港湾の脱炭素化、次世代船舶の開発の困難性、どのように克服していくのか 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)


2022年11月2日国土交通委員会

○城井委員
もう一点聞きたいと思います。
10隻とおっしゃいましたが、10隻に本当にたどり着けるんだろうかということを一つお伺いしたいと思います。
そもそも、政府自身が次世代船舶の開発に関する目標の困難性を認めておられます。
令和3年7月16日、国土交通省海事局作成のグリーンイノベーション基金事業、次世代船舶の開発プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画によりますと、目標の困難性という項におきまして、

水素燃料エンジン、燃料タンク及び燃料供給システムは世界でも技術開発段階にあり、特に水素は最高燃焼速度が大きく、燃えやすすぎることに加え、波の影響による負荷変動が大きいなど船舶特有の問題にも対応するため、高度な燃焼制御技術が必要であるなど技術開発には困難が伴う。
アンモニア燃料エンジン、燃料タンク及び燃料供給システムは世界でも技術開発段階にあり、特にアンモニアは難燃性であることから、パイロット燃料が必要であることに加え、空気との混焼割合の最適化など高度な燃焼制御技術が必要であることから技術開発には困難が伴う。
メタンスリップ削減技術は陸上でも確立されておらず、船舶分野において世界でもその重要性の認識が始まった段階にあり、波の影響などで負荷変動が大きい船舶において、エンジン効率に悪影響を与えることなく、また、NOx排出量を増加させることなく、十分な効果を得るためには最適なエンジン制御が難しくなる等の高いハードルが存在する。

といった内容です。
大臣、これらの困難をどのように克服していきますでしょうか。
それぞれの技術について、この脱炭素化の推進に資する次世代船舶の早期実用化に向けて、必要となる技術開発の支援、やはり充実をせねばならぬではないかというふうに考えますが、この3つの困難克服の具体的な道筋、そして技術開発への思い切った支援拡充、大臣からお答えください。

○斉藤国務大臣
技術的に本当に核心のところに迫る御質問をいただきました。
水素やアンモニアを燃料とするゼロエミッション船の実用化には、それぞれの燃料の特性を踏まえた燃焼制御技術の開発等、高度な技術開発が必要になります。
これで、グリーンイノベーション基金の中から350億円を確保して、その研究開発をやっているところでございますが、まず具体的には、先ほどおっしゃいましたように、水素燃料については、燃えやすい、非常に燃えやす過ぎると今おっしゃいましたけれども、そういう燃焼という特性があって、その制御が困難であるとの課題に対して、燃えやすい水素燃料を高圧で噴射することにより、安定した燃焼を実現するエンジン開発等、今、その方向性で行っております。
次に、アンモニア燃料は、これも先ほど御指摘がありましたが、逆に大変燃えにくいということで、高度な燃料噴射技術を用いて、アンモニア燃料と燃焼補助燃料を層状に混合して噴射するということで燃焼性を高める研究を今進めております。
それから、いわゆるメタンスリップ、メタンが燃えないでそのまま空気中に行くと、それこそCO2の何十倍も、25倍ですか、温室効果ガスを出すということで、このメタンスリップをいかに防ぐかということでございますが、このメタンスリップに対しては、触媒を用いて、メタンスリップしないようにLNGを取り除く、燃え残ったLNGを取り除く技術の開発を進めているところでございます。
それぞれ3つの手法について、それぞれ3つの困難があるわけですが、ここはしっかり研究開発で乗り越えていきたいと思っております。

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)