研究費確保の新基金はメリットやデメリット、リスク部分も含めて国民に説明して取り組み加速を 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区) 

 

 

2020年12月2日 衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会

 

(研究費確保へ創設する方向の政府新基金(世界に伍するファンド)の検討状況について)

 

○城井委員

続きまして、きょうも議論になりましたが、世界レベルの研究基盤を構築するための仕組みの実現、大臣言及の世界に伍するファンドについて、少し細かく伺ってまいりたいと思います。

この仕組みの実現につきましては、来年度概算要求で、内閣府と文部科学省が共同で事項要求として上げているところであります。

科学技術立国日本の実現に向けた次世代のための百年の計、意欲的な取組だということで、私自身も大いに応援したいというふうに考えておりますが、ただ、具体的な計画の姿が見えてきていないというのが実情でございます。メリットやデメリット、リスクの部分も含めて国民にしっかり説明をして、全国民応援のもとで取組を加速させるべきです。

そこで、大臣に質問します。

まず、この仕組み、運用基金をどの程度必要と見込んでいるか、具体的な原資は何か。

例えば財政投融資を使うことは、政治が決断すれば実現可能性が高いと考えます。

また、誰の責任で運用基金を用意するか。

米国の例でいえば、大学が寄附などで集めた資金を運用する基金があって、ハーバード大学ですと4.5兆円、エール大学ですと3.3兆円の規模で運用していると聞きました。

大学が原資の一部を準備するとしても、例えば東京大学でも、同様の取組は100億円ぐらいにしかすぎない。

大学等による大規模な基金積立ては、なかなか現実的には難しいんじゃないかというふうに考えています。

この運用する基金について、大臣の考えを聞かせてください。

 

○井上国務大臣

この大学等ファンドにつきましては、非常に重要だと認識しており、また何としても実現をしたいと思っております。

思っておるんですが、現段階では、各省庁と協議中ということなので、なかなか具体的なことをお答えできないということは御理解をいただきたいと思います。

その上でですが、大学等ファンドにつきましては、大学における世界レベルの研究基盤の構築に向けた支援を長期かつ安定的に行うために必要な基金規模を、現在、関係省庁とともに検討をしております。

資金調達に当たっては、当面政府の資金を活用しつつ、民間、大学の資金を順次拡大していくことを想定しております。

引き続き、関係省庁と連携し、適切な資金規模や調達方法も検討してまいります。

 

○城井委員

なかなか言いづらいという、検討中ということでありますけれども、報道ベースのところを少し確認だけと思いますが、規模10兆円という話があり、三次補正でも対応するという方向だという報道があります。

また、原資の官民割合は最終的には5対5を目指したいという報道がありましたし、このファンドはJSTのもとに置くという報道もありました。

こうした報道の部分について、検討に上がっているか上がっていないかという点だけ確認したいと思いますが、お答えできる範囲でお願いします。

 

○井上国務大臣

大変恐縮なんですけれども、まさに現在関係省庁と協議中ということで、ちょっと詳細についてはまだお答えできないということでお願いをいたします。

 

○城井委員

少なくとも三次補正の審議の段階では詳細をお示しいただけるものだというふうに思っています。

というのは、内容がないと、これが役に立つものかどうかという判断が、国会側が判断がつかないということになろうかと思いますので、その点はぜひお願いしたいと思います。

 

(基金運用による利益について)

 

○城井委員

続いて、基金運用による利益についてお伺いしたいと思います。

運用益の創出をどの程度になると見込むかという点であります。

先ほどの基金の規模がまだ言えないという状況ですけれども、その中でも、どのような運用をしていくかという点については当然検討すべき部分だというふうに思っています。

仮に報道にあった基金総額10兆円ということにいたしますと、年1%運用で年間に1,000億円の運用益ということになります。

これは、理化学研究所の年間総予算に匹敵する金額、大変大きいというふうに考えています。

ちなみに、アメリカのハーバード大学は、4兆円基金を利回り7%程度で運用ということでありました。

この運用益の見込み額、いつごろの達成で、いつから研究費として配分できるか、運用は誰が行うか、運用失敗などの損失の際の負担はどのように考えるか、国民負担はあり得るか。

