個人事業主のベビーシッターなど認定されなかった事業者でのこどもへの性暴力をどう防ぐのか 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2024年5月16日衆議院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会

○城井委員
続きまして、民間教育保育等事業者の対象について伺います。
認定へのハードルは、小規模事業者ほど高いというふうに考えます。
その場合には、認定されなかった事業者が生まれてきます。
認定されなかった事業者での子供への性暴力をどのように防ぐか、この点を、本日の参考人質疑でも指摘がありました。
わいせつ行為で学校等を懲戒免職になった人が、無認定の事業者や施設へ流れ込むリスクも想定しなければなりません。
支配性、継続性、閉鎖性、先ほどからの三要件を満たさないんですが、子供と直接関わる、子供と距離が近い事業者の職員での再犯をどのように防ぐか、大臣、お答えください。

○加藤国務大臣
本法律案におきましては、認定要件として、犯罪事実確認を適切に実施するための体制を備えていること、対象業務に従事させないなどの確認結果等を踏まえた措置等を記載した規程を作成していること、性犯罪歴の情報を適正に管理するための措置を講じていること等を定めてございます。
そして、その認定基準としては、例えば情報管理等のための措置について申し上げますと、管理者、確認担当者の設定などを想定をしております。
今後、認定基準等を定めていくに当たりまして、御指摘のように、基準を厳しくし過ぎることでハードルが上がって無用な負担が生じないよう、現場の声も聞きながら、具体的な内容を検討してまいります。
また、もとより、本法案だけで全ての性被害を防止できるわけではありませんので、子供たちを性犯罪から守るためには、本法案の対象事業に該当しないものも含めまして、関係省庁が連携して、総合的な対策、これを進めていくことが必要であります。
このため、4月25日に開催をした関係省庁合同会議におきましては、子供、若者の性被害防止、これに向けて、4つの柱を設定しました。加害防止をする取組、2つ目、相談被害申告をしやすくする取組、被害者支援の取組、性嗜好障害などの治療や加害者更生に関する取組、こういった4つの柱から成る、関係省庁で取り組むべき総合的な対策を新たに取りまとめました。
これに基づきまして、業界における児童への性暴力防止の取組を横断的に促進するための先進事例の把握、また、指針のひな形作成、さらに、ワンストップ支援センター等における被害者支援の強化など、各種取組の推進、充実を図ってまいります。
また、研修で用いるコンテンツ等につきましては、今後、先行事例や有識者の意見も踏まえながら、国として、研修で用いるコンテンツ等の素材を策定し、認定を受けた事業者に限らず、広く、教育、保育等を提供する事業者の皆様に広く御提供をしていこうと考えております。
引き続き、本法案とともにこういった取組を推進することで、子供の性被害の防止を進めてまいりたいと考えております。

○城井委員
大臣おっしゃるように、全てを防ぐのは難しいと私も思います。
ただ、想定できるものは防ぎたいとも思うわけであります。
そもそも、今回の法案について、立法事実となった事件があったんじゃないか。
本日も、参考人質疑で寺町参考人から言及があった事件でありますが、例えば、性犯罪の逮捕歴のあるベビーシッターによる強制わいせつの再犯ですとか、性犯罪前科のある保育士が他の認可外保育施設で再犯、傷害致死、こうした事件があったということでありましたが、本法案の内容では、こうした事件が対象外となるのではないかと子供関係団体から指摘があり、私もその点は懸念もしています。
法案の対象は、学校教育法一条校、幼保連携型認定こども園、児童福祉法の対象施設等であり、また、一定の要件の下で認定を受けた民間事業者です。
そもそも認定を受けない事業者は対象外となり、認定が複数の職員等を教育保育等事業に従事させる事業者に限定されているため、個人で行うベビーシッター、個人塾、ピアノ教師、ファミサポなど、個人事業主が対象外となるのではないかという懸念も子供関係団体から示されています。本日の寺町参考人からも指摘がありました。
大臣、こうした個人事業主は対象に入りますか。
もし対象に入らないなら、日本版DBSによる事前チェックは使えませんが、どのように対応するのか。
先ほど多く御説明いただいた総合対策が個人事業主における性暴力防止にどのように貢献するか、具体的にお答えいただけますか。

