【国民民主党の対案】「頼れる法律家を増やすため」の対案(司法試験法等の一部を改正する法律案) 衆議院議員 きいたかし 福岡10区 (北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)
2019年4月24日 衆議院文部科学委員会
○亀岡委員長
次に、城井崇君。
○城井委員
国民民主党の城井崇です。
本日も、閣法並びに国民民主党提出の対案について質問をさせていただく機会をいただきました。
まことにありがとうございます。
きょうは、閣法については、そして対案についても、文部科学大臣と、そして法務副大臣にお越しいただきました。
よろしくお願いいたします。提出者の階議員もよろしくお願いいたします。
まず、このたび国民民主党から提出をさせていただきました対案につきまして、提出者に、その趣旨を含めて何点か確認からというふうに思いますので、よろしくお願いします。
まず、この国民民主党提出の法律案の提出の趣旨そして背景について御説明願いたいと思います。
○階議員
提出者からお答えいたします。
現行の司法試験は、受験資格を法科大学院修了者及び司法試験予備試験合格者に限定しているために、法曹資格を得るまでの時間的、経済的負担が大きくなっています。その結果、法曹志願者がずっと減少してきておりまして、ひところの十分の一ということになっております。
かつ、量の減少とともに、質の低下ということも言われておりまして、きのうも申し上げましたけれども、上位のロースクール校でも質の低下が著しい、また、弁護士になった方の質の低下ということも私は伺っております。
そういう、すぐれた資質等を有する法曹の確保が困難となっている中で、これまで、平成三十年度までの間は集中改革期間ということで政府も取り組んできたわけですけれども、なお法曹志願者数の減少という傾向には歯どめがかかっておりません。
ついに、ことしは司法試験の受験者が五千人を切っているといったような状況でございます。
本法案は、司法試験を広く受験しやすいものとすることによって、法曹の量的、質的拡大、これを図るということで、司法試験の受験資格、方法及び試験科目並びに司法修習の期間の見直しや弁護士への研修機会の提供等の措置を講じようとするものであります。
以上です。
○城井委員
現場の声を踏まえて、具体的な改善提案ということでございました。
続いて、法案の中身についてお伺いしたいと思います。
まず、司法試験法の一部改正についての提案を今回対案の中では述べているわけでありますが、この試験制度全体の部分について、現行の司法試験制度については、まず、どのように評価をしているのか。
そして、それを踏まえて、今回の国民民主党提出の対案、この本法案によりまして司法試験制度はどのように変わっていくのか、提出者に伺います。
○階議員
現行の司法試験制度ですけれども、まず、受験資格の制限ということは先ほど申し上げましたとおりです。
それに加えまして、受験期間の制限というのもあります。法科大学院の修了又は司法試験予備試験の合格から五年間に限って受験を認めるというものであります。
こうした制約を撤廃しようというのが、我々の提案している法案の眼目でございます。
また、これに伴いまして、当然のことながら、受験資格を与えるための司法試験の予備試験は必要がないということで、廃止することができます。
また、司法試験と法科大学院の教育等との有機的連携に関する規定につきましても、これは、法科大学院に司法試験の受験資格を与えることを前提とするものなので、これも削除することができるということになります。
また、試験方法ということでいえば、今現在の司法試験には、口述試験、これは昔はあったわけですけれども、口述試験がございません。
それを復活しまして、筆記試験の合格者については、公法系、民事系、刑事系の三科目から成る口述試験で、口頭での応用力あるいは知識の程度、こういったものもしっかり検証できるようにしております。
さらに、筆記試験についても、今の筆記試験の科目を変更しております。
短答試験については、幅広く基本的な知識が身についているかを見るということで、現行の憲法、民法、刑法の三科目のほか、行政法、商法、民事訴訟法及び刑事訴訟法の四科目を加えた七科目とするということ、それから論文式試験については、現行が、公法系、民事系、刑事系及び選択科目の四科目であるのを変更して、短答式試験と同じ七科目に法律実務基礎科目を加えた計八科目としつつ、法科大学院修了者については、法律実務基礎科目については身についているだろうということで、法律実務基礎科目については免除することとしております。
このほか、論文式試験は、短答式試験の合格者について行うこと、あるいは筆記試験の合格者は、その申請により次回の司法試験の筆記試験を免除することも定めております。
