文部科学大臣は英語民間試験の導入実施の延期を決断すべき 衆議院議員 きいたかし 福岡10区 (北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)
2019年10月30日 衆議院文部科学委員会
○橘委員長
次に、城井崇君。
○城井委員
国民民主党の城井崇です。
共同会派立国社、本日一番バッターとして質疑の機会をいただきました。ありがとうございます。
誰もが望めば学ぶチャンスをつかめる、スタートラインに立てる日本にしていくべく、きょうも質問をさせていただきたいと思います。
きょうは、文部科学大臣、文部科学副大臣、そしてオリパラ担当大臣と、それぞれ政務三役に御質問申し上げますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
まず冒頭、本日の報道で確認をすべき内容が出てまいりましたので、けさ段階での通告を申し上げて、お答えいただくようにお願いしました。
大臣にお伺いいたします。
本日、二〇一九年十月三十日、読売新聞朝刊一面の「英語民間試験延期論 政府内」、こうした内容の記事が出ました。
事実でしょうか、フェークニュースでしょうか。事実関係について、大臣、お答えください。
○萩生田国務大臣
お答えします。
文部科学省としては、御指摘の議論については承知をしておりません。
いずれにせよ、文科省としては、英語成績提供システムについては、高等学校、大学関係者の合意に基づいた方針によるものであり、受験生はその実施を念頭に既に準備を進めてきていることから、受験生等の不安や懸念を一つ一つ解消し、二〇二〇年度からの円滑な実施に向けて全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。
○城井委員
承知をしていないというお答えでした。
政府内での議論という報道でした。事実確認をいただけますでしょうか。
○萩生田国務大臣
文科省としては全くその議論にはくみしていないんですが、政府のどこかでそういう話があるとすれば、確認をきちんとしたいと思います。
○城井委員
当委員会に報告をいただきたいと思いますが、委員長、お取り計らい願えるでしょうか。
○橘委員長
後刻、理事会で協議いたします。
○城井委員
この英語民間試験延期論が政府内でという点は大変大きな報道だというふうに思っています。
この報道の内容も含めてでありますけれども、大臣、ここまで議論があります国の大学入試共通テスト、英語民間試験の導入も含めてでありますけれども、これは国の共通テストですから、国に責任があるのは当然であります。
かつて、共通一次試験を実施する際に、それを延期したことがありました。
この共通一次試験実施を延期したときには、当時の文部大臣が決断をいたしました。
この当時の文部大臣が決断したように、英語民間試験導入についても、文部科学大臣が決断をすれば延期をできます。
菅官房長官も、昨日の記者会見で、この点について、文部科学大臣が判断すると述べています。
大臣、この際、英語民間試験の導入実施、この導入を、延期を決断していただきたいと思いますが、大臣、お答えください。
○萩生田国務大臣
私自身も、就任時にはこのシステムについてまだ詳しく承知をしていなくて、自分自身も不明な点が多々ございましたので、しっかり勉強してみるということをお約束しました。
まだ会場などの提示が十一月以降ということになりますから、現段階では、明確に、試験会場や時期について、あるいは、そのまた減額要請などについて明らかになっていない課題があることは事実でありますけれども、他方、この件につきましては、もう既に二〇二一年に向けて準備をして頑張っている学生さんも数多くいらっしゃいます。
そういう中で、問題を一つ一つ解決しながら、受験生の不安や懸念を解消して、二〇二〇年度からの円滑な実施に向けて全力で取り組ませていただきたいというのが意思でございます。
○城井委員
大臣の気合いは少し理解をしたつもりですが、ただ、ここまでの経緯の理解が、不明が多いということでは御理解いただけている部分が少ないのではないかというふうに大変心配をいたしますし、今ほど触れていただいた会場やあるいは試験の実施日時なども含めて、きょう時点で固まっていない部分が相当多い。
こうした問題を抱えたままで進んでいくことになります。こんな、準備も足りない上に、そして大臣の理解も十分でない状況で果たして進められるのかということは極めて疑問であります。
そうした中で、萩生田大臣から例の身の丈発言があったということであります。
先ほど、この文部科学委員会の冒頭で、大臣から陳謝とともに発言の撤回の旨がございました。
その発言のときに、自分の都合に合わせてという趣旨の御発言もあわせておっしゃいました。
このいわゆる身の丈発言が、なぜ受験生が怒り、教育政策に自分の人生が助けられたなという多くの方々が、何だあれは、貧しければ我慢しろということか、こうしたことで怒りを覚えたのは何だったか、このことを大臣、ぜひ理解をいただきたいというふうに思うんです。
