全会派の一致点を見出す中山元会長の運営方法に倣い、憲法審査会の運営方針を検討し直すべき 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2023年4月6日 衆議院憲法審査会

○城井委員

立憲民主党の城井崇です。

今回は、審査会の進め方について申し上げます。

国権の最高機関たる国会において、最高法規である日本国憲法及び憲法に密接に関係する基本法制について、広範かつ総合的な調査を行うことや改憲原案を審査することが当審査会の目的であります。

主権者国民の自由と権利を守り、人権を侵害することがないよう、国会議員を始めとする権力に制約を課す憲法の在り方について審議するという極めて重要な役割が各委員に与えられています。

ところが、現在の審査会は、前身の憲法調査会において中山太郎元会長が確立した中山方式、今日もこの中山方式の在り方について様々な意見が出ておりますが、私としては、与野党の立場を超えての建設的な議論を行う場には残念ながらなっていないというふうに考えています。

その原因はどこにあるか。

前回の審査会で、かつて憲法調査会の役員も務めた我が党の枝野幸男議員が、一つの政治勢力が自分たちの主張を強く示せば、他の政治勢力との妥協が困難になると指摘をしました。

この間の審査会でも、自民党が提起をした改憲四項目を中心に議論がなされていますが、現在の審査会の運営では、中山方式で目指した全会派での一致点が見出し難い状況です。

社会には、国民の自由や権利を脅かす憲法上の課題が様々あります。当審査会は、それらの課題に関する立法事実を掘り下げ、法改正か、憲法解釈か、憲法改正かの法的手段を検討し、問題を一つ一つ解決していくべきです。

そのために、立憲民主党は、大いに憲法議論を進める論憲を基本姿勢としています。

本日の中川正春筆頭幹事からも発言を申し上げましたように、これまで我々から、国民の自由や権利を脅かす憲法上の課題についても提起申し上げていますが、現在の審査会の運営では、それらの建設的な議論の場が確保されているとは言い難い状況です。

平成十七年の憲法調査会報告書など、先達の議論の成果と蓄積を生かし、議論の前提と

なる相互信頼を築くため、全委員の歩み寄りと努力が必要です。

そこで、当審査会の運営方針を検討し直すことを提案します。

与野党からの信頼が厚かった中山元会長の運営方法に倣い、改めて、議論の方向性を一致できそうなテーマは何かという点から全ての会派間で真摯に議論し、その合意に基づいて会派間で段階的に方向性を確認しながら順次具体化してはどうか。

そして、客観性を担保しながら、合意した内容を基に審査会全体で条文化を目指していくのです。

これまでの審議を通じて、全会派は、例えば憲法が徹底した国会中心主義を採用している点では一致していると考えます。

その観点から、まずテーマとすべきは、憲法五十三条後段の臨時会召集要求に対する政府の召集義務や解散権の行使の在り方ではないか。

さらには、これまで、緊急時の国会の在り方をめぐって、現行憲法が緊急時の仕組みとして用意している参議院の緊急集会の位置づけや、新たな制度としての議員任期の延長が議論されてきました。

参議院の緊急集会は、民主政治を徹底する見地等の見解に立ち、半数改正による参議院は万年国会であるとして措置された優れた仕組みです。

立憲民主党に限らず、自民、公明、維新、国民、有志の五会派も、参議院の緊急集会制度の射程、機能、権限に関して議論が不可欠との認識でも一致しています。有識者の意見を含めて明確に整理するため、優先的に議論することを提案します。

これらを検討した結果、選挙困難事態への対処が必要となれば、国会議員の任期延長の議論に合わせて、五会派においても考え方が一致している国会の閉会禁止、解散禁止、即時召集といった憲法改正事項について検討することを提案します。

以上、森会長にこれらの進め方の提案を幹事会で取り扱うことをお願いいたしまして、発言を終わります。

○森会長

城井君の御提案については、幹事会等で協議をいたします。

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)