無通告の確認、改善確認チェック表、安全教育計画、無線等の連絡方法、運航管理補助者の確保などについて国の確認が不十分ではないか 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2022年5月18日 国土交通委員会

○城井委員
次に、昨年10月13日の無通告による確認及び改善確認チェック表について伺います。
資料6ページから8ページを御覧ください。
この中の記述にもございますが、一部記録簿を確認できなかったが、求められているものを実施されていることを確認との報告があります。
確認できなかったのか、確認したのか、よく分からない日本語であります。
国土交通大臣は、この報告を適切と考えていますか。

 

○斉藤国務大臣
北海道運輸局が実施した昨年6月の特別監査の結果、有限会社知床遊覧船に対して、運航可否の判断等の運航記録簿への記載、船内の巡視結果の巡視記録簿への記載、陸上施設の点検結果の点検簿への記録を行うよう指導しました。
昨年10月の抜き打ち訪問で改善内容を確認した際には、このうち、巡視記録簿が確認できませんでしたが、同年7月に同社から提出された改善報告書において巡視記録簿を確認したことを踏まえ、このときには口頭で確認したものと承知しております。
しかしながら、地方運輸局において、事業者への更なる確認や指導が十分にできていなかったと認識しており、監査の方法等について改善を図る必要があると考えております。

 

○城井委員
この確認のずさんさはほかにもあります。
安全管理規程に係る安全教育計画及び記録の確認について伺います。
書類によりますと、確認結果は斜線が引かれていました。
指摘、指導事項に、事務所内の書類を管理している者が不在であったため確認できずとあります。
確認できずであれば、当然、確認できなかった、バツ印がつくべき。
正確な記述ではありません。
大臣、この点はいかがでしょうか。

 

○斉藤国務大臣
昨年十月の抜き打ち訪問において、安全教育計画及び記録の確認に関しては、事業者より教育内容についての説明を受けたものの、安全教育計画及び記録簿については、担当者不在のため、確認できなかったものと聞いております。
このため、指摘、指導事項に確認できなかった旨を記載するとともに、確認結果を丸としなかったものと承知しております。
現状の記載は、担当者がいれば確認できる可能性を残すなど、曖昧さを残す表現であったことから、今後は、より正確な表現となるよう、改善を検討してまいりたいと思います。

 

○城井委員
更に伺います。
この書類にございました指示事項の連絡方法についてであります。
衛星携帯電話と携帯電話をどのように確認したのか。
これまでの国土交通省への聞き取りによりますと、不十分でずさんな確認だったというふうに考えます。
大臣はどのように認識をされていますか。

 

○斉藤国務大臣
昨年10月の抜き打ち訪問においては、安全管理規程において、船長と運航管理者等との連絡方法として定められている船舶衛星電話が船舶内にあることを現認し、また使用している旨の説明を受けました。
また、携帯電話については現認していませんが、事業者より、船舶衛星電話に加えて携帯電話を使用している旨の申出があったことから、安全管理規程の改正が必要である旨を指摘し、本年4月に、携帯電話を連絡方法に追加する旨の安全管理規程の改正の届出が行われたところでございます。

 

○城井委員
この連絡方法、手段というのは、当然、単なる機械の動作確認だけでは駄目で、常時通信、連絡可能かどうかということを確認するのが、この連絡方法の確認の趣旨ですよね、大臣。
その点は確認できたのか、できなかったのか、その点はいかがですか。

 

○斉藤国務大臣
その点まで確認していなかったということで、そこは不十分であったと思っておりますし、今後、改善を考えていきたいと思っております。

 

○城井委員
更にもう一点お伺いします。
運航基準で定めているポイントで連絡しているか船舶及び運航管理者、補助者に確認、ポイントの位置を把握しているか確認とのチェック項目では、確認結果は丸となっていますが、改めて全コースの連絡ポイントを確認するよう指示と、指摘、指導事項にあります。
大臣、これはポイントを把握できていなかったからこその指導があったのではないか、大臣、いかがですか。

 

○斉藤国務大臣
御指摘の運航基準で定める地点での運航管理者への連絡については、昨年10月に北海道運輸局職員が、事前通告なく、抜き打ちで本船及び事務所を訪問した際、連絡地点での連絡
を一部怠っていたことを確認したものです。
このことから、有限会社知床遊覧船に対して、改めて全コースの連絡地点を確認するよう指示したものでございまして、確認結果を丸としたことは適切ではなかったと認識しております。
地方運輸局において事業者への更なる確認や指導が十分にできていなかったと認識しておりまして、このことを真摯に受け止め、監査の方法等について改善を図る必要があると考えておりますし、改善を図ってまいります。

 

○城井委員
ここまで不適切のオンパレードであります。
もう一点伺いたいと思います。
藤岡議員からも質問のありました陸上の事務所に社長が不在のときの対応が適切だったかどうか、この点をどのように確認したかという点であります。
先ほどの質疑の中でも、カズワンが出航時に事務所には運航補助者はいなかった、こういうことでございました。ただ、これは、事故当時だけいなかったのかという点は極めて重要だと思っています。
大臣、日常的にも運航補助者が十分に確保できていなかったんじゃないか、この点は認識はいかがですか。

 

○斉藤国務大臣
この会社の安全管理規程上、運航管理者である桂田社長が船舶の就航中に職場を離れるときは、営業所の運航管理補助者と常時連絡できる体制になければなりません、このような安全規程になっております。
同社に対して昨年6月に実施した特別監査において、運航管理補助者5名が選任されていることを確認していましたが、10月に実施した抜き打ち訪問の際には、運航管理補助者である豊田氏が実際に営業所に在席し、運航管理者である桂田社長が不在の場合も事務所に運航管理補助者がいること等を口頭で確認しているところでございます。
今般の事故時においては、運航管理補助者として船長の豊田氏のみが選任されていたものの、豊田氏はカズワンに乗船し、営業所には不在の中、運航管理者である桂田社長が営業所を離れていたと承知しております。
少なくとも、事故時の状況においては、十分な運航管理補助者が確保されていなかったと認識しております。

 

○城井委員
仮に連絡手段があったとしても、無線のアンテナは壊れたままでしたし、アマチュア無線は使ってはいけませんし、衛星携帯電話も故障していましたし、携帯電話はつながらなかったわけであります。
手段すらも確保できていなかったという点も含めて、今回の事業者側の連絡体制について弁護できる要素はないというふうに考えます。

 

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)