政府基金の事業見込みと実績の乖離、ほとんど使っていない基金残高は国庫返納して活用するべき 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2025年2月5日衆議院予算委員会

○城井委員
政府基金の執行状況、その乖離の状況について伺ってまいりたいと思います。
政府基金の事業費の見込みと実際の執行額が大きく乖離している、つまり、かけ離れている基金が多く見られます。
政府基金の執行の乖離は、事業費と実績の乖離額、金額ですね、そして、事業費見込みと実績の乖離率で状況を確認できますが、政府による点検、見直しでの議論や取扱いを確認ができておりません。
この事業費見込みと実績の乖離額や乖離率が大きい、つまり、見込みに比べてほとんど使っていない基金の基金残高は、積み過ぎている可能性がある。
これを精査した上で国庫返納させて、そして、その積み過ぎ金額を物価高対策などに充てるべきだというふうに考えています。
そこで、この乖離額が大きい基金や乖離率が大きい基金の点検、確認について伺いたいと思います。
資料を御覧ください。
令和6年基金シートを基に作成した事業費見込みと実績の乖離額上位10基金、事業費見込みと実績の乖離率上位30基金に関する一覧表です。
行政改革大臣に伺います。
この乖離額が大きい政府基金や乖離率が大きい政府基金について、政府として把握をしているか。
昨年行われた政府による点検、見直しでどのような議論をして、どのように扱うこととしたか、お答えください。

○平国務大臣
まず、あらかじめ各年度の所要額が見込みが難しいということで基金にしているということがあります。
なので、執行見込みと実績に乖離があることのみをもって、基金として適切ではないと評価すべきではないと考えております。
ただ、国費を適切かつ効率的に活用する観点から、乖離額や乖離率にかかわらず、乖離の状況やその理由を踏まえ、より精度の高い事業見込みを算定し、保有資金規模が適正なものとなるように不断の点検を行うことが重要であるという議論をさせていただきました。

○城井委員
財務大臣にも伺います。
今の事業費見込みと実績の乖離額が大きい政府基金や乖離率が大きい基金について、財務省としての把握はいかがでしょうか。

○加藤国務大臣
把握というか、それに対してどう対応していくのかということだと思います。
元々、基金というのは、当該年度にどれだけ支出するかよく分からないということが前提になっているわけですから、一定程度そういったことは起こり得るということ、その性格上、それを踏まえる必要があると思います。
ただ一方で、資金を適切かつ効率的に活用する観点からは、今おっしゃった乖離額、乖離率にかかわらず、乖離の状況、その理由、そしてより精度の高い事業見込みを算定して、保有資金規模が適正になるよう、これは不断に点検をしていかなきゃならないというふうに思っておりますし、先ほど平大臣から、令和6年度の点検の結果、約1兆1,565億円の返納を見込んでいるという答弁をさせていただいたところであります。

○城井委員
では、少し個別に見ていきたいと思います。
政府基金において乖離額や乖離率が大きくなる理由です。
大きい基金を所管する官庁に伺ってまいりたいと思いますまず、経済産業省のリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業基金について伺います。
お手元にも資料をおつけしました。
御覧ください。
令和6年基金シートによると、この事業費見込み、そして実績の乖離率、何%になるかお答えいただけますか。

○加藤大臣政務官
お答えします。
乖離率でいいますと、始まりました2022年の乖離率というのは、支払いが完了しておりませんのでゼロ%でございますが、しかしながら、この事業というのは、2022年に始まりましてから7年間の事業でございます。
その中で、事業者、主体事業者からの相談を受けて、研修があって、さらに転職があって、さらにフォローアップということで、複数年の事業ということで見ております。
当該2022年の予算につきましても、当初、申告額につきましては2.2億円を見込んでおりましたけれども、実際の支払いに当たりましては、事業者から提出された証憑類の確認を行う必要がありましたため、支払いのタイミングが後ろ倒しになっております。実際に、2034年度には、2023年度に見込んでいた額も含めて、現時点で約30億円の支出を見込んでおります。
引き続きまして、経済産業省としましては、構造的な賃上げを通じた日本経済の持続的な成長を目指すべく、適正かつ着実な予算執行に邁進してまいる所存でございます。

