大学入学共通テストの記述式問題導入は、露骨な利益相反、情報漏えい、重大な契約違反があるのでは  衆議院議員 きいたかし 福岡10区 (北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

 

2019年11月22日 衆議院文部科学委員会

 

○橘委員長

次に、城井崇君。

 

○城井委員

国民民主党の城井崇です。

きょうも質問の時間をいただきました。

ありがとうございます。

きょうも大臣に集中して御質問をというふうに思います。

よろしくお願いをいたします。

まず、大学入試共通テスト、特に英語民間試験問題についてであります。

大臣に、まず一つ、お預けをしていた件から確認をさせてください。

二〇一九年十一月十九日十九時のNHKニュースで報じられた、英語民間試験、下村氏、東大に活用するよう指導を、党内会議でについてであります。

事実関係を調べると、大臣はせんだっての十一月二十日の文部科学委員会で約束をいただきました。

やらないですよ、東大はそもそも、これはやっぱり問題だと思いますよ、文部科学省はよく東大に指導していただきたい、やるということを前提にぜひ指導していただきたい、こうした発言はあったでしょうか。

その当該会議に文部科学省の出席者はいたか、誰だったか、大学関係者の出席者は誰だったか、調査の結果をお聞かせください。

 

○萩生田国務大臣

まず、当日の文部科学省からの出席者につきましては、初等中等教育局担当の大臣官房審議官、高大接続及び高等教育局担当の大臣官房審議官、生涯学習政策局の政策課長、初等中等教育局の国際教育課長、高等教育局大学振興課長、高等教育局の大学振興課大学入試室長が文部科学省からの出席者でございます。

また、大学関係者の出席者につきましては、国立大学協会の入試委員会の委員長、これは山口大学の学長、国立大学協会入試委員会副委員長、茨城大学の学長でございます。

御質問の下村議員の発言について文部科学省からの出席者に確認したところ、そのような発言があったということでございます。

 

○城井委員

では、その文部科学省の担当さんに聞いて、あったということでありましたので、その点について一つだけ伺わせてください。

その文部科学省からの同席者は、この下村氏の発言の中で、東大に英語民間試験導入をやるとの記者会見をさせるよう言っていただきたい、こうした趣旨の発言があったか、聞いたか、この点をお答えください。

 

○萩生田国務大臣

そのようなせりふは承知をしておりません。

 

○城井委員

この点、大変大事であります。

御本人からは説明と言い、我々が聞いた録音音声では、指導していただきたい、指導という言葉でありました。大変強い言葉であります。

その指導を、何を求めたかというところが大変重要でございまして、今申した、やるという記者会見をやれということを指導していただきたいというふうに言ったというのが、今メディアが公開している録音音声の中でも確認をすることができます。

ぜひ、この点を確認して、いま一度委員会に報告いただきたいと思いますが、大臣、お願いできますでしょうか。

 

○萩生田国務大臣

確認します。

 

○城井委員

よろしくお願いいたします。

委員長にもぜひお取り計らいをお願いしたいと思います。

 

○橘委員長

はい。大臣からの答弁をまず聞いて、順番だと思いますから。

 

○城井委員

この点、なぜ大事かということを改めて申し上げますと、一方で説明と言い、一方で指導と受けとめている、この言葉が同じというわけにはならないというふうに思っています。

もし記述式問題の採点でしたら、説明と指導というのを同じだというふうに答えたら恐らくバツがつくというふうに思いますので、この点、言葉は厳密にいきたいと思いまして、ぜひ大臣に確認をお願いしたいということであります。

 

続きまして、大学入試共通テスト、特に記述式問題についてお伺いしてまいりたいと思います。

せんだっての委員会での私の質疑で、大臣が、たくさん確認するということで、丁寧に預かっていただきました。

一つ一つ確認をというふうに思いますが、大変多うございますので、マルかバツかの質問も多いものですから、端的にお答えいただければと思います。

まず、採点について。

記述式問題の採点について請け負った請負業者とその親会社が人事上の併任を禁じていないということでよろしいか、この点、お聞かせください。

 

○萩生田国務大臣

きちんと調べましたので、後ほど重複するところは省きますけれども、まず御理解をいただきたいというふうに思いますので、説明させてください。

株式会社学力評価研究機構と大学入試センターとの間で締結している契約書においては、業務の遂行に伴い、相手方から知り得た一切の情報について守秘義務が課されているところです。

