立憲民主党の消費税負担軽減策の三段階、まずは1人2万円の「食卓おうえん給付金」、つぎに「食料品消費税ゼロ%」、そして「給付つき税額控除」 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)
2025年6月6日衆議院予算委員会
○城井委員
続きまして、物価高対策について伺いたいと思います。
いまだに続く物価高への追加の対応が必要です。
私たち立憲民主党からは、物価高対策を政策のパッケージにして既に提案をしています。
資料とパネルを御覧ください。
これを踏まえて総理に順次伺っていきたいと思います。
まず、政府・与党の対応であります。
6月3日の産経新聞のネット記事によりますと、自民党の森山幹事長、公明党の西田幹事長は、3日、東京都内で会談し、物価高に対応する追加経済対策をめぐり、2024年度の税収増加分などを財源として国民への還元策を検討することで合意した、還元策には給付も含まれる、追加経済対策は夏の参院選前に取りまとめ、自公の共通公約に反映させる、財源の裏づけとなる25年度補正予算案は秋の臨時国会への提出を念頭に置いていると報じられています。
総理、これは事実でしょうか。
○石破内閣総理大臣
そういうような報道があることは承知をいたしております。
新聞のネット記事の報道に一々論評はいたしません。
そういうこともあったかもしれませんし、なかったのかもしれません。
それは本当ですかと言われると、済みません、確認をしておりませんという答弁に相なります。
○城井委員
せっかく質問通告しているので、事実かどうかだけははっきり言っていただきたい。報道は承知ということでございました。
ただ、総理、このタイミングで秋の補正予算なんといいますと、夏の参議院選挙があるものですから、何かニンジンをぶら下げているようなことになっては本意ではないんじゃないかと思うわけであります。
やはりそういう勘ぐりが出てしまいます。
国民の皆さんはそんなに甘くないというふうに思います。
その上で、もし仮に秋の補正予算だとしたときに、この追加対策は遅いと言わざるを得ないというふうに思っています。
なぜなら、春以降に追加の物価高対策が行われなかったということを現在も懐厳しく苦しい生活が続く国民の皆さんが実感をしているからであります。
私たち立憲民主党から提案している物価高対策、特に消費税の負担軽減策、三段ロケットで準備しましたので、これを政府においても速やかに実行すべきだということを申し上げたいと思います。
この立憲民主党の消費税負担軽減策の三段階、まずは、目の前の物価高対応ということで、食卓応援給付金と名づけましたが、お一人当たり2万円の給付を準備をしました。
食料品の消費税負担の半年分に当たる金額という計算であります。
お米代の負担軽減にもつながるものと期待しています。
必要額は2.5兆円、財源もめどを立てました。
予備費や未使用の政府基金、そして所得税の増収分も活用します。
単なるばらまきにならないように、給付金は課税対象にして、所得が高い方には応分の負担をお願いする設計です。
総理、この場で、まず、短期の物価高対策として、お一人当たり2万円の給付、決断してください。
お願いします。
○石破内閣総理大臣
私どもとして、賃上げというものを一生懸命、皆さん方と一緒に、あるいは働く皆さん方と一緒に、経営者の皆さん方と一緒に一生懸命努力をしてまいりました。
昨年が33年ぶりの賃上げでございました。今年も大方出そろいつつありますが、昨年を上回る賃金上昇というものが実現しつつあると思っております。
これは政府の手柄だと誇るつもりもございません。
皆さん方の努力のたまものだと思っております。
賃上げが着実に実施されつつある。
それを上回る物価上昇があってはならぬ。
物価上昇を上回る賃金上昇ということでございますが、政府といたしまして、これは、御審議をいただきました6年度補正予算あるいは7年度予算、これはまだ6月でございますので、それを着実に実行するということをしていかなければなりません。
お一人2万円から4万円の所得税減税、世帯当たり3万円、お子さん一人当たり2万円を加算する低所得者世帯向けの給付金、住宅税非課税世帯以外の方も対象とする給付金、学校給食の無償化などが実施できる重点支援地方交付金、一定期間の育休給付の手取り、これまで8割でしたが10割にしましょうということを執行しておるわけでございます。
何もしていないじゃないか、そのようなことはございません。
御審議いただいた補正予算、そして本予算にこういうものは含んでおり、我々はそれを実行しておるところでございます。