以上です。
○城井委員
今、答弁の中でも言及をいただきましたが、きょうの法案質疑でも焦点の一つになっておりますのが、いわゆる司法試験の予備試験であります。
この国民民主党提出の対案の中では、司法試験予備試験を廃止するということを盛り込んでおるということが先ほどの答弁でもございましたけれども、これを廃止することとしているのはなぜかという点をお答えいただけますでしょうか。
○階議員
司法試験の予備試験が法曹志願者の裾野を広げる上で果たしてきた役割というのは、私は大きかったと思います。
法科大学院の志願者がどんどん減る中で、かわりに予備試験を受ける人はふえてきたといった傾向もあったと思います。
それはなぜかといえば、やはり、自分の都合で、経済的なあるいは時間的な都合で法科大学院には行けないけれども法曹を目指したいという方にとって、この予備試験というのが機能してきたということであります。
ただ、この予備試験というのは、受験資格を得ることが目的だったわけでして、私どもの案ですと、予備試験を経ずとも自由に司法試験を受けられるということですから、この予備試験を廃止して、そして幅広い方々に司法試験を受けていただこうということで、今回の提案に至りました。
○城井委員
多様性の確保を別の形でという提案だったかと思います。
続いて、司法修習についての言及がございます。その点についてお伺いしたいと思います。
この対案、本法案によりまして司法修習制度はどのように変わっていくか、また、この制度の変更に当たって、現行の司法修習制度についてどのように評価をしているか、この二点についてお答えいただけますでしょうか。
○階議員
司法修習については、現状は一年間で行われておりますが、私どもの提案では、これを二カ月延長しましょうということで、一年二カ月間に期間を延ばすということにしております。
その趣旨でございますけれども、やはり、プロセスとしての法曹養成と言われておりますが、なかなか一年で実務に必要な能力を身につけるということが実際には難しいということが出てきたわけです。
これは、本来であれば法科大学院段階で身につけるべき実務の教育が、実際には法科大学院がそれに値するような教育がなかなかできにくかったということで、司法修習にしわ寄せといいますか、司法修習の方でよりしっかりとした教育を受けさせないと、実務家として必要な知識や能力が身につかないということなんだと思います。
そこで、我々は、そのような実態に鑑みて、司法修習の期間を二カ月間延ばしてしっかりと学んでいただこう、また、これをすることによって、これは法律事項ではありませんが、就職の時期についても、今は一月ぐらいに弁護士になっているわけですけれども、二カ月延ばすことによって、一般の社会人と同じように四月に就職ができるということになりますと、採用側の会社あるいは組織、そうしたところも採用がしやすくなるのではないかということで、このような変更を加えているものでございます。
○城井委員
あと二点お伺いしたいと思います。
今回のこの対案によりますと、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律、今回も法案質疑にかかっている閣法の改正案もございますが、この法律を廃止するという趣旨になっているかと思います。この趣旨を御説明いただけますでしょうか。
○階議員
先ほども少し申し上げましたが、本法案では、法科大学院修了者及び司法試験、予備試験合格者のみに受験を認めるという現行の受験資格の制限を撤廃することとしているわけでありまして、これによって、現行のように、法科大学院の教育を司法試験の受験の前提と位置づける必要がなくなりますので、本法案ではいわゆる法科大学院司法試験連携法を廃止することとしております。
ただ、そうだからといって、法科大学院で司法試験のための勉強をするということを禁止しているわけでもございません。
個人の自由な選択によって、受験前から法科大学院に通ってそして準備をする、こういう選択肢も認められているわけでございまして、あくまでも司法試験の受験の前提であった法科大学院の教育ということを見直すことによって、この連携法というのは論理的に必要がなくなったので廃止しましょうということであります。
○城井委員
提出者に最後にお伺いします。
この法案によりまして、法科大学院のあり方、役割も大きく変えていく形を想定しての提案になっているかというふうに思いますが、具体的にどのように変わるのか、御説明いただけますか。
○階議員
先ほども少し申し上げましたが、本法案によって、法科大学院は司法試験の受験を考える者が任意で進学する、受験を考える者が選択肢の一つとして法科大学に通うということになるわけであります。そういう役割の変更がまず一つ。