そのため、仮に同社社員が株式会社ベネッセコーポレーションとの兼務等に際して万が一これに反する行為があった場合は、契約解除や損害賠償等の責任が発生する可能性があるものと承知しています。

さらに、各方面からの御指摘を踏まえて、社会的懸念を招くことがないよう、大学入試センターと学力評価研究機構及びベネッセコーポレーションとの間で協議を行った結果、学力評価研究機構の幹部職員及びセンターから特別に承認を受けて事前に試験問題を知り得る立場にある職員については、ベネッセコーポレーションとの兼務を十二月一日付で解消するとともに、共通テストの実施終了後一定期間までは、ベネッセコーポレーションの模擬試験や教材作成等にかかわる部門も含め一切の人事交流を行わないこと、その他学力評価研究機構の全ての社員について、ベネッセコーポレーションとの兼務を来年二月一日までに解消することの二点について早急に対応いただく予定であることを確認しており、この旨につきましては大学入試センターから確認書の提出を求める予定と承知をしております。

 

○城井委員

今ほど大臣からも、実際に人事で兼務をしていた方を、十二月一日までにその兼務を解いてという御説明でございました。

ただ、大臣、今回の業務請負契約はいつ締結をされたか。

それは、その日にちから数えますと、この十二月一日というのは前か後かでいうと、当然、大臣、後ですね。お答えください。

 

○萩生田国務大臣

後です。

 

○城井委員

ということは、業務請負契約で結んでいる中身に反した状況を十二月一日まで放置する、こういうことになります。

こうした、締結時にその状況をつくれていないような請負業者を信用できるのか。

先ほど大臣はくしくも、契約解除や損害賠償の対象としてもということにも触れられました。

もう既にその状況にあるのではありませんか。

大臣、この規約違反状態を十二月一日まで放置するという意味が全く理解できませんし、何よりも、予定である、確認書をという話ですけれども、その強制力があるのかどうかも含めてあやふやな状況でこの契約違反状態を放置するのはおかしいというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

 

○萩生田国務大臣

先生御指摘の兼任を禁じているかどうかというのは、これは契約にないんですね。

ないんですけれども、しかし、問題意識として御指摘がこの国会の中でもあったわけで、今後そういうことのないようにということでセンターとベネッセコーポレーションとの間で話し合った結果を先ほど披露したところでございますので、私は、現時点で契約に反しているとは思いません。

ある意味では、両方で、契約者の双方で確認し合って、よりよい、信頼性を高める方向性を示したということなので。

先方にも都合があるんだと思います、十二月一日まで。

だからといって、十二月一日までは何をしてもいいんだ、十二月一日までだったらどんな情報交換もいいんだということも当然あってはならないことは縛ってありますので、その辺は私は信頼したいと思います。

 

○城井委員

私が申し上げているのは、利益相反の指摘があり、その疑いが大きい中でこの状況があるということだから問題だということを申し上げています。

更に一点、御確認ですが、今ほどの話と重なるところもありますが、先ほどの確認書に向かってということになりますが、人事上の出入りをそれで防ぐことができるんでしょうか。

 

○萩生田国務大臣

株式会社学力評価研究機構と大学入試センターとの間で締結している契約書においては、業務の遂行に伴い、相手方から知り得た一切の情報についての守秘義務が課せられております。

また、各方面からの御指摘を踏まえ、社会的懸念を招くことがないよう、大学入試センターと学力評価研究機構及びベネッセコーポレーションの間で協議を行った結果、学力評価研究機構の幹部職員及びセンターから特別に承認を受けて事前に試験問題を知り得る立場にある職員については、ベネッセコーポレーションとの兼務を十二月一日付で解消するとともに、共通テストの終了後一定期間までは、ベネッセコーポレーションの模擬試験や教材作成等に関する部門も含め一切の人事交流を行わないことについて早急に対応していただく予定であることを確認しており、この旨については大学入試センターから同様の確認書の提出を求める予定と承知しております。

 

○城井委員

続いて確認をいたします。

いわゆる著作権、知的財産権の留保の件であります。

一義的に請負業者に留保されるという旨の記載でありました。

協議は可能だという大臣の答弁もございましたが、本来は、大学入試センターそのものが、試験運営に係る著作権や知的財産権も留保すべきだと考えますが、そのようになっていないのはなぜかということも含めて御指摘を申し上げました。

この点、確認をいただけたでしょうか。

 

