内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム第2期事業 の「名ばかり公募」のやり直しについて 衆議院議員 きいたかし 福岡10区 (北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

 

2018年5月11日 衆議院文部科学委員会

 

○冨岡委員長

次に、城井崇君。

 

○城井委員

国民民主党の城井崇です。

本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。早速質問に入らせていただきます。

本日は、戦略的イノベーション創造プログラム第二期事業についての質問から始めたいと思います。

内閣府の担当事業でございますが、文部科学省も深くかかわっておりますので、関係省庁も含めて政務三役の皆様にきょうは御質問申し上げたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

お手元に資料をお配りしております。ごらんください。

一枚目が、このプログラムの概要です。

二枚目が、このプログラムによって選ばれた課題と、そしてプログラムディレクターです。

三つ目が、このプログラムに関する問題についての報道の一例でございます。

四枚目が、この選ばれる過程で各省庁がどのようにかかわったかというものを示す図でございますので、参考いただきながら、ごらんいただけたらというふうに思います。

このプログラムの事業は、公募の研究と称しておりました。

しかし、事前に、各省庁との協力も通じてということでありますが、プログラムディレクター、そしてそこにかかわる課題の候補者というものを事前に決めておりました。

しかも、各課題の詳しい状況を伝えて、応募を促しておりました。

最終的に十二の課題ということになりましたけれども、このうち十の課題で候補者がそのまま選ばれ、うち九つの課題は何と応募した候補者が一人しかおりませんでした。

この事業はかなり多額の税金が使われます。

補正予算での枠組みでございましたが、当面使われるだけでも三百二十五億円という多額の税金が使われます。

最終的に使われる税金の総額は一千五百億円規模にもなります。

これだけの大きな事業でございますが、募集は何とわずか二週間、しかも、ホームページ掲載のみの募集でございました。

広く声をかけましたよねと内閣府の担当の方にも伺いましたが、実際には一者しか声をかけていないというところが大半でございました。

お手元の資料の四枚目が、各省庁に呼びかけをお願いして、プログラムディレクターをやっていただけませんかとお声がけをした数、幾つございましたか、各者に声がけした状況の実際の数字でございました。二とか三とかはまだわかる、一って何でしょうかという話であります。

公募は形ばかりであります。

中立性も公平性もありません。

中央省庁の都合の候補者が選ばれる仕組みになっています。

公募と名乗るのも大変恥ずかしい状況だと思っております。

内容自体はいいんです。

せっかくの前向きな取組が本当に台なしだというふうに思っています。

募集と選考をやり直すべきだと思っています。

きょうは内閣府から副大臣にお越しいただきました。

副大臣、これはおかしい、見直しが必要だと思います。

御答弁をお願いします。

 

○あかま副大臣

今、城井委員の方から御質問のございましたSIP第二期のプログラム、これの選定、選考という話でございます。

この戦略的イノベーション創造プログラムでございますが、府省連携が必須要件というふうなことでございますので、この課題選定に当たっては、十八の課題候補をまず選んだ上で、当初段階から関係省庁を巻き込む、そうした観点から、それぞれにおいて中心的に検討を進める省庁を決めて、当該省庁を中心に、関連する省庁を含めた府省横断的な検討チームを構成し、検討を行ってきたところでございます。

この際でございますけれども、各課題の検討に当たっては、課題内容の検討を行うだけではなく、プログラムディレクターになり得る人材の検討もあわせて行ってもらうことといたしました。

そのことでございますけれども、まず、プログラムディレクターには関係省庁や産業界を束ねる相当程度の能力が求められることから、検討チームにおいてそのような人物を積極的に発掘をしてもらうということも期待したということでございます。

あわせてですけれども、SIPは産官学連携のプロジェクトでございますから、各省庁のみの検討におさまることなく、広く産業界等からも意見を聞きながら内容を検討してもらう必要があり、その一環として、プログラムディレクターになり得る人材の意見も聞きながら検討を進めてもらうこと、こうしたことを期待したということ、これによるものでございます。

長くなりますけれども、これらの検討を経て、最終的には、お話ございましたとおり、十八課題候補のうち十二課題を第二期の課題として選定をし、プログラムディレクター公募を行いました。

これらの全体の検討の進め方についてでございますけれども、プレス等の、対外的にも公表しながら進めてきたところではございます。

結果としてでございますが、検討チームで発掘された人物も応募されたところでございますが、それ以外の方からも応募があり、公正に審査をした結果、選定した十一課題のうち、プログラムディレクターになり得る人材は十名となり、残りの一課題は再公募となったというところでございます。

