日米関税交渉の合意内容の分析(情報を更新) 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

7月23日、津田西交差点にて参院選のお詫びと御礼の気持ちを込めて朝の街頭活動に立ちました。
激励いただいた皆様に感謝します。
さて、急きょ飛び込んできた日米関税交渉で合意とのニュース。
情報収集しながら、期待と懸念の洗い出しを続けています。
以下、更新した分析を載せます。
2025年日米通商合意の影響評価(2025年7月24日版)
1. 結論
報道と政府・米大統領の公式発信を突き合わせると、今回の妥結像は 「関税面の痛みは自動車15 %でほぼ上限を固定しつつ、米国向け投資+コメのミニマムアクセス(MA)米シェア拡大でバランスを取った“限定開放型ディール”」である。
・相互関税・自動車関税とも15 %確定。追加25 %案に比べ輸出減少幅は縮小するが、年3.3兆円の関税コストは残る。
・米国産コメのMA枠内シェアは従来の約45 %→55〜60 %へ(数量は77万t枠内)。主食用米価格下落は▲2〜3 %にとどまる見込み。
・トランプ大統領SNS投稿は「5500億ドル投資の利益の90 %を米国が取る」と強調。日本側はJBIC・NEXI等による融資保証で実行予定で、リターン配分や為替リスクが最大の不確定要因。
・鉄鋼・アルミ50 %は維持。国内二次加工産業の利益率押し下げと、欧州・韓国が同様措置を要求する「連鎖リスク」が残存。
2. 理由
2-1 プラス面(期待効果)
・最悪シナリオ(25〜35 %案)回避:輸出減少は旧試算の▲6.1兆円→▲3.3兆円へ半減。
・農業ショック緩和:MA枠内のシェア変更にとどまり、政府備蓄米放出で需給調整可能。
・数量制限なき自動車関税引下げ:米欧間合意のような輸出数量枠が付かなかった。
・経済安保例外の確約:半導体・医薬品など将来の新関税で「日本が他国に劣後しない」保証を米側に明記。
2-2 マイナス面(懸念・リスク)
・鉄鋼・アルミ50 %固定化:造船・建機・建材のコスト2〜4 %上昇、利益率▲1.5pt。
・5500 億ドル投資の回収不確実性:米側取り分90 %であれば実質的な米国側優位の条件。
・MA米シェア拡大による需給ゆがみ:中粒種が主食用に流れると価格下落幅が▲3→▲4 %に悪化。
・通関負担とWTO波及:三層管理の手続き負担と他国からの同条件要求リスク。
3. 具体例・データ(2025年7月24日版)
指標 現状値(2024) と合意後の変化
対米輸出額 21.3兆円 ▲3.32兆円 関税平均15.6%
自動車関連 5.4兆円 ▲0.81兆円 15%関税
鉄鋼 0.303兆円 ▲0.152兆円 50%関税
対米投資コミット ― +83兆円/10年 JBIC・NEXI保証
コメ農業所得 1.7兆円 ▲0.04〜0.05兆円 MA枠シェア変更
実質GDP影響 602兆円 ▲0.25〜0.45%pt 輸出減+資本流出
製造業雇用 1070万人 ▲9〜12万人 生産移転
今後も政府や有識者から十分に聞き取りし、輸出関連産業や製造業など、国内産業への影響緩和策を私達から提起、実現していきます。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)