参議院の緊急集会に関する解釈、与党両党内の衆参で一致しない現状、条文化の段階に至っていない 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2024年6月13日衆議院憲法審査会

○城井委員
立憲民主党の城井崇です。
私は、参議院の緊急集会について意見を述べます。
緊急事態への対応を議論する際、参議院の緊急集会の権能については、当事者である参議院議員の意見も尊重すべきです。
昨年6月に本審査会で行われた参議院の緊急集会に関する論点を含む緊急事態に関する論点整理など、本審査会での議論と今国会の参議院憲法審査会における議論を比較すると、参議院の緊急集会の案件及び権限を中心に、参議院の自民、公明両党の委員に衆議院側と異なる意見が少なからず見受けられます。
これらに関して、自民党及び公明党に具体的に伺います。
お答えは次回以降にお願いします。

まず、自民党です。
昨年6月15日の本審査会で、当時の新藤筆頭幹事は、参議院の緊急集会は、有事を含むあらゆる事態に対応することを想定しておらず、このことは、中略、権限の限定や、中略、案件の限定があることといった二重の限定が付されていることに端的に表れていますと述べています。
一方で、先月29日、参議院で、自民党の佐藤正久筆頭幹事は、案件に関して、参議院の緊急集会において議員が発議できる議案の範囲に関しても、国会法に規定する内閣総理大臣から示された案件に関連のあるものという要件を幅広く解釈し、緊急の必要がある限り、予算関連法案を含め、広く発議を行うことができると述べておられます。
臼井正一委員も同じ趣旨の発言をされています。
また、権限についても、佐藤筆頭幹事は、仮に、参議院の緊急集会であるがゆえに、審議対象法案や予算に制限をかけ、緊急の対応が停滞すれば、民主政治を徹底させて、生命、自由及び身体の安全に対する権利を含む国民の権利を十分に擁護するという憲法の趣旨に反するとして、参議院の緊急集会における審議の対象となる法案や予算の範囲は、緊急の必要がある限り、制限はないと考えますと述べています。
参議院のこれらの意見は、首都直下地震という大規模災害を想定した議論の中で出てきたものです。
案件にしても権限にしても、衆議院での意見と参議院での意見、自民党内での議論の集約結果はどちらでしょうか。
国民に分かりやすく教えてください。

次に、公明党です。
まず、案件について、昨年5月11日の本審査会で、濵地委員が、緊急集会で議論すべき案件も内閣の示したものに限られ、議員立法や行政監視機能といった一般の議員権能は制限されると発言されています。
これに対し、先月29日、参議院で、公明党の西田実仁幹事は、大規模な自然災害等の緊急事態においては、内閣が開催要求時に示すべき案件も包括的なものにするほかなく、それに応じて参議院議員の議案発議権等が及ぶ範囲も広範になりましょうと述べています。
次に、権限について、昨年12月7日の本審査会で、また本日の本審査会で、北側幹事が、参議院の緊急集会で本予算の審議はできない趣旨の発言をされているのに対し、先月29日、参議院で、西田幹事は、本予算についても、内閣の専断を抑制し、衆議院が構成されていない間にあっても民主的統制を及ぼすため、全国民の代表と位置づけられている参議院の緊急集会によって決めていかざるを得ないと述べ、本予算の議決も可能との立場を明確にされています。
5月16日の本審査会で、北側幹事は、党内でも意見調整、私はできると思っているんですけれども、しっかり合意が形成できるように今後努めていきたいと述べておられましたが、参議院の西田幹事の御発言はその約2週間後です。
案件、権限、それぞれに、公明党の意見集約結果はどちらでしょうか。
国民に分かりやすく教えてください。

このように、緊急事態への対応を議論する大前提となる参議院の緊急集会に関する解釈が、与党両党内の衆議院と参議院で一致しない現状です。
条文化の議論を求める声もありますが、そのような段階に至っていないことが明らかであることを申し上げて、私の発言といたします。

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)