がんや難病などの患者当事者の声を踏まえて、高額療養費の自己負担引上げは凍結するべき 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2025年3月4日衆議院予算委員会

○安住委員長
次に、城井崇君。

○城井委員
立憲民主党の城井崇です。
本日もよろしくお願いいたします。
冒頭、石破総理にお伺いしたいと思います。
今回の予算委員会、省庁別審査など、新しい形で充実した審査を、審議を行ってまいりました。
今回の予算委員会の新しい在り方について、石破総理から、冒頭、感想、受け止めをお伺いしたいと思いますけれども、お願いできますか。

○石破内閣総理大臣
私も長く議員をやって、予算委員会にも随分長く籍を置いておりますけれども、今までにない議論がなされたと思っております。
もちろん、野党の皆様方からすれば、もっといろいろな考え方があるのではないかということですけれども、でも、これから議論になるんだろうと思いますが、高額療養費の問題につきましても、御指摘を受けて、私どもとして考えを改めるところもございました。
これから先、こういうような委員会の在り方というのはもっとあってしかるべきだろうと思っております。
我々政府としても、御指摘を謙虚に受け止めながら、改めるべき点は多くの御理解を得て改めてまいりたいと思っております。

○城井委員
本日の委員会も、是非、もう一歩先の充実した議論につなげていきたいというふうに思います。
よろしくお願いいたします。


○城井委員
今回は、立憲民主党の修正案について、令和7年度予算案での政府の対応状況について石破総理にお伺いしてまいりたいと思います。
まず、今ほど総理からも言及のありました、高額療養費の自己負担引上げの凍結についてであります。
政府の再度の見直し案の発表の後も、凍結してほしいという、がんや難病などの患者当事者の声は日々高まるばかりであります。
この声に応え、令和7年8月からの高額療養費の自己負担引上げをやはり凍結すべきであります。
患者を泣かせないため、そして、制度の持続可能性ということを申しますが、これを高めていく意味でも、一旦立ち止まって、税投入をしてでも、ここは立ち止まって考え直すべきだ。
200億円の財源は立憲民主党案でもお示しをしています。
総理、改めての凍結決断をお願いしたいと思います。

○石破内閣総理大臣
この問題は、城井委員とも随分とこの場で議論をさせていただきました。
私どもとして、本当に高額療養というものを受けておられる方、それによって本当に生きる希望というのをつないでおられる方々、そういう方々に対する配慮というのはしていかねばならないと思っております。
これに公費を入れるということの是非というのはこれから更に議論させていただきたいと思っておりますが、ここに公費を入れるということは、保険の在り方を根本から変えるという可能性もございます。ここは更に議論させていただきたいと思っております。
もう一つは、いかにして持続可能性を維持するかということでございまして、これから先、医学の進歩に伴いまして、高額療養というのはもっと広がってくるんだろうということが予想されるところでございます。
そして、少子高齢化というのも進んでいく中にあって、保険者の方々の負担をどう考えるかという議論は、私ども、もう少しさせていただきたいと思っております。
我々として、本当にそういう病に苦しむ方々に十分配慮しつつも、同時に、この制度をどうやって持続させていくかということについて、更に議論を賜りたいと思っております。
今回は、物価上昇分は見させていただきたい。
ずっと見ないできたわけでございます。
確かに物価が余り上がらなかったということもございますが、その分はやはり配慮しなければならない。
これはもう制度の持続可能性の問題でございます。
私たちとして、こういうような苦しんでおられる方々に対する配慮を、これから先も十二分にしていかねばならないと認識いたしております。

○城井委員
政府から、そして自公修正案でも示された今回の自己負担の引上げの話でありますが、総理からの話があった後からも声が聞こえてくるわけです。
ぎりぎりで踏ん張っている患者さんの生活が破綻する最後の一撃になることが分かっていないのではないかという大変厳しい声です。
制度が存続したとしても、そのために自己負担分が増えて治療を諦め、命を落とす人が出てしまったら、何のための制度かということになります。
また、たとえ判定基準を据え置いても、例えば、上限に達しないで多数回該当にならない人が置き去りのままになる問題点も残るというのが現場当事者からの受け止めです。
引上げ凍結して、こういうことを見直すべきだということを申し上げるわけであります。
昨日、総理、お聞き及びでしょうか、高額療養費の超党派の議員連盟が立ち上がりました。
高額療養費と社会保障を考える会という仮称だそうでありますが、設立ということであります。
立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、日本共産党に加えまして、自民党や公明党なども参加見込みというふうに伝わってきています。
この集まりで目指すところは、党派を超えて、医療のセーフティーネットである高額療養費制度の今後について問題意識を共有している、拙速に進めず抜本見直し、新たな制度設計も念頭に十分に議論する時間を取るべきだ、短期間で微修正を繰り返す政府に、患者さんなど当事者の皆さんの不安はピークに達しています、一度立ち止まる政治判断がその不安を払拭する唯一の手段です、こうした訴えであります。
総理、この超党派議員連盟の存在、これから鍵になってくるというふうに思います。
この超党派議員連盟からの政策提案、今後出てくると思いますが、総理にしっかり対応いただきたいと思いますが、対応いただけますか。