それから、司法修習の期間を延ばしますけれども、その修習の一層の充実を図るため、司法修習期間中に、司法修習生が法科大学院が提供する独自のプログラムを受講して、法律に関する理論や実務に関する理解をより深化させることが期待されるわけであります。
例えば、私も司法修習を受けたことはありますが、なかなか国際法とか条約といったことについては学ぶ機会がありませんでした。
こうした分野については、やはり専門家が多くそろっている法科大学院でぜひ学びの機会を提供していただきたいということを提出者としては期待するものであります。
さらに、弁護士を始めとした法曹実務家を対象に法科大学院がリカレント教育を提供するということも我々は考えております。
最新の法律に関する知識、理解を身につけることを支援したり、普通の会社に勤めている方でも国際法の知識あるいは条約の知識などは重要でございますので、こういったことを専門性を高めるために支援したりということも考えております。
リカレント教育というのは、そういう意味で、法曹向けのリカレント教育、それと社会人の一般的な法律の知識としてのリカレント教育、この両面においてリカレント教育を実施することによって、法科大学院はむしろ今まで以上に社会の幅広い分野において貢献できるのではないかと考えております。
以上です。
○城井委員
ここまで、提出者に、今回の国民民主党提出の対案の概要、狙いについて説明いただきました。
この内容につきまして、文部科学大臣そして法務副大臣に、それぞれ受けとめをお伺いしたいというふうに思います。
まず文部科学大臣からお願いします。
○柴山国務大臣
国民民主党提出の対案についてでありますけれども、二十一世紀の司法を支える質、量ともに豊かな法曹を輩出するために、やはり私は、この法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度が必要であるという認識でおります。
したがって、法科大学院の修了等を司法試験の受験資格とする現行制度が創設されたその当時と認識が変わっていないわけであります。
対案は、法科大学院の修了を司法試験の受験資格としないということとしておりまして、法学教育、司法試験、司法修習の有機的な連携のもとで多様な人材を法曹として養成するというプロセス養成の趣旨が維持できないのではないかというふうに考えております。
なお、司法制度改革審議会意見書では、点のみの選抜である旧司法試験について、受験者の受験技術優先の傾向が顕著であるという指摘がなされ、司法が二十一世紀の我が国社会において期待される役割を十全に果たすための人的基盤を確立するためには、やはりプロセスとしての法曹養成制度を新たに整備することが不可欠であるというふうにされていることを申し上げたいというように思います。
司法試験、旧来型の司法試験となる懸念、それから、予備校が法科大学院にかわって受験テクニックを教える主要な存在としてまた大手を振ってしまうのではないかということも懸念していることをつけ加えさせていただきます。
○平口副大臣
法務省からお答えをいたします。
国民民主党が提出された司法試験等の一部を改正する等の法律案は、司法試験の受験資格を法科大学院修了者と予備試験合格者に限定する制度等を廃止するなどの、受験資格の制限等の廃止、司法試験に短答式及び論文式の筆記試験に加え口述試験を設けるなどの、司法試験の方法、試験科目の見直しなどを内容としているものと承知をいたしております。
旧制度下における司法試験という、点による選抜の方法については、平成十三年六月の司法制度改革審議会意見書において、受験競争が厳しい状況にあり受験者の受験技術優先の傾向が顕著であるとか、学生が受験予備校に大量に依存する傾向が著しくなりダブルスクール化、大学離れの状況を招き、法曹となるべき者の資質の確保に重大な影響を及ぼすに至っているなどと、問題が指摘されていたわけでございます。
こうした状況下において、二十一世紀の司法を支える質、量ともに豊かな法曹を輩出するために必要となる大規模な司法試験合格者数増を、その質を維持しつつ図ることは、点による選抜では困難を伴うことから、新たに法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度が導入されたものと理解しており、この認識は現在も変わっていないところであります。
国民民主党が提出された法案については、法科大学院の修了を司法試験の受験資格としないこととしていることから、法学教育、司法試験、司法修習の有機的な連携のもとで多様な人材を法曹として養成するというプロセス養成の趣旨が維持されず、有為な人材が予測可能性が高い状況で安心して法曹を目指すことができなくなるおそれがあるものと考えております。
以上でございます。
○城井委員
