ハード面でもソフト面でも重要な半導体産業、若い世代に飛び込んでもらうには 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)
2021年6月1日(火)衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会
(我が国の半導体産業を取り巻く諸状況及び科学技術、イノベーション推進の今後の在り方について)
○城井委員
立憲民主党の城井崇といいます。
今日は、貴重なお話をありがとうございました。
深い絶望の中に希望の光が二つ、三つという印象で今日のお話を伺わせていただきました。
お三方にそれぞれ伺いたいと思いますが、そんな状況を見ている若い世代が飛び込んでくれるかどうか、どう育てていくか、この点でお伺いしたいと思います。それぞれお答えいただければと思います。
半導体の設計や製造といったハードの技術者の部分もそうですし、ソフトウェアの開発者の育成は必須だというふうに中馬参考人からもお話がございました。
ただ、情報教育が、今、教育現場では教えられる人がまだまだ足りない状況もあったり、理科教育が大変乏しくて、プログラミング教育を始めるといったものの、一人に一つ教材が届かないような状況をどうにかしようかと、こんなふうな話を今文部科学省もしているところであります。
そんな中で、入口になる部分で若い世代にいかに振り向いてもらい、育て、そして真ん中で活躍してもらうか、この入口の部分についてどのように国として頑張るべきかという点、それぞれにお答えいただければと思います。お願いします。
○原山参考人 (国立研究開発法人理化学研究所理事)
やはり、若い人たち、今の大学生のみならず、その前の段階の人たちに背負ってもらわなくちゃいけないんですね。
プレッシャーというか、彼らがやりたいことをできる状況をつくらなくちゃいけないというのは皆さん共有なものだと思っています。
一つの事例なんですが、東北大、西沢先生の弟子であった江刺先生がいます。
彼はMEMSなんですが、半導体の中の一つの部分ですけれども、私は東北大学で一緒に十年ほど仕掛けをさせていただきました。
その中の一つなんですが、若い人たちにこういう半導体チップを作ることのトライアルをしてもらうという試みもしておりました。
国際的なコンペティションがあるんですけれども、iCANというところなんですが、そこにも出場できるようなものを作っていた。
そういう、地道なことかもしれないんですが、やることによって、将来の産業の話以前に、面白いという感触を味わってもらって、じゃ、何をチャレンジして、それと同時に、いろいろな人と組むことによってまた新しいチャレンジが出てくるという仕掛けをつくることが必要だと思っています。
これは一つの事例ですけれども、様々な事例をつくることが大事だと思っております。
ですので、今、理科に興味を持たない子が多いというんですけれども、それは興味を持たせるような教育をしていなかったのと、機会を与えていなかったので、それをどんどんつくることが、長い道のりかもしれないんですけれども、今日の半導体へも貢献というふうに考えております。
○中馬参考人(成城大学社会イノベーション学部研究科教授、一橋大学名誉教授、日清紡ホールディングス社外取締役)
鶏が先か卵が先かという話で、恐らく、湯之上さんが入られた頃というのは電気電子はとても人気で、東芝へ行こうか、日立へ行こうか、NECかという形で、かなり、そういう意味では、産業がすごく調子がいいときには学生さんはすごく敏感なので行きますけれども、今のような状態になるとなかなか来ないということで、そこを無理やり連れていくというふうなことはなかなか難しいかなということで、最もいい方策は、やはりその産業が輝いていないと学生さんは来ないかなというところで、鶏か卵の話なんじゃないかな。
そういう意味では、僕にはなかなか分かりませんねということだと思うんですけれども。
同じことは、日本だと生産技術者も大分需要が少なくなって、生産技術を教えるような大学の先生すら足りなくなるというようなことも起きていますので、ある意味では、大学生はそういう世の中の浮き沈みに敏感だなというふうに感じますけれども。
答えになっていないんですけれども。
○湯之上参考人 (微細加工研究所所長)
湯之上です。
中馬先生と基本的に同じなんですけれども、東大では、二年生から三年生になるとき、進学振り分けというのがあるんですね。
かつては電気電子というのは最も人気が高くて入りにくいところだったんですが、もう十年以上前からそれが最下位になっている。
転落しちゃって、人気がなくなっちゃった。
もう十年以上前です。
こんな状態が十年以上前から続いているんですね。
僕は、東北大学の工学部博士課程で、一日八時間、半導体の講義をしています、単位を取らせるために。
大体五十人から百人ぐらいの博士課程が参加して、半導体の講義をやるんですけれども、合間に、あなた、どこ行きたいと聞くんですよ。
半導体どうと言うと、半導体どうと言って返ってくる答えは、東京エレクトロンと来ます。
ルネサスとかソニーとかキオクシアとか来ないんですよ。
東京エレクトロンと来ますよ。
東京エレクトロンは、半導体製造装置で幾つか独占的な分野があって、給料の、あるいはボーナスのランキングで常にトップにいるわけですよ。
あそこに行くと高給取りになれると。
東京エレクトロンという回答をする人間が何人かいます。
だけれども、ルネサスとかキオクシアとかいう回答をする人間はいません。
中馬先生と同じになりますが、その企業、産業が輝いていないと優秀な学生は行かないんです。
そういうことになっていると思います。
以上です。
○城井委員
それぞれにありがとうございました。
余りやはり残された時間は少ない。
今中央で頑張っていただいている方々に一騎当千的に頑張っていただきながら、その間に、先ほど原山参考人からいただいたように、面白い教育、面白い機会をいかに増やしていくかというところの努力、国会の方でも頑張りたいと思います。
ありがとうございました。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)