○城井委員
政務官、今の令和6年基金シートによると、今のこの基金の残高、幾らありますか。

○加藤大臣政務官
失礼いたしました。先ほどの乖離率につきまして訂正をさせていただきます。
ゼロ%ではなくて100%でございます。
大変失礼しました。
続きまして、残高につきましてでございますが、現時点で、第1次公募から、今、第4次公募まで済んでおります。
今年の1月には第5次公募も完了しております。
その中で、約650億円の費用が既にもう交付決定済みということで見込まれておりますので、事務的手続の経費を含めまして、100億円余りが今のところ見込まれる残金と予測されます。

○城井委員
その650億円の支出見込みは、我々は公開資料のどこで追っかければいいんでしょうか。

○加藤大臣政務官
お答えします。
交付決定額の公開資料は現時点ではございませんが、公募によりまして、第4次公募まで、現時点で104件の公募が確定をしておりまして、この中で見込まれる数字といたしまして、649億円という数字でございます。

○城井委員
今のように、実際に政府の公開資料で私どももお金のチェックをしていくわけです。ところが、支出見込みが出てこないようなものが、こうした国会で問うと初めて出てくるような状況です。
これではチェックできないんですね。
さらに、もう一点、この基金の問題点を申し上げてまいりたいと思いますが、令和6年基金シートに、基金所管部局以外による点検というので、外部有識者の所見というのがあります。
ここで、管理費が30%前後と高い水準と指摘されています。
さらには、再委託、再々委託先といった多段階構造となっており、これが管理比率の高い要因の一つではないか、競争性を確保することが必要ではないかと指摘をされています。
経済産業省は、これを受けて、所見を踏まえた改善点でこんなふうに説明しています。
本事業は複数年度にまたがっており、事業費に対しては最終年度に精算払いを行う案件が多いため、現時点では管理比率が高くなっている。
先ほどの政務官の答弁とも重なるところかと思います。
再委託及び再々委託については、実施要項にのっとり事前に基金設置法人の了解を取得しており、グループ企業含め随意契約とした方が効果的かつ効率的な執行となる場合には、事業者が理由書を作成して、経産省としても理由の妥当性を確認した上で随意契約を認めているということなんですが、これは全く理由になっていないというふうに考えます。
これは、もし国が契約主体だったら、今どき再委託、再々委託、公共事業だって多重下請をやめようというこの時代に、いまだに、では、基金スタートでやって一般社団法人に任せたら、管理費を抜いて、さあ次です、さあ次ですというのを今後認めるのか。
直接に委託できる企業があるんじゃないか、一括で契約すればこれは金額が下がったんじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、政務官、これはどう考えますか。これはやるべきじゃないですか、

○加藤大臣政務官
お答えいたします。
基金設置法人の選定に当たりましては、総合評価落札方式により公募を行って、申請があった2者につきまして、第三者委員会による審査も踏まえて、EPC、環境パートナーシップ会議を基金設置法人として採択したところでございます。
なお、審査時は、基金の管理、運用、事務局の指導監督並びに事業実施体制及び事務費用、法人自体についての4つの観点からの評価を行っているところでございます。

と、もう一つ、済みません、先ほどのちょっと訂正をさせていただきたいと思います。
事業採択事業者、現時点で104件と先ほどお答えしましたけれども、141件でございます。
大変失礼しました。

○城井委員
政務官、今、再委託、再々委託で、そこで生じている管理費の余分で余計な部分を圧縮できるんじゃないかというふうに言っているわけです。
今ほど政務官が説明した仕組みでは、管理費で生じている無駄部分を圧縮できていないということになっているから今のこの状況になっているんですが、これは改めていただけますか。

(発言する者あり)

