衆議院決算行政監視委員会第2分科会で質疑に立ちました 衆議院議員 きいたかし 福岡10区 (北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)
4月6日、衆議院決算行政監視委員会第2分科会で質疑に立ちました。以下、やり取りの概要です。長いのでお時間のある時に。議事録出来次第アップします。答弁はすべて萩生田文部科学大臣です。
1. 新型コロナウイルス対策について
(きいたかし)
特に、4月1日に出された学校再開ガイドラインの改訂通知について。急激な感染拡大がみられる地域は休校継続、との方針を国が示したのか。「感染拡大警戒地域」とは現時点で具体的にはどの地域か。「感染拡大警戒地域」であっても、条件が整えば学校再開させるのか。その条件は何か。「感染拡大警戒地域」は原則休校を継続させるべき。
(萩生田文部科学大臣)
感染拡大警戒地域に当たるかは自治体の判断だが、専門家からは東京、大阪。学校再開は生活圏内での感染の実態を見ながら。
(きいたかし)
緊急事態宣言が出された場合、学校再開ガイドラインを見直す場合あるか。自治体に改めて指導・助言をするか。学習指導員の追加配置など支援拡充必要。
(萩生田大臣)
緊急事態宣言発令の場合学校施設の閉鎖ありうる。その点で学校休業続くケースありうる。今のガイドラインで大部分包含できる。休業長期化した場合の支援策を考えねば。学習支援に新たなガイドラインも。加配なども通じて違うフェイズで義務教育を支える。
(きいたかし)
学校再開時の感染防止対策について。学校再開ガイドラインにおいていわゆる「3密」を避けるためという名目でマスク着用が半ば義務化されている。しかし、手作りマスク、布マスクは肝心の感染防止効果が極めて限定的。学校再開を認めるなら国の責任で効果の高い感染防止対策、例えば、学校などにおけるマスク購入支援や衛生環境の改善支援などを行うべき。
(萩生田大臣)
マスクの購入など文部科学省も努力。今の時点は布マスクが精一杯。国を挙げて支援。
(きいたかし)
各国の入国制限措置に伴い苦境に陥る日本人留学生支援について。まず、この間お願いした奨学金継続の迅速対応に御礼。一方、自費滞在、自費帰国の支援は政府サイドでは費用工面に苦心しているようだが、資力に乏しい学生は自力で何ともならず自己責任だと言って放置はできない。公共交通使用禁止については何らか移動方法の明示を、2週間の待機場所については参議院予算委員会にて大臣が言及した「代々木のオリンピックセンター」や東京都知事も言及した「準備中の新しい選手村の活用」など含め具体的に検討・提示をすべき。
(萩生田大臣)
帰国後の待機場所の確保、検討中。代々木のオリンピックセンターは検討したが空港からの移動が非現実的。もう少し近い場所で確保しつつある。学生に寄り添って対応。
(きいたかし)
羽田空港の検疫では2週間の待機場所も見つからず、公共交通での移動もできない人が空港に足止めされ、なすすべもなく座り込んでいる、との情報も。対応を急いでいただくよう再度お願いします。
2. 高大接続改革の見直し検討会議について
(きいたかし)
まず、この検討会議、メンバーに推進派が多いのではないか。委員の過去の発言を調査したが、推進を意見表明している委員の方が慎重な意見の委員よりも3倍以上の数だ。(ちなみに数は推進10名、慎重3名、不明6名)これでは公平な議論の場とはいいがたい。しかも過去の政策決定にかかわる会議にも参加していた人が今回の検討会議の場に入っているのは議論の客観性に疑念をもたらすと考える。
(萩生田大臣)
様々な立場の委員から率直なご意見。過去の政策にとらわれないご指摘。リセットして、色付けをしないで議論いただく。
(きいたかし)
そもそも、メンバーに数学教育、英語教育の専門家が各々1名しか入っていないのはなぜか。国の共通テストの在り方の議論なのに、教育測定学やテスト理論の専門家は両方とも入っていません。これでは検討会議の結論の信ぴょう性が下がる。今からでも追加すべき。
(萩生田大臣)
外国制度や入試制度に詳しい人に入ってもらった。
(きいたかし)