教育の機会の均等や教育格差の是正が仕事の文部科学大臣から、身の丈に合った勝負をと言って、個人の努力ではままならない家庭の経済格差や地域格差による教育の格差の拡大を認め、促す発言をされてしまいますと、こうした中身は、例えば、教育を受ける権利を定めた憲法二十六条には明確に違反をしますし、教育の機会均等を定めた教育基本法第三条違反にもなります。言語道断であります。
問題は、身の丈発言に示された大臣のずれた姿勢だけではありません。
大学入試に導入されそうになっている英語民間試験ですが、経済的格差、地理的格差といった個人の努力が及ばない現状に、自分の都合に合わせて、身の丈での対応を強いる、そして、受験生側からすると従わざるを得ない入試になっている。
いわば制度自体が身の丈入試になってしまっていることが大きな問題なんです、大臣。
この身の丈入試も、憲法や教育基本法に照らしても、沿わない内容であることは明らかであります。
大臣は記者会見で、都合に合わせて適切な機会を捉え、二回の試験を全力で頑張ってもらいたいとの思いだった、こんなふうにおっしゃっています。
ただ、先ほど大臣もくしくもおっしゃいましたように、都合に合わせるも何も、受験開始の今五カ月前です。五カ月前になっても、各民間試験をいつ、どこで、何人が受けられるかさえ未定の状況です。
国の共通テストなのに、希望する全員が希望する地域で必ず試験を受けられる状況ではありません。
大臣、現時点で確定できていないですね。お答えください。
○萩生田国務大臣
先ほど、私自身の問題意識も申し上げましたけれども、試験団体の皆さんには、十一月一日付までに可能な限りの開示を、それを提示していただきたいということを申し上げている。期限がまだ十一月一日ですから、その報告を待ちたいと思います。
○城井委員
そもそも、実施要領は二年前までに示すというのがルールだったんじゃないですか。
ここが守られていなくて、十一月一日には、実施の五カ月前ですよ。
約束が違うんじゃないですか。
そうやって文部科学省も実施団体も、実施する場所や内容や日時なども含めて、延ばして延ばして延ばして延ばしてきているのが現状じゃないですか。
十一月一日にも全部出てこないケースも想定されているんですよね。全て示されるんですか、大臣。お答えください。
○萩生田国務大臣
もう既に明らかにしている団体もございますけれども、まだ出てきていないものもあります。
それから、減額のルールについてもお示しいただけないところもありますので、私は、十一月一日という期限を切って今要請をしておりますので、その結果を見てしっかり判断をしていきたいと思います。
○城井委員
そもそも、五カ月前になって、こうした形で、実施する内容や場所や日時も含めて示されていないという時点で、準備不足を余りにもさらしてしまっているということを大臣は自覚すべきであります。こんな状況で受験生が前に進めるわけがありません。
この一年半余り、今申した内容も含めてですが、何度も何度も私どもから、委員会や質問主意書や文部科学省との直接のやりとり、文書での回答をお願いしたこともありました。
丁寧に、この二年弱、指摘、確認をしてきているんです。
今言っているんじゃないんです。
この間、ずっとやってきている。
なのに、四技能をはかれる議論を、そうした狙いとは裏腹に懸念は広がるばかり。
そして実害にまで発展しているのが状況であります。
問題は大きく五つあります。
五つの欠陥です。
一つは、制度の設計の欠陥。共通テストといいながら、試験はばらばらで共通になっていない。
異なる試験を無理やり比較するし、そして、合否判定に使わなくても受けなきゃいけない。
二つ目には、試験の内容と運営の欠陥です。問題漏えいの心配は吹っ飛んでいますし、替え玉受験の可能性はまだまだ消えていません。
不公正の可能性があります。採点の質の担保も十分でありませんし、学習指導要領の内容と照らしたときに、かけ離れているのも明白であります。
三つ目に、受験生の負担であります。
費用負担は明らかにふえますし、試験日程に配慮もありませんし、受験会場の格差も明確であります。
マイナスの効果という欠陥もあります。
スピーキングが身につかない上に、リーディングなどほかの部分の成績が落ちる可能性が高くなっています。
そして五つ目に、制度導入のプロセスで利害関係者が制度設計にかかわり、現場からの懸念の声が反映されず、先ほど申したように、準備も周知もおくれているというのが事実であります。
こんなに問題があって前に進めないというのが実際であります。
以下、改めて具体的に指摘をしてまいります。
まず、経済的な不公平が解決されていない問題であります。
民間英語試験の利用は、費用負担という面で決して安くありません。
大臣、最も高い受験料の試験は、二回受ける前提ですが、合計で幾らでしょうか。
