自民党派閥の裏金、政治家はルールにのっとり納税をするべき 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2024年2月26日衆議院予算委員会

○小野寺委員長

この際、城井崇君から関連質疑の申出があります。

野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。

城井崇君。

○城井委員

立憲民主党・無所属の城井崇です。

岸田総理、よろしくお願いいたします。

早速質問に入ります。

総理、まず納税者の皆さんに一言お願いします。

○岸田内閣総理大臣

納税の時期を迎えて、まずもって、政治と金の問題をめぐって、国民の皆さんに強い懸念の思い、不信の思い、こうしたものを引き起こしていることについて、自民党として強い危機感を感じ、心からおわびを申し上げる次第であります。

その上で、税というもの、これは、社会を支える公的なサービスを皆で分かち合うものであり、国民の生活と財産を守るために必要な公的サービスを維持するものであります。

是非、法令にのっとり、申告納税について御協力いただくようお願いをさせていただく次第であります。

○城井委員

不信の思いを国民に抱かせている危機感とともに、おわびということでありました。

危機感を強く持つべきだということをまず申し上げたいと思います。

今日の私の質問は裏金問題です。

裏金の税務処理、脱税の疑いについて伺うわけですが、総理、今ネット上で、ハッシュタグ確定申告ボイコットという言葉が飛び交っています。

この言葉は御存じでしょうか。

御存じでしたら、どのように受け止めておられますか。

○岸田内閣総理大臣

御指摘のように、SNSにおいて、確定申告ボイコットというハッシュタグがつけられた投稿が多く見られるということ、私も承知をしております。

こうした事態を受けて、改めて国民の皆さんの厳しい目を強く感じているところであります。

国民の信頼回復に向けて、強い覚悟を持って臨まなければならない、これを改めて感じているところであります。

○城井委員

自民党議員による裏金や脱税の問題に対する納税者の怒りを表しているのがこの言葉です。

ハッシュタグとしてピーク時には10万件を超えてネット上で大きなうねりになりました。

また、今再燃しているというふうに思っています。

確定申告で国民が怒るのは当たり前です。

国民には適切な納税を先ほども総理は求められました。

しかし一方で、政治家だけ特別扱いだとの強い怒りも巻き起こっています。

先ほどの岡本あき子議員とのやり取りを聞いておりましても、結果的に子育ては増税、自民は脱税なのかと国民は受け止めるわけです。

今回の裏金、税金を納めるべき裏金があるのではないかと国民は疑っています。

実際に、今回の自民党派閥のいわゆる裏金には、雑所得として課税対象となる可能性があります。

仮に納税していなければ、裏金があった自民党議員は脱税している可能性があります。

総理、今回の裏金、脱税していませんか。

○岸田内閣総理大臣

政治資金については、それが政治家の関連政治団体又は政治家個人、このいずれに帰属するかによって課税関係が異なる、こうしたことでありますが、一般的に、政治家の関連政治団体が他の政治団体、すなわち派閥から政治資金を受ける行為は、法人税法上の収益事業に該当せず、法人税の課税関係は生じないと承知しています。

他方、政治家個人が受領した政治資金については、一般的に雑所得の収入として取り扱われ、収入金額から必要経費、すなわち政治活動のために支出した費用を控除した後、残金がない場合には課税関係は生じないと承知しております。

いずれにしても、政治資金について、法令等にのっとり適切に取り扱われることが必要であると認識しております。

○城井委員

おかしいですね。

実態をきちんと調べ切れていないのに、そこまでのルールの整理で本当に言えるのか。

この裏金については、2月22日の衆議院予算委員会で、鈴木財務大臣が、政治活動に使わなかった残額を個人の所得として納税を行うかは、政治責任を果たすという観点で議員が判断すべきだ、こう答弁をされました。

納税を行うかは議員が判断という話であります。

しかし、先ほどの総理がおっしゃった内容とは矛盾します。

ずれていると思います。

総理、納税を行うかは議員が判断、この財務大臣の答弁を総理も同じ見解だとおっしゃいますか。

○鈴木国務大臣

私の発言でありますので、答弁をさせていただきたいと思います。

納税するか否かは議員の判断と述べたがと。そういうことは言っていないわけでございまして、私が申し上げた意図は、所得税は申告納税制度の上に成り立っておりまして、一般国民であれ国会議員であれ、まずは納税者において自身の収入や経費を正しく計算して、所得が発生した場合には申告していただくということになります。

政治資金の場合は、例えば個人に帰属をしていれば、そこで、必要経費、すなわち政治活動に使ったものを控除して、余りがあればこれは確定申告をしなければいけない。

納税をしなければいけない。

それは、再々、先週のこちらの答弁でも答えたところでございます。

先日の発言は、政治が国民の信頼の下で成り立っていることを鑑みれば、政治責任を果たすという意味で、自ら課税関係をしっかりと確認し、法令等に乗った判断をすることで疑義を晴らしていただきたいという考えで申し上げたものであります。

