経済安保法案担当者の更迭 、「対外的な意見発表」は国家機密漏えいにつながったのではないか 衆議院議員きいたかし福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)



2022年2月18日 衆議院予算委員会

 

○城井委員
立憲民主党の城井崇です。
岸田総理大臣並びに各大臣の皆様、今日もよろしくお願いをいたします。
まず、経済安保法案担当者の更迭についてお伺いをいたしたいと思います。
藤井敏彦前経済安全保障法制準備室長につきまして、御本人をこの予算委員会の場に参考人としてお呼びをしたいということで要求をいたしましたが、お越しいただけませんでした。
それどころか、参考人招致に今後も応じない上に、本日昼の予算委員会理事会で、来週月曜日に締めくくり総括質疑並びに採決を職権で、与野党の合意なく無理やり決めたということに関して、強く抗議を申し上げたいと思います。
午前中の審議で、官房長官から、この件については与党議員への答弁もございました。
先ほど議事録も精査をいたしましたけれども、肝腎な点に触れられていないということを強く感じています。
藤井氏は、経済安全保障法制の作成の責任者でございました。
この藤井氏の言動が国の安全に関わるかどうか、国の安全に関わる言動があったかどうかということを直接確認をしたいというのが、こちらに参考人としてお越しいただきたいという趣旨でありますので、是非、直接本人に確認をする必要があるというふうに考えています。
内閣官房長官に、今回の官房長官の答弁にありました、処分につながる可能性がある行為に関する事実関係の調査について、順次お伺いをいたしたいと思います。
国家安全保障局の内規手続のうち、対外的な意見発表を行う際の届出を怠った等が確認をされていると、2月10日の衆議院予算委員会で、立憲民主党渡辺周議員の質問に対して官房長官が答弁をされております。
対外的な意見発表を行う際の届出を怠ったことで、どのような内規手続に違反をしているのか、具体的に御説明をお願いします。

 

○松野国務大臣
城井先生にお答えをさせていただきます。
御指摘の内規は、平成26年1月7日に国家安全保障局長指示として発出されたものであり、当該指示においては、対外的な意見発表について、職員が職務の内外を問わず対外的に意見発表を行うに当たっては、届出を行い、企画官以下の職員については審議官まで、参事官以上の職員については局長まで事前に了解を得なければならないと定めています。
藤井元審議官は、国家安全保障局在任中、当当該内規で定める、対外的な意見発表を行うに当たっての届出を提出しておらず、局長までの事前の了解を得ていなかったことが確認されています。

 

○城井委員
届出を提出せず、事前に相談がなかったという点について今答弁がありました。
併せてお伺いいたしたいと思いますが、公務員の兼業制限への抵触はなかったんでしょうか。
併せて守秘義務違反を犯した部分はなかったか。
この二つについて確認をしたいと思います。
官房長官、お願いします。

 

○松野国務大臣
お答えをさせていただきます。
藤井元審議官から、国家安全保障局在任中、対外的な意見発表を行う際の届出が提出されていなかったことは、国家安全保障局の内規に違反するものであったと考えています。
一方、国家安全保障局の内規手続に定める事前届出を行わずに対外的な意見発表を行ったことが、御指摘の兼業の禁止に関わる違反にも該当するかについては、国家公務員法第103条及び第104条の規定に照らし、判明した事実関係を基に適切に判断する必要があると考えています。
こうした点も含め、現在、事実関係の調査を行っているところであり、現時点でお答えをすることは難しいことを御理解をいただきたいと思います。

 

○城井委員
随分調査に時間がかかっている印象であります。
もう一点お伺いいたしたいと思います。
国家公務員倫理法にある、課長補佐級以上の職員が5,000円を超える報酬を得る場合には、贈与等報告書を提出する必要があります。
この点に抵触をしていたか。
かなりの回数の外部講演を行い、講演料を受け取っていたという情報もあります。
全ての講演料などについて贈与届が出されていたか、官房長官、明確にお答えください。

 

○松野国務大臣
お答えをさせていただきます。
先生御指摘の内容も含めて、事実関係の調査中でございまして、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 

○城井委員
官房長官、これは調べればすぐ分かることだというふうに思います。
既にこれは、今日初めて指摘をした内容ではございませんし、この間、一週間、何をやっていたのかということは強く申し上げなければならないと思います。
もう一点伺います。
2月10日の衆議院予算委員会で、我が党、渡辺周議員の質問に対して官房長官から答弁になった、対外的な意見発表を行う際の届出を怠った等が確認をされているとの答弁にある「等」とは、具体的に何を確認をしたのか。官房長官から、含まれる確認事項、全てお答えいただきたいと思います。

 

