新型コロナウイルスの影響を受けた子どもの学びの保障「オンライン教育迅速化支援について」 衆議院議員 きいたかし 福岡10区 (北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)
2020年5月15日 衆議院文部科学委員会
(新型コロナウイルスの影響を受けた子どもの学びの保障「オンライン教育迅速化支援について」)
○城井委員
続きまして、オンライン教育の導入迅速化の支援についてお伺いいたします。
休校継続の場合の最低限の環境整備であります。
この間、直近二つの補正予算などでGIGAスクール構想を進め、1人1台端末、学校への高速大容量回線の整備を全ての学校で全ての児童生徒対象に行えるだけの予算を準備したというのは前進だと考えています。
ただ、この間も大臣とも議論をさせていただきましたが、端末自体の整備が思うように進んでいないというのは変わっていないと思っています。
ベンダーロックイン問題で自治体調達が高額化をして調達そのものがおくれる、また、新型コロナの影響で中国の工場がとまり、端末の製造もおくれるという状況があるからであります。
高速大容量の回線の整備も、業者は限られているなどとして、おくれているというふうにも聞きます。
端末と回線がそろえば最低限のインフラが整います。
調達の迅速化と調達価格の適正化のためには、今進めている県ごとの共同調達や一括購入も含めてですが、こうしたことを促すために、共同調達のECシステムを導入することを提案したいというふうに思います。
このことによって、調達の取りまとめや、そして文部科学省による金額チェックもしやすいと考えます。
大臣、いかがでしょうか。
○萩生田国務大臣
学校において、ICTの活用により子供たちの学びを保障することは極めて重要です。
御提案の調達の迅速化に関しては、文科省として、これまでも都道府県に対して共同調達の実施を奨励してきたところですが、これに加えて、今後随時、各自治体の調達状況を調査、把握しつつ、ICT教育アドバイザー事業等を通じ、自治体へのサポートを進めてまいりたいと思います。
共同調達ECシステムというのは、イメージとして、ちょっとどういうものだか、私もイメージが湧かないんですけれども、確かに、自治体任せにしておいたのではなかなか、選択する能力もそれぞれ千差万別ですし、共同購入するスケールメリットというのはありますから、今回はそれを業者の皆さんにもお願いしています。
先生が御指摘いただいたように、今まで海外のいわゆるインフラがとまっていましたので、これはせっかく予算を積んでも物がなければ話にならないので、これも、一定のきちんとした標準を保つものであって、ある程度金額の似たものであれば、これは責任を持って購入するということをメーカーにも私の責任でお願いをさせていただいて、生産の再稼働を今始めていただきました。
そういう中で、いろいろな知恵を絞りながら、自治体のみならず、メーカーの皆さんや業界の皆さんにも御協力いただいて、円滑な供給に向けて必要な働きかけを行ってまいりたいと思います。
ECシステムというのは、済みません、どういうのか、ちょっと逆に説明していただければ私も助かるので、お願いできればと思います。
○城井委員
インターネット上で、民間の商業サイトなどで行われていて、そこに、例えば各自治体から注文があったときに、その数が積み重なってくる、その数がまとまると共同調達がスタートするというふうな形なんですが、また改めて文部科学省には説明に参りたいと思いますので、よろしくお願いします。
もう一つ提案をしたいと思います。
この間の取組で、ここが重点的な支援が必要だという点があります。公立高校であります。
端末や回線整備の追加的支援が足りないという声があります。
ただ、高校生の場合には、多くがスマートフォンを持っているという回答をしたデータも民間の個別指導塾の調査でもございました。
ですので、いわゆるBYOD、私物端末の利用ということと、そして、これまで進めてきた学校端末貸与を、あわせて使う、併用することによって、高校における端末準備は現実的にやれるのではないかというふうに思っています。
こうしたことを踏まえまして、高校における回線整備の支援とBYOD、端末貸与の併用を迅速に行うべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○萩生田国務大臣
高等学校においても学校における円滑な高速通信ネットワークの整備は不可欠であり、今回のGIGAスクール構想の実現における補正予算では、高等学校も高速通信ネットワーク整備の補助対象とさせていただきました。
端末につきましては、個人の端末の持込み、BYODを進めている高等学校の事例もふえていることなどを踏まえ、国としての補助は行っておりませんが、高等学校においても3人に1台分の学校のICT環境の整備のための地方財政措置は引き続き講じているところでございます。
なお、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した自治体による整備も可能となっております。
現在、コロナウイルス感染症対策として、家庭で所有している端末の活用を含め、さまざまな取組を進めているところですが、BYODの検討のためにも、まずはGIGAスクール構想によるICT環境の早期実現を進め、学校でのICT活用が当たり前である社会をつくり上げることが前提と考えております。
先生も御指摘いただきましたように、いろいろな調査で若干数字は違うんですけれども、間違いなく高校生は9割以上、もっといえば97とか98%が何らかの自分の専用のスマートフォンなどの端末を持っておりますので、今回この事態が生じたときにも、大手キャリア三メーカーには、25歳以下のギガ数を50までふやしていただいて、学校での動画授業などが見られるような環境もつくってまいりましたし、また、学校のみならず、御自宅にある端末も使えるようにWifiのルーターの貸出しなども今回の補正でも更に追加をしていきたいと思っておりまして、BYOD、大いに活用しながら、高校生の学びの保障というものを、努力を我々もサポートしていきたいと思っています。
