知床遊覧船事故、なぜ被害者の電子機器を3か月も返却をしなかったのか 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)
2022年11月2日国土交通委員会
○城井委員
時もたち、事故原因の究明、なかなかに困難を極めると思いますが、そこに関わるのが二つ目のお話です。
二つ目の御意見は、被害者の電子機器の取扱いについての家族会の受け止めです。具体的にはこういうことでした。
カズワンが4月23日に沈没をした。
海上保安庁が5月19日、20日の飽和潜水で持ち帰った荷物の中で、電子機器、例えばスマホなんかそうですね、あるいはカメラなんかもそうでしょう、電子機器だけ、なぜ何も手を施さず放っておいたのか。
海水で腐食してぼろぼろになり解析が不能になることは、通常、誰が考えても明白だったのではないか。
8月18日までの約3か月、家族の人たちが何度催促をしても、捜査中のためとの理由で海上保安庁は取り合ってくれず、返却をしなかったとの家族会の訴えです。
なぜ返さなかったのか。
運輸安全委員会で1か月間弱の日数をかけて11時22分までのデータは何とか取り出したけれども、本来は沈没原因の究明のために必要だったそれ以後のデータが取り出せない状態になってしまったんじゃないか。
家族会からすれば、海上保安庁に対して、証拠隠滅やデータ隠匿の疑いを持つような状況に残念ながらなってしまっています。
なぜ海水にさらされた被害者の電子機器を3か月も返却をしなかったのか。
復旧できたかもしれないデータ損失の責任をどのように国は考えているか。
大臣から、この御家族の疑念に正面からお答えいただきたいと思います。
○斉藤国務大臣
海上保安庁では、知床遊覧船の事故発生を受けて、警察機関として必要な捜査を
行っております。
お尋ねの電子機器については、捜査を行う中で入手した多量かつ多種類の他の証拠品とともに、重要な証拠物として適正に保管し、データの復元の可否も含めて関係機関等と協力して精査してきたものと承知しております。
このため、海上保安庁においてお尋ねの電子機器のデータを損失させた事実はないものと認識しておりますが、引き続き、御家族に対して丁寧な説明を心がけてまいりたいと思います。
○城井委員
大臣、適正に保管とおっしゃいましたが、じゃ、どのように保管をされたのか、今御説明いただけますか。
○斉藤国務大臣
適正に保管をされていた、証拠物として適正に保管されていた、このように報告を受けております。
○城井委員
海水にさらされて3か月の放置、その間に適正に保管をしていたのであれば、このような処置を施していたので、データ損失を限りなく最小限に、可能性をとどめて保管をしていました、そういう説明があるならば別ですが、今の御説明では、適正な保管ということは理解ができません。
もう一回お答えいただいていいですか。
○斉藤国務大臣
警察機関として、証拠物としてそれを適正に保管をしていた、このように認識をしております。
○城井委員
証拠物としての管理と、電子機器が持っている、記憶をしている情報をきちんと取り出せる形で保存ができていたかというのはまた別だというふうに私は考えます。
委員長、今ほどの電子機器の保管の状況について、詳細な資料の提出を当委員会にお願いしたいと思いますが、御検討いただけるでしょうか。
○木原委員長
ただいまの件につきましては、理事会で協議をいたします。
○城井委員
この電子機器に入っている中身は、単に事故原因の究明だけにとどまらず、御家族との大切なきずなの最後の一瞬が写っているかもしれない、残っているかもしれない、そういうものでありますから、先ほどの、証拠として適正な保管ということだけでは御家族の気持ちに応えた形にはならないということを改めてお伝えしたいというふうに思います。
この件は、引き続きまた国会でも取り上げさせていただきたいと思います。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)