○松野国務大臣
お答えをさせていただきます。
調査中の現時点で断片的な情報をお答えをすることは今後の調査に影響を与えるおそれがあることから、委員の御指摘の点を含め調査を行っている現段階では、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
政府としては、引き続き事実関係の調査を行い、今後判明した事実に基づき適切に対処する所存でございます。

 

○城井委員
断片的な情報は差し控えるということでありますが、官房長官、今日午前中の質疑での、法案への影響は随分とたくさんしゃべっていた、影響についての答弁はかなり雄弁にお答えになっていたということと、今の、調査中、差し控えるというのは少々差が過ぎるというふうに思います。
情報がないと、我々も、大丈夫だ、健全だ、確認ができないわけです。
きちんとお答えいただきたいと思います。
今の対外的な意見発表の部分は極めて重要だと思いますので、幾つか重ねてお伺いいたします。
この藤井氏が行った対外的な意見発表とは、兼業届を出さずに、私企業、今回の場合はビジネススクールでありますが、ここで働き報酬を得ていた、こういうことか、官房長官、お答えください。

 

○松野国務大臣
お答えをさせていただきます。
藤井元審議官から、国家安全保障局在任中、対外的な意見発表を行う際の届出が提出されていなかったことは、国家安全保障局の内規に違反するものであったと考えています。
一方、国家安全保障局の内規手続に定める事前届出を行わずに対外的な意見発表を行ったことが、御指摘の兼業の禁止に関わる違反にも該当するか否かにつきましては、国家公務員法第103条及び第104条の規定に照らし、判明した事実を基に適切に判断をする必要があると考えております。

 

○城井委員
御質問にお答えいただきたいんですが。
今のは、法令に照らしてどうかという先ほどの質問とは違いまして、対外的な意見発表というのが何だったのか、それが、ビジネススクールで講演をしたり、あるいは指導したりといったことで報酬を得ていた、これが対外的な意見発表ですかということを確認しているんです。官房長官、もう一回答弁をお願いします。

 

○松野国務大臣
藤井元審議官については、国家安全保障局に在籍をした2019年10月31日から2022年2月8日の間に、国家安全保障局の内規手続のうち、対外的な意見発表を行うに当たっての届出を提出しておらず、局長までの事前了解を得ず対外的な意見発表を行ったことが確認をされています。
現在、国家安全保障局を中心に、相手方との関係を含め、事実関係の調査を行っているところでありますが、調査中の現時点で断片的な情報をお答えすることは今後の調査に影響を与えるおそれがあることから、調査を行っている現段階では、御指摘の、いつ、どこで、誰に対外的な意見発表を行ったかについてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
その上で、できるだけ速やかに調査を進めていくことが重要と考えており、その結果が判明次第、適切に対処をしていきたいと考えております。

 

○城井委員
官房長官、それは次の問いでして、一つ前の分の、今、更問いで内容の確認を申し上げておりました。
併せての問いを起こしたいというふうに思いますが、この対外的な意見発表というのが一体何だったのかということをまず確認したい。
そして、今ほど官房長官は差し控えられましたが、相手方との関係とおっしゃいますが、まさにこの相手方というのが誰なのか、経済安全保障法制に関わる人じゃないですかというところがポイントなんです。
だからこそ、これが確認できないと、関係ありませんでした、問題ありませんという話にはならないんです。
ならないんです。
ですので、この対外的な意見発表が何だったのか、そして、いつ、どこで、誰にこれを行ったのか、もう一度、官房長官、お答えください。

 

○松野国務大臣
お答えをさせていただきます。
先ほど答弁をさせていただきましたけれども、現在、国家安全保障局を中心に、相手方との関係を含め、事実関係の調査を行っているところであります。
調査中の現時点で断片的な情報をお答えすることは差し控えさせていただきたいと考えております。

 

○城井委員
そこを差し控えると、ここで、我々が国会で確認をせねばならない内容が確認できないんです。
国民の前で明らかにすべきは、藤井氏の今回の言動に関わる国家の安全保障に関わる事態があったかなかったか、このことを確認せねばなりません。
藤井氏が行った対外的な意見発表、つまり、そのビジネススクールには師範という制度があったそうですが、この師範として、ビジネススクールのゼミなどを通じて、そこに参加していた企業に対して講演や指導などをした内容が、経済安全保障法制の検討内容など政府の内部情報や国家機密の情報漏えいにつながったのではないかと強く懸念をするわけです。
藤井氏が行った対外的な意見発表の内容を具体的に調査をしているはずです。
差し控えている場合ではありません。
我々にその具体的な中身を示してください。
官房長官、お答えください。

 

