我が国の漁船員と同じように、外国人労働者にもSTCW条約とSTCW-F条約に準じた義務を求めるべき 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2025年4月16日衆議院国土交通委員会

○城井委員
例のSTCW-F条約についてであります。
これまで我が国が、一般の船員訓練等を定めるSTCW条約、船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約でありますが、これに批准し、商船、漁船の区別なく同一の資格体系を構築して、国内法において漁船員に対して、STCW条約に準じた義務が課されてきました。
国際的に見ても、漁船員の働く現場に対して高いレベルの義務が求められているというのが、船員の働く現場の受け止めです。
その上で、この度、漁船員の訓練、資格証明の要件及び当直基準等を定めるSTCW-F条約に批准することで、義務が追加されることになります。
このSTCW-F条約に批准した場合、外国人労働者が母国で取得した漁船の海技免状を我が国で活用することができるようになるということなんですが、船員の働く現場からは、漁船や漁船員の安全を確保することは必要、漁業の現状を踏まえると人材確保は必要。
しかしであります、しかし、我が国の漁業の現場で求められる高い熟練度を有した漁船員として、外国人労働者を迎え入れることができるのかと懸念をする御意見が寄せられています。
そこで、国土交通大臣に伺います。
外国人労働者にも、我が国の漁船員と同じように、まずは、船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約、いわゆるSTCW条約に準じた義務を果たしていただき、その上で、漁船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約、STCW-F条約に準じた義務を追加して果たしていただくべきだと考えます。
例えば、STCW-F条約に基づく義務だけで我が国における承認試験を受けていただくようでは十分ではないと考えます。
大臣の考えを聞かせてください。

○中野国務大臣
お答えを申し上げます。
委員の御指摘のとおり、現行の船舶職員及び小型船舶操縦者法におきましては、商船、漁船の区別なく、船舶職員には、商船の乗組員の資格等を定めたSTCW条約で求められている知識、能力を有するということを、海技免許の取得等を通じて求めているということでございます。
これに加えまして、今回のSTCW-F条約の締結によりまして、改正法では、我が国の一定の漁船に船長又は航海士として乗り組む船舶職員には、海技試験とは別に、漁船特有の操船に関する知識、能力を講習の受講を通じて習得をいただくということとしております。
この結果、我が国の一定の漁船に船長又は航海士として乗り組む日本人の船舶職員には、委員御指摘のSTCW条約で求められているというものと、STCW-F条約で求められているものの両方の知識、能力を有することを求めるということになるという制度でございます。
委員が御指摘をいただきました、では、それでは、STCW-F条約に基づいて外国が発給した資格証明書を受有している外国人が、我が国の一定の漁船に船長又は航海士として乗り組む場合はどうなのであるかという御懸念だと思います。
先ほどの説明しました考え方に基づきまして、そうした場合におきましても、STCW条約で求められているものと、STCW-F条約で求められているものとの両方の知識、能力を有するということを、これはしっかり求めてまいりたいというふうに考えております。

○城井委員
W条約とF条約と、両方クリアしてということを求める、こういう話でありますが、実際に、外国人労働者、外国人船員の皆様にどうやって担保をするのかというのは、大臣、この点は具体的にお話しいただけますか。

○中野国務大臣
具体的に、どういう形で承認する際の要件等を定めていくかということでございます。
基本的な考え方は、先ほど説明をさせていただいたとおりでございます。
STCW-F条約に基づいて外国が発給した資格証明書を受有している外国人について国土交通大臣が承認をする際の要件等につきましては、今後、詳細は、関係者の御意見を承りながら、しっかり検討してまいりたい、このように考えております。
考え方としては、先ほど御説明したとおりでございます。

○城井委員
現場の安全等に関わる話でありますので、特に、他国の理解を得るのには手間暇、時間もかかると思いますので、そこは丁寧な対応を是非お願いしたいというふうに思います。
続きまして、漁船員条約締約国証明書を受有する者の特例について大臣に伺います。
船舶職員法第22条の3に関係する新設条文に、漁船員条約の締約国が発給した漁船員条約に適合する船舶の運航又は機関の運転に関する資格証明書を受有する者であって国土交通大臣の承認を受けたものは、第4条第1項の規定にかかわらず、船舶職員となることができるものとするとあります。
機関に関する資格証明書を受有する者との条文に盛り込まれているのは、これまで、船長又は航海士に関する部分の改正であるとの説明と矛盾しているのではないか。
検討会の最終取りまとめにおいても、機関部と無線部についてはW条約に基づく承認試験であるとして結論が得られているものであります。
この点、大臣、認識をお聞かせください。

○中野国務大臣
お答えを申し上げます。
機関に関する部分につきましての御質問をいただきました。
STCW-F条約におきましては、他の締約国が発給した資格証明書を承認をするということで、自国の漁船の船舶職員になることを認めるという仕組みが設けられておりますが、条約の規定上は甲板部、機関部等の部門による区別は設けられていないというのが条約の規定でございます。
今般の法律改正案におきましても、STCW-F条約の当該規定の趣旨を踏まえまして、甲板部、機関部等の部門による区別なく、ほかの締約国が発給した資格証明書についての国土交通大臣の承認に関する規定を定めているというところでございます。
しかし、じゃ、実際どういう運用をするかということにつきましては、これはSTCW-F条約国内法制化検討会の取りまとめ、委員が御指摘いただいた取りまとめもございますので、これを踏まえまして、今後、関係者の御意見を伺いながら検討してまいりたい、このように考えております。

○城井委員
大臣、今の検討会の最終取りまとめの結論は重要だと思っていますが、確認です。
機関部と無線部についてはW条約に基づく承認試験である、この結論の方向で取り扱っていただくという確認をこの場でしたいんですが、いかがでしょうか。

○中野国務大臣
運用に関する制度設計につきまして、今後、関係者の御意見を伺いながら検討してまいりますということを答弁をさせていただきました。
ここは、先ほど申し上げたとおり、STCW-F条約の国内法制化検討会の取りまとめを踏まえるということでございますので、これは慎重に対応を当然してまいりたい、このように考えております。

○城井委員
踏まえての慎重対応という答弁でありました。
しっかり、ここは引き締めて当たっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)