文化や文化財の活用が優先されすぎ、保存がおろそかにならぬように
2020年3月24日 衆議院文部科学委員会
(文化観光拠点を中核とした文化観光推進法案)
(文化観光推進法案関連:文化財の保存について)
○城井委員
さて、文化観光推進法案関連について順次お伺いしたいと思います。
まず、文化財の保存について文部科学大臣に伺います。
本来、文化及び文化財の保存と活用は、文化財保護行政の中心であり、文化財の次世代への継承には欠かせないものです。
従前は保存を優先する支援を国は行ってきましたが、近年は、観光振興等を通じた地方創生や地域経済の活性化の方策として活用を推進する動きが強まってきました。
こうした経済的な動機のもと、活用が優先され、保存がおろそかになるのではないかとの懸念があります。活用方針のもとでの保存の徹底をいかにするか、文部科学大臣の見解をお願いします。
○萩生田国務大臣
文化財を次世代に継承するためには、文化財の本来の価値や大切さを多くの人々に伝えるための文化財の活用が重要となりますが、その活用を行うに当たっては、文化財を良好な状態に保てるよう、先生御指摘のように、適切に保存していくことが極めて重要です。
このように、文化財の保存と活用は、ともに文化財の保護には重要な柱であり、本法案に基づく文化観光の推進により、更に保存と活用のサイクルをしっかり回していくことが大事だと思っています。
文化財の保存に関しては、文部科学省において、文化財保護法に基づく文化財の指定や現状変更規制などの保護措置等を講じるほか、文化財の適切な周期での修理や防災対策に要する経費の支援を行い、文化財の保存が着実になされるように取り組んでいるところです。
引き続き、文化財の活用に当たっても、その基盤となる保存が着実に行われ、次世代に確実に継承されていくようしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
(文化観光推進法案関連:文化観光推進の目標と本法律案の効果について)
○城井委員
続きまして、文化観光推進の目標と本法律案の効果についてお伺いします。
まず、新型コロナウイルスの感染拡大によって、外国人旅客等の来訪目標数などの基本的な目標が既に崩れております。
政府として、議論の上で再設定すべきではないかと考えます。
大臣、見解をお願いします。
○萩生田国務大臣
訪日外国人旅行者数は御指摘のとおり減少しており、本年2月には対前年同月比マイナス58.3%の108.5万人となったところです。
これは、新型コロナウイルスの影響で、日本向けに限らず、世界じゅうでの旅行控えにより、全世界的に旅行が抑制されているところ等と承知しております。
訪日外国人旅行者数の目標については、明日の日本を支える観光ビジョンにおいて、2020年に4,000万人、2030年に6,000万人等と掲げ、政府全体でこれまでさまざまな取組を行ってきたと
ころです。
現在のような状況の中においても、まずは感染防止対策をしっかりと行った上で、状況が落ちつき次第、一日でも早く国内外から観光客に日本各地を訪れていただくべく、政府として掲げているこの目標に向かって、本法案に基づき、しっかりと文化観光を推進していくことが重要と考えております。
○城井委員
東日本大震災のときよりも広い範囲で損失被害が広がっているという点は、ぜひ大臣とも共有したいと思います。
続いて、拠点計画及び地域計画の認定を受けることにより、各計画に係る運送事業者が行う共通乗車船券、鉄道事業法、道路運送法、海上運送法等の認可、届出手続が緩和をされますが、観光旅客の移動の利便の増進にどの程度効果があると見込んでいますか。
ウイルス感染拡大によって、もともとの想定は崩れています。新型コロナウイルスの終息前の現段階、終息後の段階、それぞれどうか、大臣、お答えください。
○萩生田国務大臣
文化観光の推進に当たっては、文化観光拠点施設の機能強化とともに、交通アクセス向上をすることにより、外国人観光客に限らず、日本人も含めた国内外からの観光旅客が来訪し、さらには地域内を回遊しやすくなることが重要であります。
このため、御指摘の共通乗車船券などを含め、国内外からの観光旅客の移動の利便の増進などを拠点計画や地域計画に盛り込むことによって、この法律に規定することとし、盛り込んだ際には、事業者の手続が簡素化される特例について規定を設けることとしております。
