文化庁の京都移転、我が国の文化発信を担う「クールジャパン」の推進、加計学園問題について 衆議院議員 きいたかし 福岡10区 (北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

 

 

2018年5月23日衆議院文部科学委員会

○冨岡委員長 次に、城井崇君。

○城井委員 国民民主党の城井崇です。 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。 文部科学省設置法の一部を改正する法律案を中心に、文部科学大臣並びに経済産業副大臣に御質問申し上げます。よろしくお願いいたします。 まず、文部科学省設置法の一部改正案から御質問申し上げます。 きょうの質疑では、大きく二つ確認をしたいと思っています。一つは、このたびの京都への全面移転で、その効果、成果というのはいかがかという、その部分を明確にすること。そしてもう一つは、施設、組織、人員、そして事務内容、こうしたものが変化をするわけですが、行政改革に逆行することがないか、この点についても確認をさせていただきたいというふうに思っています。 後半での質問でございますので、ほかの委員からの質疑もございました。その内容を深掘りする部分もあろうかと思いますので、大臣、どうぞよろしくお願いいたします。 まず、そもそもの部分からお伺いをいたします。そもそも、文化庁の京都への全面移転は、具体的にどういう効果が我が国にもたらされるかとい うこと。歴史や文化にゆかりの深い京都に移転ということでは、イメージでは理解をするんですが、きょうの答弁ですと、例えば、地方創生あるいは文化発信の強化といった意義や移転理由の説明もございました。ただ、先ほどからのやりとりでもございましたが、現在でもやれるし、やるべき仕事だというところが随分含まれております。新規に追加をされる部分が純粋にどこかというところをきちんと確認をしたいというふうに思います。 きょうの大臣答弁では、その部分はどこかといいますと、答えは一つ、東京一極集中の是正、ここ以外ないかなというふうに感じております。そのほかの部分は、今でもやっておかなきゃいけないし、もし足りなかったり手を抜いているようじゃ困る内容ばかりだというふうに思いまして、この点を含めて、大臣、京都への全面移転、この効果というところ、ぜひ御見解をお伺いしたいんですが、お願いします。

○林国務大臣 文化庁の京都移転につきましては、初めて中央省庁が地方へ移転するという意味で、今、城井先生からお話がありましたように、東京一極集中の是正、地方創生などへの期待、これはもちろんあるわけでございますが、文化財が豊かで伝統的な文化が蓄積した京都への移転によって、やはり文化財を活用した観光振興、観光客向けの効果的な文化発信、生活文化の振興に関する企画立案能力の向上、ひいてはこうした先進的な取組の全国的波及という効果があると考えております。 昨年四月に、地方文化創生本部ということで、先行移転を京都にしておりまして、私も京都出張の折に少し見てまいりましたけれども、ここでは、伝統文化親子教室とか歴史文化基本構想の策定支援、こういった事業を実施するとともに、地元の自治体や関係機関の皆さんとのネットワーク構築へ向けた取組。これは、東京ですと大きいんですね、なかなか一堂に会するということができないんですが、京都ですと、何とかの団体というと非常にすっと財界も文化関係者も集まれる。そういうことを現地の人間が言っておられましたが、そういうネットワーク構築等に向けた取組を行うことを通じて、地方自治体のニーズや文化庁施策へ の意見をこれまで以上に把握できるようになった。 それから、関係者との日常的な意見交換。顔見知りになりますので、そういったところから、地方の知見とかノウハウ等を生かした連携協力を進める環境が生まれてきている、こういう効果が上がってきているというふうに考えております。

○城井委員 ありがとうございます。 土地柄や規模感といったところの特徴を生かしながらというふうに答弁を伺いました。 ぜひ、後づけで理由をつけたというふうに言われないようにしっかり頑張っていただければと思います。 そこに絡んで、もう一点伺います。 今回の法律案では、文化に関する施策の総合的な推進ということで、文部科学省、そして文化庁の任務拡大を行うということでございますけれども、この成果をどのように見込んでいるかということ、先ほどからの例示の部分と重なるんでしたら、そういうことだというふうにおっしゃっていただければと思いますが、お願いします。

