廃校の活用促進、安全に安心して活用できるよう耐震検査の支援を拡充すべき 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区) 

2024年3月22日 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会

○谷委員長
次に、城井崇君。

○城井委員
立憲民主党の城井崇です。
私からも地域再生法改正案について質問をいたします。
自見はなこ大臣、そして、あべ俊子文部科学副大臣、よろしくお願いいたします。
まず、地域住宅団地再生事業計画の新規の措置のうち、廃校の活用促進について、安全に安心して活用することができるように耐震検査の実施を促すべきだとの観点から、担当大臣と文部科学副大臣に伺います。
廃校の活用状況については、国による調査が行われています。
令和4年3月、文部科学省によって、令和3月年度公立小中学校等における廃校施設及び余裕教室の活用状況について、そして調査の結果が公表されています。
これによりますと、施設が現存している廃校の数は7,398校、そのうち、活用されているものが5,481校で74.1%、活用されていないものが1,971校で25.9%です。
この活用されていないもののうち、既に活用の用途が決まっているものが278校で3.8%、一方で、活用の用途が決まっていないものが1,424校で19.2%とのことでした。
つまり、今回の廃校活用促進のターゲットは、この1,424校であります。
そこで、伺います。
地域再生計画の認定件数を施行後5年で約100件との目標がKPIに掲げられています。
先ほど、同僚議員の質問における答弁によりますと、このうち、地域住宅団地再生事業計画の認定見込みは50件ということでありました。
では、このうち、廃校活用促進の措置を用いる計画は幾つと見込んでいますか。
大臣、お願いします。

○自見国務大臣
お答えいたします。
本法案につきましては、住宅団地再生を含む地方創生に資する官民共創のプロジェクトを位置づけた地域再生計画の認定件数を、委員もおっしゃっていただきました、施行後5年で約100件とすることをKPIとして設定しており、これも委員言っていただきましたけれども、住宅団地再生につきましては約50件を期待しているところであります。
今回の改正によりまして、地域住宅団地再生事業計画を公表した場合に適用が受けられる措置として、廃校の用途を変更する場合の高さ制限に係る特例を設けることとしておりますが、住宅団地におけます廃校の活用は、住宅団地の再生のための手段の一つでございまして、どのような方法で住宅団地の再生に取り組むかについては、各地方公共団体から地域の実情に応じて判断するものであるということから、廃校の活用をその内容に含む計画の件数についてまでは具体的には想定していないところでございます。

○城井委員
手段の一つ、想定していない、こういう話でありました。
ただ、大臣、今回の廃校の活用促進といったときに、今ほど申した1,424校のうち、さあ、幾つが活用が進むんだろうかということをやはり国民としては見るわけであります。
ところが、この100件の中での内訳が示せないということですと、目標とはとても呼べません。
また、仮に先ほどの50件全部で使われたとしても、新たな廃校利用がほんの3.51%進んだだけ、こういうことになるわけであります。
そもそも、KPIとして適切なんだろうか、100件ということが。目標と呼べるのか。
もっと活用が進むようにしていくということが必要なんじゃないか。
自治体ニーズはどうか。
もうちょっと高め設定で取組にねじを巻かなきゃいけないんじゃないですか、大臣、いかがですか。

○自見国務大臣
お答えいたします。
まず大事なことは、地方公共団体が自らのこととして、地域の実情に応じて様々御判断、検討を深めるということが非常に重要だと思ってございます。
その上で、当然ながら、廃校の活用ということは促進をしたいことの一つでございますが、あえてKPIの件数の中に内数として入れていない理由には、地方の自主性を尊重したいということがございます。

○城井委員
そもそも、廃校活用促進は文部科学省が相当気合を入れて進めてきているはずのものなんです。
その文部科学省として、現時点で把握をしている活用の用途が決まっていない廃校について、なぜ、どんな理由で活用されていないか、文部科学副大臣からまずお聞かせいただきたいと思います。

