教職員の働き方改革、「授業準備」「時間外の保護者対応」「ドリルなどの採点」「作文の添削」は時間外労働と認めるべき 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2023年4月24日衆議院決算行政監視委員会第二分科会

○城井分科員

立憲民主党の城井崇です。

永岡文部科学大臣、今日はよろしくお願いしたいと思います。

まず、教職員の働き方改革、特に長時間労働の是正について伺います。

教職員の働き方改革の関連法が施行されてから数年になります。

大臣、長時間労働は是正をされたんでしょうか。

ここ最近も、新年度に入りまして、様々な報道が相次いでいます。

例えばということで、本年4月19日の京都新聞の例を挙げますが、京都府教育委員会が、京都市を除く府内の公立学校教員の2022年度勤務実態調査結果をまとめたということでした。

小学校を除く全校種で、前年度に比べ月平均の時間外勤務、いわゆる残業が30分から4時間程度の減少ということでしたが、ただ、中学校は過労死ラインとされる80時間を上回る約85時間ということでありまして、京都府の教育委員会は、勤務実態としては依然厳しい状況にあるとしている、こうした報道でした。

このほかにも同様の報道はたくさんあると思います。

いまだに過労死ラインを超える状況は、やはり看過することができないというふうに考えます。

大臣、この長時間労働の是正状況についてどのように認識をされているか、お答えください。

○永岡国務大臣

文部科学省の調査結果では、時間外勤務は、近年成果が着実に出つつあるものの、依然として長時間勤務の教職員も多くて、引き続きまして取組を加速させていく必要がある、そういう認識でおります。

このため、文部科学省におきましては、令和元年の給特法の改正を踏まえまして、勤務時間の上限等を定める指針を策定するとともに、教職員定数の改善や支援スタッフの充実、ICTを活用した業務効率化など、総合的に進めているところでございます。

今のお話にありました京都府の実態につきましては、詳細は承知してはおりませんけれども、京都府の教育委員会に伺いますと、教員の勤務実態は依然として厳しい状況、そういう認識であるということでございました。

今後は、令和4年度実施の勤務実態調査の結果等を踏まえまして、教師が教師でなければできない仕事に全力投球できますように、環境の整備を図ってまいりたいと思っております。

○城井分科員

今大臣から御答弁いただいた幾つかの方法をこれまでの数年間で取り組んできているわけでありますが、残念ながら、長時間労働是正はまだ成っていないという職場が多いというのは実態かというふうに思います。

そもそも、選ばれる仕事として教職員の現場がなっているかというところは厳しい、それがなぜかと。

これまでも教職員の働き方をめぐっては、様々裁判がございました。例えばということで一つ挙げますと、勤務時間外の業務も労働基準法32条が定める労働であり残業代を支払うべきだとして、埼玉県内の公立小学校に勤務する教員が埼玉県に対して約242万円の支払いを求めていた、いわゆる埼玉超勤訴訟というものがありましたが、これについて、2021年10月1日のさいたま地裁並びに2022年8月25日の東京高裁の判決での教職員の労働時間、特に時間外勤務の部分ですが、について認定する業務内容が示されたところでありますが、この内容について国として適切と考えるか、大臣、認識をお聞かせいただけますか。

○永岡国務大臣

判決で示されました個々の具体的な業務が労働時間に該当するかにつきましては、裁判所におきまして、原告、被告から提出された証拠を精査して検討されるものでありまして、その認定の妥当性につきましては、私からはお答えは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、当該裁判では、労基法の37条に基づきます時間外労働の割増しられないとして判決がなされたものと聞いております。

○城井分科員

個別事例の見解は差し控えるということで今おっしゃったかというふうに理解をいたしましたが、ただ、大臣、この埼玉訴訟は一つの例なんですが、実際に時間外勤務として認められるか認められないか、その内容を見ていったときに、では、本当に教職員の仕事として時間外にこれはやらなくていいのか、自発的な勤務ということで片づけていいのかということではない内容が随分あったのではないかというふうに思うわけであります。

そこで、幾つか伺います。

例えば授業の準備にかかる時間は、どれぐらいの長さの時間を時間外労働として認めるかということが例えばあったわけでありますが、これは、大臣が国の見解として聞かれたときに、じゃ、この授業準備にかかる時間はどれぐらい時間外労働として認めるというふうにお考えですか。

○永岡国務大臣

現在の給特法の下では、校務であったとしても、校長からの指示に基づかず所定の勤務時間外にいわゆる超勤4項目に該当するもの以外の業務を教師が行った時間は、これは勤務時間ではないが校務に従事している時間、そういう整理となっております。

○城井分科員

今の、授業準備にかかる時間について聞いたわけですが、この授業準備というのは校務なんですか、校務じゃないんですか。

○永岡国務大臣

それは校務でございます。

○城井分科員

では、校務を自発的な業務として片づけてしまってもよろしいんですか。

そういう国の見解なんですか。

○永岡国務大臣

これは校務でございます。

○城井分科員

自発的業務で校務をやらせるということですか。

校長が命じなければ、校務であっても自発的な仕事で片づけて、時間外労働としては認めない、こういうことでしょうか。

○永岡国務大臣

現在の給特法の下では、校務であったとしても、超勤4項目に該当するもの以外の業務を教師が行った時間というのは、勤務時間ではないけれども校務に従事している時間という整理となっております。

