日米関税交渉で合意との報道を受けた簡略な影響分析 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

日本時間の7月23日、日米関税交渉で合意との報道がありました。
【速報】トランプ大統領 「日米交渉で合意」と投稿 “対日関税は15% 日本が米に5500億ドル投資”(FNNオンライン)
https://www.fnn.jp/articles/-/905725
報道にある日米関税交渉の合意内容について取り急ぎざっくり分析してみました。
1. 結論
15%の対日関税と日本側の米国向け5,500 億ドル投資という今回の合意は、「最悪を回避しつつ、日本企業と政府に相当の追加コストと構造改革圧力を課す取引」である。
– 日本の輸出企業は24~35%関税案という“崖”を避けられた一方、自動車・部品など約21兆円(2024年対米輸出)の売上に対し年間3兆円超の関税コストを背負う。
– 5,500 億ドル(約83兆円)の対米投資は、サプライチェーンの安全保障には資するが、国内設備投資や雇用の空洞化・財政負担につながる恐れが大きい。
– 農業・自動車市場の追加開放は、国内産業再編と価格競争の激化を招く。
2. 理由
2‑1 プラス面(期待効果)
– 関税水準の抑制
・想定されていた24~35%案に比べ、関税負担は約4.5~8.5兆円/年減少。
– 同盟維持・通商摩擦の沈静化
・期限目前での妥結により、報復関税やWTO提訴の連鎖を回避。
– 対米投資による市場確保
・米国生産シフトで“現地生産=無関税”メリットを享受しやすい。
– サプライチェーン多元化
・半導体・EV電池など戦略物資の米国拠点整備をスピード加速。
2‑2 マイナス面(懸念・リスク)
– 関税コストの恒常化
・自動車(対米輸出の約30%)、機械、電機など高付加価値財が直撃し、営業利益率2~3pt低下の試算。
– 巨額資本流出と国内投資抑制
・83兆円規模は国内設備投資(年約90兆円)の1年分に匹敵。為替調達コスト増や国際収支赤字拡大の懸念。
– 農業・食品分野の競争激化
・米国産コメ・牛肉参入で、米価▲10%・酪農収益▲5%のシミュレーション。
– WTO違反・他国波及リスク
・相互主義関税はGATT I条(最恵国待遇)に抵触の疑い。韓国・EUなどが同様の譲歩を迫る可能性。
3. 具体例・データ指標
現状値(2024)と 合意実行後の変化幅推計
対米輸出額 21.3兆円 ▲3.2兆円(15%関税相当) 為替150円/ドルで試算
対米投資累計 — +83兆円(5,500億ドル) 10年分割でも年8兆円超
農業市場規模 11.5兆円 ▲0.4〜0.7兆円 コメ・牛肉等価格下落
実質GDP 602兆円 ▲0.3〜▲0.5%pt 輸出減+投資海外流出
雇用(製造業) 1,070万人 ▲9~12万人 生産移転・守勢投資
いずれにしても立憲民主党として政府から国会への説明を受けた上で専門家等からも意見を聞き、速やかに対応していきます。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)