間もなく前半の時間が終わりそうでありますので、一言申し上げて、まずは前半戦の質問を終わりたいと思いますが、今ほどの国民民主党対案に対しての受けとめを聞いておりまして、この法科大学院の改善、改革は十五年やってきているはずだ。
しかも、そのスタートもプロセスによる教育、法曹養成だったはずでありまして、少しずつ手を加えながら進めてきた十五年だったけれども、その結果が今だというところを踏まえた受けとめに本当になっているのかというところが、今ほどの受けとめを聞きながら、大変危惧をするところであります。
そうした、理念はわかる、でも、もくろみが外れた、ならばどこをいじって改善していくかというところを、我々からも少し、大胆かなと思いながら、でも、法科大学院は残すというふうなことにしていますので、中途半端だという野党の御意見もちょっといただいたりしながらというのはあるんですが、そうした具体的な提案も照らしながら午後の質疑をさせていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
まずは、終わります。
○亀岡委員長
午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時二分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○亀岡委員長
休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。城井崇君。
○城井委員
午前中に引き続きまして、法科大学院と司法試験の連携の閣法の法案について質問を続けたいと思います。
よろしくお願いします。
さて、午前中の他の委員の質疑、答弁も含めて確認をしてきたところですが、文部科学大臣からもお話がありましたように、今回のこの法科大学院にこれまで込めてきた理念というものは大切な部分があるなというふうに感ずると。
この十五年にわたる改善のきっかけは、試験に偏重してしまうでありますとか、本来のプロセスによる教育を重視するというところを踏まえてというのが取組であったということでありますが、まず、そうしたこれまでの政策の効果について、文部科学大臣に確認をしたいというふうに思います。
これまでの法科大学院の改善と充実策への評価ということであります。
きょうの午前中の質疑でも明らかになりましたのは、やはり数をつくり過ぎたというところがある、そして、そうはいっても統廃合は促してきた経緯があった、でも、実際に育成できた方々のレベルは下がっているというのが各所から聞こえてくる声だというのが大きなところかと思います。
その意味では、理念はよかったけれども、もくろみは外れているというふうに言わざるを得ないと思っています。
ただ、私自身も民主党政権時に、担当の政務官としてこの議論とそして政策の立案、決定にも加わってきた身としては、その当時からの部分で改善できたところもあったというふうに思っています。
例えば、国立大学の運営費交付金やあるいは私学助成などによって法科大学院の充実を図っていく一方で、学生数が少な過ぎたり、学生の多い少ないとは関係なく合格率が低かったりするような、つまり、つくり過ぎて、本来目指した役割が果たせていない法科大学院が相当数あるところを、直接やめろとは言えないけれども、促すための基準をつくり、そして統廃合を促してきたという経緯は、これは一定役割を果たしてきたのではないかというふうに評価をしているところであります。
そうしたこれまでの取組も含めて、この法科大学院の改善と充実策への評価を、まず大臣に伺いたいと思います。
○柴山国務大臣
ありがとうございます。
今、城井委員がまさしくおっしゃったとおりでございます。
理念は、プロセスによる選抜というところだったんですけれども、特に法曹の将来にわたる需要の見込みが当初と違っていたということも含めて、さまざまな改革が必要になってきたところでございます。
そして、平成二十七年六月の法曹養成制度改革推進会議の決定では、平成二十七年度から平成三十年度までの期間を法科大学院の集中改革期間と位置づけて、今委員が御指摘になったこれまでの改革に加えて、時間的、経済的負担の軽減や教育の質の向上のための方策として、先導的な取組の支援等を行うというふうにされました。
文部科学省では、学部の早期卒業、飛び入学の推進、リカレント教育、未修者教育の充実、こういった事柄を推進すべく、これらの取組を進める大学に対して、法科大学院間でのめり張りある予算配分の中で支援を行ってきたところであります。
さらに、平成三十年三月に中教審法科大学院等特別委員会で取りまとめられた、さらなる抜本的な改革の基本的な方向性を踏まえて、今国会に法科大学院教育の充実のための法案を出させていただいたということで、若干遅まきではありますけれども、徐々にやるべきことはやってきているのかなというふうに考えます。
○城井委員