また、軽減された場合は幾らになりますか。そして、その費用は、経済的に厳しい生徒も負担可能か。
大臣、お答えください。
○萩生田国務大臣
最も高い検定料の試験は、IELTSの五万七百六十円でございます。軽減額は、試験団体において検討中です。
なお、経済的に困難な受験生がどの程度の検定料等であれば負担可能かどうかは一概に申し上げられませんけれども、文部科学省においては、資格試験団体に対し、検定料の低減及び会場の追加設置を要請しているところです。
○城井委員
五万七百六十円。受けるかどうか決めるのに、軽減額もわからない。これで、大臣、選べるわけがないというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○萩生田国務大臣
IELTSは、一番高い例をお尋ねでございましたのでお答えしましたけれども、一定の御負担はおかけをするということになると思います、受験生の皆さんに。
○城井委員
問題は、一定の負担が幾らになるかというところが問題なんですよ。
例えば、北海道の稚内から、CEFRでいうC1以上を目指す方法を仮に見積もった場合、札幌で一番安いGTECCTBを二回、練習受験を一回、そして実施団体の公式教材を仮に六千円で購入した場合に、英語一科目を受けるだけで、七万三千五百円に加えて宿泊費がかかる、これが最低ラインだと考えられます。
一方で、これまでのセンター試験ですと、五科目で一万八千円です。一番安いのでもこれです。
一番高いところは、先ほどの五万七百六十円から始まる話になります。
経済的に厳しい生徒が負担可能な金額ですか、大臣。
もう一回お答えください。
○萩生田国務大臣
一概に、その金額が可能かどうかということを私が特定することは極めて困難ですけれども、例えば、経済的に困難な方が受験をした後に入学をすれば、給付型の奨学金でこの費用を補填する、こういう仕組みもでき上がっておりますので。
いずれにしましても、できる限り近くで試験が受けられるように、これから会場の設定をふやしていく、そういう努力をしてまいりたいと思いますし、減額についても、団体の皆さんと引き続き交渉を続けてまいりたいと思っています。
○城井委員
給付型奨学金とおっしゃいましたが、後ほど聞きますが、大学生活に使うお金を先食いして使えというのは相当無責任だと思いますね。
これまでも、この軽減について実施団体に要請しているというせりふはもう聞き飽きましたけれども、国の共通テストです。
減額も、ほんの微々たる割合です。
これまでも、林元大臣や柴山前大臣にもお願いをしたら、実施団体に要請しているという話でした。
その後に何が起こったかです。
むしろ、文部科学省が実施団体に受験料の減額を要請した後に、受験料を値上げした団体があるんですよ。
大臣、御存じですか、確認していますか。
○萩生田国務大臣
それは存じ上げていません。
○城井委員
二〇一九年度から英検が上げています。
ぜひ確認いただきたいと思います。
こういう状況です。国から要請しても、実施団体はむしろ値上げをするような状況なんですよ。
減額金額も、そうした受験生が判断するには足る料金にはなっていないという現状を理解いただかないと、この仕組みは前に進められません。
さらに、大臣が要請したというこの受験料の減免措置の申請には、住民税納税通知書や課税・非課税証明などが必要です。
これらを役所で発行してもらうと、当然、証明の手数料と、交通費や郵送料がかかりますよね。
例えば、英検二級の減免額は三百七十円です。
逆に損をすることもあります。
経済的に苦しい学生からしっかりお金を取る仕組みになるわけですが、全く現状を踏まえていません。
大臣、この点いかがですか。
○萩生田国務大臣
先生御指摘のとおり、減額といってもわずか五%、三百円台の金額ということでは我々が望んでいるような制度ではないというふうに思っていまして、この点を引き続き交渉してまいりたいと思っています。
○城井委員
再度要請をして下げさせるということですか。
下げるめどは、どこまでを要請として言うんですか。
大臣、もう一回お答えください。
○萩生田国務大臣
民間の企業、団体が設定している料金ですし、またそれなりの根拠があることなので、こちらからあらかじめ比率を申し上げるというのはなかなか難しいと思いますけれども、しかし、こういう現状を踏まえてしっかりお話をしていきたいと思いますし、今、会場のお話をしましたけれども、それ以外に国としてどういう支援ができるか、しっかり考えていきたいと思っています。
○城井委員
国の共通テストですよ、大臣。
実施団体のテストに国がおもねってどうするんですか。
国からこうしろと言うのが筋じゃないですか。
どのように要請するか、もう一回お答えください。
○萩生田国務大臣
参加に当たって、協定を結んで参加をされた団体、企業の皆さんでありますから、その協定の中身のルールにのっとって、最大限できることはきちんとしてまいりたいと思います。
○城井委員
問題は費用面だけにはとどまりません。