○松野国務大臣
現在調査中ということでございますけれども、断片的な情報をお答えすることは今後の調査に影響を与えるおそれがあることから、委員の御指摘を含め、調査を行っている現段階ではお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 

○城井委員
また調査中で差し控えられてしまいますと前に進むことができませんが、もう一点だけ伺いますよ、官房長官。
相手方との関係という、先ほどの官房長官答弁がありました。ここは極めて重要だと思います。
藤井氏が行った対外的な意見発表を聞いたり、あるいは指導を受けたりしたビジネススクールの参加企業が経済安全保障に利害関係のある企業ではないかという点を強く危惧しています。
例えば、防衛省と防衛装備品の取引が大量にあるような、経済安全保障と利害関係が深い企業が関係している、こうしたことを懸念しています。
経済安全保障法案では、例えば、政府は、基幹インフラの事前審査において対象とする企業分野を14分野に細分化して提示をしています。
パネルと、委員の皆様はお手元の資料を御覧ください。
かなり具体的に例示をされています。
電気、ガス、石油、水道、電気通信、放送、郵便、金融、クレジットカード、鉄道、貨物自動車運送、外航貨物、航空、空港の14分野です。
これら14分野に利害関係が深い企業に事前に経済安全保障法案の検討経過など政府の内部情報が情報漏えいされていては、これは大問題です。
これら14分野に当てはまる企業が今回のこのビジネススクール参加企業として、藤井氏が行った対外的な意見発表や指導などに接していたか、政府は確認していますか。
官房長官、お答えください。

 

○松野国務大臣
お答えをさせていただきます。
城井先生から御指摘があった内容も含めて現在調査をしているところでございますが、今後の調査に影響を与えるおそれがあることから、現段階で断片的な情報をお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 

○城井委員
断片とおっしゃいますが、細部に真実が宿るわけであります。
ここをお答えいただかなければ、今回の件は大丈夫だというふうに国会からは判断ができないわけであります。
藤井氏が関わっているビジネススクールが昨年11月に発行したニューズレターがあります。
これによりますと、少なくとも、この14分野のうち、電気、ガス、石油、電気通信、放送、金融、貨物自動車運送、外航貨物、航空、そして、加えて防衛装備品関係に関わる企業の参加が確認をできました。
こうした企業と藤井氏の関係について、やはり確認せねばなりません。
政府において確認していますか。
官房長官、お答えください。

 

○松野国務大臣
お答えをさせていただきます。
城井先生の方から御指摘をいただいた内容も含めて、現在調査中でございます。

 

○城井委員
ここ、参加企業との関係は極めて重要です。
このビジネススクールの仕組みでは、講師のポストに合わせてゼミの参加企業が変わってくる、こうした仕組みになっておりました。
利害関係企業が講師のポストごとに集うんです。
防衛装備庁のポストのときには防衛関連企業が集い、経済安全保障のポストになってからは経済安保関連の企業が集ってしまう、こんな仕組みでございました。
官房長官、もう一つ伺いますよ。
ここで、基幹インフラの事前審査の件は、今回の経済安全保障法制の4つの柱の一つです。
あと3つありますね。
サプライチェーン強化、先端技術の官民協力、特許の非公開化。
これに関わる利害関係企業が藤井氏の対外的な意見発表や指導などに接していたか、経済安全保障法制に関する情報など政府の内部情報や国家機密の漏えいに関わっていたか、ここを政府は確認をしていますか。
ビジネスに大きく関わる分、関係者の関心は高いというふうに感じています。
官房長官、お答えください。

 

○松野国務大臣
お答えをさせていただきます。
城井先生から御指摘をいただいた点も含めて、調査をしております。

 

○城井委員
調査範囲がどんどん広くなっておりますが、真実が宿る細部がなかなかお答えいただけません。
もう一つ、伺います。
藤井氏が、経済安全保障法制の原案を作っている間、ビジネススクールの参加企業やメディア関係者なども含めて、誰と接触をしたか、この確認も今回の調査では大変重要です。
藤井氏が国家安全保障局の経済班準備室並びに発足後の経済班に所属している間、2019年以降ということになると思いますが、この間の面会記録、タクシー券の利用履歴、公用車の運行履歴について、今回の調査に当たって政府は確認をしていますか。
利害関係企業などとの接触の有無やその内容を含め、詳細にお示しをいただきたい。
国会に対しても情報提供していただきたい。
官房長官、御対応いただけますか。

 

○松野国務大臣
お答えをさせていただきます。
城井先生から御指摘をいただいた内容も含めて、調査をしております。
なるべく速やかに調査を進めまして、その上で、国会への情報提供につきましては、調査が終了した時点で、委員長の御指示に従い、適切に対応させていただきたいと考えております。