利益相談問題、検討会議のメンバーに「自分自身は試験にかかわる民間業者とはつながりがない」ということをそれぞれ表明してもらうことであらぬ疑念を払しょくできると考える。無関係を表明できない方には外れてもらうべき。これらの点を踏まえ、以下の内容を検討会議で申し合わせることを提案したい。
① 過去に民間業者と会食、金品の受領、有料の講演。原稿依頼などを受けたことがあれば、その事実を検討会議にて公表する。
② 検討会議の結論が出るまで民間業者とは一切接触しない。
③ やむなく接触する場合には、事前に検討会議の場で示し、事後にその具体的内容を報告する。
大臣、検討の公正性の担保のため、申し合わせを。
(萩生田大臣)
会議メンバー就任依頼の際に特定の方向性を前提としないなど見直しの趣旨を踏まえていただいた。議論でも過去の政策にとらわれない指摘をいただいており、懸念は当たらない。
3. 高等教育の修学支援に穴が開いている件について
(きいたかし)
今年2020年4月から始まる高等教育の修学支援について、低所得世帯向けの授業料免除や給付型奨学金が法制化されたことは評価できる。その一方で令和2年度の新入生からは前年度の入学生が受けることができた授業料の減額免除を受けられないケースが出てくることになった。特に法制化されなかった年収380万円を超えて500万から600万円当たりの家庭の子どもたちは受験真っ最中の時期に経済的な壁をいきなり与えられてしまう厳しい状況になった。
文部科学省資料によれば、現行の免除者数は約9万5千人(平成30年度後期実績)である。今年2020年4月入学の大学1年生に当てはめてみると、このうち現行の授業料免除と新制度での免除が同じ人(住民税非課税世帯の学生)が4千人。現行の授業料免除より新制度での免除の方が金額が大きくなる人(住民税非課税世帯の学生か住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生)が500人、未申請か不採択だったが新制度で免除を受ける人(住民税非課税世帯の学生か住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生)が1千人。つまり、新たに恩恵を受けるのは1千500人。一方、現行の授業料免除より新制度の方が支援が減ることとなる人(住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生かそれ以上の年収の世帯の学生)は5千人にものぼると推計される。内訳は、支援額が減少する人数が2千人、支援を受けられなくなる人数が3千人。つまり、1千人が新制度による恩恵を新たに受ける一方で、本来受けられたはずの5千人が支援を取り上げられる状況。支援を取り上げられる5千人が従来通りの授業料免除を受けられるように国が責任もって措置すべき。
(萩生田大臣)
新制度で支援拡充。各大学の自主的な授業料免除へ運営費交付金を措置。私大は新たな財源生まれる。各大学の適切な対応を促す。
(きいたかし)
新型コロナウイルス感染拡大に伴う家計急変世帯の学生に対して給付型奨学金及び授業料減免といった修学支援は一人も漏らすことなく適用されるべき。
(萩生田大臣)
柔軟な対応でしっかりサポートする。大学ごとの取り組みもありしばらく様子を見たい。
4. 未婚ひとり親家庭に対する寡婦(寡夫)控除の「端境期」について。
(きいたかし)
高等教育修学支援制度が抱える溝にはまってしまう子どもたちがいるケースは他にもある。未婚のひとり親家庭の子どもたちが高等教育の修学支援を受けるケースです。2020年税制改正大綱において未婚のひとり親家庭に対するいわゆる寡婦(寡夫)控除の適用を行う見直しが行われることになったことは私たち国民民主党からも求めてきたことであり一歩前進と評価。しかし、残念ながらその適用時期が制度発足とずれている。所得税については令和2年分から、住民税については令和3年度分からの実施となるため、令和2年4月入学の未婚のひとり親家庭の新入生には適用が間に合わず、せっかくの支援が約40万円から50万円削減されてしまう。これでは制度見直しの趣旨が生かされない。私たち野党からは「高等教育未婚ひとり親支援法案」を昨年臨時国会で国会提出していて、この支援が削られる「端境期」の解消をすべく可決成立を求めている。本来は文部科学省の政省令でこの未婚ひとり親世帯への寡婦(寡夫)控除をみなし適用することができる。みなし適用ができれば未婚ひとり親家庭の新入生は修学支援削減の危機を回避できる。文部科学大臣の決断次第だ。大臣にこのみなし適用をすぐさま決断いただくか、「高等教育未婚ひとり親支援法案」の成立へ協力いただきたい。
