高校無償化の拡充は、公立学校の施設整備支援など公教育の機会確保とあわせて行うべき 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2025年3月3日衆議院予算委員会

○渡辺(創)委員
ここから、教育無償化に関するテーマについてお伺いをします。
政府及び自公案の提出者、立憲修正案の提出者にも質問してまいりますので、お願いいたします。
一部、ちょっとテーマが入れ替わるところがありますので、よろしくお願いいたします。
まず、高校無償化についてですが、自公維の合意文書を前提にお伺いをしますが、新年度を経て、令和8年度からは私立高校の加算額を45万7,000円に引き上げるとされています。
今回の修正案には直接影響しませんが、セットで国民に示されているわけですので、必要な財源額の見通し、必要な額をどのようにして確保するのか、自公案の提出者にお伺いします。

○柴山委員
お答えいたします。
お尋ねの、令和8年度から私立加算額を45.7万円に引き上げる場合、この場合に必要な所要額について、文部科学省において、仮に現行制度を前提として機械的に大まかに試算をしたところによりますと、所得制限を外して、私立の生徒には、全国の私立高校の現在の授業料である、今御指摘の約45万円を支給をする、それから、国公立の生徒につきましては、現行制度の全日制高校の支給上限額11万8,800円を支給すると仮定した場合には、現行予算の4,000億円に加えて追加で必要な所要額は、やはり4,000億円、要は倍増するというふうになります。
また、財源確保のお尋ねにつきましては、三党合意において、施策の実現に当たっては、政府全体で徹底した行財政改革を行うことなどによって安定財源を確保するとされておりますので、この合意内容に基づいて、一年ありますので、しっかりとこの合意事項の実現に責任と誠意を持って、検討、取り組んでまいりたいというように考えております。

○渡辺(創)委員
もうちょっと具体的な御説明が聞きたいというところではありますが。
立憲民主党案の提出者に伺いますけれども、立憲民主党も同じような提案をしています。
また、高校授業料の実質的無償化といえば、民主党政権時に着手してきた政策でもあります。
そういう意味では、高校での教育を安定的に充実をさせ、家計の負担を抑えながら進めるということには我々は大変強いこだわりを持っているというふうに思っていますが、今回の自公修正案及び自公維合意文書から読み取れる高校無償化の内容について、立憲民主党の見解をお伺いしたいと思います。

○城井委員
お答え申し上げます。
与党修正案には、これまで立憲民主党から求めてきた高校無償化の拡充、その政策の一部が含まれていること、具体的には、令和7年からの公立の所得制限の撤廃、令和8年からの私立高校の加算45.7万円、こうした点が含まれている点については評価をいたしたいと思いますが、不十分な点もあると思っています。
民主党政権時から始まった高校の実質無償化は既に10年以上経過しておりまして、関係する仕組みについて、関係者は習熟していただいたというふうに考えています。
所得制限の撤廃だけではなくて、私立高校の加算の引上げ、所得制限撤廃も十分に令和7年度中に実施できるものだ、工夫はあるというふうに考えています。
一方で、高校無償化を先行した大阪府の例を見てみますと、やはり公立高校の志望者が減少し、私立高校を目指す方が増えたというのは間違いないと思っています。
ですので、公立高校の支援、公立高校の魅力向上に向けて取組が必要だ。
立憲民主党では、670億円の施設整備費の追加が必要だという提案を財源つきでいたしましたが、与党案の中では僅か10億円という有様であります。
これでは不十分だというふうに考えています。
公教育の機会確保へもっと支援を充実すべきだというふうに考えます。

○渡辺(創)委員
ちょっと順番を入れ替えようと思いますが、高校無償化に関連して、定時制、通信制高校の支援についてお伺いします。
全国の高校在籍者数及び定時制、通信制高校の在籍者数はどうなっているか、文科省に、政府参考人で結構ですので、御答弁ください。

○望月(禎)政府参考人
お答えいたします。
全国の高等学校の在学者数でございますけれども、令和6年5月1日現在におきまして、全国の高校生は319万7,008名、定時制高校につきましては7万2,347名、通信制高校については29万87名となってございます。
これは、直近の4、5年、令和2年と比較しますと、全国の高校生については約10万人減少、定時制高校生については約7,000人減少、通信制高校生については8万3,000人強が増加をしているところでございます。

○渡辺(創)委員
パネル1を御覧いただきたいと思うんですが、これは令和6年のデータを基にすると、今御答弁もあったように、高校生全体のうち、定時制高校の生徒は2.3%、通信制の高校の生徒は9.1%、合わせると、高校生の11.4%が定時制、通信制の生徒です。
文科省の学校基本統計によれば、工業高校の生徒は全体の6.9%、商業高校は5.6%、農業高校は2.3%ですので、各専門高校で学ぶ生徒さんたちよりも定通制の生徒の方が多いというのが現実であります。
パネル2を飛ばして、パネル3を御覧いただきたいと思いますが、折れ線グラフが高校生全体の数の変化、棒グラフが通信制高校で学ぶ生徒数の変化を示しています。
一目瞭然ですが、日本の高校生は、平成2年がピーク時で約580万人だったものが、今、320万人まで減少しています。
一方で、通信制高校で学ぶ生徒は、16万人から29万人と倍増の勢いです。
棒グラフの色分けを見ていただければ分かりますが、最大の要因は、黄色い部分、私立通信制、大半はいわゆる広域通信制の伸びが要因であるということははっきりしています。
定時制、通信制で学ぶ高校は、今の教育界のいろいろな現状を反映して、少子化の中でも増えているということになります。
お伺いをしていきたいのは、今の高校無償化の仕組みのベースとなっている就学支援金の制度には、支給期間の上限があります。
標準的なものは、修学年限に合わせて、全日制だと36か月、定時制であると48か月、定通制だと48か月となります。
定通制の特徴というのは、義務制の段階で不登校だった生徒や、中には、働きながらであったりその他社会活動を行いながらであったり、体調面の課題を持っていたり、進路や学び方に悩みがあったりと、多様な状況を抱えながら在籍する生徒も少なくないということにあります。
そういう中で、ボリュームからいえば少数ですが、1年間の中で十分に想定する単位を取得できない、つまり、学年をやり直すということは決して珍しいことではありません。
これは、ある意味で、多様な学び方を尊重し、学習機会を担保するとりでとしての定通制の性格を踏まえれば、特段問題視されることではないというふうに思います。
しかし、現状では、こういう1年余計に学校に通うことになった場合には、就学支援金の対象からは外れるということになります。
文科省に伺いますが、学び直し支援金という制度があります。
簡潔に説明してください。