大臣、十五年ですので、なかなか長い期間でありまして、その期間での取組を踏まえても、今回のように、これまでの道のマイナーチェンジに本当に手が届くかというところが心配という部分がありましたので、我々からは、具体的な、大きな改善を促すような提案を出しているということであります。
そこで、少し本音の議論をと思いますが、今回の政府案、先日の参考人質疑でも、それぞれの参考人から受けとめも伺いました。例えば、伊藤参考人からは、法科大学院の生き残りのため学生を取り戻そうとしている、まあ、あの方は塾の方なので、予備校関係者だとそうは言うかなというふうには思うところもありますけれども、学生を法科大学院に取り戻そうとしているというのが目的の本音ではないかという御指摘もありました。
また、須網参考人からは、この法案によって、結局、もともと心配していた、試験に偏る、司法試験信仰に回帰する、こういう指摘もあったわけで、ここも当たっているところはあるんじゃないかと思うわけですが、こうした本法案の狙いに対して厳しい声が立場が違うところからも上がっているというところを踏まえて、大臣の見解を聞かせていただきたいと思います。
○柴山国務大臣
法科大学院の生き残り策でないかという御指摘に関しては、そもそも誰のための法改正なのかということが極めて重要だと思っております。
確かに、御指摘のとおり、今回の改革によって、法科大学院の学生がより安んじて法科大学院を選びやすくなるということは事実だと思いますけれども、それは何も法科大学院とか文部科学省の延命策とか既得権の維持のためにやっているわけではなくて、それをすることによって、受験偏重と言われるような教育、それから点の教育じゃなくて、あるべきプロセス教育、しかも質の高いプロセス教育を法科大学院で受けていただく方が、学生ひいては我々日本にとってのプラスになるという目的で改革をしているということは、ぜひ御理解をいただきたいというように思います。
だからこそ、今回、時間的負担、経済的負担の軽減、それから、法科大学院教育そのものも、きちんとカリキュラムも含めて充実をさせていく。
それから、やはり過去の読み違いを繰り返さないように、法科大学院の定員管理による予測可能性の高い法曹養成制度の実現ということも可能にさせていただいたということでございます。
○城井委員
大臣、まさにおっしゃるとおりでして、目的を間違えてはいけない。
私が一番大切だと思って今回の審議に臨んでおりますのは、人生をかけて法曹という職種を選んでいくときに、この道が、その人生をかけるのにそれだけの重みや価値があるかというふうなところが最も問われている、つまり、これから担おうとする若い世代に選ばれる職場になるかどうか、ここが大事だというふうに思っています。その意味では、これまでの十五年の努力では、その努力が残念ながらしぼんでしまってきているという部分はやはり踏まえなきゃいけないというふうに思います。
その一つが法曹志願者の数への影響ということかと思います。
今回の法改正で、すぐれた法科大学院の志願者をどれぐらい、あえて呼び戻すという言い方をしますけれども、想定できるか。
特に、予備試験に流れている層を法科大学院に誘導できるかというところ、今回狙いにあるかと思いますけれども、その根拠をどこに見るかという点。
予備試験がある限りはいつでも受けられるという意味では、プロセス養成を仮にこれからも継続しても、その途中でも飛び込んでいける別のチャンスがあったならば、そっちに結局流れてしまうのではないかというのが世の道理かと思いますけれども、このあたりの部分も踏まえて、大臣、呼び戻せるめど、そしてその根拠、お聞かせいただけますか。
○柴山国務大臣
これも、実は委員御指摘のとおりだと思っています。
要は、予備試験のこれからのあり方次第によってどれだけ法科大学院志願者がふえてくれるのかということは、なかなか一概には申し上げられない部分があると思います。
ただ、今回、学部の早期卒業を前提として、3+2を制度化することによって、志願者減の大きな要因となっている時間的、経済的負担の軽減を図ることとしていること、それからまた、中央教育審議会の審議状況を踏まえて、昨年十二月に、文部科学省において、法学部を有する七十二大学において行った調査においては、四十四大学が、この法曹養成基礎課程、いわゆる法曹コースを開設予定だという回答があったということを踏まえると、やはり、すぐれた法科大学院志願者をこの法曹コースを経由して養成しようという、呼び戻すことに一定の効果があるということは間違いなく言えるのではないかというように考えております。
○城井委員
その一定の効果がどれぐらいかというところが問われている部分だというふうに思うんです。
法曹志願者が約五万人から、最新数字でも五千人ぐらいということで、相当に激減してきた期間というのは、とても残念なんですけれども、法科大学院ができてからの時期と重なっております。