○城井委員

総理、今の考え方と同じですか。

○岸田内閣総理大臣

当然、政府としての考え方であります。

○城井委員

先ほど私からは、財務大臣の答弁として、個人の所得として納税を行うかは議員が判断すべきだということ、きちんと答弁を全部引いて御紹介申し上げています。

しかし、ここは、本来でしたら、きちんと納めるべきは納めるべきだ、納税するかは議員個人の判断ではなく、納税は国民の義務だ、脱税は犯罪だ、憲法30条にある納税義務を守ってくださいと言うべきではないですか。

昨年6月に公表されました国税庁のパンフレットには、このような記述があります。

パネルを御覧ください。

脱税は犯罪、脱税者は見つかる、査察官は見つける、実はこれはパンフレットのコピーなんですが、今日はお許しをいただいてポスターも持ってきました。

実物としてこのようなポスターも作られているわけであります。

非常に重たい文言がたくさん書いてあると思います。

総理、脱税者が誰であっても、それが自民党議員であっても見つかる、査察官は見つける、自民党議員であっても見つける、そういうことでよろしいですね、総理。

○岸田内閣総理大臣

当然のことだと思います。

一般論として、国税庁は、課税上有効な各種資料あるいは情報の収集に平時から努めていると承知しておりますし、課税上問題があると認められた場合には税務調査を行うなど、適正そして公平な課税の実現に努めているものであると認識しております。

○城井委員

国税庁は、過去の職員募集のポスターでも、巨悪と戦うなんて、ドラマの中だけの話だと思っていた、あるいは、私たちは、どんな不正も見逃さない、正義官、正義官のカンは官僚の官でした、と発信しています。

文字どおり、脱税という巨悪と戦い、脱税という不正を見逃さない仕事を国税庁は果たすべきですし、岸田総理も引き続きそのように促すべきだと考えます。

さて、そもそも今回の裏金が政治資金であるならば、収入として、収入があった時点で政治資金収支報告書にきちんと書いておかなければなりません。

政治資金収支報告書に収入として書いていなかった裏金を、隠していたのがばれてから、事後報告で政治資金の収入でしたということが通じるならば、政治資金規正法による規制の意味はありません。収入は不明と書いて通用するなら、そもそも納税とは何だと国民が受け止めて当然だと考えます。

支出にしても、使っていないならば使っていないで最初から繰越欄に書いておかねばなりません。

政治資金収支報告書に支出にも繰越しにも書いていなかった裏金を、隠していたのがばれてから、事後報告で政治資金の支出あるいは繰越しでしたということが通じるならば、いわば何でもありです。

法律による規制が働きません。

パネルを御覧ください。

自民党、萩生田光一議員の政党支部の収支報告書です。

支出なども、不明、不明、不明。領収書の確認もされていないのに、修正申告を選挙管理委員会が受理してしまっています。

国税庁に確認します。

確定申告で国民が同じように領収書なしで不明と申告したら、国は認めますか、受理しますか。

国税庁、一般論で結構です、いかがでしょうか。

○星屋政府参考人

お答え申し上げます。

一般論でございますが、申告におきまして、必要経費の判断は、単に領収書等の書類の有無のみで判断するのではなく、その支出の事実の有無及び当該支出が必要経費に当たるかどうかの検討を行って判断するということでございます。

○城井委員

質問に答えていただけませんが、税務署から確認して、また自主的な見直しを依頼する、そういう取組になるんじゃないですか。国税庁、もう一回答えてください。

(発言する者あり)

○小野寺委員長

御静粛にお願いします。

○星屋政府参考人

お答え申し上げます。

一般論として申し上げますと、収入金額や所得金額の記載欄に不明と記載された申告書が提出された場合に、税務署におきまして、納税者に対して電話や文書により申告内容の確認及び自主的な申告を依頼させていただくことがあるということでございます。

○城井委員

総理にお伺いします。

確定申告で国民が同じように領収書なしで不明と申告したら、国は認めますか。

総理、お答えください。

○岸田内閣総理大臣

国税庁から答弁があったとおりだと承知しております。

○城井委員

国民の確定申告の取扱いと、先ほど御紹介したこのような不明、不明、不明といったことが受理をされるということ、ここがダブルスタンダードで運用されてしまうと、国民には厳しく、そして自民には優しいというふうに受け止めてしまう可能性があるというふうに考えています。