(発言する者あり)
○安住委員長
静粛に。
○石破内閣総理大臣
そして、政府備蓄米の売渡し、先ほど来の質疑でもございました。確実にお米の値段が下がってくるという実感を持っていただく。
そして、リッター当たり10円、ガソリン等の価格の引下げも実施をしておるところです。
これは、ガソリンスタンドに行かれる方々が、下がったねということを実感していただいているものだというふうに思っておりますし、5月の27日に予備費の使用を決定いたしまして、米国関税措置を受けた緊急対応パッケージの一環でございますが、7月から9月の電気、ガス代について、標準的な御家庭、③か月で3,000千円、この効果を見込んでおります。
この対象にはなりませんが、特別高圧電力、LPガス、そういうのを使用されておられます中小企業、病院なども、実情に応じて支援できるように、重点支援地方交付金0.1兆円を積み増しております。
これから執行します重点支援交付金0.2兆円と合わせまして、約0.3兆円、この対策を実施をいたしておるところでございます。
それは、やはりきちんと御認識をいただく必要があるだろう。
賛成、反対はあるけれども、国会の御質疑を経てこの予算を可決をし、そしてまた、我々は、その効果が早急に出るように今努めておるところでございます。
政府は何もしていない、そのようなことはございません。
それは、審議をいただいた国会がそういうことをお認めをいただいて、成立した予算を誠実に確実に実行しておるということでございます。
補正予算の話は本当なのかいというお話でございますが、私どもとして、今、この本予算、これをきちっと執行するということを専一に考えておるところでございます。
○城井委員
総理の答弁でここまでの取組を御説明いただきましたが、そのやっているという認識を持ちながら、持ちながらも、今までの物価高対策では足りないということを申し上げているんです。
実際に実質賃金が下がっているという厳しい状況に目を向けなきゃいけませんし、また、賃上げが物価高に負けている職場、まだまだあります。
賃金を上げないと人が集まらないから苦労して歯を食いしばって賃金を上げている職場は増えていますが、それでも追いついてない。
だから当面の目の前の対応が必要なんだということで、私ども、腹をくくって、今回の2万円給付、ここは目の前やるべしということを申し上げているということを是非理解いただきたいということは申し上げておきたいと思います。
(発言する者あり)
○安住委員長
御静粛に。
○城井委員
さて、立憲民主党では、この消費税の負担軽減策の二弾目として、この2万円給付の後に食料品消費税をゼロ%にする提案をしています。
原則1年間、経済状況を見ながら延長するかを判断する仕組みです。
制度変更に伴うレジ改修の補助も行う前提です。
必要額は5兆円です。
財源は、向こう3年間の政策実行に必要な金額を確保した上で、活用可能な積み過ぎ基金、そして、為替が乱高下する対策を想定した上でも活用可能な外為特会の余剰金、そして、役割を終えた租税特別措置の見直しなどで賄うということで準備をしました。
我々立憲民主党も、この間、憲政史上初めて行われた予算委員会での省庁別審査、また、国会議員70名規模での立憲民主党本気の歳出改革作業チームなどで、手間暇かけて政策財源を検証してきました。
短期の給付金も、そして食料品ゼロ税率も、国が新たな借金をしない、赤字国債を発行しない設計で、将来世代への責任を果たすようにしています。
責任を持って財源を示した上での時限的な食料品消費税ゼロ税率の提案です。
総理、この時限的な食料品消費税ゼロ税率の実現、是非決断いただけませんか。
○加藤国務大臣
また財源については御議論をさせていただければと思いますが。
消費税の引下げについては、従前から申し上げておりますけれども、全世代型社会保障制度を支える重要な財源として、その引下げは適当ではないと申し上げてきておりますし、また、その場合には、今お話があったレジシステムの改修等々、様々な影響が生じるため、相当の準備期間が必要だと。
また、高所得者や高額消費も含めて負担軽減されることになるため、物価高に最も切実に苦しんでいる低所得者への支援という意味では効率性に乏しいという点に留意する必要があるということ。
加えて、食料品に適用される軽減税率のみを引き下げる場合には、軽減税率が適用されるテイクアウトや総菜、弁当等の割安感が増すことから、標準税率が適用される外食の売上げに影響する可能性があるほか、農家のように、標準税率で仕入れ、軽減税率で販売される事業者におかれては、仕入れ時に支払う消費税分が変わらない一方で、売上時に受け取る消費税分が減るため、還付を受けるまでの資金繰りに影響が生じる可能性があること。
