大学入試共通テストの記述式問題の採点体制は信用できない 衆議院議員 きいたかし 福岡10区 (北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)
2019年11月15日 衆議院文部科学委員会
○橘委員長
次に、城井崇君。
○城井委員
国民民主党の城井崇です。
きょうも、大臣に質問を集中してお願いしたいと思います。
よろしくお願いします。
さて、まず大学入試共通テスト、特に記述式問題につきまして質問をと思います。
初鹿委員の質問に関連して、大臣、一点確認をさせてください。
先ほどより議論がありました採点者の研修につきましてですが、採点マニュアル、正答の条件、そして採点基準を研修するわけですが、先ほどのやりとりですと、試験実施前の研修と試験実施後の研修は別物、そこで使う正答の条件や採点基準や採点マニュアルは別物というふうな答弁だったかと思います。
しかし、大臣、仕様書を見ますと、こう書いてあります。本試験及び追再試験の正答条件及び採点基準(試験実施前版)、こういうふうにあるわけです。
つまり、ここで言う正答の条件や採点基準というのは、本試験及び追再試験で使うものを指しているんです。仕様書に書いてある。
しかも、仕様書にはこうあります。試験実施後に採点基準が更新、確定されるとあります。
つまり、試験実施前版から試験実施後版に続けて更新をされていくわけであります。
つながった一つのものが更新されて本番でも使われる、事前の準備のところから本番でも使われるというのが仕様書に書いてあります。
大臣、仕様書に書いてあるこの事実を確認したいんですが、お答えください。
〔委員長退席、馳委員長代理着席〕
○萩生田国務大臣
先ほども答弁したとおりなんですけれども、しかし、仕様書の読み方によっては、私は、先ほど申し上げたように、事前に採点者が試験内容を手に入れてというようなことはないということを申し上げましたけれども、事前研修、正答の条件の考え方、モデル問題を用いた演習を行って本番に向かう、こういう認識でおりますが、今先生が御指摘をされた仕様書の中身について、実際に出題される試験問題が用いられることはないとセンターから聞いておりますけれども、念のため、もう一度この内容については確認をさせていただきます。
○城井委員
私は、内容をはしょったり、あるいは縮めたり、解釈したりして言っているわけではありません。
仕様書に書いてある部分をそのまま申し上げています。
センターのもし説明が違うのであれば、それは仕様書に書いていることとは違うことを説明しているという極めて重大な事態となります。
大臣、午後までに確認して、委員会に報告いただけますでしょうか。
○萩生田国務大臣
ちょっと相手のいることですけれども、最大限努力をさせていただきたいと思います。
○城井委員
お昼の理事懇談会で、この件、しっかり確認した上でなければ審議は前へ進めないというように思いますので、ぜひ理事会でのお取り計らいをお願いしたいと思います。
○馳委員長代理
理事会で協議いたします。
○城井委員
続きまして、大学入試共通テスト、記述式問題の件でもう一点と思います。
先ほど初鹿委員も取り上げられました共同通信での報道、二段階選抜で国語の記述式除外を国公立大学へ要請、文部科学省、こうした報道であります。
これは、大臣、文部科学省にお尋ねをいたしましたら、こういう回答でした。
現在、記述式問題の出題や採点方法について、どのような改善が可能であるか、御指摘の報道の点も含めてさまざまな方策について検討しているところです、こういう答えでした。
これで間違いないですか。
○萩生田国務大臣
そのとおりでございます。
○城井委員
この報道で指摘をされている内容はとても重たいと思っています。
文部科学省に取材をした結果ということで指摘された記述式導入の問題点、例えば、自己採点が難しい、採点ミスも起きやすい、二段階選抜後に何らかの問題が判明すると救済が難しい、自己採点と実際の成績のずれによる混乱を防ぐという、こうした共通テストの記述式導入の問題点は、二段階選抜を用いる国公立大学に限らず、どの大学にとっても懸念材料となるものであります。
二段階選抜で使えないものを、大臣、合格、不合格の最終判断にも使えないじゃないですか。
文部科学省自体も問題だと認めるこうした記述式問題はやはり導入を中止すべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○萩生田国務大臣
昨年度実施したプレテストにおける採点の質や自己採点の採点結果の不一致等の課題を踏まえ、文科省では、本年四月から六月にかけて、国立大学協会、公立大学協会の入試関係委員会の場で、国語の記述式問題の結果を第一段階選抜でどのように活用するかも含め、各大学において慎重に検討いただくよう説明している経緯はございます。
いずれにせよ、入学者選抜の方法は、最終的には各大学が入学者受入れの方針に基づき決定することになりますが、課題は承知の上で日々改善の努力をしていきたいと思っておりますので、現段階、準備を進めさせていただきたいと思っています。
○城井委員
課題は承知でという御答弁でありました。
大臣、課題は承知の上で、国語の記述式除外を国公立に要請を検討しているということは事実だということでよろしいですね。
○萩生田国務大臣
直ちに報道のとおり検討しているということじゃなくて、さまざまな方法を考えておりまして、そういう中の一つとしてこのような、二段階方式で採用しないという報道が出たんだと思います。
御指摘の報道の点も含めて、さまざまな方策について検討してまいります。