(萩生田大臣)
令和3年10月に制度適用開始。速やかに支援することは重要。令和3年10月より支援早められるよう検討する。
5. 不登校対策関連の通知の廃止について。
(きいたかし)
令和元年10月25日、「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」が出された。これに伴い、「登校拒否問題への対応について」(平成4年9月24日付け文部省初等中等教育局長通知)、「不登校への対応の在り方について」(平成15年5月16日付け文部科学省初等中等教育局長通知)、「不登校児童生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等について」(平成17年7月6日付け文部科学省初等中等教育局長通知)及び「不登校児童生徒への支援の在り方について」(平成28年9月14日付け文部科学省初等中等教育局長通知)については本通知をもって廃止された。新たな通知にある「社会的な自立」とは具体的に何を指すのか。
(萩生田大臣)
学校復帰が前提で唯一の目標と誤解される記載を見直し。登校の意思の有無にかかわらず。精神的にも経済的にも自立できることを指す。
(きいたかし)
今回の新しい通知は、学校復帰を前提としてきたこれまでの取り組みを否定するものか。これまでの学校復帰を前提としてきた取り組みについての評価と今後の取り扱いについて、大臣の見解は。
(萩生田大臣)
義務教育制度を前提としつつ学校復帰に資する指導・相談があることで出席扱いを認める点で従来の見解は変わらない。今後は教育機会確保法の基本理念にある不登校児童生徒の多様な学習活動の実情を踏まえ、状況に応じた個々の児童生徒への必要な支援の充実に努める。
6. GIGAスクール構想に基づく地方自治体の調達について。
(きいたかし)
新型コロナウイルス対応の一環として、オンライン学習・遠隔授業など学校教育のICT化推進を急ぐべきだが、推進に当たり、地方自治体の「調達方法」に問題があることを文部科学大臣は認識しているか。各自治体の教育委員会職員がICT関係の相場価格に疎く、一部業者の言いなりで入札することで、PC1台27万円といった割高な調達になる例も出ている。こうした割高な教育PCなどの調達のせいで整備が進んでいない。令和元年度補正予算の執行を見ても、各自治体でかなり割高な調達をしている。端末は標準仕様書にある45,000円で差がないが、受取費用の割り増しや、既に校内LANがあるのに二重に整備を見積もるなども割高の原因。複数年契約の2年目以降などに割高なサービス契約を紛れ込ませる手口もある。同じことが検討中の令和2年度補正予算でも起きる可能性が高いと考える。GIGAスクール構想の早期整備実現のためにも、適正な相場価格に見合った予算執行へ国として是正すべき。大臣、是正を取り組むか。
(萩生田大臣)
やります。高額調達の例を承知。適切な構成例等を示し個別に相談。個別の指導助言を丁寧に行う。企業にはスタンダードを示してその下で競争をと協力お願いして理解いただいた。
(きいたかし)
高額すぎる調達に地方自治体は苦しんでいる。多くの地域で学校休校は長引く。先日提案した「一人一台端末と持ち帰りルール設定」「学校と家庭の通信環境整備」「遠隔授業の要件見直しや単位取得数の制限緩和、オンライン学習での著作権要件の整理等を含め、学習指導要領を前提にした公教育としてのオンライン学習の内容準備」をはじめ、学校の受け入れ態勢整備を国として支援加速する、と大臣、明言いただけるか。
(萩生田大臣)
この機会にICT教育を進めるため、考えられるすべてをチャレンジしたい。
(終わり)
衆議院議員 きいたかし 福岡10区