○石破内閣総理大臣
この問題は、当然のことでございますが、イデオロギーの問題でも何でもございません。委員御指摘のように、本当にこれを最後のよりどころとして利用してこられた方々が、これによって絶望のふち、もう治療を諦めざるを得ないということが一件たりとも生じてはならないと私は思っております。一件たりともそういうことが生じないようにしていかねばなりません。
今回は物価上昇分だけ見させていただきますが、これから先、患者の皆様方の御意向、団体の皆様の御意向、あわせまして、くどいようでございますが、保険者の皆様方の意向というものもきちんと数字に基づいて承っていかねばならないと思っております。
保険者の意向というのは、要は、この制度をどうやって続けていくか。これから先、高額療養というのは増えていくのでしょう。そうすると、保険の中でどうしてそれを見ていくかという議論はやはりしていかねばならないものだと思っております。
私どもとして、公費の投入というものの考えは今のところございませんが、では、どうやってこれを維持していくのかということについて、保険者の方々の御意見も承りながら、今回は一回立ち止まって、もう一度それを見直していくということで私どもは臨んでまいりたいと思っておるところでございます。

○城井委員
患者当事者の皆さんが駆け回って、必死の思いで、今回の超党派の議員連盟設立に向けて声をかけて回ったというふうに聞いています。患者当事者の声が、この超党派議員連盟を通じて総理に向けられていくわけであります。
この超党派議員連盟での取組に御協力いただけるか、再度お答えください。

○石破内閣総理大臣
それは、議員の皆様方が党派を超えて真摯な議論をされて、いろいろな御提案をなさるということに対しまして、私ども政府として、それを真摯に受け止める必要はあるというふうに考えております。
私は、その議員連盟というものがどういうものであるかつまびらかには存じ上げておりませんが、もちろん、そこにおいて党派を超えてなされた真摯な議論というのは、私どもは傾聴に値するものだと思っております。是非とも御教示を賜りたいと思います。

○城井委員
是非お願いしたいというふうに思います。
この超党派議員連盟からも恐らくこうした話が上がってくるだろうという一例を申し上げますと、例えば、患者当事者にとって実質的な負担増に今回なるだろう例の1つは、引上げ幅の問題というものがあります。
例えば、年収700万円の人であれば、これまで8万100円の基準が、2年で3回の引上げによって13万8,600円まで、金額にして5万8,500円、率にして何と73%の引上げ、こういう話であります。
審議会では最大15%という説明だったんじゃないですか、総理。
それをしのぐ大幅な引上げ、負担増ということであります。
そもそも、この引上げ幅73%、妥当なのか。
一旦引上げ凍結を行って、この最大15%を超える引上げ幅の見直しも行うべきなんじゃないか。
総理、いかがですか。

○福岡国務大臣
まず、御指摘の審議会での議論におきましては、社会経済情勢の変化に応じた引上げとして、自己負担限度額を5%から15%の一律の率で引き上げた場合の試算結果をお示しするとともに、それとは別に、所得区分ごとの細分化による引上げとして、現行の大くくりの所得区分を細分化し、各区分の収入に応じた自己負担限度額の引上げを行うことをお示ししたところでございます。
併せて、全体の引上げのイメージ図もお示ししてございまして、今回の見直しがこうした二つの引上げによる見直しであることは十分説明していると考えてございまして、最大15%と説明したのに……

(発言する者あり)

○安住委員長
静粛に。

○福岡国務大臣
73%の引上げを行うものといった御指摘は当たらないものと思います。
その上で、所得区分の細分化につきましては……

(発言する者あり)

○安住委員長
静粛に。

○福岡国務大臣
現行の大くくりの所得区分の中で、所得の高い方々には自己負担額が増加することになりますが、これは、負担能力に応じた負担をお願いさせていただく観点から、よりきめ細かな制度にすることでございます。
令和8年度以降に実施する所得区分の細分化に伴う自己負担の引上げにつきましては、総理も申されていましたように、一旦立ち止まり、本年秋までに、患者団体の皆様を含む関係者の御意見を十分に承った上で、増大する高額療養費を能力に応じてどのように分かち合うかという観点から、改めて方針を検討し、決定することとしておるところでございます。

○城井委員
事前に当事者の話を聞かないから、今みたいな説明になるんですよ。
引上げ幅73%、政府の公開資料から導き出される、そういう数字ですよ。
患者当事者の皆さんは、政府の説明を報道などを通じて聞きながら、そして、公開資料を見てしか判断する機会がなかったわけですよ。
総理、事ほどさように、これまでの取組では足りませんし、今回の予算の国会修正という枠の中での議論にはやはり限界があるというふうに思っています。
ですので、ここでお願いしたいと思います。
秋には、一度立ち止まってという話が始まるのかもしれません。
この高額療養費だけではありませんが、高額療養費の問題を含めて、今回の予算委員会で課題になった、とりわけに再来年度予算にも関わるような問題について、是非、令和8年度の概算要求の前に予算委員会の閉会中審査をお願いしたいと思いますが、委員長、お願いできますか。

○安住委員長
理事会できちんとやりますから。
やりますからね。

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)