○城井委員
含めての検討ということで、やっているということをお認めいただいたと思います。
文部科学省も問題だと認めるような、記述式問題の導入にはそれだけ多くの問題がございますが、もう一点だけお伺いをと思います。
採点体制についてであります。
これまでも当委員会におきまして、採点の業務請負契約及び仕様書などに基づきながら、採点者が何人か、採点会場が幾つか、こういうことをお伺いしてまいりました。
大臣、採点者は何人か、結局まだ聞かせていただいておりませんが、きょうはお聞かせをいただけるでしょうか。
○萩生田国務大臣
大学入学共通テストの記述式問題採点の業務請負契約については、一般競争入札、総合評価落札方式において契約が締結されたものです。
各年度の金額の詳細については、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律に基づき、落札者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものと判断されることから、不開示としております。ただし、各年度の事業内容は、令和元年度については、高等学校の協力を得て採点過程を検証し、一連のプロセスを改善するための準備事業、次年度の準備事業、令和二年度以降は、当該年度の採点関連業務、次年度の準備業務とされております。
採点者、採点監督者の人数は、今後、センターと採点事業者で協議の上最終決定することとなっており、賃金等の待遇については、契約金額を前提として採点事業者の判断で決定することとなります。採点会場数については、試験実施上の機密事項であることから、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○城井委員
こうした会場数ですとか人数の点について、今お答えをいただけませんでした。
このあたりがわからなければ、では、必要な会場数を満たしているのか、採点者や採点監督者の人数その賃金の待遇のよしあしなど、国会として確認をすることができません。
記述式問題導入にたえ得る体制が組めているのかということを、行政監視が届きません。
これで認めろというのは余りにも暴論だというふうに考えます。
更に加えて、十一月十三日の文部科学委員会の質疑で私から示しました、採点請負業者のアルバイト募集の件であります。
大臣は、実績があるからあそこを選んだというふうな趣旨の答弁をされましたが、あれはあくまでも模擬試験であります。
しかも、その模擬試験の丸つけをしている人たちがあのようなアルバイト募集でやっているという、この、日ごろからあのような募集形態をとっているということだけでも、厳密な公正さや専門性が求められる公的試験の採点を委託することは、はっきり言って不適切だというふうに言わざるを得ません。
やはり中止しかないというふうに思いますが、このアルバイト募集が不適切だったという点について、大臣、確認いただけましたか。
○萩生田国務大臣
十一月十三日の衆議院の文部科学委員会において城井先生から御指摘のあった二〇一九年度高校生テスト研修採点スタッフ募集について株式会社学力評価研究機構に確認をしましたところ、同社に既に登録している方に対し、大学入学共通テストの準備事業の採点に係る研修について案内するものとのことでした。
準備事業については、仕様書において、採点者の選抜方法及び必要人数については、センターと事前に協議すること、センターと事前に協議した上で、採点者及び採点監督者に必要な研修プログラムを編成し、採点開始日までに事前研修を完了することとされています。
このことに関して、センター及び学力評価研究機構に確認したところ、現時点において協議は調っていないとのことであり、今後、採点者の選抜及び研修の実施までに協議を調えていただく必要がありますが、本事業に求められている信頼性に鑑みると、募集の段階からセンターと十分な協議が望まれたところであり、このような状態で準備事業の採点者の募集が始められていることは遺憾であります。
今後、学力評価研究機構において、採点者の選抜及び研修の実施がなされるものと承知していますが、その前に、センターとの間で研修の内容及び採点者の選抜方法について協議を調えていただき、適切に業務を実施していただきたいと考えております。
○城井委員
今大臣から御説明いただいた募集の部分については、経験者一千八十円、新人一千七十円、そして、高校のテストでの採点の経験がなくても、小学校、中学校の部分があれば経験者と数える、こうしたいいかげんな、そこにしか、どんな人を募集していますかということが限定できない内容であったという極めてずさんな状況でもありました。
さらには、今回の請負業者の募集では、先日御指摘を申し上げた、短時間でさくっと稼ぎたい方というところだけが問題だったのではありません。
未経験者大歓迎、年齢、経験不問であります。
問題になりません。
こういうことでやっている人たちが募集した形のところで、今ほど、チェックするみたいな話をおっしゃっていましたけれども、とてもじゃないけれども信用しがたいということは、改めて申し上げておきたいというふうに思います。
アルバイトの募集を請負業者がやっているこの問題だけでもひどいんですが、大臣……(発言する者あり)
○馳委員長代理
不規則発言は謹んでください。
○城井委員
質問を続けます。
大臣、未経験者歓迎、年齢、経験不問、これでいいんでしょうか。
○萩生田国務大臣