 

○城井委員

ホームページに二週間掲示、では公表というのは、少々無理があるというふうに思います。

今、副大臣から御答弁ありましたように、今回の件は、広く各省庁と連携しながら積極的に発掘をしていくことを期待しているということでありましたし、広く募るはずであります。その意味では、複数者による公募というところが大前提であるというふうに考えますけれども、この点はそういうことで間違いないですね。

 

○あかま副大臣

今御答弁しましたとおり、まず、プログラムディレクターというのは産業界を束ねる相当程度の能力ということが求められるということで、そうした人物を積極的に発掘すること、これが必要だというふうに思っております。

その上では、より多く、また複数ということが望ましいというふうにも考えます。

 

○城井委員

複数者に当たるのは当然だと思います。

発掘ですから、可能性の追求ですから、一人で終わるという話にはならないというのは当然だと思います。

さて、この事業ですが、内閣府から各省庁への協力も得ていたということでございます。

先ほどの表のとおりであります。

プログラムディレクター候補への打診状況、先ほどのペーパーのように確認をいたしました。

文部科学大臣、科学技術分野で文部科学省もプログラムディレクターの候補者選びなどにかかわっておりました。

例えば、材料開発基盤分野の統合型材料開発システムによるマテリアル革命という課題で、このプログラムディレクター候補の打診を文部科学省とも相談しながら行ったということであります。

ところが、打診はたったの一名、そして応募もその一名、そして選定された課題もそのプログラムディレクターのかかわる候補者ということになっております。

大臣、これは文部科学省もこの名ばかり公募の片棒を担がされてしまっています。

意識的じゃないと思います。

これはおかしいと思いますので、この名ばかり公募の片棒を担がされているという点も含めて、発掘と言いながら、文部科学省の協力した部分でも、結局、役所都合の一者しか選ばれていない。

この状況について、大臣、どうお考えですか。

 

○林国務大臣

昨年末ですが、内閣府で、材料開発基盤分野、これが第二期SIPの課題の候補として選定されたことを受けまして、内閣府において、内閣府及び当省の材料分野担当者を中心とする検討チームが編成をされまして、当該テーマに係るさまざまな検討が行われてきたと承知をしております。

内閣府のこのチームでは、PD候補についても検討が行われたと当省の担当者からも聞いておるところでございます。

一方で、第二期SIPとしての最終的な課題設定、それからPD、プログラムディレクターの選定においては文科省は関与をしておりませんで、当省としてはお答えする立場にないと考えております。

 

○城井委員

ということは、大臣、今私が御指摘した部分は内閣府が段取りをしたという理解でよろしかったでしょうか。

 

○林国務大臣

今お答えしたとおり、我が省からも材料分野担当者を中心に検討チームが編成をされておりまして、その当該チームでPD候補についても検討は行われたということでございますが、最終的にこのプログラムディレクターを選定するというところは我々は関与していない、こういうことでございます。

 

○城井委員

協力をしたということ、最終決定は内閣府ということで理解をいたしました。

さて、その当の内閣府もひどい状況になっております。

内閣府が打診をし最終的に決定したとされる、サイバー空間基盤技術分野のビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術という課題、そしてフィジカル空間基盤技術分野のフィジカル領域デジタルデータ処理基盤技術という課題、そして防災・減災分野の国家レジリエンス(防災・減災)の強化という課題、そして海洋分野の革新的深海資源調査技術という課題も、公募だったにもかかわらず、結局、プログラムディレクター候補の打診は一名、応募も一名、選定された課題もそのプログラムディレクターにかかわる候補者でございました。お手盛りそのものであります。

内閣府の副大臣、これ、おかしいですよね。

やはり改めるべきだと思いますが、見解をお願いします。

 

○あかま副大臣

お答えいたします。

戦略的イノベーション創造プログラムでございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたとおり、府省連携のプログラムでございますため、第二期においては、課題ごとに府省横断的な検討チームを組成することといたしまして、内閣府からは、関連する分野の参事官等が参画した上で、課題の内容とともに、プログラムディレクターになり得る人材について検討を行ってきたところでございます。

御指摘の四課題についてでございますけれども、これらに関連するそれぞれの検討チーム等において幅広く検討したものの、プログラム全体を掌握するリーダーとして適切な人材を複数名発掘することができず、結果として一名にとどまることになったというふうに聞いております。