特にこうした過去の政府系ファンドは責任が曖昧になりがちだったものですから、こうした運用についての部分は、大胆にいかなきゃいけない部分は理解しながらも、責任の部分はきちんと確認しなきゃいけないというふうに思っていまして、こうした具体的な運用部分について大臣の見解をお聞かせください。

 

○井上国務大臣

現在、委員が今御指摘になった運用の主体や方法、また運用や支援のスケジュール、責任の所在などの制度設計を行っているところであります。

その上で、現在申し上げられることとしては、運用に当たりましては、GPIF等を参考にしつつ、外部の資産運用機関に委託することを考えておりますが、ファンドの運営団体のガバナンス強化や長期分散投資などを通じてリスクを最小化しつつ、長期で安定した運用益を確保したいと考えております。

なお、このファンドは公的資金を中心とした元本による運用益を活用するものであり、政策目的に応じて民間だけでは担うことが難しい事業へリスクマネーの投資をする政府系ファンドとは異なるものであります。

 

○城井委員

今、超低金利の市場の状況でありますので、収益確保についてはなかなか難しいところもあろうかと思いますので、そのリスク管理については政府側としても十分に行っていただきたいということをお願いしたいと思います。

 

(運用益の配分について)

○城井委員

続いて、運用益の配分について伺います。

運用益を具体的にどのような配分で研究支援に充てていくか。

例えば、支援対象の大学や研究機関の数を幾つと見込んでいるか。

私からの提案は、RU11を中心に支援をスタートして、約2万人の研究者支援を届けることができると、まずは、複数年度にわたる有望な研究の継続を担保できるというふうに考えています。

教員やサポートスタッフなどの人件費、奨学金や生活費支援、研究施設整備などにそれぞれどのぐらい充てる見込みか。

使い勝手のよい交付金の形が望ましいと私は考えていますが、運用益の配分と交付方法について、現在段階での大臣の具体的な見解を聞かせていただければと思います。

 

○井上国務大臣

これも現在検討中なものですから、なかなか具体的なこと、申し上げるのは限られるんですが、大学等ファンドは、運用益を活用し、世界に比肩するレベルの研究開発を行う大学等における世界水準の研究基盤の構築を目的とするものです。

ですから、具体的には、博士後期課程学生を含む若手研究者などの人材、共用施設やデータ連携基盤といった研究インフラ、研究拠点、スタートアップ拠点など、大学等における将来の研究基盤の構築を支援することを想定をしております。

引き続き、支援対象の考え方や配分、交付方法等の詳細な制度設計については、関係省庁と連携し、検討を加速してまいります。

 

○城井委員

続いて、こうした基金運用による研究確保を仮に行っていく場合に、一つ重要な部分があるというふうに思っています。

これは、官民で仮につくっていくときに、民間側からの資金の確保、つまり寄附などの部分が拡充していけるかという点であります。

この点は、これまでにも寄附に対する控除の拡充などで応援してきたというのがこれまでの政府の姿勢かというふうに思いますが、ただ、欧米との違いは、寄附文化が根づいているか根づいていないか。きっかけをやはり意識的につくっていく必要があるというふうに考えています。

そこで、お伺いいたします。

ここはちょっと2問まとめてお伺いしたいと思います。

教育機関、研究機関などへの寄附に対する免税措置の拡充が必要という点、そして、寄附について、企業の従業員や配偶者による教育研究機関への寄附に企業がマッチをして寄附をする場合、こうした部分について免税措置の拡充やあるいは新規の免税が必要だという意見が専門家からございますけれども、こうした部分もあわせて対応すべきだというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。

 

○井上国務大臣

大学等の教育研究機関が、運営費交付金など国による財政措置に加えて、寄附金などの外部資金による多様な財源の確保を図ることは重要と認識しています。

そのため、関係省庁と連携し、大学等への寄附に係る税制改正として、国立大学法人、国立研究開発法人等への評価性資産の寄附に対するみなし譲渡所得税の非課税承認を受けるための要件の緩和等、また国立大学法人等への個人寄附に係る税額控除の対象事業の拡大等に取り組んでまいりました。

内閣府としては、今後とも、関係省庁と連携し、国立大学法人等に必要な予算の確保に努めるとともに、外部資金獲得に向けて、関係団体の要望も踏まえつつ、必要な税制改正等を検討してまいります。

 

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)