共通テストの特例追試験でセンター試験の過去問流用、不公平を放置してよいのか 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

 

2021年3月24日 衆議院文部科学委員会

○城井委員

続きまして、第一回共通テストの関係で幾つかお伺いをしたいと思います。

まず、実施後の評価についてでありますが、検証のための会議を行うと承知しております。

ここでは、特に、成績の段階評価の活用状況について確認をさせてください。

この段階評価は、結局、各大学でほとんど使われなかったんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょう。

 

○萩生田国務大臣

高大接続改革に関する教育再生実行会議第四次提言や中教審の答申において、一点刻みによる評価から脱し、多様な評価方法の導入を促進するため、大学及び大学入学希望者に対して段階表示による成績提供を行うことが提言されました。

こうした提言を踏まえて、平成29年7月に策定した大学入学共通テスト実施方針において、結果の表示に関して大学入試センター試験よりも詳細な情報を大学に提供することとし、大学入試センターにおいて、今年度から初めて、全体における各受験者の位置づけを示す9段階表示の成績を大学に提供することとしたものです。

段階表示の利用状況の詳細は、現時点では承知をしておりません。

今後把握をしてまいりたいと思いますが、各大学の募集要項など可能な範囲で確認したところ、合否判定に段階評価を活用している事例は現時点では把握はできておりません。

文部科学省としては、大学入学者選抜実施要綱に、共通テストの成績については、素点による選抜だけでなく、資格試験的な利用など、成績の利用方法を工夫することが望ましいとしており、来年度以降も段階表示による成績提供を継続することで、各大学が共通テストを活用し、多様な選抜に取り組むことを期待しているところです。

 

○城井委員

続きまして、特例追試験の問題がセンター試験の過去問から出題されていた件について伺います。

国語の出題について、1995年のセンター試験本試験の現代文、そして1993年のセンター試験本試験古文で用いられた問題文章がそのまま使われていました。

一部の傍線箇所も同じ箇所でした。

センター試験の過去問との重複がない第一日程、第二日程の受験生との間に不公平が明らかに生じた残念な状況です。

複数の試験内容を用いることで生じる不公平等の問題点を私たち野党からも事前に何度も指摘をしていたにもかかわらず、複数問にわたり過去問を流用する不公平を放置して本番の出題に至ったのは、大学入試センターの作問能力の明らかな低下と言わざるを得ません。

事前の指摘にもかかわらず、この出題の不公平、大臣はどのように認識されたでしょうか。

いかに対処しますか。

 

○萩生田国務大臣

特例追試験については、受験機会を最大限確保するため、あらかじめ受験生に周知していたとおり、現行の学習指導要領に準拠して用意してあったセンター試験の緊急対応用問題をベースに出題されたものですが、当該試験は共通テストの第一日程、第二日程と同様、高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定することを目的としたものです。

その上で、国語の大問二問が過去のセンター試験で出題された素材文を再利用していることについては、平成20年に大学入試センターが、試験問題に適した素材文には限りがある中で、良質な試験問題を作成する観点から、過去の素材文であっても、高等学校における基礎的な学習の達成度を測定する上で適切なものであれば使用することもあり得ると公表しており、かつ、設問は異なるものであることから、直ちに不公平があったとは考えておりません。

大学入試センターにおいて、共通テストの試験問題についての自己点検、評価や第三者評価を行っていると承知しておりまして、こうした評価結果を踏まえ、更なる良問の作成に努めることを期待したいと思いますが。

先生、一緒に議論して考えていただいたので、プロセスを分かっていただいていると思うんですけれども、本来だったら、最初の日程があって、追試を用意したわけですよね。

だけれども、コロナ禍で、高校3年生でやはり授業が遅れちゃっている人もいるんじゃないかということで、あらかじめ2週間後に第二日程というのをつくり、また、第一日程で、万が一、例えば濃厚接触者などの指定をされて、本人は元気なんだけれども試験を受けられない子たちにも第二日程に回ってもらう、こういうセーフティーネットをつくりました。

その結果、追試験の問題がなくなっちゃったんですよ。

そうすると、この第二日程で同じ状況が起きた場合に、それを救う手段がなくなってしまったので、緊急避難的に過去に作った問題を使いますよということをお話ししました。

これは、ややアプローチが今の時代のものと違うことはあらかじめ公表しておりましたし、人数がと言ったら誤解を招くかもしれませんが、幸い、対象者が1名だったんですね。

その人がこれを使うことによって受験に挑戦することができたということなので、私は、機会を設けるという点では、皆さんに御理解いただけたんじゃないかと。

これは、同じ素材文が設問されるというのは、共通テストのみならず、私立でも予備校などでも多分にあることでありますし、ぎりぎり詰めていくと、じゃ、取っていた新聞の中から記事が出るのと読んだことがない新聞が問題なるんじゃ不公平じゃないかと言われても、これまたなかなか解決できない問題もあると思うんで、そこは、先生、かなり厳しい御批判いただきましたけれども、今回は緊急避難の中で、それなりによくやったなと言っていただきたいなと。

今後、そういう問題意識はきちんと持って、対応はしっかりしていきたい、こう思っているところでございます。

 

○城井委員

緊急対応用の問題を利用したわけですが、あれは1種類しか準備していなかったんですよね。

ちょっとびっくりしました。

大臣、機会を設けることは否定していないんですが、公平な機会にしなきゃいけないというのが私からの指摘です。

二つ申し上げます。

一つは、現代文の出題については、初見の問題にいかに対処するかというのが試験の本来の狙いです。

ところが、センター試験の過去問を利用した場合には、多くの予備校などでもテキストで使っているケースが多いですから、そうすると初見にはならない。

しかも、問題文が違っても、その文章の意図などの読み下しは授業でやりますから、そうすると、そこまで深く学ぶ人とそれなりの人とという差がついてくるというのは出てくる。

1名とおっしゃいましたけれども、人数の違いにすり替えてはいけないというのは、大臣お分かりでおっしゃっていると思うんですが、これは人数の話ではありません。

事前には人数は分かりませんから、公平な機会にしなきゃいけないという意味での指摘です。

もう一点、平成20年から、過去のセンター試験の問題などを素材文に使うということをやりますよという方針を出しているのは知っています。

ただ、この特例追試験に利用された平成27年度の緊急対応用問題以外には、素材文を再利用した例はなかったというのが文部科学省からの確認です。

これだけなんです。

しかも、2つも重なっていましたということで、これを見逃したらいかぬではないかというふうに思うわけです。

問題文が違っても初見ではない受験生が存在することで生じる不公平は、やはり問題だというふうに考えます。

ですので、大臣、もう一言だけ。

今の二つ指摘申し上げた点を含めて、今後、こういうことのないようにするということで、文部科学省から目を光らせてチェックするよということだけ、お答えいただけませんか。

 

○萩生田国務大臣

繰り返しになりますけれども、緊急避難的に25年前に作った、しまっておいた問題を、機会を確保するために使いました。

ただ、先生がおっしゃったのは正論で、本来、できるだけ平等な環境の中で受験生が競い合っていただくのが大切だと思います。

その初見というのは、確かに、共通テストの初見ということをおっしゃっているんだと思うんですけれども、その辺は御指摘のとおりだと思いますので、今後、そういう、やや首をかしげられるようなことがないように、良問、きちんと設問を作っていただくように引き続き努力すること、これはしっかり文科省としてもセンターに指示をしてまいりたい。

そのことは改めてお約束したいと思います。

 

○城井委員

よろしくお願いします。

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)