○萩生田国務大臣

大学入試センターにおいては、採点業務を通じて、採点業務全体の運用、監督にかかわるノウハウ、また採点基準の作成にかかわるノウハウが蓄積されるため、今後の大学入学共通テストの採点事務の運営について、問題ないと考えています。

なお、採点事業者が担当する業務、例えば採点マニュアルの作成、採点者の育成、採点作業、採点システムのプログラムの開発などにかかわるノウハウについては、採点事業者が従来から保有しているノウハウを活用して実施するものであるため、採点業務終了後も採点事業者に保有することと考えています。

このため、業務請負契約書の第十六条第二項においては、本業務の遂行に伴い、乙が作成した著作物等の著作権及びその他一切の知的財産権は乙に留保されるものとするとされているところでございます。

 

○城井委員

もう一点お伺いをと思います。

ここは、大臣、まとめて聞かせてください。

平成二十九年度のアドバイザリー業務、そして平成二十九年度のプレテストの記述式の採点関連業務並びに平成三十年度プレテスト記述式問題の採点業務につきまして、それぞれ、受注者が問題作成や採点基準作成、正答の条件等の作成に何らかの形でかかわったかという趣旨のことを一つ一つお尋ねしました。

大臣は、確認をするというふうにおっしゃいましたので、この点の確認をさせてください。

 

○萩生田国務大臣

まず、二十九年のプレテストアドバイザリー業務についてです。ベネッセ及び教育測定研究所は、記述式問題及び採点基準の作成支援及び助言等を行ったと承知しております。

その中で、具体的には、設問の意図がより明確になるようにする観点から、両社からそれぞれ、国語の試行調査の問題文について文言を追加すべきという旨の指摘があり、これを会議体において修正内容を検討、決定し、問題文に文言を追加するなどの対応がなされたと承知しております。

それから、二十九年のプレテストのアドバイザリー業務でありますけれども、大学入学共通テスト等における記述式試験の実施に向けて、大学入試センターが作成するプレテスト用の記述式問題や採点基準の作成について民間事業者等のノウハウを活用するためのものだったと承知しています。

この時点でセンターに記述式問題作問のノウハウがなかったので、民間事業者の有識者から助言を得ていたものと承知しています。

問題作成はセンターから委嘱された委員の最終的な判断のもとで行われたと承知をしていますが、来年度実施する大学入学共通テストの問題作成はセンターにおいて行うものであります。

 

○城井委員

文言の追加など、かかわった部分もあったということでございました。

やはりそうしたプレテスト段階から、特定企業が作問にも採点基準の作成にも、そして今回の本試験における採点業務ということで、一貫して囲んでかかわっているということが明らかになったというふうに思います。

私自身としては、そうした、問題もそして採点もという形で挟みながら、しかもその事実を自社の利益のために使っているということが明らかな限り、この利益相反が正されない限りは今回の記述式試験はできないというふうに考えます。

この点については、後ほど大臣にまた問いたいというふうに思います。

さて、きょうは同僚議員から採点体制、採点者についての質問もありましたので、一言だけ申し上げます。

きょう、文部科学省からの答弁で、参考人質疑の中でベネッセから、採点スタッフは約二万人、この中からという話、そして属性は差し控えるということでございました。

ただ、これだと実施の体制が確認できないというのは、大臣も確認いただけたというふうに思います。

これは実際数をぜひ確認いただきたいと思いますが、私から一言申し上げると、この二万人の中には、例えば高校テスト以外を担当する採点者や短期の未経験の登録アルバイト、最近は指摘があったのでぱっと引き揚げてしまいましたけれども、これまでに登録した方の中にも短期や未経験の登録アルバイトは山ほどいるはずでありますし、また、もともと自宅採点を前提に募集をしたアルバイトがたくさん含まれているはずであります。

ただ、今回の本試験に向けた採点の体制は、例えば、自宅採点はしませんということで確定の答弁がございますし、また、大臣にせんだって私が単発の派遣や再委託はありませんねということをわざわざお尋ねしたのは、その人手集めをどこからするかという範囲を確定したかったから確認をしたわけであります。

なので、単発の派遣や再委託もないということでありますので、そうすると、今の学力研究評価機構の中から集めたスタッフで、現在登録をしているアルバイトからしかこの採点者はできないということになりますので、かなり範囲が限定されるんだと。