ごめんなさい、さっきまとめてお答えすればよかったんですけれども、先生から十三日に二つの募集のことについて質問がありまして、まさに準備事業にこういう人たちを呼んでいいのかというのは今私が説明した人たちで、いわゆるさくっとという募集については、この事業とは全く関係ない採点の仕事だというふうに確認をしました。
今回の件とはかかわりはありません。
○城井委員
大臣、御指摘申し上げたのはそこではありません。
今お答えいただいた二つ目のさくっとの採点アルバイトのところは、日ごろそのようにして集めている業者が信用できないということを申し上げているんです。
そのようにして登録のアルバイトを集めているんです。
そういう業者を信用できないということを申し上げているんです。
大臣、この点は問題だということは共有できますね。
お答えください。
○萩生田国務大臣
いろいろな段階の採点業務というのはきっとあるんだと思います。
初めてやる方でも臨むことができるものもあれば、一定の能力がなければできないものもあると思います。
我々が今求めているのは、まさに能力の高い採点者でありまして、大学入学の共通テストの記述式問題採点に係る学力評価研究機構との業務請負契約については、一般競争入札の枠組みのもと、大学入試センターに設置された外部委員を含む評価委員会の審議を経て、価格のみならず、過去の実績、採点者の確保及び研修の実施、採点の体制、採点者の質の向上、採点の正確性の向上、セキュリティー対策等計十二項目から成る総合的な観点から高い評価を得て選定されたものでありますので、きちんとそれにふさわしい人たちが選ばれてくるというふうに期待をしております。
○城井委員
この請負業者の登録アルバイトのところは、先ほど大臣がおっしゃったような質の高いというところにはならないんです。
採点基準の作成補助すら未経験者大歓迎、年齢、経験不問とありまして、短時間でさくっとなわけであります。
こうした業者の日ごろの姿勢に、大臣、目を向けていただかなきゃなりません。
このようなアルバイトの募集状況に加えて、もう一点、きょうは確認したいというふうに思います。
業務請負契約第十二条には、再委託の余地があります。業務請負業者は、業務の全部又は一部を第三者に委託してはならないと本来は書いてあるんです。
ところが、後半が大事。
書面により事前に大学入試センターの承認を得た場合はこの限りではないとの記述です。
まり、条件付であるじゃないかという話であります。
大臣、アルバイトを含む採点者の確保について、株式会社学力評価研究機構は、機構自体でのアルバイト募集、先ほどのようなものに加えて、記述式問題の採点者による採点処理を再委託、アウトソーシングするのか、再委託の有無について確認をしたいと思います。再委託する場合の詳細もあわせて聞かせてください。
例えば、試験運営のアウトソーシングについての最大手、株式会社全国試験運営センターへの再委託があるかないか、お答えください。
○萩生田国務大臣
業務請負契約書の第十二条においては、業務の全部又は一部を第三者に委託してはならない、ただし、書面により事前に甲、これは大学入試センターでありますけれども、承認を得た場合はこの限りでないとしていますが、採点処理の再委託を行うことはないと承知しています。
さらに、お尋ねの株式会社全国試験運営センターへの再委託も行うことはないというふうに確認をしております。
ちなみに、採点事業者が業務の再委託を行う場合は、事前に大学入試センターにおいて再委託の必要性及び範囲を適切に精査するものと考えております。
〔馳委員長代理退席、委員長着席〕
○城井委員
では、関連して、採点処理以外で再委託、アウトソーシングする部分はあるか、する場合の再委託先はどこか、受け付け業務や事務局業務の受託、試験実施、試験に使用する印刷物の企画、印刷、配送などが想定されますが、この点がいかがかということと、大臣、あわせて、準備事業について、株式会社学力評価研究機構は業務の再委託を行っているか、ある場合の詳細も含めてお聞かせください。
○萩生田国務大臣
先生から御指摘のあった受け付け業務、事務局の業務、試験実施、試験に使用する印刷物の企画、印刷、配送業務については、株式会社学力評価研究機構との契約には含まれておらず、大学入試センターが大学と共同で実施する予定としております。
なお、現在実施している準備事業においては、データ送信のためのネットワークの構築、サーバー等の機器の設置、システム開発などの再委託を予定しており、大学入試センターにおいては、現在、再委託の必要性及び範囲の精査を実施した上で、再委託の承認に関する内部手続を行っているところと承知をしております。
来年度の大学入学共通テストについても、準備事業と同様に、特殊な領域、分野の専門性が必要な部分については、高度な専門性を有する他の事業者と機密保持契約を締結した上で、再委託を実施する余地はあると承知をしております。
再委託先につきまして、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律に基づき、業者の権利、競争上の地位、その他正当な利益を害するおそれがあるものと判断していることから、不開示としております。
○城井委員
では、今ほどお答えいただいた内容で改めての確認ですが、この記述式問題の採点業務については、株式会社学力評価研究機構が独力で集めた採点者のみで行う。
例えば、単発の派遣などを充てるということはないということでよろしいですね。
○萩生田国務大臣
そのとおり認識しております。
○城井委員
記述式問題の件は、改めてまた集中的一般質疑などでもさせていただきたいと思いますので、本日の議題、給特法の改正案の質疑に入りたいと思います。
(後略)
衆議院議員 きいたかし 福岡10区