御指摘のように、今回のコロナウイルスの影響で、率直に申し上げて、現実の外国人観光客は減少傾向にあることは否めません。
それはもう、認識は先生と共有したいと思います。
しかしながら、このコロナとの戦いが始まったばかりに早々に見込みを低目に見直すというのも、せっかくこの法案を御審議いただく上では、私はちょっと残念な気持ちがございますので、現実は捉えながらも、しっかり好循環を生んでいけるように努力をしたいと思います。
ちなみに、2030年に6,000万人とする目標を掲げており、2030年においても訪日外国人が文化施設を訪れる割合を三割に保つためには、文化施設においても現在の二倍程度まで国外からの来訪者を増加する必要があります。
このため、認定を受けた計画において、国外からの来訪者を十年で二倍以上にふやすことができるように本法案に基づき支援を行うとともに、これらを好事例として他の文化施設においてもインバウンド対応の取組を促進し、政府目標に貢献をしていきたいと思っております。
○城井委員
大臣、大事なのは、今回の損失や被害を過小評価しないことだと思っています。
過小評価をすると、その後の終息後の支援が小さくなってしまいます。
やはり、厳しいものは厳しいということをきちんと受けとめた上で、そこからいかに皆で力を合わせて回復していくかということについては相応の支援が必要だと考えますので、この点は数字を真っすぐに見ていただきたいということをお願いしたいと思います。
続きまして、国土交通大臣政務官にお伺いします。
手続緩和措置のうち、共通乗車船券については、既に外国人観光旅客の来訪の促進等による国際観光の振興に関する法律第六条等において同様の仕組みが運用されている旨、三月十七日の私の本会議質問で指摘をしました。
国土交通大臣の答弁では、この既存の法律の成果について言及がありませんでした。
どの程度役に立ち、何が足りないので今回の措置の提案に至ったのか、国土交通省から具体的にお答えいただけますか。
○和田大臣政務官
お答えをいたします。
ただいまお尋ねのありました国際観光振興法は、外国語による情報提供等の公共交通機関の受入れ環境の改善を行うとともに、共通乗車船券に係る手続を緩和し、共通乗車船券の造成を促すなどにより、交通アクセスの利便性の改善等を通じて外国人観光旅客の来訪促進を総合的に行うものです。
これらの措置によるものも含め、これまでの官民一体、政府一丸となった観光施策の推進により、我が国を来訪する外国人観光客の増加等に寄与したものと考えております。
一方で、本法案では、内外の観光客を呼び込む文化観光の推進に地域の関係者が一体となって総合的に取り組む枠組みを整備することとしており、具体的には、文化観光拠点施設の機能強化とともに、文化観光拠点施設への交通アクセスの改善についても拠点計画や地域計画に盛り込むことが
きることにしております。
これによりまして、文化観光拠点施設への交通アクセスを当該施設を中心とした地域の関係者が一体となって改善することにより、外国人観光旅客に限らず日本人も含めた国内外からの観光旅客の来訪促進を行うことが可能になります。
したがいまして、共通乗車船券については、国際観光振興法では外国人観光客を対象とする手続の緩和が措置されておりますが、本法案では、文化観光拠点施設への交通アクセスの改善を図る場合には、日本人も含めた内外の観光客を対象とする手続の緩和が措置されることになります。
○城井委員
ありがとうございました。
大臣政務官はこちらで御退席、大丈夫です。
ありがとうございました。
(文化観光推進法案関連:地域計画の認定の効果について)
○城井委員
続きまして、地域計画の認定の効果について、文部科学大臣に伺います。
認定の効果として、市町村又は都道府県による文化財の登録の提案が可能となりますが、当該文化財及び地域の知名度の向上や魅力の増進にどのような効果があると見込んでいるか、大臣、お答えください。
○萩生田国務大臣
文化財の登録の提案により、御指摘のような文化財の魅力の発信や当該文化財の知名度の向上に伴って来訪者の関心が高まり、さらには理解の向上につながることが考えられます。
具体的には、国により登録文化財として登録されることや登録の提案のために行われる専門的な調査によって当該文化財がどのような価値を有するかが明確となり、来訪者の関心を高めるとともに、その価値をホームページ等で効果的に伝えることなど、文化資源の魅力を発信しやすくなると期待をしております。