○林国務大臣 今回の法改正は、文化芸術振興基本法の一部を改正する法律、この附則の第二条を踏まえまして、文化庁の機能強化に向けて、各府省庁の文化関連施策の調整機能を果たして、総合的、戦略的な文化行政を推進するためのものでございます。 本改正によって、文化庁がこれまで所掌してきました文化振興にとどまらずに、各府省庁とともに、観光や町づくり、国際交流、福祉、教育産業、こういった関連分野との有機的な連携を図っていくなど、我が国の文化行政の中核的な役割を果たすことができると考えております。 例えば、国土交通省、観光庁と連携して文化財等の観光資源としての魅力向上を図る、農林水産省と連携して地域の食のブランド化を図ったりするなど、文化庁だけでは困難な事業に積極的に取り組むことができると考えております。 こうした、文化庁が直接担当する文化施策のみならず、各府省庁の文化関連施策との連携を一層深めていくことで、各施策の相乗効果、それから好循環の創出が期待できると考えております。

○城井委員 ぜひ相乗効果、期待したいというふうに思います。 その上で、意思決定プロセスについて、一点確認をいたしたいと思います。 新しい文化庁が、政策決定過程において、文部科学省の関係がどうなるか。先ほどの議論にもございました、京都と東京の二カ所の業務になりますと、その意思決定プロセスがどういうふうに変わっていくか。先ほどの御答弁からは、意思疎通を密にしていくというふうな御趣旨の話もございましたけれども、逆に、分けてしまうことでその意思決定プロセスや業務の効率化に逆行することがないかという点を懸念いたしますが、この点はいかがでしょうか。

○林国務大臣 文化庁の勤務地自体は東京と京都、二カ所に分かれますが、文化庁という組織としては一つでございますので、意思決定プロセスとしては、これまでと同様に、文化庁の長官のもとで、法令等にのっとり手続が進められるということでございます。 こうしたことから、文化庁内のプロセスも、それから文化庁と文部科学省との関係もこれまでと変わらないところでございます。 ただ、先生おっしゃるように、やはり大半が京都に移転するということになりますので、京都の部署と東京の部署の間での意思疎通がとりにくくなるおそれ、こういう指摘もあるところでございますので、業務の効率的な運営とか、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、テレビ会議などのICTの活用等によりまして、円滑な意思決定の実現に努めてまいりたいと思っております。

○城井委員 続きまして、省内の事務体制と職員配置の部分で一つ伺おうと思います。 総定員はふえるということ、そして割合は京都と東京で七対三ということで、これまでも伺ってまいりました。実際的には、全体としては国の職員がふえていくという傾向かというふうに理解をしております。 この新たな体制を組んでいくに当たりまして、人件費の負担がどうなるかということを確認をいたしたいというふうに思っております。人件費をふやし過ぎない工夫があるかどうかを含めて、この人件費の部分、大臣、お答えいただけますか。

○林国務大臣 京都への移転を見据えまして、文化政策の総合的な推進に向けた機能強化を図るため、新文化庁の総定員は約二百五十人の組織体制を整備するとともに、今、城井先生から触れていただきましたように、おおむね京都七、東京三の配分割合で配置の検討を進めておるところでございます。 また、新体制としては、新規増員、それから定員振りかえ等により、本年度二十二人の増員を図って、文化施策の対象拡大や文化芸術活動の基盤充実等の新たな役割を担う予定でございます。 本年十月に発足する新体制における増員分の人件費としては、約五千万円を見込んでおるところでございます。 ○城井委員 今ほどお答えいただいた人件費増額分も含めてでございますが、京都、東京の二カ所での業務となりますと、文化庁予算全体でも変更、追加の部分が出てくるというふうに思っています。 今の人件費の部分を含めてということになろうかと思いますが、そのほかにも、具体的な予算の変更や、特に費用増が見込まれる部分があろうかと思いますが、その部分を具体的におっしゃっていただけますか。その理由も含めて御説明願います。

○林国務大臣 この文化庁の移転については、平成二十九年四月に先行移転として京都に地域文化創生本部を設置したところでございますが、文化庁の施策については、予算上は京都と東京で分かれておらず、あくまで文化庁として一本の予算であり、本格移転後も同様でございます。 京都と東京の二カ所の業務体制となるということによりまして、予算上は、事務所の借料とか、二カ所の間の連携をとるための出張旅費、通信運搬費等の増が新たに見込まれるところでございます。先行移転に係る予算はこれらの新規増要因から成るものであり、平成三十年度には約一億円を計上しておりますが、本格移転に係る最終的な予算の総額等については、現時点ではまだ未定でございます。