○あべ副大臣
委員にお答えさせていただきます。
文部科学省の調査によりますと、施設が現存する廃校のうち、活用の用途が決まっていないものの割合は約2割であるところでございまして、その理由といたしましては、地域の実情により様々でございますが、主に、建物の老朽化、また、地域からの要望がないことといったところが挙げられているところでございます。
文部科学省といたしましては、「みんなの廃校」プロジェクトといたしまして、廃校活用事例集の周知、また、毎年実施しているところの廃校活用推進イベントの充実などを通じまして、各自治体、事業者への情報発信、またマッチングを行っているところでもございまして、引き続き、こうした取組によりまして、廃校活用の推進に努めてまいります。

○城井委員
今の見解、大臣も同じ見解でしょうか。

○自見国務大臣
お答えいたします。
同じでございます。

○城井委員
今、文部科学副大臣からお答えいただきましたように、私が申した19%余り、約2割という中での活用の用途が決まっていない理由が、一つは老朽化、そしてもう一つは地域要望がないということであります。
これでは活用の進めようがないというふうに思うわけですが、そうした中でも活用したいと要望される方々がぶつかる壁というのがあります。
それが、現存する廃校に対する耐震検査の実施です。
また、耐震補強の実施状況、これがあるからではないかというのが今日の私からの提起であります。
既に耐震検査が実施されて、耐震補強が実施されている廃校舎の場合にはすぐに活用ができます。
そこで廃校の活用は促進されるということになります。
例えば、自見大臣の出身地、北九州市の門司区にあります門司特別支援学校跡地は、既に耐震検査が行われていたことから、跡地の活用が円滑に行われました。校舎やプール、グラウンドが活用されています。
現在では、障害者就労継続支援B型事業所に所属する障害者の方々が館内清掃やリサイクル品の仕分や、果てはシャケの養殖までプールを使ってやる、こんなふうなことになっているわけであります。
一方、同じ地域、北九州市門司区にある福岡県立門司高等学校跡地には、校舎、体育館、グラウンドなどが現存しますが、耐震検査が未実施のため、地域のスポーツクラブの練習にグラウンドが使われるのみで、校舎等への立入りはできません。
実は、先ほどの門司特別支援学校跡地でも耐震検査が終わっていない体育館がありまして、これが使うことができないという状況であります。
このように、廃校の耐震検査あるいは耐震補強が実施されていない場合には、活用に先立って、まずは耐震検査を実施して、廃校が耐震基準を満たしているか、すなわち、直ちに廃校を活用できるのか、やはり確認をする必要があります。
地域の皆さんからは、活用したいけれども耐震検査が実施されていない、費用負担を考えると活用するのが難しいという御意見であります。
先ほど示した文部科学省の調査の中でも、先ほどの老朽化あるいはそもそも地域の要望がといったときに、この中にも、耐震検査が行われていないからそもそも使えないという入口段階での壁がある、この可能性が高いというふうに思っています。
学校施設の耐震化についても、これまで国の調査が行われています。
令和4年8月の調査によりますと、学校施設の耐震化率は99.6%と非常に高くなりました。
耐震化の取組は、子供たちの安全、安心のためですから、もちろん優先的に行ってきたという状況であります。
ただ、廃校になる見込みになった場合の校舎、さて、優先順位はいかがかということであります。
耐震化は行われずに、そのまま進んでいるケースも高いのではないかというふうに考えます。
あべ文部科学副大臣に伺います。
耐震化が実施されていない校舎が570棟あるとの調査結果であります。
この耐震化が実施されていないものに廃校となる校舎はどのくらい含まれますか。

○あべ副大臣
委員にお答えさせていただきます。
御指摘の調査におきまして、耐震化が未実施の570棟のうち、廃校となる建物の数については把握していないところでございますが、各自治体が決定、公表している今後の整備内容といたしまして、統廃合等により未使用化になるが、解体するか未確定であり、ほかの施設に転用しようとする場合などを含む未使用化、括弧、統合と回答があった建物は41棟、実はございました。
なお、最新の令和5年8月の調査結果によりますと、耐震化が未実施の建物は392棟でございまして、このうち、各自治体が決定、公表している今後の整備内容として、統廃合等により未使用化にはなるけれども、解体するか未確定でございまして、ほかの施設に転用しようとする場合などを含む未使用化、括弧、統合と回答があったのは26棟でございました。
以上でございます。