○加藤国務大臣
お答えを申し上げます。
個人が一人で行っている事業につきましては、従業員の研修や相談窓口の設置といった、事業者が児童対象性暴力等の防止等をするために講ずべき措置を講ずることが通常困難であること、また、事業主が犯罪歴を取得することができてしまうと、その事業主は本人に当たりますので、個人でありますと、対象事業とは無関係の第三者から犯罪歴の提出を求められるなどの対象事業以外のところでその犯罪歴を悪用されるおそれがあることから、純粋に個人のみで行っている形態については、本法律案の認定対象事業に含めることは困難であると整理をしてございます。
この点、個人が一人で行っている事業につきましても対象にすべきという御意見もありましたので、検討を進めまして、例えばベビーシッターにつきましては、個人が一人で事業主としてベビーシッターを行っている場合でも、性犯罪前科の有無の確認等の措置を及ぼすことが可能となるよう、認可外保育事業所の取扱いを一部見直すこととしてございます。
現在の事業形態が個人が一人で行っている事業であるからといって、一律本法律案の対象としないということではなくて、現在個人が一人で行っている事業について、新たに事業化することにより対象とすることができるかといった点も含めて、施行までに検討を進めてまいりたいと考えております。
また、総合的対策についての貢献についてですけれども、子供たちを性犯罪から守るためには、本法案の対象事業に該当しないものも含めて、関係省庁が連携して総合的な対策を進めていくことが必要であります。
このため、繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げたような子供、若者性被害防止に向けた4つの柱から成る取組、加害を防止する取組、相談や被害申告をしやすくする取組、被害者支援の取組、また、性嗜好障害などの治療や加害者更生に関する取組、こういった関係省庁で取り組むべき総合的な対策を取りまとめました。
これに基づきまして、業界における児童への性暴力防止の取組を横断的に促進するための先進事例の把握や指針のひな形作成、ワンストップ支援センター等における被害者支援の強化など、各種取組の推進、充実を図ってまいります。
引き続き、本法案とともにこういった総合的な取組も一緒に推進していくことで、子供の性被害を防止をしてまいりたいと考えております。

○城井委員
では、大臣、先ほど私が紹介いたしました立法事実につながる2つの事件は、今大臣がおっしゃった対策で防げるという認識でいいですか。


○加藤国務大臣
お答え申し上げます。
防いでいけると考えております。

○城井委員
続いて、そのほかの事例について伺いたいと思います。
テーマパークや子供の遊び場、子供対象のイベントのスタッフにはどのように対応しますか。
三要件に照らしますと、子供との関わりは継続的ではないですが、そして、支配性も閉鎖性も一時的ではあります。
でも、多くの子供たちに直接触れる仕事です。
どのように対応しますか。

○加藤国務大臣
お答えを申し上げます。
一般的に、一度だけ遊びに行くことが想定されるような施設は対象とはならないと考えております。
他方、児童等に技芸又は知識の教授を行っている場合であって、一定の要件に該当すれば、対象になり得ます。
継続性につきましては、6か月以上民間教育事業が継続をされ、児童が複数回参加することが可能であり、参加することで何らかの技芸又は知識を習得することができる事業であれば、対象になり得ると考えております。
本法案だけで全ての性被害を防止できるわけではありませんので、繰り返しになりますけれども、総合的対策、これを推進して、性被害を防止をしてまいります。

○城井委員
違う子供たちに連続で性犯罪というケース、あるんじゃないかと思いますので、この点は対応すべきだということを申し上げたいと思います。
もう一点、確認をします。
子供食堂のスタッフにはどのように対応しますか。
三要件に照らしますと、子供との関わりは継続的なケースがあり得ます。
支配性も閉鎖性も一時的ではありますが、多くの子供たちと直接触れる仕事です。
どのように対応しますか。

○加藤国務大臣
お答えを申し上げます。
いわゆる子供食堂につきましては、児童等に知識又は技芸の教授を全く行っておらず、居場所や食事の提供のみを行っているような場合は、その事業者は対象とすることは難しいと考えますが、居場所や食事を提供しつつ、学習サポートを行ったり、物づくり、スポーツなど体験学習を提供している場合など、児童等に知識又は技芸の教授を行っており、一定の要件を満たす場合は、民間教育事業者として認定の対象になり得ると考えております。
対象とならない運営形態につきましても、総合的対策において、教育、保育業界における児童への性暴力防止の取組を横断的に促進するための指針のひな形や事例集、こういったことを今年度作成することを盛り込んでおりますので、こうしたものを活用いただきながら、子供食堂さんのようなところも、是非、児童への性暴力防止を実施いただけるように取り組んでまいりたいと考えております。

○城井委員
本日の末冨参考人からも、事業ごとの中間団体を通じて対応する方法の提起がありました。
大臣、これを検討してはいかがでしょうか。

(発言する者あり)

○谷委員長
速記を止めてください。

〔速記中止〕

○谷委員長
速記を起こしてください。
加藤国務大臣。

○加藤国務大臣
お答えを申し上げます。
中間団体もいろいろあろうかとは思いますが、仮に、児童等に知識又は技芸の教授を行っていて、一定の要件を満たす場合は、民間教育事業として認定の対象となり得ると考えておりますが、そうでなかったら難しい、対象とならない場合もあろうかと思います。
また、そういった場合においても、繰り返しになりますけれども、総合的対策においてしっかりと対策をすることによって、児童への性暴力防止を、性暴力が行われないような、防止に対して取り組んでまいりたいと考えております。

○城井委員
是非、参考人質疑の議事録も見ていただきながら検討いただければと思います。

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)