○望月(禎)政府参考人
今委員御指摘の学び直しでございますけれども、高校等を中途退学した後に、再び高等学校等で学び直す場合には、卒業までの最長12か月、定時制、通信制課程の場合には24か月、法律に基づく支援金とは別に、授業料に係る支援を受ける仕組みとしているところでございます。

○渡辺(創)委員
今のポイントは、この学び直し支援金というのは、A高校を中退してB高校に替わって、同じ学年を重複してやり直すときには学び直しの支援金が出るんですが、同じ高校の中で学年を重ねて重複してやる場合には、さっきの上限がかかるので、3年分、4年分しか支援金が出ないという仕組みになっています。お分かりいただけたでしょうか。
学校を中退して替わればカバーされるのに、学校を替わらず、同じ学校の中で1年余計にかけることには手が施されていない。
これはどう考えても制度の矛盾だし、谷間だというふうに思うんです。
何とか措置してあげるべきだというふうに私は思うんです。
特に、全日制でも起こる問題ですが、定通制というのは多様な学びを保障するという場所ですから、ある意味では、こういうことが顕在化しやすいというのが実態だと思います。
是非、教育無償化の充実を図るというタイミングに、この問題も一緒に解決、改善させるべきだというふうに私は思いますので、自公、そして立憲、それぞれの提出者にお考えをお伺いしたいというふうに思います。

○柴山委員
今委員から実態について詳細に御説明をいただいたかと思います。
確かに、定時制、そして通信制に通う生徒さんたちの中には、様々な事情によって、48か月を超えて在籍している場合があるということであります。
ただ、現行制度において就学支援金の支給期間を通常の修業年限の期間としている趣旨は、所定の修業年限内で高等学校等を卒業する者が受けられる就学支援金の総額との均衡、また、今おっしゃったように、法律の文言上は、何々以上の在籍期間を認めているわけなんですけれども、それでは、無制限にその方々に公費を支出するということが納税者の理解を得られるか、こういったことも非常に重要な観点であるというふうに考えています。
ですので、今御指摘の点については、こうした現行の制度、考え方を踏まえつつ、高校無償化に関するその他の論点と併せて、この後、十分な検討を行わせていただきたいと考えております。

○城井委員
是非手だてを増やしたいというふうに考えます。
立憲民主党では、社会全体で子どもたちを支える、子どもたちを分断しない、こういう理念で取組をしておりますが、高校無償化も当然その下に入るというふうに考えます。
定時制、通信制に通う生徒の中には、様々な環境の下で、修業年限で卒業できない生徒がいることも理解をしています。
社会全体で支える観点から是非対応したい。
これまでも、立憲民主党提出の高校無償化拡充法案において、具体的に検討条項として言及をしています。
政府は、速やかに、高等学校又は中等教育学校の後期課程の通信制の課程に在学する生徒等に係る経済的負担の更なる軽減に係る方策について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすることというふうにいたしております。
是非実現に向けて党派を超えてお声がけをし、実現してまいりたいと思います。

○渡辺(創)委員
この件、細かい制度については聞きませんが、こういう考え方は必要だと総理は思われませんか。
総理の御感想を聞きたいと思います。

○石破内閣総理大臣
済みません、いろいろな御教示をいただきました。
通信制、定時制で学んでおられる方々には、いろいろな御事情がおありなのだろうと思っております。
では、高等学校で学ぶべきことをきちんと習得をしていただくというために何ができるかということが重要なのだと思っておりまして、今後よく検討させていただきます。ありがとうございました。

○渡辺(創)委員
最後に、公立高校の支援についてお伺いをしたいと思いますが、公立と私立の間の格差が進むのではないかという問題も指摘されています。
立憲民主党は、老朽化が進む公立学校の施設整備の必要性等も強く打ち出してきておりますけれども、具体的にはどのような対応が必要と考えているか、立憲民主党案の、修正案提出者にお伺いをします。

○安住委員長
城井修正案提出者、時間がありませんので、簡潔に。

○城井委員
はい。
先ほどお答えしましたように、公立学校の魅力向上に加えて、自治体の財政難などで施設の老朽化が大変進んでおります。
ここを勘案して、公立学校の施設整備を早急に進めていくために支援拡充を行って、安心の確保、そして教育の質の向上につながるように取組をするということで提案をさせていただいています。

○渡辺(創)委員
どうもありがとうございました。
これで質問を終わります。

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)