そうしたときに、初鹿委員からも御指摘がありましたように、実際に採点が行われる一月後半から二月前半というのは、学校関係者や学生は死ぬほど忙しいという状況なものですから、大学生を含めたところの登録アルバイトに実際にかかわってくれというのは無理だということは、ぜひ私からも申し上げたいというふうに思っています。

そもそも、未経験者や短期の採点アルバイトは、その答案が妥当かどうか、特に記述式問題は自分の力で判断をしていくことができずに、パターンにはまるかはまらないか、パターンのマッチングしかできない採点者が多く含まれる可能性が大きいというふうに専門家からも指摘があります。

この点をぜひ大臣にも自覚いただきながら確認をいただきたいということをお願いしたいというふうに思います。

さて、この採点の部分について、一点お伺いしたいと思います。

そもそも、これまで、採点の品質チェックをしながら品質を上げていくような答弁を大臣や文部科学省から言っておりますが、これを委託する前に本当はチェックをしておくべきだったのではないかというふうに考えています。

委託側、つまり、委託をする文部科学省そして大学入試センター側が事前にそのサービスの品質を検証する力がなかったことが、今回のこの採点云々の話の大きな大きな問題になっている、致命的な問題になっているというふうに考えるわけであります。

例えば、採点の途中でセンターの職員が進捗状況をチェックして、ランダムに解答を選んで採点してみて、学力評価研究機構の出す採点結果に問題があると判明したときには一体どうするのか。

恐らくどうすることもできないので、業者を信じて、見て見ぬふりをして丸投げするしかないのではないかというふうに考えるわけであります。

高校や大学の入試となりますと、実際の採点者を集めて何度か実証実験をして、一定の採点の質を担保することも確認してから実行する、こうしたことは当然だというふうに思うわけであります。

最低でも、実際の解答の中ににせものの、モックの解答をランダムに紛れ込ませて、大学入試センター側が学力評価研究機構による採点の質を継続的に確認する、こうしたことを最初から仕様書などに盛り込むことができたはずなんだけれども、書いていない。

問題が発覚するとむしろセンターが困るせいなのか、ブラックボックスの部分は完全に丸投げであります。

せめて、並行採点する二人の採点者と上級の採点者がつけたスコアのデータをセンターが学力評価研究機構から受け取れるような契約にしておけば、事後にテスト理論の専門家が採点の信頼性を確認することもできたわけであります。

でも、今の状況ですと、事後に問題が発覚すると大変なんだろうというふうに思ったせいなのか、それもやっていないわけであります。

事後チェックの方法がないわけであります。

センターは、テストの実施主体として果たすべき責任を果たしていません。委託側としての大学入試センターに、事前にこのサービスの品質を検証する能力がないという私の指摘に対して、大臣、お答えいただけますか。

 

○萩生田国務大臣

大学入試センターにおいては、事業者に対し、適正な試験等によって質の高い採点者を確保すること、必要な研修プログラムを行うことなど、採点者の質を向上する取組を求めるとともに、一次採点は複数名で独立して行うこと、複数名の採点結果が異なる場合には採点監督者が採点結果の確認や不一致のあった答案の採点などを行い、独立して採点した結果が一致するまで採点を行うこと、採点作業中に適宜、採点結果の品質チェックを行い、その結果を採点作業の改善につなげること、センターにおける採点状況の点検の際には、センターが指定する答案を抽出し、事業者と質疑応答等を行うことなど、採点の正確性を確保するための取組を求めています。

こうした多層的な組織体制と品質チェックの充実により、正確な採点の実施は確保されるものと考えておりますが、現段階でそういう御心配事項を指摘いただきましたので、センターとしても受けとめて、向上に期するように図ってまいりたいと思っています。

 

○城井委員

今指摘を申し上げた仕組みがそもそもないということに加えて、今の大臣の御説明にあった、三人一組で取り組んで、そしてそこから上がってきた意外な正解も含めて、取りまとめて確認しながらやっていくという説明でありますが、ただ、今の仕組みですと、一万五千人規模に及ぶということがきょうの委員会でも明らかになりましたが、その採点者が三人一組で分かれて、実際には二人一組でやって、正解だなと思ったり、間違いだなと思ったときに、意外な正解を見逃すケースは山ほどあるというふうに思います。

そんな二人、三人一組のところから上がってきたはずの意外な正解を、一万五千人規模に、全員に、最後の一枚の答案が終わるまでに情報を共有した上で、以前に丸をつけた分の中にも意外な正解がまざっていたかもしれないということを全部チェックするというのを二十日間でやるというのは無理だということを、大臣ぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

