか、おぼつかない状況にならないかということを大変心配しています。

 

 

 

 

そうしたことも頭に置きながら2つほどお伺いしたいと思いますが、まず、海上技術学校と海上技術短期大学校の養成定員の件についてお伺いしたいと思います。

これらの学校の養成定員は、2021年4月から400人ということになります。

小樽の海上技術学校から同短期大学校としての存続、そして定員も10名増やすという形になったことにつきましては、国の努力と協力にお礼を申し上げたいというふうに思います。

 

 

 

 

一方で、平成29年発表の内航未来創造プランで示された、この海上技術学校や海上技術短期大学校の入学定員の数値目標は500人でした。

この500人には達していないという状況がございまして、船員不足解消に本当の意味で至ったかというと、そこはまだ道半ばだというふうに受け止めています。

 

ここ3年は、内航船員の新規就業者数、お手元にも資料を配っておりますが、900人台まで押し上げてきているということで、官民挙げての努力が一定実ってきている形に見えるんですが、その中身を見ますと、海上技術学校等は、この人数は横ばいです。

押し上げているのは、水産・海洋高校や商船系の高専、そしていわゆる民間新6級によるところが大きい状況がこのグラフからも見て取れます。

 

 

大臣、数値目標500人確保にどのような道筋をつけるのか。

先ほどのいわゆる整理合理化ですとか自主努力というところだけではなかなか届かないのではないかというふうに思うのでこの質問をするんですが、大臣、いかがいたしますか。

 

○赤羽国務大臣

海事局から私が報告を受けている範囲での答えになりますが、海技教育機構の4級海技士の養成定員につきましては、今お話がございました内航未来創造プランで500名の数値目標を示しておりますが、これは段階的な拡大を目指している途上だというふうに承知をしております。

ですから、今500人に届かないからということは、それはそういう前提でやっているというふうに局長からは報告を受けております。

また、委員御指摘のとおり、本年4月からは小樽海上技術学校を短期大学校化することによりまして定員を10名増やして、機構全体の養成定員を400名としたところです。

また、海技教育機構につきましては、教育内容を高度化して、条約改正や技術革新に対応した知識、技能を習得させて、教育の量だけではなく質を重視して、大手や中堅船社の基幹職員を養成することを目指しております。

私が海事局長から報告を受けているのは、今の一番のニーズ、業界のニーズはこうした基幹職員を養成することだというふうに報告を受けておりますので、いずれにしても、養成定員につきましては、業界のニーズを綿密に把握しながら、また需給状況を見ながら適切に判断して、見直しを図ってまいりたい、こう考えております。

 

○城井委員

海事局からの報告によるとという前置きがございましたけれども、大臣、船員不足がどのような状況にあるかというのは、若い世代が選んでもらう職種になっているかという入り口の部分の議論と、後ほどお伺いいたしますが、60歳以上の方が、ある意味で勤め続けていただくことで何とかしのいできた現状もあってというところと、両方見ながらやらなきゃいけない。

そのときに、現場のニーズ、質の確保、重要なんですけれども、でも、頭数の部分がずっと問題として言われてきているところについても、国としての取組できちんと手を届かせなきゃいけないんじゃないかというふうに思っています。

特に、500人目標に本当にたどり着こうと思いますと、教育内容や練習船の建造、改善など、それなりの準備が必要だというふうに私自身も国土交通省から伺いました。

だとするならば、海技教育機構に任せるだけということではなくて、では、国がどう後押しするかという、もう一押しが必要なのではないかというふうに思うわけであります。

もう一点、人材確保について伺いますが、奨学金についてお伺いいたしたいと思います。

海上技術学校は中学校卒業者が対象だと聞きました。
高校の実質無償化が実現されている現在、海上技術学校の学生に授業料の負担を求め、受益者負担の原則を押しつけるんでしょうか。