○城井委員
平成31年4月施行の改正文化財保護法第183条の5におきまして同様の仕組みが運用されておりますが、この既存の仕組みの成果の検証をどのように行ったのでしょうか。
どんなふうに役に立って、何が足りないので今回の政策提案に至ったのか、大臣、具体的にお願いします。
○萩生田国務大臣
お答えします。
御指摘のとおり、昨年4月から施行された文化財保護法第183条の5において、文化財の調査等により把握された未指定の文化財について、速やかな保護措置を図り、当該市町村の主体的な取組を促すため、市町村の教育委員会が、文化財保存活用地域計画の認定を受けた場合に、区域内の文化財については登録文化財への登録の提案ができることとしています。
平成31年4月に法改正が施行されて以降、これまでに9つの市町において文化財保存活用地域計画が国の認定を受けており、この仕組みを活用して登録の提案を検討している団体もあるところです。
本法案においては、文化観光拠点施設を中核とした文化観光を推進する観点から、価値が把握された文化財について登録文化財への登録の提案を可能とするものであり、改正文化財保護法を補完し、さらなる文化財の活用を促すことで、文化財の魅力の発信や来訪者の当該文化財の価値に対する理解の向上につながると考えております。
(文化観光推進法案関連:本法案成立後のスケジュールと予算執行見込みについて)
○城井委員
続きまして、本法案成立後のスケジュールと予算執行見込みについてお伺いをいたします。
萩生田大臣は、3月17日の衆議院本会議において、本法案成立後、速やかに基本方針を策定し、6月下旬ごろまでに拠点計画や地域計画の認定を行いと答弁をし、大会期間中にも間に合うように速やかに、また、今後の継続的な取組としても推進していただくことを考えている旨を答弁されました。
各計画の認定後の予算執行時期のめどはいつでしょうか。
認定された自治体はいつの段階で予算計上する想定なのか。地方議会などでの審議も必要かと思いますが、大臣、具体的な時期をお示しいただけますか。
○萩生田国務大臣
本法案が成立した暁には、6月下旬ごろまでに拠点計画や地域計画の認定を行う予定としております。
速やかに予算執行が可能となるように、迅速な手続に努めます。
自治体においては、認定を受けた場合には、必要に応じて年度途中の補正予算の計上などにより予算の執行ができるように体制を整えていただくことを想定しております。
○城井委員
ここで本当は、7月24日に間に合いますかと大臣に聞きたかったんですが、ここ数日のもろもろの報道で、どうやら東京オリンピックは延期で調整が始まったという認識でおります。
延期後の東京オリンピック、早ければ、一番最短の延期で秋ということになると思いますが、この延期には間に合うという想定か、確認したいと思います。
○萩生田国務大臣
まず、東京オリンピックは延期をするということを決めたわけではございませんが、御指摘のように、延期も視野に、この四週間、IOC、また組織委員会、東京都、関係省庁と連携をとりながら、あり方を模索していかなきゃいけないのは事実だと思います。
その上で、今回のこの法律は、もともとオリンピックが延期をすることなどを想定しておりませんので、7月24日、大会期間中にも間に合うようにという答弁を今までもしてまいりました。
開幕までの取組ももちろん大事なんですけれども、言うならば、パラリンピックが終わるまでの期間、秋ぐらいまでの期間にしっかりと、来訪者の皆さんが、仮に期間どおりにオリンピック、パラリンピックが開催されたとすれば、それに間に合うようにお披露目ができるようにしていこうというのが我々の思いでございましたので、本法案が成立した暁には、今申し上げましたように、速やかに基本方針を策定し、六月下旬ごろまでに拠点計画や地域計画の認定を行うことと考えておりますので、オリンピックが延期をするか否かは別として、オリンピック、パラリンピックの開会期間中にぜひスタートしたいと思っております。
○城井委員
くぎを刺しておきたいと思いますが、オリンピック・パラリンピックイヤーを契機にと言ったのは政府でありますので、そこを大会期間中にもというふうに言いかえられると、じゃ何の契機なんだよということになりますので、言葉には気をつけていただきたいということを御指摘申し上げたいと思います。
