新しい大学入学共通テストへの英語民間試験導入に関する公正性、公平性の担保に関する質問主意書 衆議院議員 きいたかし 福岡10区 (北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

 

 

平成三十年七月十七日提出
質問第四六六号

新しい大学入学共通テストへの英語民間試験導入に関する公正性、公平性の担保に関する質問主意書

提出者  城井 崇

 


新しい大学入学共通テストへの英語民間試験導入に関する公正性、公平性の担保に関する質問主意書

高大接続改革、特に新しい大学入学共通テストへの英語民間試験導入に関する公正性、公平性の担保について、以下質問する。

一 センター試験や個別試験は、高度の公正性・公平性が求められてきた。例えば、センター試験は、大学入試センターが発行する実施要領に基づき、全国の全会場でまったく同じことがまったく同じペースで進められ、遅刻やトイレ中断への対応はもちろん嘔吐や鼻血の対応まで前もって決められている。出題・採点ミスがあった場合は、追加入学や補償金等で対応してきた。先般、文部科学省は個別試験の問題の解答公表を原則とすることを決定したところでもある。各民間試験にも同様の公正さ公平さを求めるのか。政府の認識を明らかにされたい。

二 同じ共通テストの枠内で実施しながら、各民間試験についてだけ、他の試験と同様の公正性・公平性を求めないということはあり得るのか。公正性・公平性のギャップを国民にどう説明し、理解を得るのか。受験生や保護者、教員が納得すると思うのか。政府の認識を明らかにされたい。

三 障害等のある受験生への対応として、全盲の受験者のための点字冊子の提供、弱視の受験者のための拡大文字冊子の提供、重高度難聴の受験者のためのリスニング・スピーキングの免除、中・軽度難聴の受験者のためのヘッドフォンの貸与、座位を保つことが困難な受験者や両上肢の機能障害を持つ受験者のための解答方法の配慮や試験会場・部屋の配慮などが想定されるが、全国の受験会場で確実に行われることを文部科学省としてどのように担保するのか。政府の認識を明らかにされたい。

四 毎年度、全都道府県で複数回実施されることになっている二十三種類の試験について、実施団体の公表情報どおりに行われていることを確認するのはそもそも現実的でないのではないか。結局は、実施団体に丸投げするしかないのではないか。その結果、犠牲になるのは、受験生とこの国の入試制度であると考えるが、政府の認識を明らかにされたい。

五 共通テストとしての民間試験の利用は一年半後に始まる予定となっている。すべての受験生が、受験したい試験を滞りなく、少なくとも二回受けられる見通しは立っているか。例えば、どの試験を何人くらいの生徒がどこでいつ受験するというような想定に基づいて、制度の実現可能性は確認されているのか。政府の認識を明らかにされたい。

六 文部科学省は、各高等学校にニーズ調査を実施しているとのことであるが、新制度が実現可能であるか否かについて、どのように確認し判断するのか。政府の認識を明らかにされたい。

右質問する。

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平成三十年七月二十七日受領
答弁第四六六号

内閣衆質一九六第四六六号
平成三十年七月二十七日

内閣総理大臣 安倍晋三

衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員城井崇君提出新しい大学入学共通テストへの英語民間試験導入に関する公正性、公平性の担保に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


衆議院議員城井崇君提出新しい大学入学共通テストへの英語民間試験導入に関する公正性、公平性の担保に関する質問に対する答弁書

一及び二について

お尋ねの「同様の公正さ公平さ」等の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、民間試験(平成三十二年度から実施される大学入学共通テストの枠組みにおいて活用される民間の英語の資格・検定試験をいう。以下同じ。)については、試験内容・実施体制等が入学者選抜に活用する上で必要な水準及び要件(以下「参加要件」という。)を満たしていることを独立行政法人大学入試センター(以下「センター」という。)が確認したものを活用することとしており、参加要件としては、日本国内において広く高校生に受検され又は大学入学者選抜に活用された実績があること、試験監督及び採点の公平性・公正性を確保するための方策を公表していること等が定められているところである。

 

三について

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、民間試験については、障害等のある受検生への合理的配慮をしていることを公表していること等の参加要件を満たしていることをセンターが確認したものを活用することとしており、各受検生はそれぞれの障害の状態等に応じて受検する民間試験を決定することができるものと考える。

 

四について

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、センターにおいては、民間試験の実施状況について、各民間事業者等に対し、毎年度、センターへの報告を求めることを予定していると承知している。また、センターが定める「大学入試英語成績提供システム参加要件」においては、「本参加要件及び別に定める協定書等で約する内容が満たされなくなった場合には、改善案を速やかに理事長に提出するとともに、これに係る状況を公表すること。理事長は、改善状況の確認を行い、改善されない場合は必要に応じ当該試験についてシステムへの参加を取り消すものとする。」とされているところである。

 

五及び六について

現在、文部科学省において、各高等学校に対して「「大学入試英語成績提供システム」参加試験ニーズ調査」を依頼しているところであり、同調査の結果を踏まえて、受検生が必要な受検機会を得られるよう、民間試験を実施する民間事業者等に対して、受検需要に応じた実施会場の確保等を促すこととしている。

衆議院議員 きいたかし 福岡10区