学校施設や通学路におけるブロック塀等の安全性確保に関する質問主意書 衆議院議員 きいたかし 福岡10区 (北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)
平成三十年十一月九日提出
質問第五四号
学校施設や通学路におけるブロック塀等の安全性確保に関する質問主意書
提出者 城井 崇
平成三十年六月十八日に発生した大阪府北部を震源とする地震により、大阪府の小学校でブロック塀が倒壊し、登校中の小学生が下敷きとなり、尊い命が失われた。
全国では、児童を含む四名が亡くなり、四百名を超える方々が負傷した。うち、二百十四名の児童が重軽傷を負った。学校施設では、千二百を超える学校で校舎等の天井・ガラス等の破損、壁のひび割れ、断水等の物的被害があった。
北九州市では、平成二十八年度から市内の小学校の通学路におけるブロック塀等について、診断・調査を実施し、個別指導等の対応をしているが、改めて、早急な対策を行い、安全性の確保に向けた改善を図る必要があると指摘されている。
文部科学省では、六月十九日に、全国の学校設置者に対して、学校施設におけるブロック塀等の安全点検等の要請を行い、安全性に問題があると判明したものについて、速やかに改善するように通知しているところであるが、通学路については取組みが行われていない。
そこで、学校施設や通学路のブロック塀等の安全性確保に関して、以下質問する。
一 学校施設や通学路のブロック塀等の点検・調査を緊急に実施し、危険が認められる箇所については、通学路の変更や立ち入り禁止等の措置を含めた対応を徹底する必要があると考えるが、政府の認識を明らかにされたい。
二 特に、通学路のブロック塀等のうち、危険が認められる箇所において、工事等の措置が必要な場合には、地方自治体が、民間事業者とも連携し、速やかに改善する必要があると考える。民有地に設置されるブロック塀であっても倒壊の可能性がある場合に支援することができる制度の検討や、国土交通省の社会資本整備総合交付金及び防災・安全交付金の効果促進事業の積極的な活用などを念頭に、政府は地方自治体に対して、技術的・財政的支援を行うべきであると考えるが、政府の認識を明らかにされたい。
三 学校施設の安全対策に要する費用については、学校施設に対する既存の補助金等を減額することなく、ブロック塀等の修繕など小規模工事に対する補助制度、法定点検や修繕への補助制度の創設などを検討すべきであると考えるが、政府の認識を明らかにされたい。
四 文部科学省の公立学校施設の防災機能強化事業における補助対象事業の下限額が四百万円と定められているが、この応募要件を見直し、広域での申請を認めるなどの弾力的な運用を可能とするべきであると考えるが、政府の認識を明らかにされたい。
右質問する。
平成三十年十一月二十日受領
答弁第五四号
内閣衆質一九七第五四号
平成三十年十一月二十日
内閣総理大臣 安倍晋三
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員城井崇君提出学校施設や通学路におけるブロック塀等の安全性確保に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員城井崇君提出学校施設や通学路におけるブロック塀等の安全性確保に関する質問に対する答弁書
一について
文部科学省においては、学校施設におけるブロック塀等に関して、各都道府県教育委員会等に対し、平成三十年六月十九日に、学校施設におけるブロック塀等について耐震対策の状況等に係る安全点検及び必要な安全対策の実施を依頼し、同年八月十日に、それらの進捗状況の調査結果を取りまとめるとともに、安全性に問題があるブロック塀等の応急対策が完了していない学校については、速やかに注意喚起を行う等の必要な安全対策の実施を依頼した。また、国土交通省においては、同年六月十九日に、各都道府県に対し、教育部局等と連携して学校施設における組積造又は補強コンクリートブロック造の塀の安全点検に取り組むこと及び管内の特定行政庁にこれを周知することを依頼し、加えて、同月二十一日に、学校施設の塀に限らず、広く一般の建築物の塀を対象とした「ブロック塀の点検のチェックポイント」を公表するとともに、各都道府県に対し、塀の所有者等にその周知をすること等を依頼し、さらに、公益社団法人日本建築士会連合会等に対し、塀の診断等の依頼に協力するよう依頼した。
政府としては、通学路に関して、学校が改めて危険箇所を確認するとともに、必要に応じて、ご指摘の「通学路の変更や立ち入り禁止等の措置」が徹底される必要があると認識している。
二について
お尋ねの「民有地に設置されるブロック塀であっても倒壊の可能性がある場合に支援することができる制度」及び地方公共団体に対する財政的支援については、例えば、国土交通省においては、ご指摘の「倒壊の可能性がある」ようなブロック塀についてその所有者等が行う改修等に対して地方公共団体が補助を行った場合は、当該補助を行った地方公共団体に対して、社会資本整備総合交付金を交付している。また、お尋ねの地方公共団体に対する技術的支援については、一についてで述べたとおりである。
三について
御指摘の「学校施設の安全対策」及び『既存の補助金を減額することなく』の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、文部科学省においては、学校施設の安全性等を確保するため、老朽化対策や耐震化等の学校施設の整備について、一定規模以上のものを対象として学校施設環境改善交付金等を交付しており、平成三十年度補正予算においては、特に、学校施設におけるブロック塀等の安全対策を早急に実施するために必要な経費を計上している。一方、御指摘の「小規模工事に対する補助制度、法定点検や修繕への補助制度」については、現下の厳しい財政状況を踏まえつつ検討する必要があると考えている。
四について
御指摘の「広域での申請を認めるなどの弾力的な運用」の意味するところが必ずしも明らかではないが、公立学校の施設整備における国と地方の適切な役割分担や現下の厳しい財政状況に鑑み、学校施設環境改善交付金の防災機能の強化に関する事業において、一校当たり四百万円以上の事業を交付金算定対象としているところ、平成三十年に発生した大阪府北部を震源とする地震に起因して、地方公共団体が行っている公立小中学校等の学校施設におけるブロック塀等の安全対策については、臨時特例的な措置として、交付金算定対象となる事業を一市町村当たり四百万円以上のものとすることとした。
今後とも、学校施設におけるブロック塀等の安全対策について、地方公共団体に対する必要な支援を行ってまいりたい。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区