令和3年度大学入試(特に共通テスト)について「第1日程と第2日程を一本化すべきではないか?」 衆議院議員 きいたかし 福岡10区 (北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)
2020年7月22日 衆議院文部科学委員会
(令和3年度大学入試(特に共通テスト)について)
○城井委員
続いて、令和3年度大学入試、特に共通テストについてお伺いします。
先日発表の実施要領に盛り込まれた第一日程、第二日程、特例追試験の日程は、高校側が望んだからと文部科学省は説明していますが、全国高等学校校長協会、いわゆる全高長の萩原会長から7月16日に聞き取りをしたところによりますと、全高長の要望は、あくまで1カ月程度の入試全体の後ろ倒しだった、協議結果を了解していない、こうした内容でございました。
問題作成者や大学関係者など、大人の事情を優先した結果、受験生や高校現場に不公平で不合理な仕組みを押しつける結果になっているのではないか。そもそも、高校関係者と大学関係者の協議の場の構成が不適切だったのではないか。
高校関係者は4名、大学関係者はその2倍以上はいたとの全高長からの聞き取りでありました。
公平な議論が本当にできる環境だったか。
こうした全高長の要望を踏まえて、共通テストは一本化の上で、入試全体を1カ月程度の後ろ倒しをすべきだと考えます。
大臣の見解をお聞かせください。
○萩生田国務大臣
入試日程につきましては、学業のおくれが見られる中でどのような対応ができるかを考え、高校、大学関係者等との協議を慎重に進めてまいりました。
コロナで授業ができないという未曽有の事態で、高校生たちも大変不安に思っておりますので、できるだけ高校生の思いに寄り添って、来年の受験は特別な日程を考えていこうということで、当初から取組をしてきたつもりでございます。
先生方のヒアリングでどんなお話があったか、私は存じ上げませんけれども、全高長は、当初は予定どおりの実施をしてほしいというのが要望だったんです。
ところが、私のところにも高校生からいろいろなメールや声が届いていまして、せめて少しでもやはりおくらせていただきたい、おくらせてほしいという声をたくさん聞いておりました。
現実、考えたときに、そうだろうなと。
これだけ準備がいろいろなことでおくれているとすれば、2週間でも1カ月でもおくらせてあげることができないだろうかということも私は考えていたんですけれども、当初は、その必要がない、予定どおりの日程でやってくれということでした。
私は、本当にそうなんだろうかと思って、改めて、また、お知り合いの校長関係者などにも連絡をしましたら、いや、しっかり準備をしている学生はそういう意向もあるかもしれないけれども、不安に思っている学生もいるということを複数聞きましたので、それだったら、校長先生のアンケートをやってくれということで、全国5,000校の、校長会へアンケートを送らせていただいて、現場のしっかりとした生の声を確認をさせていただきました。
その結果、当初予定どおり実施を希望する意見が約七割、後ろに倒すべきだ、後ろ倒しをするべきだという意見が約3割ありまして、後ろ倒しを求める意見のうち、2週間程度が望ましいという意見が6割というふうに最も多かったという結果になりました。
こうした受験生や高校現場のニーズに応える観点から検討した結果、試験実施時期の新型コロナウイルス感染症状況予測の困難さを考慮して、当初本試験の1週間後に実施する予定だった追試験を2週間後に後ろ倒しをして、全国に試験会場を拡大するとともに、それを学業のおくれにも対応できるように、出願時から現役の高校生についてはどちらでも選択できる、そういうシステムをつくったところでございます。
なお、高校、大学関係者等の協議の場において、全国高等学校長協会から推薦のあった委員から、1カ月程度の入試日程の後ろ倒しを求めたいという御発言は確かにございましたが、事務局が提示した日程案について、高校生に対する学習のおくれへの配慮として大変ありがたいという趣旨の御発言もあり、協議の過程やその後の書面審議でも特段異論はなかったことから、今回の措置について御理解はいただいたものと認識をしております。