○城井委員
細かにありがとうございます。
校舎の耐震化の確認もしながらということでありますが、廃校の耐震検査や耐震補強が実施されていない場合には、活用に先立って、まずは耐震検査を実施して、廃校が耐震基準を満たしているか、すぐ使えるかということをやはり確認する必要があるというふうに考えます。
ただ、この耐震検査の費用を誰が持つのかというのが問題です。
利用者が自ら負担ということになりますと、これはかなりハードルが高い。
事務方からは、耐震検査の実施費用の負担の在り方については、学校や病院、百貨店などのうち、現行の耐震規定に適合しないものの所有者に、耐震診断を行い、必要に応じて耐震改修を行うように努めることを義務づけている耐震改修促進法に基づく補助ができる可能性があるのではないかという説明もあったところであります。
そこで、大臣に伺います。
耐震検査が行われていない校舎を廃校とする場合で、校舎を解体せずにその後の活用を念頭に置いている場合、まずは地方自治体に対して耐震検査の実施を促すべきではないか。
加えて、耐震検査が実施されていない廃校舎を活用しようとする場合には、廃校を活用する者、つまり利用者が負担する耐震検査の費用に対して一定の補助をすべきだと考えます。
これは、廃校の活用促進には是非とも必要な取組です。
大臣のお考えを聞かせてください。

○自見国務大臣
お答えいたします。
地域活性化に向けた住宅団地の再生を促進する立場からも、建築物の耐震化を所管しております国土交通省や、学校施設を所管します文部科学省と連携しつつ、国土交通省の建築物に係る耐震診断に関する支援制度を紹介するなど、耐震診断の実施の促進に努め、廃校が住宅団地再生に資する施設として活用されるように後押ししてまいりたいと思ってございます。
もう少しかみ砕いて申し上げますと、廃校の耐震基準の実施者は、廃校を活用する者ではなく、地方公共団体となるところでございまして、国土交通省の支援制度として、地方公共団体が実施する耐震診断に国の3分の1の補助制度があると承知をしております。
委員のおっしゃる問題意識、受け止めております。

○城井委員
廃校の活用の促進自体はとてもいい取組だと思いますので、我々も応援したい。
でも、現場の入口でぶつかっているのがこの耐震検査の話。
校舎の持ち主が仮に自治体であったとしても、そんなに潤沢な予算がある自治体ばかりではありませんし、廃校が生まれるような状況の厳しい自治体の方が多いというふうに思います。
今ほどの他省庁のメニューの活用、後押しということも重要なところなんですが、是非、今回のこの地方再生法で、新規の措置でやりましょうということですから、ここは、真水の措置を含めて、今後、大臣としても、後押しをしていくメニュー、増やしていく決意だということは是非言っていただきたいんですが、御検討いただけませんか。

○自見国務大臣
廃校は、元々学校があったところでございますから、その地域のコミュニティーの要となっていた、そういう場所でありまして、多くの方が愛着を抱いている場所でもございます。そういった廃校が住宅団地の再生に資する施設として活用されますよう、関係省庁と連携をして、しっかりと後押ししてまいりたいと存じます。

○城井委員
この耐震検査も一つの入口での壁なんですが、そのほかに現場からの聞き取りをお聞きいただきますと、一つは、校舎の老朽化の確認のための、いわゆる打診検査ですとか、あとは、民間施設になる場合は、学校施設とは違って消防設備の追加の対応が必要です。
また、土地の用途変更なども含めて必要になってくるものですから、追加費用はかなりかかります。
この点も踏まえての後押しを是非お願いしたいということを申し上げておきたいと思います。

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)