各地域で暮らす人たち、都会と田舎という言い方も世間ではされています。
この地理的な格差、不公平についても触れざるを得ません。
これまでも何度も指摘しましたが、この点がまだ解消されていません。
例えば、試験会場から遠い地方の生徒で、民間試験のために高額の交通費や宿泊費がかかる場合、どのような対象者に幾らの費用補助でやるのか、どのような生徒に交通費や宿泊費の費用補助が出るかは、いつ誰が判断するのか。
大臣、お答えいただけますか。
○萩生田国務大臣
令和二年度の概算要求においては、離島に居住する高校生について、本土や近隣離島での受験にかかる交通費や宿泊費を支援するため、地方公共団体の事業に対し、国が二分の一補助を行うための経費を措置することができるように概算要求をしているところです。
具体的な配分対象、方法等の詳細については、今後、財政当局との折衝を経て決定する予定です。
また、僻地に居住する高校生については、居住地域に近い試験会場を設置し、可能な限りアクセスしやすくすることが重要と考えています。
文科省としては、今後、各試験団体の会場設置に関する取組状況をきめ細かく聴取し、会場設置の充実に向け必要な対応を図ってまいりたいと思います。
○城井委員
そうすると、僻地の場合、例えば先ほど例に出した稚内から札幌へというケースの場合は、こうした補助からは外れるという認識でよろしいですか。
○萩生田国務大臣
現状では、そういった支援メニューを今のところ用意していません。
○城井委員
そうした離島以外だと、特に僻地の場合ですとその不公平は残るということを大臣から今御答弁いただきました。
さて、大臣は、二回選んで受けてもらえればという発言をされましたが、それがかなわない受験生に思いが至っていません。
経済的事情により一回しか受けられない人も出てきます。
受験料のみならず、交通費や宿泊費も考慮せねばなりません。
公平性を期すのであれば、誰でも一回しか受験ができないようにするのか、あるいは、二回の受験機会は家庭の経済状況にかかわらず政府が保証するか。
こうした公平性の担保が必須だと考えますが、大臣、いかがしますか。
○萩生田国務大臣
英語資格検定試験の受験に係る地域経済格差の懸念が示されていることから、文科省としては、受験生の居住地に近い試験会場を可能な限り設置するため、試験団体に対して、需要に応じた試験会場の設置を求めるとともに、大学や地方公共団体に対し、会場設置の協力を要請する通知を発出したところです。
特に国立大学に対しては、会場設置や使用料金の減免、減額、免除など、協力を要請しています。
経済的に困難な受験生については、これまで試験団体に対し、検定料の減額を要請してまいりましたが、昨日、文章で、全ての試験団体に対し、改めて検定料の低減に努めていただくことを求めるとともに、とりわけ経済的に困難な受験生の検定料を決定、公表していない試験団体においては、速やかに決定、公表するよう要請したところです。
また、来年度概算要求において、離島に居住する高校生等が島外で資格検定試験を受験する際に要する交通費等の補助経費を計上するとともに、令和二年度から開始される高等教育の修学支援新制度では、低所得者世帯の子供たちに受験機会を確保するという観点から、所要額の算定に当たって、大学等の受験料を積算した給付型奨学金を設置することとしています。
さらに、試験日程の設定については各試験団体の判断により行われるものですが、参加要件においては、毎年度四月から十二月までの間に複数回の試験を実施することや、その試験に申し込んだ受験者の受験機会の確保に努めることとしております。
各試験団体においては、このことを踏まえ、需要に応じた試験日程の設定を図るものと承知をしておりますが、御懸念のようなケースが生じることについては課題だと認識をしておりまして、セーフティーネットを構築していく中で対応策を検討してまいりたいと思います。
○城井委員
今大臣がお答えになった点は、これまでも要請を続けてきている内容でありますし、この五カ月前になっても既に確定ができていない状況であります。
そこで、今の、今までと同じ答えをそうして言われても説得力が全くないというふうに言わざるを得ません。
更に続けて申し上げたいと思いますが、先ほど大臣は、給付型奨学金を受験料に充ててということをおっしゃいました。
ただ、これまでもこの件、文部科学省にも確認を続けてきておりますが、大学での学びや生活のための費用を先食いすることになるわけであります。
そもそも、そんな目的が給付型奨学金にはあったのか。
そして、給付型奨学金制度で、英語民間試験の受験料は、当初、この積算根拠にそもそも含まれていたのか。
使うことができるというふうに説明をしていますという答弁ばかりが返ってきて、では、大学生活が支障なく送れるようになるに加えて、受験料の負担もできますよという金額になっているか。