国公私立高校同様に授業料相当を国が負担するのが公平な仕組みの在り方ではないかというふうに考えます。

また、海技大学校では給付型奨学金事業が行われておりませんが、文部科学省所管の大学、専門学校が対象の高等教育の修学支援と少なくとも同様の仕組みを適用すべきではないかというふうに考えます。

この文科省所管の高等教育の修学支援には、この海技大学校は対象には残念ながら入っておりませんので、別の対応が必要だという意味合いでございます。

以上のように、船員が選ばれる職種になるように、15歳あるいは18歳、船員を目指すスタート時点での学生支援を公平にすべきだというふうに考えます。

この海上技術学校の授業料の扱い、そして海上技術短期大学校及び海技大学校の貸与型、給付型奨学金の拡充について、大臣、見直しの検討を行っていただけませんか。

 

○赤羽国務大臣

海上技術学校の授業料につきましては、公立高校と同水準の授業料となっているというふうに承知をしています。

また、無償化につきましても、これも公立高校と同様の条件で実施をされております。

海上技術短期大学校につきましては、海技教育財団等が貸与型、給付型の奨学金事業を実施していただいておりまして、またさらには、海技教育機構独自で授業料の減免制度を設けております。

また、海技大学校につきましては、これは給付型の奨学金はございませんけれども、海技教育財団等が貸与型の奨学金事業を実施しておりまして、さらには、海上技術短期大学校と同様に、独自の授業料の減免制度を設けているところでございます。

今後とも、こうした支援が実施、継続されるように、しっかりと国交省としても努めてまいりたい、こう考えております。

 

○城井委員

そうした授業料減免、あるいは貸与型、給付型の奨学金が、同じ年代が進路が違ってもきちんとスタートラインで同様な取扱いになるようにきちんと確認いただきたいというのがこの質問の趣旨でございますので、この機会に一度、実態に人数なども含めてのチェックの検討を是非、大臣、お願いできませんか。

 

○赤羽国務大臣

済みません、質問の意味がちょっと定かでないんですけれども。

今、私が承知しておりますのは、公立高校と同水準の授業料であり、無償化についても同様の条件で実施をしているというふうに承知をしておりますが。

今の質問、私、ちょっと済みません、明確に聞いておりませんでした。

 

○城井委員

分かりました。

私の質問趣旨は、スタート地点でそろえていただくことをきちんと引き続き続けていただきたいということでありますので、その点を受け止めていただければと思います。引き続きよろしくお願いします。

 

続いて、船員不足の件についてお伺いしますが、これまで内航海運での船員不足は、定年延長などで対応を先送りしてきたとの指摘があります。

60歳以上の船員の人数はこの10年間でどのように変わってきたと認識をされているか、定年延長に関する認識も含めて、大臣の見解をお聞かせください。

 

○赤羽国務大臣

私も、当初、内航海運というのはやはり高齢化が進んで若手がいないのではないか、こう思っておりましたが、まず、60歳以上の内航船員の人数、この10年間で約1.5倍、増加をしておりますが、これは、1980年代以降に漁船分野等から内航分野に再雇用された大勢の方々が年代とともに年を重ねて今60歳以上になっているところが背景だというふうに承知をしております。

また他方、若年層はいないのかというと、実はこれは私も驚いたんですが、内航船員のうち若年層、30歳未満の人数はこの10年間で約1.5倍に増加をしており、全体に占める割合も増加するなど、内航船員は若返りが進んできておる、こういうふうに承知をしております。

船員の定年の延長につきましては、これは各船社の判断によりますけれども、私が個人的に思うのは、いわゆる定年後、元気な方が働き続けられる社会というのはいいことだと思いますし、船員という意味では、そのスキルというか技術も持たれている方が多いでしょうから、そうした方は引き続き活躍いただいて、若手の皆さんにそうした仕事を伝承できるような、そういう環境というのは私は望ましいのではないかというふうに思っております。

 

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)