現場での三人一組の話はわかりますが、それを全体で共有して最後の一枚まで間違いなくやり切るということは無理だということは、ぜひ考えていただきたいと思います。

あわせて、採点のアルバイトの件で御指摘を申し上げたいと思います。

こんな話が聞こえてきます。事前研修の情報を得るためにあちこちの塾から潜入させる、あるいは、受験生の家族が採点にかかわれないとしても、知り合いの学生に採点アルバイトと情報代の二重バイトをお願いする、仮面浪人中の大学生が採点アルバイトに入る、こうしたことも聞こえてきています。

今、この採点アルバイトに入るときに、身内に受験生はいませんねというのを確認するのはどんなふうにするかということを、報道ベースで聞こえてきているのは、住民票で確認しますぐらいのことしか聞こえてきていません。

住民票に載っていない人はどうするのかということは指摘するまでもないというふうに思いますが、こうした情報を得ようと思えば、さまざまな工夫、努力、考えてくると思いますが、この点、大臣、いかがでしょうか。

 

○萩生田国務大臣

大学入試センターと採点事業者の間で締結した業務請負契約書において、相手方から知り得た一切の情報を厳に秘密として保持し、第三者に漏えいしてはならないという守秘義務を課しています。

また、仕様書においては、採点会場のセキュリティー要件として、防犯カメラによる出入りの監視、警備員や二重扉などの措置、私物の持込禁止を伴う厳格な入退室管理、大学入試センターによる事前視察、SNSへの書き込みの監視などが定められています。

なお、採点事業者は採点及び採点監督者に対して事前の研修を行うこととしておりますが、事前研修では、正答の条件の考え方やモデル問題を用いた演習等を行うものであり、これらの研修において実際に出題される試験問題が用いられることはないというふうに聞いております。

今、私も報道ベースで知りましたけれども、住民票で確認するというのも一つの手法では行っているようでありまして、今先生から御披露いただいたさまざまなシチュエーションというのは、もしかしたら考えておかなきゃいけないんだと思いますので、この点もセンターと共有させていただきたいと思います。

 

○城井委員

 これまでに大学入試において過去五十年間で情報漏えいなどの事案があった数を数えましたら、三十一件ありました。大学入試という厳密で厳格で、大学職員に限ってやってきたものでも、この五十年間で三十一件もあります。

一万五千人が集まったときに、さあ何が起こるか、そこまで厳密にやれるか、守秘義務がかかるといっても手が届くかというところは厳しく見るべきだということは申し上げたいと思います。

利益相反の懸念についてお聞かせいただきたいと思います。

十一月二十日の文部科学委員会での、私が質疑で指摘した採点請負業者の利益相反について、大臣は厳重注意するとの答弁でございました。

抗議ということでもありました。

ただ、きょうの初鹿委員の質問の中でもありましたけれども、私からもあえて申し上げたいのは、あれが今回の本試験の契約に基づくものではなかったから、アドバイザリー業務のときには取引を誘引するという件が書いてなかったからということを理由にして、あたかもその部分があるからそうでもないんですよというふうなことをもし大臣が思っていらっしゃるんだったら、違うということを申し上げたいと思っています。

どういうことか。

アドバイザリー業務の仕様書などの中にも、業務で得た情報の目的外使用の禁止はしっかり書いてあるわけであります。

その意味では、そもそも、かかわったことをよそで使うというのは全くだめなのであります。

そこはもう言うまでもないというふうに思います。

その意味では、この目的外使用という一点をとっても重大な契約違反だということを言わざるを得ないというふうに思います。

大臣、契約違反であり、そして重大な利益相反行為、自社の利益のために今回の業務の情報を使っている、この時点だけでも十分契約違反だというふうに思います。

ただ、先ほどの抗議ですとか厳重注意で済ませてしまいますと、結果としてその営業行為を見逃してしまうことになります。

大臣、今回のこの利益相反行為、見逃してしまうんでしょうか。

契約違反として契約解除や損害賠償をやるべきだというふうに思いますが、この点、見解をお聞かせください。

 

○萩生田国務大臣

株式会社ベネッセコーポレーションは、平成二十九年に同社が開催した高校向け研究会における配付資料において、大学入試センター記述式採点業務アドバイザリー業務の受託と記載をしておりました。