給付型奨学金の算定根拠を示してくださいということを累次にわたって文部科学省には申し上げておりますが、担当は黙り込むばかり、書類は出てこない。
政務三役に相談してお答えくださいというふうに審議官にも申し上げたんです、とても優しく。
ところが、それもきょうに至るまで答えは返ってきていないという状況です。
こんな算定根拠も説明できぬような中身で国民を説得できますか、大臣。
もう一度お答えください。
○萩生田国務大臣
城井先生が真摯に求めたにもかかわらず、今まで数字を出していなかったとすれば、それは大変恐縮だと思います。
給付型奨学金の額は、独立行政法人日本学生支援機構の学生生活調査などをもとに学生の資質の水準を総合的に勘案し、学業に専念するために必要な学生生活費を賄えるように設定しているものです。
この給付型奨学金は、定額を措置し、使途を限定しないものであり、内訳を示すことにより使途が限定されるような誤解を与えることから、費目ごとの計上額ではなく、実際の支給額のみを示しており、内訳は示さないこととしております。
このことを前提に、あえて受験料について申し上げれば、受験料として四年間で合計十三万七千円を換算しておりまして、また、英語資格検定試験の検定料は一万五千円で計算をしております。
○城井委員
英語民間試験の平均受験料は一万七千円です。
その意味では、今おっしゃった数字想定自体も低目だというふうに思いますし、何よりも、算定の根拠たる数字の想定が示されなければ、給付型奨学金の金額自体が、それが実態に見合ったものなのかどうかということを国民にすら説明することができません。
大臣、算定の根拠の想定の部分、お示しいただけませんか。
もう一度答弁をお願いします。
○萩生田国務大臣
繰り返しになりますけれども、給付型奨学金の額については、独立行政法人日本学生支援機構の学生生活調査などをもとに学生の支出の水準を総合的に勘案し、学業に専念するために必要な学生生活費を賄えるよう設定しているものであって、給付型奨学金は定額を措置し、使途を限定しないものでありますので、内訳を示すことにより使途が限定されるような誤解を与えることから、費目ごとの計上額ではなく、実際の支給額のみを示しておりまして、内訳は示さないということになっております。
○城井委員
やはり算定根拠を示していただけない。大学生活で本来用いるもののはずなのに、こうして受験の部分に先食いをしても、その部分で手当てが足りるかどうかも説明できないということが明らかになったと思います。
この問題は本当にたくさんの問題がありますが、もう一点お伺いしたいと思います。
学校現場の懸念であります。
公開会場の手配、特に高校に、自分の学校の生徒を優先すると言って実施団体が営業をかけること、こうしたことが起こっています。
ほかの学校の生徒や浪人生、そして高卒認定試験を受けた人たちなどにとっては不公平な状況でありますし、ルール違反だと考えます。
この件についても、大丈夫か、不公平が起こるぞということで文部科学省に何度も尋ねてまいりましたが、文部科学省は黙り込みました。
放置をするという方向であります。
大臣はこの不公平を放置するんですか。
お願いします。
○萩生田国務大臣
大学入試英語成績提供システムに参加する資格検定試験の申込みの受け付け及び受験生の試験会場への割当ての方法は、試験に申し込んだ受験希望者の受験機会の確保に努めることとする参加要件を踏まえ、各試験団体において決定をされるものです。
また、会場ごとの実施責任者及び各室の試験監督の責任者が所属学校の教員ではないこと、受験生の所属高等学校の教職員が採点に加わらないなどの参加要件を前提としております。
先生が早くから御指摘いただいている、いわゆる自校方式のことだと思うんですけれども、これは全く問題意識を共有します。
自校方式で、特定の例えば私立の学校が試験団体と協力をして、自分の学校で一括して試験をやるかわりにほかの生徒はそこでは受けられないということになったら、これは一会場というカウントをしないということで、このことをきちんと団体の方にも指示をさせていただいて、いずれにしましても、できるだけ多くの受験生が便利な場所で受験できる環境を整備することが重要であるというふうに考えておりますので、試験団体に対して、受験需要に応じた会場の設定をきちんと要請してまいります。少なくとも、この県の中にはこの私立校でやると言われて、その私立校の人しか受けられなかったら、それを会場だと言われても、これは全く説得力がないと思います。
また、地方公共団体や大学に関して、また、先ほどもちょっと触れましたけれども、高等学校の施設なども含めて、会場確保をこれは団体任せにしないで、文科省としてもセーフティーネットをしっかりつくっていこうということで、御指摘を踏まえて今努力をさせていただいているところです。
○城井委員
公開会場ですので、公平性や公正性を担保するのは当然だというふうに思います。
その点は当然徹底をしていただくべきであります。
もう一点、それに絡んでお伺いをと思います。