 

○城井委員
誰と接触していたかは非常に重要です。
藤井氏が、役所で、ビジネススクール参加企業の人と個別に会っていたという情報もあります。
セキュリティーが最も固くなければならないはずの国家安全保障局で利害関係企業との面会があったならば、当然政府は、政府の内部情報や国家機密の情報漏えいの有無など詳細に調査して、国民と国会に示すべきです。
官房長官、藤井氏が関わるビジネススクールのメンバーを役所に招き入れたことがあるか、この事実があるか、それは何人で、誰か、お答えください。

 

○松野国務大臣
お答えをさせていただきます。
藤井元審議官の国家安全保障局に在任中の行動に関しましては、今先生から御指摘があった内容を含め、調査をしているところでございます。

 

○城井委員
もう一点伺います。
この行動履歴の確認は大事です。
藤井氏がメディア関係者と会った際に使ったタクシーチケットが問題になっています。
官房指定のものを私的利用したのか、誰かからもらったものを使ったのか、この点を把握していますか。
官房長官、お答えください。

 

○松野国務大臣
お答えをさせていただきます。
先生から御指摘がありましたタクシー券の利用履歴等も含めて、現在調査をしているところでございます。

 

○城井委員
委員長に申し上げます。
今ほどのこれらの面会記録、そして利用履歴、運行履歴、これを政府から予算委員会に即刻提出いただくように委員長からお取り計らいを願います。

 

○根本委員長
理事会で協議します。

 

○城井委員
さて、岸田総理、今私はこれだけは確認せねばということで聞いた話で、調査中、差し控えるということを全部で11回いただきまして、これでは真実が分からない、大丈夫だと判断できない、材料がない、足がかりがいただけていない、このように感じます。
このやり取りを踏まえまして、今回のこの藤井敏彦前経済安全保障法制準備室長の更迭に関する調査、岸田総理、どのように認識をされるか、お聞きしたいと思います。
ポイントは、まず大前提として、この調査結果の報告、公表の日程的なめどをはっきりさせていただきたい、このことをお願いしたいと思います。
午前中の答弁で官房長官から法案への影響については幾つか説明がございましたが、少なくとも今ほど私が聞いた中では11項目にわたってお答えがいただけていない、こういう状況であります。
これでは、少なくとも国家の安全に関わる部分に問題があったかどうか、ここが確認できない。
早急に明らかにしていただきたい。
少なくとも今回のこの衆議院での予算審議中に調査結果を示すこと、総理から御指示をいただけませんか。

 

○松野国務大臣
お答えをさせていただきます。
本件につきましては、国家安全保障局を中心にできるだけ速やかに調査を進めていく考えでございますが、当該職員が行った対外的な意見発表の相手方との関係も含め、様々な事実関係を確認する必要があることなどから調査に一定の時間を要することは御理解をいただきたいと思います。
できるだけ速やかに調査等を進めていく考えでありますが、事実関係の確認、先ほど申し上げましたとおり、一定の時間を要するものであり、現時点で具体的な期日を、期限を申し上げることは困難でございます。

 

○岸田内閣総理大臣
まず、我が国にとって喫緊の課題であります経済安全保障について、今月下旬の法案提出を目指し、政府として準備を加速しております。
その中で、このような重要な時期に本事案が生じたこと、これは誠に遺憾なことであると認識をいたします。
まずは、事実関係をしっかり把握することが必要であります。
現在、事実関係の確認、調査を実施しているところであり、今後、判明した事実に基づき、厳正に対処していきたいと考えております。
その調査の時期については、ただいま官房長官からお答えさせていただいたとおりであります。

 

○城井委員
ここまで、政府による調査内容をただしてまいりましたが、官房長官からの答弁では、少なくとも11項目も確認ができないということでは、これは、よく分かりましたにはなりません。
やはりここは、当事者たる藤井氏御本人の話を聞かなければ、情報漏えいなど国家の安全に関わる懸念は拭えません。
委員長、藤井敏彦前経済安全保障法制準備室長の予算委員会への参考人招致を改めて要求をいたします。

 

○根本委員長
理事会で協議します。

 

○城井委員
あわせて、本日指摘した点も含めてでありますが、今回の藤井氏の事案の経済安全保障法案への影響の有無について、政府から書面で予算委員会に報告をいただきたい。
今回の答弁では、11項目も答えていただいていないので、不十分だという認識であります。
この2点、委員長、お取り計らいをお願いします。

 

○根本委員長
理事会で協議します。

 

○城井委員
それでは、ここで官房長官、御退席を。
お仕事がありましょうから、御退席をお願いします。

 

衆議院議員きいたかし福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)