このことは、大学入試センターとベネッセコーポレーションが締結をした平成二十八年度のアドバイザリー業務に係る契約書において、当該業務を受託する事実を利用した取引を誘引することを禁ずる旨の規定がないため、直ちに当時の契約に違反するものではないと考えています。

また、本年九月に、株式会社学力評価研究機構と大学入試センターが大学入学テストにおける記述式問題採点関連業務に係る契約を締結し、その中にはその事実を利用した取引の誘引を禁ずる旨の規定がございますが、そうした禁止事項が行われた事実は把握しておりません。

したがって、契約解除の理由には当たらないと考えておりますが、ベネッセグループの関連企業である学力評価研究機構が大学入学共通テストにおける記述式問題の採点関連業務を受託したことに鑑みると、その中立性及び信頼性に対して、結果として社会的に大きな疑念を招きかねないものであることから、昨日、ベネッセコーポレーションに対し、今後このようなことを二度と起こさないように、是正及び一層の留意を求めたところです。

また、そもそもの契約当事者である大学入試センターに対しても、同様の指導を行いました。

これを踏まえ、大学入試センターにおいては、学力評価研究機構が共通テストにおける記述式問題の採点関連業務を受託したことを利用した宣伝行為については、ベネッセグループ全体で自粛いただくよう、確認書の提出を求めることとしております。

現段階では、こういう対応をさせていただきました。

 

○城井委員

大臣、ベネッセ、今回の採点請負業者を含めたグループには、利益相反がまだまだあります。

もう一点、御指摘を申し上げたいと思います。

二〇一九年五月にベネッセが行った高校向けの研究会で、ある資料が配られました。

共通テスト早期対策模試モデル問題とあります。

予想とあるのに、何々を目安にするとか、何々を設定するなど、出題者のような書きぶりで共通テストの出題方針や基準を説明しています。

実際に、これまでオープンになっている、大学入試センター発表の令和三年度大学入学に係る大学入学共通テスト出題教科・科目の出題方法等など、少なくとも、私が大学入試センターのホームページ内にある出題方針、採点方針等を見た限りでは見当たらない、出題方針等に関する情報が掲載をされています。

これまで、プレテストの作問、採点から本試験の採点請負業務まで一貫してかかわっている事業者だからこそ、このような内部情報を営業活動に利用できているのではないかというふうに考えます。

実は、先月、十月二十四日にも、新入試一期生の進路指導、出願指導を考える会という研究会が高校向けに開催されました。

ここでも、二〇一九年度進研模試、二年生二月、大学入試共通テスト早期対策模試モデル問題が提示をされています。

営利企業としての営業方針は、大臣、変わっておりません。

少なくとも、大臣答弁にあった、契約に反する営業行為に当たるというふうに考えます。

今回、文部科学省にも大臣にもあらかじめその内容をお示ししましたが、情報漏えいや利益相反、本試験の作問への関与なども疑われます。

こうした露骨な利益相反、情報漏えい、重大な契約違反への大臣の見解をお伺いしたいと思います。

 

○橘委員長

萩生田大臣、時間が参っております。

 

○萩生田国務大臣

はい。

御指摘のベネッセコーポレーションが、本年、高校向けの研究会において配付した資料における記載内容については、大学入試センターが公表している大学入学共通テストの導入に向けた試行調査、平成三十年度実施の結果報告の記載に沿っているものであり、契約違反等の御指摘は当たらないものと考えています。

御指摘の、大学入学共通テストの予想として、何々を目安とするですとか、何々を設定などの記載については、大学入試センターが本年四月四日付で公表している記載をそのまま引用しているものであり、契約違反などの御指摘には当たらないものと考えております。

しかし、いろいろ御指摘いただいて、先ほどもちょっと細かい答弁をしましたけれども、今回の採点事業者はベネッセコーポレーションそのものではありませんけれども、これはグループとしてきちんと受けとめてもらわないと、当然、こういう誤解が更に広がることは非常に困るということを厳しく伝えたところでございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

 

○橘委員長

城井君、時間が来ております。

 

○城井委員

せんだっての文部科学委員会参考人質疑で、ベネッセの学校カンパニー長は、弊社が受注したということ、そして先ほどの答弁でもございましたが、登録の採点者数は約二万人ということを答えたのもその学校カンパニー長であります。

経営は一体であります。資本関係が切れているわけでありません。

その点を指摘申し上げて、質問を終わります。

ありがとうございました。

 

衆議院議員 きいたかし 福岡10区