高校を借りる公開会場の場合、高校教員が試験監督責任者にはならないというふうに文部科学省から説明を私も受けました。
ただ、きょうの前半の委員会質疑のやりとりでもございましたが、高校教員が責任者ではないが試験監督をやる場合があるということでありました。
そもそも、兼業禁止であります。
その場合の賃金はどうなるのか。
教員の責任が重過ぎる上に、公平性が担保されません。
大臣答弁では、希望者にはということでございましたが、学校側からすると、生徒のためを考えると断れないというのが人情だと思います。
事実上の強制に当たるのではないでしょうか。
大臣、この高校教員が試験監督にかかわるというのは疑義があると思いますが、この点いかがお考えですか。
○萩生田国務大臣
高校入試英語成績提供システムの参加資格に関して、高校の例えば英語の教員の先生が、指導上負担が増加するようなことがあってはならないと思いますし、また、試験会場を設置したときに、例えば地元の都道府県の教育委員会や何かとよく相談をしていただいて、先ほど私、希望すればと申し上げました。
働き方改革が叫ばれている中で、確かに、先生の心情を考えると、断りづらいということもあるかもしれない。
しかし、別段、責任者は民間の方から出してもらうわけですから、運営する上で、学校になれた先生方が立ち会っていただく、その希望者がいるとすれば、そこはぜひお手伝いをしていただくことはよろしいんじゃないかと思います。
兼業の届出を出していただいて、きちんと手続を踏んでやっていただくので、やりたくない、そんな日に出てきて試験の手伝いをするつもりは全くないという先生方に対して強要するようなことがあってはならないと思いますので、そこは徹底してまいりたいと思います。
○城井委員
今大臣からお話がありましたように、この件は教員の働き方改革にもかかわってくる話であります。
その点は指摘をしておきたいと思います。
もう一点、学校を借りる場合のことについてお伺いをと思います。
よそから、外部から人が入ってくることになります。いわゆる置き勉といって、生徒の私物が教室内に置かれている場合があります。
盗難なども心配です。
この責任は学校がとるんでしょうか、それとも実施団体がとるんでしょうか。
○萩生田国務大臣
まず、会場になった時点で、そういうことのないように学校でまず管理を徹底していただいて、お借りをする団体の方できちんと対応していただくようにお願いをしていきたいと思います。
○城井委員
いかなる理由で学校が責任をとらなきゃいけないんでしょうか。
会場の確保は実施団体の責任ではありませんか。
もう一度お願いします。
○萩生田国務大臣
生徒一人一人の備品などを置いていった場合に、万が一盗難に遭ったりした場合はどうなるかということだと思いますので、それは、こういう事情で会場に提供するということを学校が決めていただいた段階で、生徒の皆さんに一時持ち帰りをお願いするような準備をきちんとしていただきたいなと思っています。
その上で、それでも何らかのトラブルがあるとすれば、それは借りる側に責任があるというふうに思っております。
○城井委員
今の御説明では学校現場の懸念は晴れないというふうに私は受けとめました。
更に質問を続けたいと思います。
これまでの問題点の一つとして、仕組みの徹底や周知などが追いついていない上に、おざなりになっているということも改めて申し上げなければなりません。
例えば、GTECで共通テストに参加する場合、共通IDの発行対象になるのはどの版が対象になるのか。
これまで文部科学省からも配付をされている共通ID案内には、この点が記載されていない。
記載漏れ、表示漏れが放置されたままであります。
指摘しました、私から。
でも、放置をされたままであります。
すぐ対応すべきであります。
大臣、お考えをお聞かせください。
○萩生田国務大臣
GTECにつきましては、大学入学共通テスト版、検定版、アセスメント版の三種類があると承知しておりますが、大学入試英語成績提供システムに参加するのは大学入学共通テスト版でございます。
受験生や高校関係者の誤解を招かないよう、今後、文科省の大学入試英語ポータルサイトや大学入試センターのホームページ等において、GTECとしてのシステム参加資格は大学入学共通テスト版に限定されることを明確に記載するなどの必要周知を図ってまいりたいと思います。
なお、私も質問の打合せの中で確認しましたけれども、城井先生が早くからこのことを御指摘いただいていたということです。
にもかかわらず、きょうの時点でまだこれが改善されていなかったのは、文科省としてまことにだらしないことだというふうにおわびを申し上げたいと思います。直ちに指示をしました。
○城井委員
文部科学省からのこの間の説明は、一生懸命頑張っている部分もありますけれども、内容に不誠実なところが相当に多いというのはとても残念な状況です。
例えば、大学入試英語成績提供システムへの参加試験の実施主体における第三者評価の受審についても、細やかに確認をしてまいりました。