ちなみに、協議に参加した、今、倍以上違ったんじゃないかというんですが、高校関係団体からは六名の方に出ていただき、大学関係団体からは七名の方に出ていただいて、高大接続の学識経験者3名に加えて、入試センターの理事長、それから、こういう事態なので新型コロナウイルス感染症に関する専門家3名で構成されておりますので、高校、大学関係者の推薦者が6名と7名というバランスをとった人数で行っておりますので、どういう属性で参加されているかわからなかった、自分たちの仲間の顔はわかっている、そうすると、自分たちの仲間以外は全部大学関係者じゃないかと思ったとすると、倍という計算になるのかもしれませんけれども、内訳は、今申し上げたような公平な審査をしたつもりでおりますので、御理解いただきたいと思います。
○城井委員
今の協議の場の人数の構成については、かなり聞き取り結果とそごがありますので、その参加メンバー、非公表だと聞いておりますが、せめて理事会に対しては正確なところをお示しいただきたいと思いますので、委員長、資料の要求をいたしたいと思います。
○橘委員長
後刻、理事会で協議いたします。
○城井委員
そもそもが、最大で45日間の学びのおくれがあるということで文部科学省が言っているのに、2週間ぐらいの後ろ倒しの追試験をセットをしたから大丈夫だというのは、それは違うんじゃないかというように考えています。
特に、試験を分けたことで混乱が更に広がっているということを申し上げなければなりません。
そもそも大臣、異なる試験の成績に基づく相対評価を入試に用いるのは、不合理で不公平であります。
これまでも文部科学省の説明では、問題作成者が同じだからと繰り返すばかりで、異なる日程の試験の難易度が同等である保証は何も示されていません。
難易度が同等化されていない異なる3つの試験セット、2つは共通テスト、1つは何とセンター試験の予備問題を流用するという話でありますが、この得点自体の合計点を並べて上位から合格者を決めるというのは、不合理で不公平であります。
そうした不合理で不公平な入試制度を文部科学省はごり押しをするんでしょうか。
共通テスト日程を分けたことによる不合理、不公平は正すべきであります。
特に、第1日程と第2日程のテストが仮に似ていれば似ているほど、後から行われる日程を受けた人の方が有利になるんではないかと言われますし、テストの内容が違えば違うほど、当然、同じテストの基準として比べることはできないというのが当たり前であります。
このように、どっちを受けても、じゃ、受けた方の内容の簡単、難しいの運、不運に任せるような仕組みに受験生を突っ込ませるのか。
大臣、やはりこれはおかしいですよ。
不利益をこうむらないようにする制度設計になっていません。
この共通テスト、第2日程と第1日程はやはり一本化すべきだと考えますが、大臣、これをやっていただけますか。
○萩生田国務大臣
先生の御指摘の御心配は、省内でもさんざん議論しました。
先ほど申し上げましたように、違う日程で違う試験をやるわけですから、その難易度が全く同じかと聞かれれば、それはどう考えても全く同じ問題はつくれませんし、全く同じ問題を2週間後にやったら、2週間後に受けた人が有利になってしまいますので、難易度の同程度ということは追求させてもらいましたけれども、もちろんそういう課題は、突き詰めていけば御意見はあるというふうに私も思います。
しかしながら、先ほど申し上げたように、何を優先したかといったら、今回学びの機会を奪われてしまった高校生たちが、今、巻き返しを一生懸命しています。
2週間というラストスパートの期間を自分は有効に使いたいという学生はそちらを選ぶこともできるし、もうそうじゃなくて、1も早くこの受験の環境から抜け出したい、第1日程でしっかり試験を受けて、その後1日も早く進学先を決めたいという生徒は第1日程を選ぶこともできるという、受験生の受験機会を最大限確保するということに文科省としては優先を置かせていただいたつもりでございますので、決して強制的にどちらかを受けろということではございません。
それぞれの学生の皆さんのコンディションに合わせて選んでいただくということでございますので、ぜひどちらかを選んでいただいて準備をしていただきたい、こう思っているところでございます。
○城井委員
第1日程は、もともとの1月の16日、17日から1ミリも変わっていないんです。
つまり、学業のおくれへの配慮にはならないんです。
さらに大臣、今回、同じ人がつくっていても、異なる試験を使うことで、その得点の差自体が合格、不合格に影響するぐらいの大きな点差につながるんだということに目を背けてはいけないということを申し上げたいと思います。
きょう、資料を1つお配りしています。
前回のセンター試験の入試のモニター調査結果であります。
受験者が多い科目で見てみますと、例えば地理Bですとか数学Ⅰ・Aですと、地理Bが、本試験と追試験の平均点差が8.57点、数学Ⅰ・Aが8.48点であります。