参考人質疑でも、伊藤参考人からは、法科大学院ができてから減った、法科大学院を除去すればよいという、かなり手厳しい意見もあったところであります。
プロセスによる教育といってももう十五年試みてきたわけで、それが現在の状況を導いてしまっているわけであります。
法科大学院が志願者激減の引き金になっているとの指摘について、大臣、いかがお考えですか。
○柴山国務大臣
法科大学院については、再三申し上げているとおり、修了者の司法試験合格率の低迷。
当初は七割から八割、修了すれば司法試験に受かるという制度設計だったはずなんですけれども、先ほど御紹介いただいたとおり、実は二割から三割と。
もちろん、大学によってかなり幅がありますけれども、そういう実態がある。
それがやはり、志願者や入学者が減少しているという大きな原因ではないかというように思います。
それはやはり、法科大学院の制度創設時において、入学定員の総数の上限を定めずに、設置基準が満たされているからということで一律に認可して過大な定員規模となったことがそもそもの大きな問題であったのかなというように認識をしております。
こうした状況を改善して、一人でも多くの有為な若者が安心して法科大学院に進学して、自信を持って法曹を目指すことができるようにするためには、さっきも申し上げたとおり、まず教育のさらなる充実をすること、それから厳格な成績評価、修了認定をすることを当然の前提として、法科大学院の課程を修了すれば司法試験に合格できるという予測可能性を高めて維持するためにも、一定の定員管理というものが必要になってくるというように考えます。
○城井委員
今の御答弁で少し確認ですが、法科大学院自体の絞り込みは今後も統廃合を促すという形でやっていくということ、そしてハードルを高くして人材の質を上げていこう、その法科大学院の中でハードルを上げて、レベルを上げていこうということ、そして、定員の管理はするんですね。この三つを改めて確認させてください。
○柴山国務大臣
先ほど質問に答えたとおり、さまざまな地域の法科大学院において、引き続き、法科大学院としてしっかりと役割を果たすことができるようなさまざまな支援をもちろんさせてはいただきますけれども、ただ、新規募集を停止しているところも当然あるわけですから、そういうことも踏まえて、例えば経済的な、法科大学院に対する支援のあり方をしっかりとめり張りをつけていく、それがまず一番目に対するお答えです。
それから、二番目に対するお答えについては、厳格な成績評価、修了認定、こういうことによって法科大学院そのものの卒業をやはり厳しくして、法科大学院のレベルアップをそれによって図っていかなければいけない、そういうことは間違いないのであろうというように思います。
それと、最後に、ちょっと、一番最初、黒岩委員から、定員管理をするのかしないのかということでいろいろと議論がありましたけれども、いわゆる、法科大学院の課程を修了すれば司法試験に合格することが一定程度期待できるという意味での、文科省と法務省が連携しての定員の枠づけというものは、やはり私は必要になってくると。
だって、そうしなければ、トータルとしての七割から八割の合格率というものはやはり実現できないというふうに考えております。
そこは整理させていただきます。
○城井委員
最後の点はおっしゃるとおりで、人数が確定しないと、ハード面やソフト面など含めて応援していくメニューや準備というものは計算が立たないというふうに思うので、そこはおっしゃるとおりだと思います。
そうやって、中でも努力をしていただくというところとともに、出口の部分での予見可能性を高めていくという意味では、その出口でどんな仕事をやってもらえるかという時に、国民民主党でもあらかじめ政府から部会に来ていただいて御説明を伺って、ここは法務副大臣にお伺いしようというふうに思いますが、そのときに、多くが大手の法律事務所に行ってしまいまして判事や判事補、検察官は選んでもらえないんですと、下を向きながらおっしゃる法務省の担当の方の姿がここにあり、今まで何をやっていたんだ、ちゃんと仕事の重要性は伝えているのかというふうなことで野党議員からは当然声がかかるわけですが、確保が実際に難しいことになっている、その現状についての認識と、それをどう対応していこうか、対策していこうかというところについて、副大臣にお願いしたいと思います。
○平口副大臣
お答えをいたします。
検察官については、必ずしも採用、確保が困難な状況にはございません。
しかし、裁判官については、最高裁判所において、近年、その採用、確保が厳しい状況にあるようだというふうに承知しております。
原因として、渉外事務所等を中心とする法律事務所の大規模化に伴う弁護士の採用増を理由とする採用における競合の激化などがあると聞いております。