文部科学省からは、GTECは受審中だとの説明でございましたけれども、文部科学省からいただいた最新の資料では、GTECは受審を検討中となっています。
つまり、まだ受けていないんです。
それではお手盛りになります。
第三者評価を受けていないような試験は信用できません。
そもそも、参加要件を満たしているとは言いがたいと考えます。
大臣、いかがですか。
〔委員長退席、馳委員長代理着席〕
○萩生田国務大臣
これも同様で、城井先生から早くから御指摘をいただいていたようでございますが、GTECについては、現在、第三者評価を受審中であると聞いております。
ポータルサイトが直っていないわけでありまして、直ちに指示をさせていただいたところです。
○城井委員
このような状況で受験生に選べ、判断しろというのは相当に困難だということを改めて申し上げたいと思います。
もう一つ、受験生に負担をかけている件を質問します。
英検二〇二〇ワンデーSCBTというテストがあります。
英検が予約金三千円とともに場所確保に奔走しているという試験であります。
この一部が返金されるという仕組みが導入されることになりましたが、予約を解消した場合に返金されても、これは今の仕組みですと問題解決とはなりません。
予約の返金時期と実際に受験生が志望校や受験科目を確定する時期とがずれている問題が解決されていないからであります。
受験生の進路選択に合わせ、幅広に返金期間を設定すべきだと早くから文部科学省には訴えてきました。
それは受験が近づいた直前の時期まで含めてだということを申し上げてまいりましたが、結局、一カ月延ばしただけです、大臣。
こんなことでいいんでしょうか。御見解をお願いします。
○萩生田国務大臣
英検協会に対しては、これまで、英検SCBTの予約申込み期間や返金受け付け期間の延長を要請してきたところですが、十月七日に、予約申込み受け付け終了日を十一月十一日まで延長するとともに、返金申込み受け付け期間を十一月五日から十一日までとする旨を公表したことは承知をしています。
予約申込みは会場確保の取組の一環であることを考慮しつつ、英検協会に対しては、例えば現高校三年生への対応なども含めて、引き続き要請をしてまいりたいと思います。
○城井委員
実施団体などへの要請では、要請内容に従った形で改善が進んでいないというとても残念な状況だということを、大臣、ここまでの質疑でぜひお感じいただきたいと思うんです。
これまで、さまざまな問題、実害をたくさん指摘してまいりました。
きょうは、通告でもたくさんの問題をほかにも指摘しておりましたけれども、お時間の関係で私からはここまでとしたいと思います。
後ほど、同僚議員に譲りたいというふうに思います。
受験生のためにも、こうした問題を放置したまま、民間英語試験導入を認めるわけにはいきません。
四技能導入なら、まず英語教育改革が先であります。
国の共通テストで四技能をはかれるように改善をすべきであります。
少なくとも、民間英語試験の公平性、公正性の担保は当然であります。
こうした具体的な改善を図っていくためにも、文部科学大臣、少なくとも、今回の試験を延期を決断すべきであります。
期間がなければ今申したような改善はできません。立ちどまるべきであります。
私どもからも議員立法を提案しています。
民間英語試験導入延期法案であります。
これを与野党協力して委員長提案でぜひ成立させていきたい、このように思っておりますが、大臣が決断すれば、この大きな見直しを行うことができます。
大臣、決断をお願いできますか。
いま一度お願いします。
○萩生田国務大臣
私も、就任以来、この問題を一番重く受けとめて、さまざまな取組をしてきました。
先ほど、城井先生、採用しない方も受験をしなきゃいけないというふうに御発言されましたけれども、私の問題意識は、第一番目は、就任の九月の時点で、一体、自分が受けようと思っている大学がこの試験を採用するのかしないのか、この状態でもやもやと受験勉強を続けるのは余りにも気の毒なので、九月三十日で切って、そこでまず大学を確定しようという努力をさせていただきました。
御案内のとおり、既にポータルサイトに公表していますから、今は、自分が希望する大学がこの試験を採用するのか否か、自分が受けたい学部がこの試験の採用をするのか否かは明らかになっていますので、自分が希望する学校がこの試験を採用しないということであれば無理に受けることはないということは、改めて訂正をさせておきたいと思います。
その上で、確かに、まだ十一月一日までの間に、試験会場の公表など課題があることは私も承知しています。
今の段階で、どこで皆さんが何を聞いても完璧に大丈夫ですよという準備体制が整っていないことは、記者会見などでも正直に私は心情を露呈してきました。