実際に、多くの国民の受け止めは、例えば、民間企業の従業員の方からは、政治家が裏金問題でまともな結論を出さないなら、源泉徴収をやめてもらって、納得してから自分で払うようにしたいぐらいだ、こうした声も届くわけであります。

総理、この源泉徴収をやめてほしい、納得してから税金を納めたいという声にどう応えますか。

○岸田内閣総理大臣

そういった国民の皆さんの声を深刻に受け止めなければならないと考えます。

そのためにも、政治の信頼回復、政治と金の問題について努力をしなければならない、信頼回復に努めなければならない、こういった思いを強く感じます。

○城井委員

今回の収支報告書に収入とも支出とも書いていなかった裏金は、その入手後に自民党議員個人がその存在を認識して所有していたならば、それは個人の雑所得として取り扱い、ルールにのっとった納税をすべきです。

確定申告をされた国民の皆さんからは、政治家だけ特別扱いか、脱税を許すな、きちんと調べろと、怒りの声があちこちで上がっています。

パネルを御覧ください。

毎日新聞の世論調査では、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり問題のあった自民党議員を国税当局が調査すべきか聞いたところ、調査すべきだが93%を占めました。

極めて高い数字です。

脱税を許してはなりません。

総理、今回の裏金について、きちんと調べて、脱税させず、きちんと納税するように促していただけますか。

○岸田内閣総理大臣

国税庁においては、一般論として、様々な機会を捉えて課税上必要な資料ですとか情報収集に努めて、課税上問題があるとしたならば税務調査に入るなど、公正そして適正な課税の実現に努めていると認識しています。

そして、その上で、対応を国税庁に指示するべきだという御質問でありますが、この点については、個別の事案について、税務行政の中立性を維持する観点から、内閣総理大臣であっても、あるいは財務大臣であっても、具体的に指示を行うことは控えなければならない、このように考えております。

○城井委員

きちんとした国側からの調査なくして国民の納得が得られるとはとても思えません。

今回の裏金、そもそも脱税額がどれぐらいになるかという点を御指摘したいと思います。

2月21日予算委員会の立憲民主党山岸一生議員の質問で、雑所得2,000万円を修正申告した場合に幾ら税金がかかるかとの問いに、国税庁が機械的試算として以下のように答えています。

パネルを御覧ください。

自主的に申告した場合には、納めるべき所得税額が5年間分で800万円、延滞金19万6,800円の計約819万円です。

税務調査が入った結果の修正申告、800万円に加えて、延滞税が19万6,800円、過少申告加算税80万円、合計で899万6,800円です。

さらに、仮に過少申告加算税の代わりに重加算税が課された場合、悪質な場合には、重加算税280万円、延滞税57万3,300円となり、この最悪の場合の合計は1,137万3,300円となります。パネルでは1番目と3番目のケースを示しています。

今回、これまでに明らかになった収支不記載総額、裏金の総額、安倍派は13億5,757万円、二階派は3億8,082万円、宏池会は3,059万円。
これらを雑所得として修正申告したなら、所得税だけでも数億円単位の脱税が明らかになる計算となります。

住民税も含めると更に脱税額は跳ね上がります。

自民党が納税検討との報道もありましたが、立ち消えています。

数億円単位の脱税可能性を知った納税者はどう思うか。

税金を納めるのがばからしいとの声もあちこちで上がっています。

総理、やはり、今回の裏金について、自主的に、国税庁に任せるということではなくて、きちんと調べて、自民党の裏金議員を脱税させずに、きちんと納税するように促すべきであります。

総理、やっていただけますか。

○岸田内閣総理大臣

まず、御指摘の試算ですが、これについては、御党の方から指定があった、収入が個人に帰属する、収入から必要経費を控除しても残額があるといった仮定に基づいて納税額を機械的に計算したもの、このように承知しています。

他方、先ほども申し上げましたが、政治資金については、それが政治家の関連政治団体又は政治家個人いずれに帰属するかによって課税関係が異なります。

個々の事実関係を精査する必要があるわけでありますが、こうしたことを考えますと、一定の仮定を置いた試算に基づいて多額の課税漏れが疑われるという指摘、これは必ずしも適当ではないと考えております。

○城井委員

政治資金の帰属がどうかという点を国で調べていないのに、そこは言い切れないというふうに考えます。

これまで総理は、真摯にと80回以上も答弁でおっしゃっていただきましたが、ここで万が一脱税があってそれを見逃したら、その脱税を見逃してしまう総理は果たして真摯と言えるのか、言っていることとやっていることが違う、言行不一致だというふうに国民は受け止めるんじゃないかというふうに考えます。

今回の自民党派閥の裏金については、雑所得として取り扱うべきものをきちんと課税の対象とすること、政治家がルールにのっとった納税をすることを強く求めます。

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)