また、応募に当たっては、より幅広い人材からの応募を期待していたところでございますが、こもまた結果としてそれぞれ一名の応募にとどまったこと、これはまことに残念でございますが、内閣府としては、より多くの方々から応募いただける状況をつくること、これが望ましいということは理解をしております。

そして、再公募となった一課題についてでございますけれども、これについては、より長く応募期間をとり、あわせて、内閣府や関係の研究開発法人のウエブサイトに募集を掲載するのみならず、関連学会にも学会関係者への情報提供の協力を求めました。そうした改善等を行ったことによって、一つのポストに対して五名の応募というものがございました。

そうしたことを踏まえると、今後もより適切な公募が行われるよう、改善というもの、工夫というものをしてまいらなければならないというふうに思っております。

以上です。

 

○城井委員

ホームページだけの掲示で、情報提供も打診も来なければ応募のしようがないというのが応募する側の受けとめだというふうに思います。

今のお話は、役所の都合が随分過ぎるというふうに思います。副大臣、そこはよくよくお考えいただきたいと思います。

さらに、総務省も残念ながら巻き込まれておりました。

総務省が打診したとされる、セキュリティー分野の、IoT社会に対応したサイバーフィジカルセキュリティーという課題も、公募だったにもかかわらず、やはりプログラムディレクター候補の打診は一名、応募も一名、そして、選定された課題も、そのプログラムディレクターがかかわる候補者でした。

ここでも、公平性も中立性もありません。

総務省、きょうは大臣政務官にお越しいただきました。

この点、やはりおかしいと思うんですが、改めていただけませんか。

見解をお願いします。

 

○小林大臣政務官

委員御指摘の点ですけれども、先ほど林文科大臣がお話をされた立場と総務省は同じでありまして、タスクフォースが設置をされるわけですが、その下のサブタスクフォースに我々は入って、そこで何をテーマにするのか、候補者として誰を推薦するのかというような形で上げるわけであります。

ですから、その点についてはかかわっているんですが、まさに最終的なPDの選定のところは、これは内閣府がしっかり適切に実施されているものと承知しておりまして、結果として、この分野ですぐれた研究成果を上げている方がPDとして選定されたというふうに認識をしております。

 

○城井委員

大臣政務官、当初の打診の段階で一名になっているというところは、経済産業省側が扱いましたか、それとも、そこも内閣府、検討した上で内閣府が打診から当たりましたか。どちらですか。

 

○小林大臣政務官

この打診については、うちから、総務省からであります。

これはかなり専門性の高い分野で、セキュリティーだけを研究していれば候補者になるかというとそうではなくて、やはりプログラム全体をマネジメントできるかどうかという観点でいい方をというふうに、推薦をするならばこの方でしょうと。

これは一般的な感覚として、推薦しますよというときには、一応、推薦しますからねというふうに御本人に確認をしておくというのは、全く意向がない方を推薦するというのも、その後の選定で全く出てこないという、本人に確認するというのは通例上あるかなというふうに思います。そのような過程で打診をしているということであります。

 

○城井委員

推薦となって、一名となりますと、公募になってこないというのが実際かというふうに思います。

さて、もう一点お伺いをと思います。経済産業省についても触れざるを得ません。

経済産業省の部分では、エネルギー・環境分野の脱炭素社会実現のためのエネルギーシステムという課題、これも、公募だったにもかかわらず、プログラムディレクター候補の打診は一名、応募も一名、選定課題も、プログラムディレクターにかかわる候補者でございました。

一体どうなっているんでしょうか。

これもやはり打診はかかわったという理解でよろしいでしょうか。

副大臣、お願いします。

 

○西銘副大臣

委員御指摘のように、リーダーが内閣府で、サブリーダーが、経産省のエネルギー・環境分野の方が検討チームにかかわっております。

その意味では、エネルギー・環境分野の推薦にかかわっているという意味では、経産省の担当者が接触をしたと承知をしております。

いずれにしましても、内閣府でこれは全体を所管しているものでありますから、内閣府で適切に処理をしたものと理解をしております。

 

○城井委員

今、るる各省庁で、特に一名の打診、一名の応募、一名の決定という一番極端なケースだけを取り上げさせていただきましたが、そのほかの分野でも数は少ないというのが実際だというふうに思っております。

先ほど、あかま副大臣さんからは、今後の内閣府の取組として、今後の公募のあり方についてはという御発言もございましたけれども、問題は今回の分です。

今回の分がこれから五年は続くということになります。

そういたしますと、ここ以降の部分が、そうした不適切で、中立性がなく、公平性もないプロセスで選ばれてしまった今回の各課題のプログラムディレクター及びそこにかかわるチームの皆さんが走るということになってしまいます。