ですから、この十一月一日までに、会場のこと、またそれから御指摘のあった減額やあるいはさまざまな課題解決に向けて、受験生の不安や懸念をまず一つ一つ取り除いて、そして、既に使うということで公表した学校は明確になっているわけですから、そこに向かって円滑な実施に向けて全力で取組をさせていただきたい、こう思っております。
○城井委員
これまでの努力、そして今おっしゃった内容では、受験生の不安を取り除くのには時間も手間暇も足りないというふうに考えます。
ここは延期を決断していただきたいということ、きょうはこのことを改めてお願いして、大臣の決断を待ちたいと思います。
あとは同僚議員の質問に譲りたいと思います。
残りの時間で、二問ほどさせていただきたいと思います。
一つは、海外の日本人学校及び日本語補習校への支援のあり方について、文部科学副大臣にお伺いしたいと思います。
先日、衆議院の委員派遣で、日本人学校あるいは補習校を拝見してまいりました。
現場からの声です。義務教育段階なのに、高額な授業料を支払わないと我が国の学習指導要領に基づいた教育にアクセスできない。
こうした現状を変えるべきだというふうに考えます。
離島、僻地同様に、教育へのイコールアクセスを保障すべきだと考えます。
副大臣、大臣にぜひ提案いただいて、この件、実現いただきたいと思いますが、お答えをお願いします。
○亀岡副大臣
質問ありがとうございます。
城井先生には、視察のとき大変お世話になりまして、ありがとうございました。
まさに、各国で日本人学校の状況を聞かせていただきながら問題意識を共通させていただいたこと、しっかりと覚えております。
さらに、今お話しになったように、憲法二十六条で、海外にいるから同等の権利が得られないというのは大変なことになりますので、これはしっかりと、帰ってきて、対応しなきゃいかぬということで考えさせていただきました。
これは、御存じのとおり、文科省ではできる限り、教師の派遣や、教科書なんかも無料配付しておりますし、外務省もしっかり、現地採用教員や講師の給与、校舎の賃借料及び安全対策には補助金を出していることは確認できましたが、それぞれの国の規模によって大分対応が違っているということがよくわかりました。
この格差を解消すべく、できる限り今やっていこうということで、在外教育施設の戦略的な教育機能の強化のための予算取りを、令和二年、しっかりとっていこうということで、今やらせていただいています。
特に、今回は、百八十三億の上乗せをしながら三十七人の派遣教員をふやそうということで、千二百九十九人から千三百三十六人に拡充するための予算と、さらには、義務教育段階の子供に対して教科書無料配付は続けるということも含め、さらには、今お話がありましたけれども、コンピューター等の整備に関してしっかりと補助をしながら対応する、そして、在外教育施設をグローバル人材育成拠点と位置づけて、新たな学習キノウヨウコウを見据えた探求的学習や、日本語指導プログラムをカイハスル含めて、その予算取りをしっかりとるということで決めておりますので、これはしっかりと、ともに問題意識を持ちながらこの共有をさせていただきたいと思いますし、一番大事な憲法二十六条、やはり、日本人は同じ、平等に受ける教育の権利を持っておりますので、たとえ海外にいてもしっかりと平等に受けられるように我々がこれをしっかりと整備していかなければいけないということで、来年度からしっかりとこれに対応するための予算取りを今やっておりますので、これは確実にやらせていただきたいと思います。
よろしくお願いします。
○城井委員
状況を注視したいと思います。
最後に、オリパラ大臣、お待たせをいたしました。
一問だけ聞かせてください。
二〇二〇東京オリンピックのマラソン競技の会場変更の報道が出てきております。
移転費用を心配しております。
幾らかかるか、誰が負担するか、東京都は負担するのか、お答えください。
○橋本国務大臣
今まさに、きょうの十六時からなんですけれども、調整委員会が三日間にわたって開催をされます。
そこで、IOC、東京都、組織委員会が議論を重ねて、どのような予算の配分をしていくかということが議論されるんだろうというふうに承知をしておりますので、その点について、しっかりと政府として注視をしていきたいというふうに思っております。
その中で、大枠合意というのが、二十九年、二年前の五月に決定をされております。
その中には、東京都以外の開催自治体における競技会場の仮設整備や大会関係者の輸送など大会の運営にかかわる費用については、大会組織委員会、そして東京都、国及び開催自治体の四者で取り決めた大枠合意、これが東京都若しくは組織委員会において負担をするということになっておりますので、この点を踏まえて調整委員会の中で議論を重ねていただいて、その決定に基づいて、政府として寄り添う形で、東京大会の成功に向けて尽力をしていくということでやっていきたいと思っております。
○城井委員
終わります。
ありがとうございました。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区