さらに、たしか御党は一定期間の間という御提案だと思いますが、一時的、短期間の税率引下げについては、先ほど申し上げた値段設定の検討やシステム改修といった影響が、引下げ時だけではなく税率を戻す際にも生じることや、引下げ前の買い控え、税率を元に戻す際の買いだめ等による経済取引への影響、こういった点にも留意をしていく必要があると考えております。
○城井委員
留意点の御指摘、ありがとうございました。
そういうところこそ勘案しながら、財政の見通しも考慮した上で、安全寄りの試算で今回の実現可能な財源も準備しているということは、付言したいというふうに思います。
実際、自民党さんの中でも、消費税の負担軽減については声が上がっているんじゃないですか。
例えば、小林鷹之元経済安保大臣、「「今不確実性が高い中で給付あるいは減税、さまざまなプローチがある。最初から「これはなしだ」と決めつけることなく、幅広く検討していけばよい」と述べ、消費減税も選択肢になり得るとの認識を示した。」と、6月4日の毎日新聞でも報じられています。
総理、財源の裏づけを準備した、期間限定です、食料品消費税ゼロ税率、物価高対策として是非やりましょうよ、総理。
総理、お答えください。
○石破内閣総理大臣
財務大臣がお答えしたとおりなのですが、例えば、システムを変えるのが一年近くかかるということがございます。
ということを私が国会で答弁をいたしましたら、一晩でできると言う方がありました。
いろいろな考え方はありますが、実際にこのシステム全体を変えていくということになりますと、半年から一年かかるというのが、そういうのを実際にやった会社から子細に聞き取りました。
それはそういうものだと承知をいたしております。
当然、法律を変えていかねばなりません。
当面の物価高に苦しむ方々に、数か月先ということでいいんだろうかということでございます。
現場の混乱をどうするのかということが一つ。
もう一つは、これは当然、委員御承知の上で聞いていらっしゃると思いますが、結局、一律に食料品ならまけましょう、ゼロにしましょうということになりますわけで、総務省の家計調査を基に計算しますと、年収が200万円未満のおうち、そういう200万円未満のおうちの食料品に関する消費税の御負担額は4万円ということでございます。
他方、年収1,500万円以上、かなりのお金持ちですね、世帯の消費税の負担額は8万3,000円ということになる。
そうすると、一律に消費税、食料品、ゼロにしますよということになりますと、むしろお金持ちの方が得してしまうということでいいんだろうか。
我々として、これからやり方はまた議論をいたしますが、本当に困っておられる方々に早く手当てができるやり方というのは何なんだろうかということでございます。
時間がかかるということ。
そしてまた、本当に困った方々に、困った世帯に十分に行き渡るというやり方は何なんだろうかということを我々は考えていかねばなりません。
そして、財源の手当ては十分できているよということ、また、短い期間なんだから、それはもうワンショットのものでもよいではないかというお話でございますが、消費税の収入というものは全額社会保障に充てることになっております。消費がなかなか伸びないねという原因の一つに、先ほど来年金の御議論もいただいておりますが、年金はどうなるんだろう、医療はどうなるんだろう、介護はどうなるんだろう、そういうような御不安が国民の皆様方にあることもまた事実でございます。
消費税を全部充てたとしても、まだ足りません。
本当にこれでいいだろうかということでございます。
私どもは、安定した財源、そして、年金の御議論もいただきましたが、どうやって年金を安定させ、医療、介護を安定させるかということについて、消費税は好きですかと聞いて好きですと言う人なんかいませんよ、私も消費税を入れるときから議論していますから。
ですけれども、これを何のために使うというお話をきちんとして、それがワンショットではない、常に安定的に社会保障の財源に充てられるという消費税の意味合いというのは、決して軽視してはならないと思っておるところでございます。
○城井委員
総理から、じゃ、こうしましょうよという話が聞けないんです。
今伺っておりました、一生懸命聞いておりましたが、やらない言い訳ばかりでして、何だか、じゃ、どうするのというところがなかなか聞けない。