この数学Ⅰ・Aを例にとりますと、追試験で例えば100人中31番目だった人が、同じ受験集団で本試験を受けたというふうなことで比べますと、順位は50番に下がってしまいます。
全く同等ではないというふうに言わざるを得ません。
また、もう1つ参考に申し上げますと、平成28年の国語のセンターテストのときの本試験と追試験を比べてみました。
200点満点ですが、何と24.64点の差がありました。
テスト理論の専門家による試算によりますと、これは追試験で100人中16番の人が、同じ受験集団で本試験を受けた人と比べると、何と16番から50番に下がってしまうということになります。
これで、結果が違ったときに、では、同じようにやりましたから大丈夫ですという話になるのか。
これは第一段階選抜でも大きくかかわる数字になりますし、合格、不合格にも大きくかかわる数字です。
これまでも、モニター調査結果の資料にも、おおむね同等だというふうなことを言っていますが、実績のあるセンター試験でも、本試験と追試験でこれだけ違うんですよ。
だったら、実績のない共通テストの第1日程と第2日程、同じ人がつくっていても点差が出てくる。
でも、得点調整もない。
そもそも母集団がどうなるかわからないから、得点調整の手段も組めないんですよ、大臣。
だから、申し上げている。
だから、分けることで受験生に負担をかけてはいけない。
学業のおくれのために日程をずらして、確保する発想はわかる。
ならば、せめて、第1日程と第2日程はもう1回統合して、2週間後なり1カ月後なりという形で、ずらしてやるというのが公平で合理的な入試の方法です、大臣。
これを分けたままですと、受験生に運、不運を任せ、そして本人に自己責任を押しつけてしまうことになりますから、これを改めてほしいんです。
第1日程と第2日程の1本化の上での後ろ倒し、ぜひ検討いただきたいんですが、お願いできますか。
○萩生田国務大臣
私は、先生の問題意識を否定するつもりはございませんが、ただ、その論理でいくと、追試そのものが不公平だということにもなりかねません。
例えば、過去の事例、先生が御提出いただいた資料で、追試の方が点数がいいものもあるわけです。
ですから、もう一度申し上げますけれども、今回、このコロナの状況の中で、高校生たちは非常に不安に思っています。
私も当初は、当初の日程じゃなくて、1カ月ぐらいおくらせた方がいいんではないか、もっと言えば、もっとさかのぼれば、この際、就学時期をおくらせた方がいいんじゃないかという思いも持っていたことも皆さんの前でお話ししたぐらいですから、そういう思いがありましたけれども、いろいろな学生さんのコンディションがあるんだと思います。
準備万端の子もいれば、不安で不安で仕方がない子もいるので、選択肢をふやすということでチャレンジをしていただきたいと思っております。
同じ大学の同じ学部であっても、AO入試や推薦で入る方もいらっしゃるわけですから、この2つの試験の難易度が必ず一致するかと言われれば、それは、おっしゃるように、同じ人たちがつくったといっても同じ質問にはなっていないわけですから、結果として、解答率などが変わってくる可能性もあります。
もっと言えば、第1日程は浪人をされた皆さんが積極的に受けることになると思います。
その方たちも、例えばコロナやインフルエンザで受けられない場合は第2日程に移動してくるということになるので、受験生の属性が違いますから、直ちに平均点がどうなるかとかいうことは、ことしの場合はちょっと事情が違うんではないかと思います。
ぜひ、それぞれの意思で第1日程、第2日程を選んでいただいて、ベストを尽くしていただきたいな、そう思っております。
○城井委員
今のままですと、結局、高校生たちは第一日程を選ばざるを得ない、学業のおくれがあっても、日程的に配慮も結局受けられないままに突っ込まざるを得ない。
高校の現場の先生方も、そのように指導せざるを得ないというふうにおっしゃっているんです。
試験を分けて配慮したつもりになっているかもしれませんけれども、それが肝心の受験生に届いていないんだということ、このことを改めて申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わります。
ぜひ、受験生第一の御配慮をもう1回御検討ください。
ありがとうございました。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区