これでは、行政の取組として正当性が失われた状況が続いてしまいます。

選考とそして決定をもう一度やるべきだ。応募と選考、もう一回やり直すべきだ。

しっかりとした、公募と名乗るならば、それにふさわしい形、もし公募でやらないということにしても、じゃ、随意契約でやるのかという場合にも、そのやり方は、きちんと、広く情報は公開をされて、説明責任が果たせる形にすべきというふうに思いますけれども、この公募と選考、やり直すべきだ。先ほどからの話ですと、やはり最終的な決定のところは内閣府がかかわったということが各省庁からの話からも明らかになっておりますので、副大臣、ここは見直すということを一言おっしゃっていただけますか。

 

○あかま副大臣

内閣府といたしまして、今回の募集の結果でございますけれども、プログラムディレクターの役割というものを果たすという中で、適切な経験と能力を有している方を選定できたというふうに判断をしており、募集、さらには選定というものをやり直すということは考えておりません。

ただ、先ほど申し上げましたとおり、今後における公募、今のような指摘というものがございますので、今後の公募について、周知の期間の長期化であるとか、さらには複数人材への打診である

とか、情報提供の内容、また手段の拡充、そうしたこと、さらに全体としてのプロセスの透明化ということをしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。以上です。

 

○城井委員

今後の公募を含めた取組の改善については、今おっしゃっていただいた方向でぜひお願いしたいというふうに思いますが、今回の部分は、補正予算で組まれた予算だけで終わる話ではないというのを私は申し上げているわけであります。

選ばれた候補者がだめだと言っているわけではありません。

選ばれた候補者の取組や内容について、だめ出しをしているわけではありません。

申し上げているのは、そこが選ばれるに当たるその公募のやり方、決定の方法、そこでの裏づけが乏しい、効率性や中立性に乏しいということを申し上げているわけであります。

これから幾ら税金を使うか、副大臣も御存じですよね。全部で一千五百億円規模だと思っています。

これから使う金額の規模、税金の規模の見込み、副大臣、おっしゃっていただけますか。

 

○あかま副大臣

今年度という……(城井委員「総額」と呼ぶ)五年間の、今、約一千五百五億円という数字、これで間違いありません。

 

○城井委員

ということなんであります。

約一千五百億円規模での税金を今後も投入していく事業に当たって、入り口の段階で選び方に瑕疵があった。

公募と言っておきながら、複数者の打診もなければ応募もないというのがこれだけ多数にわたっている中で、今後、その一千五百億円規模の税金を投入していくというだけの正当性は乏しいと思います。

もう一回お伺いします。

この公募、選考、やり直していただけませんか。

 

○あかま副大臣

今回の募集の結果選ばれたPDでございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたとおり、適切な経験、また能力を有している方、そうした方々を選定できたと判断しており、今回について、募集、また選考というものをやり直すというふうな考え方はございません。

 

○城井委員

それでは、それだけの税金が、一千五百億円という税金が使われるに当たって、複数者に当たらずに名ばかりの公募でやったということをお認めになるということでよろしいんでしょうか。

 

○あかま副大臣

委員もう恐らく御承知であろうかと思いますけれども、複数者に当たった省庁、また、探したが一人しか打診できなかったところ、さらには、各省庁から当たった、しかし、その方々が、じゃ、PDになり得る人材だという中で上がってきた、しかし、審査結果等を通じて、結果的には、そこは打診したにもかかわらず選ばれなかったというようなプログラムもございます。

その意味でいえば、公募という形についてはしっかりプロセスを経たというふうに思っております。

 

○城井委員

副大臣、プログラムディレクターの選定の部分もおかしかったというふうに申し上げておりますが、ホームページで二週間の公表で、募集、しっかり広く声をかけましたという、最終的な候補者、課題に対する候補者の募集をする、そのプロセスも適切だったか、中立的で公平であったかといったときに、その情報が一部の人しか行っていなかったというのが実態だったわけです。

この点を踏まえて今見直しを申し上げているわけでありますが、広く声もかけられていなかったということも含めて見直しを申し上げたいと思いますが、この点、もう一回お願いします。

 

○あかま副大臣

今回の募集と選考をやり直す、また見直す、再度やるということは考えておりません。

 

○城井委員

質疑時間が終わりましたのでこれで終わりたいと思いますが、この点、見直しを強く申し上げて質問を終わりたいと思います。

ありがとうございました。

 

衆議院議員 きいたかし 福岡10区