○城井委員 総額はこれからということでございましたので、ぜひ、業務費用を抑える工夫についても目配りをお願いしたいというふうに思います。 続いて、京都移転後の事務所イメージについて確認をさせてください。 先行移転と、そして本格移転という二段階になるというふうに承知をいたしております。そのスケジュールとともに、これらにかかわる費用見込みについてもここで確認をしたいと思います。 きょうの質疑では、与党の議員の方から、巨大な政府委員室というふうな発言もございました。そうなりますと、今後のランニングコストということも大事になってくるというふうに思います。ハード面の支出抑制の具体的な工夫があるかということも含めて、この点、お答えをいただけますか。

○林国務大臣 先ほども申し上げましたように、地域文化創生本部を先行移転として二十九年四月に京都に設置しておりますが、現時点ではこの組織が本格移転までの間継続をするというふうに想定をしております。また、本格移転については、京都府が京都市などの協力を得て庁舎整備の設計工事を着実に進めた後、遅くとも二〇二一年度中を目指すこととされているわけでございます。 なお、本格移転が完了いたしますと、地域文化創生本部は新文化庁へ吸収されて、その業務はそのまま引き継がれる予定になっております。 先行移転に係る費用として、平成三十年度予算では、先ほど申し上げましたように約一億円を計上しておりますが、本格移転に係る最終的な費用の総額は、先ほど申し上げましたように、まだ現時点では未定でございます。 本格移転が円滑に進みますように、京都府、京都市、それから関係省庁など関係方面と連携協力しながら、着実に準備を進めてまいりたいと思っております。

○城井委員 東京に残る、総定員からいうと約三割の人員の人たちがおられるところ、今の文化庁の部分だと思いますが、これがまさか巨大な政府委員室になるというふうなことにはならないと思いますが、そのあたりの事務体制、その施設の場所の体制の縮小の仕方というところは考えながら進めていただけますか。

○林国務大臣 しっかりと効率的にスペースを使うようにということで、もとよりこれは所管の制度官庁の財務省等とも折衝しなければなりませんので、余りにもすかすかのところがあるということはよもやないとは思いますけれども、移転後も、こういうスペースが効率的にしっかりと使われるように心配りをしていきたいと思っております。

○城井委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。 続きまして、先ほど同僚委員からも、芸術に関する教育に関する事務を文化庁に移管する点についての御質問がございましたけれども、これに先行して、平成二十七年に文部科学省設置法の一部改正がございました。体育及び保健教育に関する事務を文部科学省本省からスポーツ庁へ移管したということでございました。これを移した後、何年かになりますけれども、これによってもたらされた具体的な成果について、例示を含めて、大臣、お話をいただけますか。

○林国務大臣 スポーツ庁の創設でございますが、旧スポーツ・青少年局、これが所管をしておりました学校体育の振興等に加えて、新たにスポーツを通じた健康増進とか地域経済活性化等も含めて、スポーツ施策を総合的に推進できる体制というのが構築されたわけでございます。 これによりまして、学校の保健体育の充実に関するスポーツ団体との連携が進むなど、スポーツ立国の実現に向けた取組、着実に進んできているところでございます。具体的には、例えば、公益財団法人の全日本柔道連盟とか、一般財団法人の全日本剣道連盟等において、武道の授業内容の充実を図るための指導参考資料を作成する、こういった取組とか、水泳の安全指導の観点から、公益財団法人の日本水泳連盟と連携した安全対策の取組を進める、こういった例など、スポーツと教育の施策の一体的、効果的な推進が図られてきておるところでございます。

○城井委員 続きまして、博物館について何点か伺おうと思います。 通告の部分を二問まとめてお伺いしたいと思います。 博物館に関する事務の所管を一括化するというのが本法律案でございます。今後の取組をどのようにしていくかということ、特に、その場合に、博物館行政の効率化を目指してという部分があろうかと思いますけれども、その点の具体的な効果を含めて、大臣から見解をお伺いしたいと思います。

