【衆議院本会議】何としても教員の長時間労働の是正を

 

 

2019年11月19日衆議院本会議

 

〇議長(大島理森君)

討論の通告があります。

順次これを許します。

城井崇君。

 

〔城井崇君登壇〕

 

〇城井崇君

国民民主党のきいたかしです。私は立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムを代表して、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案」につきまして、反対の立場から討論を行います。

冒頭、一言申し上げます。

大学入試改革を巡る混乱が続いています。

大学入試共通テストへの英語民間試験導入については成績比較のしくみの欠陥、経済的不公平、地理的不公平、運営上の利益相反など多くの問題を野党から指摘し、文部科学大臣がようやく延期を決断しました。

遅きに失したとはいえ、受験生の大混乱を避けることができました。

一方、国語や数学への記述式問題の導入については、全国の大学の88パーセントで二次試験での記述式問題を導入済みであり共通テストで使う妥当性がないこと、採点を請け負った業者が事前に問題や正答例、採点基準を知る、試験前に採点者に出題傾向が明らかになるという露骨な利益相反・情報漏えいの危険があること、採点未経験の短時間採点アルバイトが混じる等50万人規模の記述式答案を間違いなく採点するのは物理的に無理だということ、自己採点ができず志望校選びがままならないことなど、導入の問題点や弊害を野党からにおいても指摘しています。

 

文部科学大臣、受験生のために、記述式問題導入は中止すべきです。

 

共同会派「立国社」と日本共産党から「記述式問題導入中止法案」を過日衆議院に提出しました。

業者ファーストではなく、受験生ファーストの大学入試にしていくため、この「記述式問題導入中止法案」の成立へ、与野党各議員のご協力を強く求めます。

 

さて、教員の勤務時間の長時間化が深刻となる中、教員が子どもと向き合う時間を確保し、子どもたちに対するきめ細やかな教育を学校の中で実現するため、学校における働き方改革を推進することが重要です。

 

何としても長時間労働の是正を実現せねばなりません。

 

この法律案の二つの柱は、業務時間削減のための上限ガイドラインの指針化、「休日のまとめ取り」を実現するための一年単位の変形労働時間制の導入です。

法案審議を通じて、これらの問題点、懸念点などを丁寧に確認しました。

客観的な勤務時間管理を徹底しながら在校等時間の縮減へ努めていくとの決意が政府から述べられました。

しかし、政府の政策では施行期日の2020年4月1日に全国の公立学校でこの客観的な勤務時間管理が100パーセント導入されるまでは道のりが遠いと言わざるを得ない状況でした。

持ち帰り業務の削減に向けたその時間把握も課題ですが、外形的に把握することは困難でこれまでの調査では在校等時間に含まず、との答弁で持ち帰り業務の常態化への懸念は払拭できていません。

在校等時間の記録は行政文書である旨確認しましたが、地方公務員公務災害補償における障害補償及び遺族補償を受けるべき消滅時効が5年間であることを踏まえる等、その記録と保存に万全を期すべきです。

 

長時間労働の是正に向けた学校における条件整備について、専門スタッフや外部人材の活用も議論となりました。

部活動指導員、スクールサポートスタッフ、学校徴収金の徴収・管理の負担軽減、統合型校務支援システムの活用による負担軽減など、具体的な施策による業務時間削減を目指す旨政府から説明がありました。

しかし、例えば部活動指導員は全国に2割強の学校にしか配置されず、国、都道府県、市町村でそれぞれ3分の1負担するという地方負担もハードルとなって配置が進まない現状も一方で明らかになりました。

このように業務時間削減を目指した政策も学校現場でまちまちの状況となり、業務時間削減がされない学校、業務時間を削減できない教員が出てきてしまいます。

この法律ができても長時間労働が是正されない教員が残ることは大きな問題です。

指針の遵守に罰則が設けられていないことなどもあわせて考えればその実効性には疑問を呈せざるを得ません。

 

一年単位の変形労働時間制の導入についてですが、休日のまとめ取りに限定しての導入だ、その旨を省令に書く、まとめ取りに使うこと以外は考えていない、との大臣答弁でしたが、本来は法律に明記すべきです。

また繁忙期の勤務時間が延長されることで、現在の長時間勤務が追認・黙認されてしまうのではないか、など関係者から不安の声が上がっております。

過労死によりご家族を亡くされたご遺族の方からも過労死事案を増加させかねない、休日のまとめ取りが予定されている夏休み等の長期休業期間まで心身ともにもたないといった強い懸念が示されました。

大臣が言うような教職の魅力向上に資するものであるとは断言できません。

 

36協定同様に学校ごとの労使協定締結、あるいは勤務条件条例主義を念頭に置きながら地公法55条による職員団体との交渉や書面協定が可能との認識から教育委員会・校長と職場代表者の話し合いの場が確保されるべきと私たちから訴えました。

勤務時間の変更は勤務条件にあたり交渉事項だ、との政府答弁はありましたが、少なくとも都道府県の条例ができた場合に学校ごとに教育委員会・校長と職場代表者の話し合いの場を確保するべく省令等で促すべきです。

この法律案は教員の働き方改革の一里塚だという説明が政府与党から繰り返し述べられました。

私たちからすれば一里塚で終わらせてはならない、教職調整額の見直しを含めて給特法の抜本的な見直しは必須である旨訴えてきました。

質疑の中で大臣からは「持ち帰り業務の把握等を含めた2022年度の教員勤務実態調査を行い、それを踏まえて給特法の見直しを行う」旨、文部科学大臣として力強く答弁いただいたことは評価したいと思います。

給特法の抜本的な見直しを行う際には、在校等時間を労働基準法上の労働時間としてしっかり把握し、時間外労働には労働基準法37条に基づく割増賃金を支払うことで、教職調整額のしくみに甘えて改善を怠ってきたサービス残業を撲滅し、労働の正当な対価を実現すべきです。

 

このように精力的に質疑を続け、野党からは更なる法案質疑を求めましたが結果として委員長職権によって委員会採決が行われました。

前向きな質疑が続いただけに残念でなりません。

 

以上、「一里塚」よりも「懸念」が勝る状況にあるとの判断から、共同会派として本法律案に反対することといたしました。

なお、政府に教育現場から指摘があった懸念事項等への対応を立法府の意思として促すべく、附帯決議を付させていただきました。

以上の理由により、本法案に反対することを改めて申し上げ、討論を終わります。

 

衆議院議員 きいたかし 福岡10区