高所得者については応分の負担が必要だということは、先ほどの2万円給付金の段階で私も申し上げています。
そこは目をつぶるつもりは全くない。
加えて、後ほど議論する給付つき税額控除の中では、安定した恒久財源についても私どもから示していく、こういう腹積もりであります。
ですので、そうした具体的な話をぶつけ合うためには、じゃ、政府はどうするのというところを是非示してほしいというふうに思います。
さて、この食料品消費税ゼロ税率を実行している間に、三段ロケットの三段目、給付つき税額控除の制度設計を行うということに私どもとしてはしております。
給付と消費減税で必要な人に支援を届けるこの仕組み、中低所得者にとっては単なる減税よりも恩恵が大きいというのがこの仕組みだという理解です。
所得が厳しい方ほど税金が重いなと感ずる消費税の逆進性も緩和できると考えています。
立憲民主党では、給付つき税額控除検討プロジェクトチームを結成して、6月3日に第一回会合を開催、給付の方法や所得及び資産の把握などの制度化に当たっての検討を急いでいます。
さて、この給付つき税額控除、5月21日の我が党の野田佳彦代表と石破総理との党首討論におきまして、石破総理は、給付つき税額控除について、一つの解だと思っていると述べられました。
この石破総理からの御賛同の発言に、ちょっとびっくりしました。
石破総理、この立憲民主党提案の給付つき税額控除の実現へ協力をいただけませんか。
○石破内閣総理大臣
もう一度申し上げておきますが、消費税の持つ意味合いというものはきちんと議論しましょう。
これは、売上税と言っておった、それを消費税に入れた、そのときに同時に議論をしたのは、年金制度をどう安定させるかというお話でした。
もらう額を減らすわけにもいかぬだろう、保険料を上げるわけにもいかぬだろう、しかしながら、開始年齢をどんどん遅らすわけにもいかぬだろうと。
だとすれば、年金制度の安定のためにも消費税は必要ではないかということを、野党は全部反対でした。
あのときに、平成2年の寒いときの選挙でしたが、なぜ消費税を入れなければならないのかということを訴えて、自民党の同志たちは選挙を戦いました。
私は、御党が党利党略でおっしゃっているとは思いません。
これから先どうやって社会保障を安定させるか、そのために消費税はいかにあるべきか、その中で、食料品に限ってゼロにするということがどういう意味を持つものなのかということについて、また城井議員と議論をさせていただければ大変ありがたいし、野田代表とも議論をさせていただきたいと思っております。
その上で、給付つき税額控除でございます。
私は、これは一つの解であるということはかなり前から考えておるところでございます。
ただ、そのときにおいて、実務面においてどうなのだということになりますと、非納税者の所得あるいは世帯所得、これが現行制度では把握できておりません。これをどのようにして正確に把握をするか。
あるいは金融所得も網羅的に把握できておりません。
これをどのように把握をするか。そしてまた、その場合の企業、自治体の事務負担等々をどう考えるかということでございます。
所得は低いんだけれども資産をいっぱい持っていますよね、そういうおうちもあるのでしょう。こういう場合にどう取り扱うか。
あるいは生活保護その他の低所得の支援制度との関係。
これはいつも議論になることでございますが、生活保護と給付つき税額控除をどのように整理をしていくか。それは制度の趣旨が違うものでございますが、現象面では同じようなことが表れてまいります。
この辺りの議論をきちんと整理をした上で、私は給付つき税額控除の意味を全く等閑視をしているものではございません。
これは一つの見解だということはよく承知をいたしております。
今申し上げましたような論点につきまして、いろいろな意見を交わしていただけて、解により近づけることは期待しておるところでございます。
○城井委員
消費税が社会保障の支えの一つになっているという認識は私どもも持っています。
だからこそ、財源、責任持って、期間限定であってもこれは準備せねばならぬということで、努力して準備をしてきたわけであります。
給付つき税額控除ですが、おっしゃるように所得把握など課題があります。
なかなか細かい作業です。
だからこそ政府に協力してほしい。
その方が正確なものができますから。
我々の粗い試算ではなかなか難しいところがありますから、そこは是非協力いただきたいということで申し上げているということをお伝えしたいと思います。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)