(文化観光推進法案関連:国による援助について)
○城井委員
続きまして、国による援助についてお伺いします。
本法案においては、認定を受けた拠点計画、地域計画に基づき実施される事業に対する財政支援も行うこととしています。
その法的根拠は、本法案十八条の「必要な助言その他の援助を行う」にある「その他の援助」という認識でよろしいか、大臣、お答えください。
○萩生田国務大臣
認定を受けた拠点計画、地域計画に基づき実施される事業に対する財政支援につきましては、御指摘のとおり、本法律案の第十八条第一項に規定した「その他の援助」を根拠として実施することとしております。
○城井委員
だとすると、なぜ「その他の援助」という書きぶりで、財政的支援を法律に何で明記していないのか、明記しない程度に文化観光の振興は優先順位が低いのではないかと邪推をしてしまいますが、大臣、この点いかがですか。
○萩生田国務大臣
本法案は、地域における文化観光を推進するため、文化施設を中核として地域の関係者が連携する仕組みづくりを行うものであり、文化資源の魅力の向上や交通アクセスの向上等に係る法律上の特例措置を講ずることに加えて、予算上の措置等も含めた総合的な支援を行うものです。このため、御指摘の18条第1項に規定した「その他の援助」を根拠として、博物館等を中核とした文化クラスター推進事業を通じた支援をしっかりと行ってまいります。
したがって、文化観光の推進の優先順位が低いということでは決してなく、本法案による総合的な支援のもとで、地域における文化観光を推進してまいりたいと思います。
(文化観光推進法案関連:認定されない地域や施設などへの支援について)
○城井委員
続きまして、認定されない地域や施設などへの支援についてお伺いしたいと思います。
3月17日の衆議院本会議の質問で、私は、博物館及び博物館類似施設だけでも全国に5,744施設もあり、25件の計画への支援では支援が届かない施設が相当数に上ることが想定されることを指摘した上で、認定されない地域や施設などへの取組についてただしたところ、大臣からは、4月から文化庁に組織される文化観光担当の参事官において個別の相談対応や支援を行う旨答弁がありました。
具体的な体制を確認したいと思います。
担当参事官は何名で、幾らの予算を扱うのか、どのくらいの数の施設支援を行う想定なのか、大臣、具体的に教えてください。
○萩生田国務大臣
博物館等の文化観光拠点施設を中核とした地域の文化観光を推進するため、令和2年4月に、文化庁に文化観光担当の参事官の機構を新設するとともに、参事官を含む12名の定員配置を予定しております。
また、文化観光担当の参事官において所掌する事業のうち、地域の博物館等に対する支援として、博物館クラスター推進事業約15億円のほか、学芸員等の人材養成として約6,000万円、博物館に関する調査研究費用として約3,000万円等の事業を担当する予定です。
こうした予算支援のほか、先進的な取組に関する事例集作成やシンポジウムの開催等による情報提供、個別の相談対応など、国内各地の多様な文化施設等に対して行ってまいりたいと思います。
○城井委員
12名の配置、思ったより数が多かったのでちょっと安心をしました。
15億と6,000千万と3,000千万という数字を今メモいたしましたが、大臣、これでどのぐらいの数の施設にこの支援が届きますでしょうか。
先ほど申した5,744施設が支援対象でございますが、どこまで届きますか。
○萩生田国務大臣
公立の博物館は、さまざまな活動を通じて地域における教育、学術、文化の発展に寄与しており、その役割は極めて大きいと認識しております。
文科省では、地域の博物館等に対し、今回の法案を通じた支援に加え、地域と共働した博物館創造活動支援事業などを通じた支援を既に行っているところです。
また、昨年、文化審議会に博物館部会を新設して博物館の総合的な施策の検討に着手しており、公立博物館に関する振興方策に関する検討を進めてまいりたいと思います。
一館当たり幾らになるかというのは、ちょっと計算すると小さな数字になってしまうので、もう少し全体的に必要な応援をしっかりしていくということを、これを機会にキックオフを更にしてまいりたいと思います。
○城井委員
今の大臣のお答えは実は次の質問の答えでして、更問いのつもりで伺っておりました。
今大臣からお答えいただきましたように、公立博物館の支援も確かに重要なんです。