○城井分科員

そのゆがんだ解釈、ずれが教職員の現場の負担になっているということを申し上げたいと思います。

もう一つ伺います。

では、時間外の保護者対応は、時間外労働として認められますか。

○永岡国務大臣

これは、正規の、時間外に保護者対応をしなくてよいのかということではございますが、これはやはり、正規の勤務時間の割り振りを適正に行いまして、原則、時間外勤務命令を命じないことなどによりまして、教師の健康及び福祉を確保するといった法律の趣旨からすると、保護者対応につきましても、原則、時間内に対応していただくことが望ましいと考えております。

これを実現するために、例えば、一部の教育委員会、学校におきましては、放課後は留守番電話に切り替えまして電話対応しないこととしたことなんかもありますし、対応時間を削減をしたということでございます。

文部科学省といたしましては、こうした好事例を周知することで、更なる学校の働き方改革を進めてまいりたいと思っております。

○城井分科員

大臣、そうしますと、保護者の方の仕事の現状、状況によっては、夜間にしか連絡が取れないケースがあると思うんですが、その場合は留守番電話対応で放置ということでしょうか。

子供たちと向き合うときに、保護者さんのその働き方が違っても、向き合って対応するというのはあり得るんじゃないでしょうか。

時間外労働で対応するケースはそういうことがあると思うんですが、その件は放置をするんでしょうか。

もう一回、お願いします。

○永岡国務大臣

具体的に夜、電話をしなければならない御父兄に対しての対応ということでございますが、例えば、次の日、出勤をしてきたら対応するということも考えられます。

また、保護者対応につきましても、原則、時間内に対応していただくことが望ましい、そう考えております。

○城井分科員

その望ましい時間外の対応は、教員の正式な時間外労働になるんですか、ならないんですか。

○永岡国務大臣

現在の給特法の下では、校務であったとしても、やはり校長からの指示に基づかない、所定の勤務時間外にいわゆる超勤4項目に該当するもの以外の業務を教師が行った時間とい

うのは、勤務時間ではないけれども、これは校務に従事している時間という整理になっております。

○城井分科員

この給特法が立ちはだかって、本来、きちんと業務として、仕事として認められるべき、時間外労働として認められるべきところが邪魔をされて、結局、ゆがんだ解釈になっているというのは、この件でもそうだというふうに考えます。

もう一つ伺います。

では、児童生徒が取り組むドリルやプリント、小テストの採点は、時間外労働として認められますか。

○永岡国務大臣

お答え申し上げます。

時間外に採点業務はしなくていいのかという、そういう御質問と思います。

正規の勤務時間の割り振りを適正に行いまして、原則、時間外の勤務命令を命じないことで教師の健康及び福祉を確保するといった法律の趣旨からいたしますと、採点業務につきましても、原則、時間内に対応していただくことが望ましいと考えております。

これが実現されますように、例えば、一部の教育委員会、学校におきましては、テストを自動採点することとしたことで採点業務に充てる時間を削減した例がありまして、文部科学省といたしましては、こうした好事例を周知することで、更なる学校の働き方改革を進めてまいります。

○城井分科員

大臣、ドリルやプリント、小テストといいますと、子供たちが鉛筆で書いたものを教員の方々が採点をするわけです。

コンピューターに置き換えられるものが今後は出てくるかもしれませんが、今現在はそれはなかなか難しいというふうに思います。

日中に採点する時間が取れないから時間外労働になっている、そこを仕事として認めるのか、時間外労働としてきちんと認定するのかというところが大事なんです。

この点をやるのかやらないのか、結局、給特法が立ちはだかって、それはできないということなのか確認したいんですが、お願いします。

○永岡国務大臣

現在の給特法の下では、超勤4項目に該当するもの以外の業務を教師が行った時間というのは、勤務時間ではないけれども校務に従事している時間という整理になっているところです。

○城井分科員

勤務時間に数えないけれども校務という、このゆがんだ状況を何とかしたいのでこの話を聞いているわけですが、もう一つだけ伺いますね。

児童の作文の添削は、時間外労働として認められますか。

○永岡国務大臣

正規の勤務時間の割り振りを適正に行いまして、原則、時間外勤務命令を命じないことで教師の健康及び福祉を確保するといった法律の趣旨からいたしますと、児童の作文の添削と教師が教育を行う上で必要な業務については、原則、これは正規の勤務時間内に対応していただくことが望ましいと考えております。

このため、各種学校におきまして、業務分担の見直しですとか適正化、また必要な環境整備に一層取り組んでいただけますように、文部科学省といたしましては、引き続きまして、学校の働き方改革の推進をしてまいります。

○城井分科員

大臣、御答弁されて苦しいところだと思いますが、今挙げた4つのものは、先ほどのさいたま地裁での中で業務として認められなかった内容でした。

理由は、給特法が理由でした。

ですので、大臣がおっしゃったところは、現在ある法律に照らしてということですと、そういう言い回しになるのかもしれません。

ただ、学校現場が、では、時間外に回さざるを得ない、先ほど申したような作業を、じゃ、時間内にできるかといったときに、それが難しいのでその時間を使わざるを得ない。

でも、先ほど大臣おっしゃったように、勤務時間としては計算ができる仕組みにはなっていないが校務だというお話でしたよね。これはこのまま放置していいんだろうかというのが私の関心なんです。

給特法の存在が、今申したような項目についても含めて時間外労働として認められない、ゆがんだ解釈の源になっているというふうに私は思っています。

先ほど大臣もおっしゃったように、校長が命じないものについては駄目ということですし、項目についても超勤4項目ということで絞られていますが、ただ、実態として、今申したように、子供と向き合うあるいは保護者と向き合うという学校教育におけるとても大切な役割が時間外労働として認められないというこのゆがんだ状況は、やはり正すべきだというふうに考えます。

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)