○林国務大臣 現行の制度では、博物館法も含めた博物館全般に関することは文部科学省本省が所管をしておりますが、博物館のうちで約八割を占めている美術館と歴史に関する博物館については文化施設ということで、文化庁において所管をしておるところでございます。 本法案におきまして、博物館全般に関する所管を文部科学省本省から文化庁に移管することといたしまして、博物館に関する行政をより一体的に推進していく体制を整備することとしております。 この法案による事務の移管を機に、さまざまな分野の博物館の間の連携とか、学芸員の資質の向上、文化振興や観光の拠点としての博物館施設への支援等を通じて、博物館全体のさらなる振興を推進してまいりたいというふうに思っております。 また、事務の所管を一括化して効率化する、こういうことでございますが、博物館全体の約八割を占める美術館、歴史博物館を文化庁で、それ以外の自然系の博物館、これが文科省の所管であったということで、今般の設置法改正によりこうした二元体制を解消して、博物館全般の振興策について文化庁が一元的な窓口になるわけでございますので、こういったことがいいチャンスとなって行政の効率化が一層図られ、更に博物館全般の振興施策が図られるということを進めてまいりたいと思っております。

○城井委員 博物館でもう一点伺おうと思います。 博物館は、今ほどありましたように、文化施設としての機能を持つ博物館の部分と、そして社会教育のための施設としての位置づけと、両方がございました。今回、それが所管が一つになることで、この両方の機能を今後担っていくという形になっていくわけですが、これまで文化庁の所管にはなかった社会教育施設としての機能確保の部分についていかに図っていくかという点について、大臣、具体的に確保策をお答えいただけますか。

○林国務大臣 この法案によりまして博物館に関する業務は文化庁に一元化されることになるわけですが、社会教育として位置づけられている博物館の役割とか業務には変更はないわけでございます。また、博物館行政は一義的には文化庁が担当することになるわけですが、社会教育行政を所管する生涯学習政策局と密接に連携、協力しながら、博物館の社会教育施設としての機能確保を図ってまいりたいと思っております。

○城井委員 続きまして、我が国の文化発信を担うクールジャパンの推進について、文部科学省と経済産業省にお伺いしたいというふうに思います。 まず、平成三十年五月十八日に、クールジャパンの推進に関する政策評価の結果に基づく勧告が総務省より行われました。勧告先は、農林水産省、経済産業省とともに文部科学省も含まれております。 文部科学省に対する勧告で指摘をされた問題点が何か、今後の改善点を含めて、大臣、お答えいただけますか。

○林国務大臣 先般、総務省が実施をいたしましたクールジャパンの推進に関する政策評価、この結果、文化庁が実施をしております文化交流使の派遣というのがございますが、この事業について、日本の文化芸術の発信に積極的に貢献している、その一方で、更に戦略的に進めるための方策を検討し検討結果を同事業に反映する必要がある、こういう勧告が出されました。 同事業は、芸術家等を文化交流使に指名して、世界各地で自身の専門分野におけるさまざまな文化活動を行うことを通じて日本文化を世界に発信する、これを目的としておるところでございます。 今回の勧告も踏まえて、上記の事業目的を達するために、対日理解の醸成というのが目的だったんですが、それに加えまして、インバウンド観光の促進の観点、それを見たら、やはり日本に行ってみたいなと思ってもらう、そのことがインバウンド観光の促進になる、こういう観点も盛り込みながら、文化交流使の派遣地域、分野について御指摘を受けて、戦略的に進めていきたいと考えております。

○城井委員 総務省からの指摘は、ヨーロッパに偏り過ぎているよ、こういうことを含めて具体的な御指摘があったというふうに思っています。ぜひ、戦略的な見直しをお願いしたいというふうに思います。この政策評価では、全体の評価としては相当程度クールジャパンは推進できている、進展しているという格好をとっておりますけれども、勧告事項に見られるところを確認していきますと、かなりひどい部分が多いということであります。ここでは、この政策にかかわる国の統治事業の損失が著しい部分について指摘をしたいと思います。 例えばということで、経済産業省が主導して産業革新機構が一〇〇%出資した映画会社、オールニッポン・エンタテインメントワークスは、映画七作品の企画、開発を打ち上げておりましたけれども、何と一本も映画制作に至ることなく、二〇一七年五月、ベンチャーキャピタルに三千四百万円で法人売却されました。産業革新機構がこの法人に投資しておりましたのは二十二億二千万円。 二十二億二千万円もかけておいて、三千四百万円で法人売却されているというあほらしい状況になっておりまして、つまり、この出資したほぼ全額が損失したという形になっているというふうに聞いております。副大臣、これは事実でしょうか。