○城井委員
今あるものを活用していくということを文部科学省も促しているという点は、先日の、5月の11日に行われた動画上での説明会の映像を私も拝見しましたので、その気合いは理解をするところであります。
ただ、その一方で、個人の持ち出しで新たに対応しなきゃいけないところが多いようですと、その話だと気合いが空回りするというふうに思います。
例えば、オンライン教育に関する非常勤講師の負担についてでありますが、新型コロナの影響で、大学や高専等での遠隔授業において、多くの非常勤講師が必要な機材を個人の持ち出しで対応しているという声が私のもとにもたくさん届いています。
このたびの補正予算には、遠隔授業を行うための機器整備費が計上されています。非常勤講師を含む教員個人に過度の負担を強いることがないように、大臣として、大学や関係部局に改めて周知徹底をするべきだと考えます。
大臣、いかがでしょうか。
○萩生田国務大臣
現在、遠隔授業を行っている大学や高専においては、非常勤講師を含め教員の方々がさまざまな工夫を行うことにより、学生に必要な学習機会が確保されるよう努めていただいているところと承知をしております。
一方で、各大学等における遠隔授業の実施に当たっては、御指摘のとおり、非常勤講師を含む教員個人に過度の負担を強いることのないよう御配慮いただくことが重要と考えています。
遠隔授業の実施に必要なカメラや音声機器などの機材については、各大学等において既存の設備を使用、活用することや、必要に応じて教員への貸出しを行うことが考えられるところ、文科省としては、先般成立した補正予算を活用し、大学等におけるカメラや音声機器等の機器整備等に取り組んでまいります。
また、こうした各大学等の設備の活用や学内の遠隔授業推進部門等によるサポートなど、教員の負担に配慮した取組について、文科省から各大学等に対して周知をし、各大学等における取組を促してまいりたいと考えています。
○城井委員
続きまして、学習内容の整備についても、オンライン教育について伺います。
この点は、民間教育産業に頼る部分が大きい状況ではないかと思っています。
突然の学校休校の発表の後に文科省から示されたのは、ポータルサイトの紹介でした。
しかし、学習の細かな指導は家庭に任される形になってしまいました。家庭での学びは濃淡があります。
学びの格差につながるのではないかという心配も出ています。
一方、民間教育サービスのIDやパスワードを学校ごとに配って対応する自治体も出てきました。
民間サービスにも優秀な取組は多いと思いますが、ただ、学校教育と受験指導を峻別する観点から、確認が必要な部分もあると考えます。
学習指導要領に基づく指導内容や体系といった基準、民間サービスの講師の教員免許保有状況といった民間の取組内容を国としてチェックをする仕組みを文部科学省は早急につくるべきだと考えます。
この民間サービスと学習指導要領との整合性とを早期にチェックすることについて、大臣、やっていただけますでしょうか。
○萩生田国務大臣
臨時休業中の児童生徒の学びの保障について、文科省としては、児童生徒の学習に著しいおくれが生じることのないよう、各学校において家庭学習を適切に課すよう、各教育委員会や学校等に依頼をしているところですが、その際に、各学校の判断で民間教育産業の作成する教材等を活用することも考えられます。
文科省としても、各学校の検討に資するよう、児童生徒や保護者が自宅等において無償で利用できる教材や動画等を紹介する子供の学び応援サイトを開設しておりますが、その中には民間企業等が提供する無償のコンテンツも一部含まれており、文部科学省において内容の確認の上、各教科等ごとに整理してお示しをしております。
一方で、文科省は、学校現場における民間教育産業の取組のよしあしを個別に取り上げ、評価する立場にはなく、御指摘の民間の取組内容をチェックする仕組みを設けることは適切ではないと考えています。
文科省としては、引き続き、子供の学び応援サイトの充実などを含め、各自治体とも緊密に連携しながら児童生徒の学習に対する支援に努めてまいりたいと思います。
○城井委員
大臣、なぜ私がこの提案をしているかと申しますと、対面指導ではない形で一定授業などを進めなきゃいけなくなってきて、それが、いずれは成績評価などにつなげなければならない場面が来たときに、その内容が仮に民間サービスのものに由来したものであったときに、そこに国の目が全く届かないままで成績評価などにつなげるわけにはいかないのではないかと考えるからこそ、対面指導とオンライン教育とを併用していくことを前提に、そうした内容については目を配るべきだという趣旨で申し上げたわけです。
そういった点を考慮しながらで、この点、お取組を検討いただけませんか。
○萩生田国務大臣
先ほどもちょっと答弁しましたけれども、無料のコンテンツで、民間企業が提供するコンテンツを紹介する場合には、一定内容を確認の上、各教科ごとに整理をして公開をしているんですけれども、仮に先生御指摘のような民間の教育産業が行っている中身が、それぞれの自治体あるいは学校の判断で、それを、じゃ、使いましょうねとなったときには、やはりそれは設置者、あるいは使うという判断をした学校で、その中身については判断をいただくことが適切じゃないかと思うんです。
それを、先回りして、世の中に出ている民間の教育産業のものを全て文科省があらかじめチェックをして、これは学校現場で使っていいですよ、これは使わない方がいいですよというわけにもいかないので、そこは現場の先生たちと。
まず、今回のこういう取組というのは初めてのことですから、いろいろ走りながら考えなきゃならないこともあると思うので、問題意識はよく理解していますので、ぜひその辺は、誰かがどこかでちゃんとチェックしておかないと、大きな穴があいたり違う方向に行ったりするということを多分先生心配されているんだと思うので、そこは、直接文科省がというわけじゃないですけれども、問題意識を受けとめさせていただいて、いろいろ現場できめの細かい対応をしたいと思います。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区