また、裁判官の場合は、全国的に均質な司法サービスを提供するなどのため、全国的な異動が不可避であるということなども考えられるところでございます。
これに対する対応策でございますが、最高裁においては、司法修習生に対して、裁判官の職業としての魅力を伝えるとともに、裁判官の異動の実情等について正確な情報を伝えるよう努めるなど、必要な取組を進めておられるものと承知をいたしております。
○城井委員
副大臣、今の現場でとっていただいている方法で、実際にふえていくきっかけがつくれる、他の職種にもまして裁判官の仕事を選んでいただけるという部分、具体的にどれぐらいふやしていけるというふうに見込めますか。
○平口副大臣
具体的に数字を言えと言われるとちょっと難しいんですけれども、このような方針に沿って全力を尽くしてまいりたいと考えております。
○城井委員
例年の予算要求の段階で、判事や判事補の確保についていつも示す定数はあるけれども、実際に採用できた数はそこに追いつかないものがもう何年続いているかというのが実態のはずなんです。
そうすると、せめて、要求している定数のところまでは、必要でもあるし、予算の確保もしているということならば、そこに手が届かないというのはそのやり方が足りないということかと思うんですけれども、副大臣、ここは当然、定数を満たすところまで持っていくということでよろしいんでしょうか。
○平口副大臣
裁判官の採用方針については最高裁のやっているところですけれども、伝え聞くところによると、総数としては足りている、しかし、裁判官の適格性というふうなことについて絞りをかけると、今言ったような定員増になるということでございます。
したがいまして、今後、できる限り裁判官としての的確な人員が確保されるように努力していきたい、このように思っております。
○城井委員
ということは、副大臣、これまでの定数要求は少し過大であった、今の人数で足りている、こういうお話だったかと思うんですが、今の理解でよろしいですか。
○平口副大臣
要求が過大であったということでもございませんで、そこのところは不足部分を補いながらやっているところでございます。御理解をお願いしたいと思います。
○城井委員
厳格な定数でのお取組をぜひお願いしたいというふうに思います。
もう定数と実際の配置の数が間があいている状況は、この一、二年ではありませんので、そこはぜひ最高裁判所などとも連携しながら取組を続けていただければと思います。
続いて、法学部への影響についてお伺いしたいというふうに思います。法学部自体の志望者が減っている点をどう考えるかということであります。
法学部のあり方については、これまでも、中教審の答申、平成十四年八月五日の「法科大学院の設置基準等について」というものによりますと、法科大学院導入後、法的素養を中心とした教養教育への重点シフト、副専攻制度など、複数の学部・学科の専門科目を同時に履修できるようなカリキュラムの工夫などなど、多様な教育プログラムの展開が想定されておりました。
あれから十五年余りであります。どれぐらい実現できてきたかという点。
やってきたけれども、結局法曹志望者は減っているという点からすると、さあ、どうか。この点、大臣、いかがでしょうか。
○亀岡委員長
柴山文科大臣。時間が来ているので、簡素に答弁をお願いします。
○柴山国務大臣
はい。おっしゃるとおり、今御指摘になったプログラムによって、進路希望に応じて多様な進路が選べるような形にはなっております。
また、大学の自主的な取組によって、法学部における法曹志望用のプログラムとして、平成三十年度の法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラムで採択されたものも、十九大学に達しております。
いずれにいたしましても、法科大学院そのものが非常に敬遠されているということから法学部自体の志願者数は減っておりますけれども、この法科大学院の改革とともに、各法学部における一層の工夫、改善を図っていただきたいと考えております。
○城井委員
時間が参りましたので、きょうは、ここで終わりたいと思います。
残余の質問は次回に譲りたいと思いますが、委員長、きょうの午後にかけての質疑でも、論点がまだまだ尽くされていない状況が相当数ございますので、質疑時間の十分な確保と、そして司法試験や司法修習を所管する法務委員会との連合審査、ぜひに実現いただきたいということで、理事会でしっかりと具体的にこの二点について協議をいただきたいと思いますが、お願いできますでしょうか。
○亀岡委員長
意見として伺っておきます。
○城井委員
終わります。
ありがとうございました。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区