○武藤副大臣 先ほどの総務省の勧告とはちょっと違う話ですけれども、先生御指摘のとおり、株式会社オールニッポン・エンタテインメントワークス、これは、産業革新機構の出資決定により平成二十三年の十月に設立をされた会社でありまして、御指摘のとおり、平成二十九年五月に、フューチャーベンチャーキャピタル株式会社に対して、株式会社オールニッポン・エンタテインメントワークスの全株式を三千四百万で売却する決定がなされたものと承知をしております。

○城井委員 この映画会社、今三千四百万円での身売りということで副大臣からもお答えいただきましたが、このオールニッポン・エンタテインメントワークスの身売り先の新会社でありますが、所在地も人員も旧法人の業務執行体制を引き継いでいただけという状況になっているというふうに聞いておりますが、副大臣、これも事実でしょうか。

○武藤副大臣 御指摘のとおりであります。 ちょっとこれは話がややこしいんですけれども、フューチャーベンチャーキャピタル株式会社は、昨年十一月、株式会社オールニッポン・エンタテインメントワークスと所在地や代表者が同じANEWホールディングスにマネジメント・バイアウトを行ったと承知をしております。 産業革新機構が全ての株式を売却した後の話になりますが、発生した民間企業間における取引であるために、実際の人員構成などは、その詳細については我々は承知をしておりません。

○城井委員 もう一点だけ指摘をさせてください。 この映画会社、六年間の総売上高が一千五百万円だったにもかかわらず、外国人の幹部に一回のボーナスで二千万円も支払っていたというのは事実でしょうか。

○武藤副大臣 経済産業省といたしましては、産業革新機構の投資先の個社における誰に幾らの報酬を支払っていたか等の詳細については承知をしておりません。

○城井委員 副大臣、ここで私から申し上げたいのは、経済産業省が主導して産業革新機構が二十二億二千万円もクールジャパンの推進のために費やしたはずの税金が、予定の事業が行えなかった上に、投資を浪費して、その上で法人を売り逃げしたというのが問題だということを申し上げています。明らかに目的に反しており、そして税金が浪費をされた、こうした事業への投資について、責任を明確にして、損失分を取り戻す取組をやるべきだというふうに考えます。 今後の取扱いについて、副大臣、明確に御答弁をお願いいたします。

○武藤副大臣 先生、お答えします。 産業革新機構は、民間ファンドがリスクをとりにくい案件を中心に投資を行っております。個別の投資が失敗に終わったからといって、直ちに投資が不適切であったということにはならないというふうに考えております。 機構の投資については、リスクの程度等が異なるさまざまな案件の組合せで全体としての収益を確保することを目指しておりまして、平成三十年、ことしの一月末現在で投資額の二・二倍の回収を行っておるところであります。機構全体の収支はプラスを維持しておりまして、また、個別案件の成功確率を上げていくためにも、先生御指摘のとおりだと思います、御懸念がいろいろあると思いますが、重要な課題と認識しておりまして、機構においては、ベンチャー投資に関し、目きき能力の強化やハンズオン支援の充実などに努めてきているものと承知をしております。 産業革新機構においては今後とも適切な投資が行われていくように、先生また御指摘のとおり、経済産業省としてもしっかり指導してまいりたいと思っています。

○城井委員 副大臣、産業革新機構の運営全体のところと今の個別案件のところを取りまぜてもらっては困るというのが今のお話かと思います。 産業革新機構は、リスクをとりながら投資をして、そして、全体としてプラスを出すべく努力をしているというところは私も理解をしているんです。ただ、その中で、今回のように、事業もせず、仕事もせずに二十二億円を半ば浪費して逃げてしまうという、これでいいのかということを申し上げているわけです。こういうものを見逃していると、目きき以前の話になってきます。事業の執行状況をチェックせずに、じゃ、見逃すんですかということになってしまいます。もう一回お願いします。

