地域公共交通の活性化と再生、持続可能な地域モビリティ実現、実効ある議論を推進するべき 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2025年3月14日衆議院国土交通委員会
○城井委員
地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づいた持続可能な交通体系の構築に向けた取組について伺います。
具体的には、持続可能な地域モビリティー実現に向けた実効ある議論を推進することが必要だということをこの場では申し上げたいと思います。
人口減少、少子高齢化が進む中で、地域で暮らす人々の選択肢がなくなる前に、地域にとってふさわしい交通手段を選ぶことができるように道筋をつける必要があると考えています。
2023年10月には、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律が改正をされました。
国土交通省は、今般の法改正により創設、拡充された枠組みを含め、あらゆる政策ツールを最大限活用し、利便性、生産性、持続可能性の高い地域公共交通へのリデザインを加速化してまいります、こういう説明でございました。
しかし、大臣、実際に聞こえてくる声はこうです。
各地域で起こっているのは、路線の存廃議論につながることを危惧した消極的な反応や、また改正法の趣旨に逆行するような取組だ、こういう心配する声が実際にあります。
そこで、国土交通大臣に伺います。
この2023年10月に改正された地域公共交通の活性化及び再生に関する法律は、鉄道とりわけJRが路線を廃止しやすくするためのものではないということ、持続可能な公共交通の在り方を地域のあらゆる関係者が議論し、選択し、実現していくためのものだというふうに私は理解をするわけですが、この理解でよいかという点を大臣に確認したいと思います。
○中野国務大臣
お答え申し上げます。
令和5年の地域交通法の改正について、地元でいろいろな御心配の声ということで御質問いただいたと思っております。
地域公共交通が厳しい状況に置かれているということを踏まえまして、これは、各地域で公共交通の在り方を、まさに地域が主体的に考えていただいて、創意工夫を凝らした取組を進めることを国が支援をするという中で、利便性、持続可能性の高い地域公共交通を実現していこう、こういうことを目的としていたところでございます。
とりわけ、大量輸送機関としての鉄道特性を十分に発揮できていないローカル鉄道につきましては、これは関係者の要請に基づきまして、地域公共交通の在り方について議論をするための再構築協議会、これを国が設置できる制度というものを創設をしたところでございます。
委員から先ほど、これはJRが路線を廃止しやすくするためのものなんじゃないか、そういう御懸念のお声もいただきました。
この再構築協議会におきましては、対象の路線については、当然、廃止ありき、あるいは存続ありきといった特定の前提を置かずに、ファクトやデータの収集、実証事業による対策案の検証等を通じて、そして地域の意見もよく聞いた上で、関係者の合意形成を図るということとしております。
こうした制度も活用しながら、地域の多様な関係者による議論を促して、地域にとって最適で持続性の高い地域公共交通機関が実現されるようにということで考えておりますので、そういう意味では、委員御指摘の、持続可能な公共交通の在り方を地域のあらゆる関係者が議論し、選択、実現をする、まさにそうした公共交通が実現をされるように取り組んでいきたいというふうに考えております。
○城井委員
今、大臣の御答弁の中でも、再構築協議会について触れていただきました。
関係主体の議論ということでありますが、そこで当事者が集まりますと、なかなか議論自体をスタートすること、そしてまとめていくこと、各地域での苦労は重なっているようであります。
そこでお伺いするんですが、法改正の趣旨にのっとりまして、関係主体による議論が円滑に進められるように、国が適切な指導や政策推進を積極的に行うべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○中野国務大臣
委員御指摘のとおり、地域にとって最適な地域公共交通の実現を図る上では、やはり、地域の関係者においてしっかりと議論をして、将来の在り方ですとか、それぞれの役割分担等を整理をするということは必要でございます。
他方、ローカル鉄道の再構築などを進める際に、地域と事業者との間での調整に委ねるだけでは議論がなかなか進まないこともあるというのは、まさに委員の御指摘のとおりで、令和5年の地域交通法改正で、自治体又は鉄道事業者からの要請を受け、先ほどの、国が再構築協議会を設置をすることができるという仕組みとしております。
現在、この仕組みを活用いたしまして、JR西日本の芸備線につきまして、これは中国運輸局が中心となって再構築協議会を設置をいたしまして、地域の関係者とともにその在り方の議論を、まさに進めているところでございます。
また、こうした制度面のみならず、予算面でもしっかり支援をするということで、ローカル鉄道を上下分離し、下物を保有する自治体が施設整備等をする場合には社会資本整備総合交付金による支援というものも可能としたというのが、地域交通法の改正の中での議論でございます。
こうした新しい制度面、予算面での支援を最大限に活用するとともに、地域に対して適切な助言を行うことで、各地域における利便性、持続可能性の高い地域公共交通が実現をするように、これは国としても積極的に取り組んでまいりたいというふうに思います。
○城井委員
今、国としても積極的に取り組むという大事な答弁をいただけたと思います。
今の議論に当たりましては、鉄道からバス等へのいわゆるモード転換、あるいは今ほど言及のありました上下分離方式を始めとする公有民営方式の導入等を含めた検討を行って、真に持続可能な交通体系を構築するための取組が必要だと考えます。
この点、国土交通大臣のお考えをお聞かせいただけますか。
○中野国務大臣
様々な方式の導入ということで委員から御指摘いただきました。
地域において利便性や持続可能性の高い地域公共交通を実現するために、国、地域、交通事業者等の関係者が連携をして、それぞれの知見も活用しながら、考え得る選択肢について様々な視点から検討して、どういう形の地域公共交通とするかということを選択をするということは非常に重要かと思います。
ローカル鉄道の再構築に当たりましても、例えば、上下分離や三セク化による鉄道の維持ということもありますし、BRTやバスといった他の交通モードへの転換といった多様な方法が考えられます。
近年の例でいいますと、近江鉄道では、令和6年には上下分離が行われました。
また、JRの城端線、氷見線では、これは三セクである、あいの風とやま鉄道への事業譲渡が予定をされております。
JR日田彦山線では、令和5年にBRTへの転換が行われております。
多様な手法によりまして、ローカル鉄道の再構築というのが進められているところでございます。
国としては、やはりこうした地域における検討が円滑に進むように、それぞれの地域の実情も踏まえまして、他の地域の取組の事例の紹介や必要な助言を行うとともに、当然必要なデータの収集や実証事業による対策案の検証等、調査事業等に対してはきめ細かい支援を行っているところでもございますし、先ほど来お話ありました、自治体が主体的にインフラ整備をするときは社会資本整備総合交付金で支援をするという制度もございます。
これは近江鉄道を始めとして、9つのローカル鉄道に対して支援も行ってまいりました。
こうした支援を通じて、ローカル鉄道の再構築を着実に進めているところでございますが、こうした様々な取組で、利便性や持続可能性の高い地域公共交通の実現を図ってまいりたいと思います。
○城井委員
大臣から今ほど御答弁がありました中身は、知恵を出し、汗をかき、お金を出す、それぞれに大事な場面だと思いますが、やはり国からの積極的な関与が必要な場面が増えている、再構築協議会あるいはその設置前の自治体等でも議論が多いというふうに思いますので、是非積極的なお取組をお願いしたいというふうに思います。
次に参ります。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)