この5,744施設の中でも、特に公立の施設の部分では社会教育施設としての中核的な機能を担ってまいりましたし、今回の法律によって文化観光拠点施設の担い手ともなり得ます。
一館当たりの公費は、1993年をピークに減少の一途であります。資料購入や調査に充てられる予算が十分でない博物館が過半数に上るとの調査結果も文化庁の委託事業で御丁寧にもお示しをいただいておりまして、その意味で、公立博物館の財政的支援は拡充されるべきだというふうに思っております。
大臣、一館当たりのところはお答えしにくいと思いますが、今申したように、地域の公立の博物館は特に社会教育機能も担っているという部分で、ここが支えられないと、実際に文化拠点だけではなくて社会教育も担えないという点が大変重要だというふうに思っておりますので、ここは支えるぞということを一言言っていただけますか。
○萩生田国務大臣
必ずしも全ての施設が観光資源になるわけではないと思います。
しかしながら、社会教育施設としての博物館機能も極めて重要だと思っています。
つくるときには、どこの自治体も希望に胸を膨らませて、一生懸命展示物なんかを考えるんですけれども、でき上がってしまうと、なかなかその展示を変えていくきっかけもなかったり、予算もなかったりして陳腐化して、一度来れば後はいいやというふうに市民の皆さんも思ってしまうような、ある意味ではそういう施設が多く点在しているのも事実だと思います。
今回の法律の趣旨とは若干違いますけれども、やはりこの機会にそういうものをしっかりブラッシュアップして、人の回遊性が起こるようなことを仕掛けていくことが今回の法律を皆さんにお認めいただく大きなきっかけだと私は思っておりますので、しっかり支援をしていきたい、この気持ちは表明したいと思います。
○城井委員
ぜひ、従前にも増してよろしくお願いしたいと思います。
(文化観光推進法案関連:無形の文化的所産の運営支援の必要性について)
○城井委員
続きまして、無形の文化的所産の運営支援の必要についてお伺いしたいと思います。
3月17日の衆議院本会議質問で、私から、施設展示等になじみにくい無形の文化的所産に対する支援を聞いたところ、祭りや伝統芸能等も文化資源に含まれるとしましたが、祭りの伝承館や伝統芸能の保存館などにおいて、関連資料や映像記録等の保存、公開や、歴史的、文化的な意義等も含めた解説、紹介を行うような取組に対して支援を行う旨、大臣から答弁がありました。
つまり、やはり施設整備が関係しなければ支援が届かないのではないか。祭りや伝統芸能の保存、継承で何に困っているかといえば、活動紹介の施設ではありません。
祭りや伝統芸能そのものの運営経費や、そこで用いる山車や太鼓や衣装といった準備経費です。地域に根差した大きなお祭りも、今やアルバイトでその担い手を確保している現状であります。
無形の文化的所産としての祭りや伝統芸能を支える意味でも、今回の計画による予算措置には祭りや伝統芸能の準備、運営経費もその使途として認めるべきです。
大臣、お認めいただけますか。
○萩生田国務大臣
博物館等を中核とした文化クラスター推進事業を通じて祭りや伝統芸能などの無形の文化的所産を支援していく際には、それに関する資料や映像記録の保存、公開、また解説、紹介の作成やワークショップなどの体験活動などへの支援を行うことを想定しています。
特に、地域の伝承館等において、祭りの開催時期に合わせた企画展や地域の歴史と祭りと地場産品を結びつけたイベントの開催など、祭りや伝統芸能を生かした地域のにぎわいに係る取組を支援することが必要です。
また、文化庁の地域文化遺産を活用した事業では、地域の民俗芸能を一堂に公開する大会の開催、伝統工芸技術などの公開や普及のためのシンポジウムなど、地域に古くから継承されている地域固有の文化遺産を活用した取組を支援しています。
なお、文化財保護法に基づき、祭りや伝統芸能のうち重要無形民俗文化財に指定されたものは、その伝承、活用を図るため、祭り等に用いられる用具の修理、新調、伝承者養成等への補助を行っているほか、未指定の無形民俗文化財についても、伝統文化の継承基盤を整備する観点から、用具の修理、新調への補助等を実施しているところでございます。
○城井委員
時間が参りましたので終わります。
ありがとうございました。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区