○武藤副大臣 先生御指摘のとおり、公的資金を活用している以上、適切な運用は不可欠だというふうに承知をしております。この点、出資は、融資のように損失分を取り戻 すような仕組みを用いて資金供給をするものではなくて、出資者がリスクを負う性質のものだというふうに、御指摘のような仕組みは今のところありません。 そして、もちろん、仮に投資先に、今のお話のように、違法行為等があれば、産業革新機構が不当な損害をこうむった場合には、損害を最小化して回収を最大化するという観点から、法的措置を含めて必要な対応がとられるものと承知をしております。

○城井委員 副大臣、そこは適切な運用をきちんとチェックしてほしいわけです。 林大臣、今聞いていただいたと思いますが、文化の発信にかかわるところで、文化の発信を名目にして食い物にするようなことがあってはならぬというふうに思うんですね。 その部分を、今たまたま経済産業省が所管をする部分での出資の話でしたけれども、そこを、文化を所管する大臣として、そうしたものが食い物にされないようにきちんと見ておくという必要があるというふうに思うんですが、今のお話を、答弁を聞いていただいて、大臣、御所見をぜひ伺いたいと思うんですが。

○林国務大臣 今の案件、今初めてここで聞きましたので詳細に全部把握をしておるわけではございませが、副大臣から御答弁があったように、しっかりと手続を踏んでやっていかなければならないし、違法なものがあればという御言及がありましたけれども、やはり、よかれと思っていろいろなところに投資をして、結果としてうまくいかなかったということと、最初から、何か、そういうことじゃなくて、違法行為的に、だまそうと思っていたというところはしっかり区別をして、本当に文化のためにやっていこう、日本のクールジャパンのためにやっていこうという方のための施策でなくてはならないということが原則であろうというふうに思っております。

○城井委員 このクールジャパンにかかわる案件で、今申した映画会社だけではなくて、そもそもがビジネスモデルとして成り立たないのにお金をつぎ込んでいたとか、応援する必要がなくて、既に海外展開をしていて、地域でのローカライズもできている、できるだけの能力があるのに、そこにあえて政府からの出資が行っていたというふうな形で、不適切な案件が山ほどあります。また別の機会に御指摘をというふうに思いますけれども、この点、ぜひ各省におかれましても確認をいただきたいということをお願いしたいと思います。 最後に、加計学園問題について幾つか確認をさせてください。 平成二十七年四月二日の首相官邸における面会の件であります。 平成三十年五月二十一日に愛媛県より参議院予算委員会に提出されました文書において、面談結果の概要メモなど、新しい事実内容が確認をされました。この新しい文書の中で文部科学省にかかわる記述は、私の調べでは十一カ所ありました。文部科学省から出向していた参事官の言動の記載もあります。 新事実が確認された以上、これを踏まえて、大臣、これまで文部科学省におけるこの面会の事実確認にかかわる調査で、範囲に入れていなかった関係部署の個人ファイル及び個人フォルダへの調査、そしてもう一つ、これまでの調査範囲に入っていなかった係長未満の職員に対する調査を行うべきであります。 本日、大臣から別の委員への答弁でございました追加の聞き取り調査でも、今申した二つの点は範囲外でございまして、調査不十分でございます。大臣、この点、やっていただけますね。御答弁をお願いします。

○林国務大臣 この平成二十七年の四月二日に愛媛県等が官邸を訪問したとされていることに関する文部科学省への事前連絡等の有無等につきましては、関係者からの聞き取りを行うとともに、関係部局が行政文書として保有している共有ファイル及び共有フォルダも確認をしております。 この確認作業においては、関係部局において、共有ファイル及び共有フォルダを探索するとともに、関係者に対するヒアリングにおきまして、文書を見たことがあるか、又は共有したことがあるかなどと確認することを通じまして、共有ファイルであるか個人ファイルとを問わず、当該文書の存否そのものを確認する作業を行っておるところでございます。 また、係長より下の職員からは聞き取りを行いませんでしたが、特区における獣医学部の設置に関する事項について係長より下の職員が何らかの情報に接した場合においても、一定の責任を負っている課長補佐又は係長が同様の情報に接していないことはないと考えられるわけでございますので、したがって、これまでも丁寧かつ詳細に確認をしておりまして、必要な範囲について確認作業を十分に行ったと認識をしているところでございます。