○奥野委員長代理
時計を止めてください。
速記を止めてください。

〔速記中止〕

○奥野委員長代理
時計を動かしてください。

○加藤大臣政務官
失礼いたしました。
不断の見直しをしっかり行いながら、これからしっかり事業として見直しを行ってまいりたいと思っております。

○城井委員
政務官、再委託、再々委託というこのやり方を改めるべく取り組むかどうかを確認しています。
やっていただけますか。

○加藤大臣政務官
しっかりと不断の見直しを行いながら、これからも、事業の成果について、再度また検討させていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。

○城井委員
具体的に再委託、再々委託について検討を行うというふうにお答えいただきたいと思いますが、その点を確認させていただきたいと思いますが、お答えいただけますか。

○加藤大臣政務官
しっかりと事業の進捗を見定めながら、これから更に、再委託、再々委託につきましても、その事業内容について精査をしっかりとさせていただきたいと思います。
よろしくお願いします。

○城井委員
その点はしっかりお願いしたいというふうに思います。
我々も、今、政府基金の洗い直しをする中で、政府資料を一つ一つ読みながら、でも、そこで、公開資料の時点だと、もう既に実は過去の事象になっている部分もあります。
ですので、我々がここで切っていこうと思ったときに、いや、その時点ではそうだったかもしれないがということで逃げてしまうようでは、これは話にならないんです。
そこから動いていくのは当然、承知をするわけですが、その中でも余ってくる部分が、あるいは使わずに積みっ放しになっていたり、見せ金になっている部分がないかというのを我々はきちんとチェックしたいんです。
行革大臣も今うなずいていただいていますが、この点は合意いただけると思うんですよね。
この点を是非やっていただきたいんですが、いかがでしょうか。

○平国務大臣
行政事業レビューをつくって、これは民主党時代に始まったものですが、実は、自民党政権になって、行政事業レビューをやめようという議論もあったんですが、私はやめるべきではないという考えで、今維持をしております。
そんな中で、基金についてもレビューを始めたということで、今は一定のチェックがされていると思います。
これは、問題意識があったので、これからつくる基金は3年ルールというのを実装したわけでありますので、これで、ちゃんとタイミングを見て、常に行政改革の文脈で行政事業レビューを行っていきたい、そのように思っておりますし、公開はもっといい方法、できる方法はないかということは検討をしてまいりたいと思います。

○城井委員
我々も、やり方の工夫は是非提起をしていきたいというふうに思います。
今、行政事業レビューがあるから、そして基金シートがあるから、こうして我々も洗い直しの作業ができるわけですが、これがないと、やはり見逃す件も出てくると思います。
もう一つだけ御質問したいと思います。
総務大臣に聞きたいと思います。
総務省のデジタル基盤改革支援基金というのがあります。
これが、令和6年の基金シートですと、事業費見込みと実績の乖離額が実に530億円に上っています。
事業の執行率はたったの22%です。
これは、地方公共団体がデジタル化をしていく支援をするという中身なんですが、移行作業の進捗により乖離が生じたというふうに説明をされているんですが……

○奥野委員長代理
城井君、時間が近いので、簡潔に。

○城井委員
ただ、実際に、積算根拠として、事前にちゃんと、移行経費の状況調査を基にということで、話を聞いて決めたというふうに言っているんですが、ずれ過ぎていて、何でこうなっているんですか。

○奥野委員長代理
村上総務大臣、時間が来ていますので、簡潔にお願いします。

○村上国務大臣
簡単に言うと、この標準準拠システムの移行というのは、やはりいろいろな、標準仕様書に適合してやるために、非常に、今、自治体の交付決定に、執行するまでに一定のタイムラグが生じて、計上額と執行額に乖離が発生するんです。
正直言って、今はそうでありますけれども、今の段階では2,057億で、29.4パーですけれども、今年度末では、基金の執行率は69.0%、4,950。

○奥野委員長代理
簡潔にお願いします。

○村上国務大臣
なお、令和7年度において、現時点の9割のシステムが標準準拠システムに移行する見込みであって、基金の大部分が執行される見込みであります。
以上であります。

○城井委員
終わります。

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)