○城井委員 大臣、個人フォルダ及び個人ファイルの件ですが、聞き取りはしているがという話でしたが、実物の確認がまだなんです。ですのでこれを申し上げています。係長未満の職員の方々についても、所持をしている可能性があるということを確認いたしたいんです。 これまでにも、内閣府や農林水産省でも同様に、この愛媛県文書の存否の確認という作業を含めて行ってきておりますけれども、両省とも職員への確認はいたしております。個人フォルダ及び個人ファイルの確認もいたしております。 そうした中で、文部科学省だけ、この個人ファイルと個人フォルダの確認がなく、そして係長未満の職員の確認もなく来ているんです。これだと、調べ上げましたというふうに言えないというのが、他省との比較があってもこの状況だということをお伝えしたいと思います。 さらに、きょうの文部科学委員会理事会で、野党側の理事から複数申し上げましたけれども、当時文部科学省から出向されておりました角田元参事官による文部科学省本省への報告についての有無ということについても、きちんと確認をしたいということを再三申し上げ、きょうの理事会の場でも申し上げてきたわけでありますけれども、この点の確認にもつながる部分だというふうに思っています。 きょう、先ほど少し触れられておりました愛媛県からの新文書の中でも、この角田元参事官の発言の部分もございました。こうしたものの裏づけを事実確認として行っていく意味でも、この調査というものは必要だというふうに思っておりますが、まず、大臣、この角田元参事官による文部科学省本省への出向時の報告の有無について、大臣から御明言をいただきたいというふうに思いますけれども、お願いいたします。

○林国務大臣 今回、愛媛県から参議院予算委員会に提出された文書に関しまして、愛媛県提出の文書に記載のある平成二十七年四月前後の柳瀬総理秘書官と加計学園等関係者の面会につきましては、これまで、内閣官房からの指示によりまして、文部科学省において、当時文部科学省から内閣官房に出向していた職員への聞き取りを行ってきたことを踏まえて、補足的確認事項ということで追加の聞き取りを行っております。 その結果、当該文書を見て現時点で思い出した記憶について、今回の文書を見て思い出したことはなく、明確な記憶はない、そういう回答であったというふうに聞いております。 また、その後の報告でございますかね。その後の報告等を要するに文科省の方にしたかということについても、記憶はないということだったということでございます。

○城井委員 今ほどの御答弁の中でもありましたけれども、当時出向していた角田元参事官による文部科学省本省への報告の有無についての確認、いま一度調査を行っていただきたいというふうに思いますが、大臣、お願いできますか。ここを超えられないと、この文部科学省設置法の改正案の採決にも、理事会での議論にも影響するおそれが極めて大きい状況にございますので、この点、ぜひ御配慮いただいて、御答弁いただきたいと思いますが、お願いいたします。

○林国務大臣 先ほど申し上げたように、五月十日、柳瀬参考人の参考人質疑がございましたが、四月二日とされる面会に同席していたかということは、この参考人の質疑の後で確認をしております。先ほど申し上げたのは、その次のとき、この愛媛県の文書が出たときということですが、そのときに、明確な記憶がないが、柳瀬参考人の答弁の内容を踏まえれば同席していたのではないかと思うと。それから、面会の内容については、三年前の話であり明確に覚えていないと。面会の内容に関するメモ等はつくっていないと思うし、残ってもいない。面会後、ここでございますが、文部科学省に連絡をしたかについては、明確に覚えていないが、連絡しなかったのではないかと思う。そういう回答を得ておるところでございます。

○城井委員 追加の調査の部分とこの報告の有無のところと、明確にお答えいただけないのがとても残念でありますが、最後に一点だけ確認をと思います。 先ほど、櫻井委員の質疑で委員長から御指示がありました、内閣の統一見解の提出について、大臣、御対応いただけるということでよろしいでしょうか。

○林国務大臣 委員長から御指示がございましたので、持ち帰らせていただきたいと思います。

○城井委員 大臣、これはぜひお答えをいただかなければなりません。内閣不一致の有無を確認する内容でございますので、総理大臣が言っていることと文部科学大臣が言っていることでは異なるということでは、野党側の我々からすると、そこは認めがたいということになります。 委員長からの貴重な御指示をいただいたという部分も大変重たいというふうに思っておりますので、この重い、委員長からの御指示を踏まえたということでの御対応をぜひお願いしたいというふうに思います。 というところで、私の時間が終わりということでありますので、質疑、以上とさせていただきます。 ありがとうございました。

衆議院議員 きいたかし 福岡10区