政府基金の点検見直し結果で残る14の課題 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)
行政改革推進会議が発表した「基金全体の点検・見直し結果」について、4月24日、立憲民主党政策課題発掘チーム(りっけんチェック)と会派の財務金融部門会議の合同会議にて政府から聞き取りしました。これまで累次にわたって私を含めて立憲民主党から政府基金の見直しを求めてきましたが、どの程度実現できているかをまず確認する目的です。
今回の聞き取りで明らかになった「基金全体の点検・見直し」の注目ポイントと残る14の課題について書きます。(ちょっと長文、ご注意ください)
1. 令和5年度基金シートについて
令和5年度基金シートをアップデート済みとの事ですが、資料の新旧の区別がつかない現状です。
わかりやすく明示するようすべての資料修正をお願いしました。
2. 基金残高が多い基金事業について
廃止する15事業はすべて補助金交付を終了した事業でした。
現在予算執行中の基金事業で大幅見直しや廃止を行えるものがありますが、その取扱いをどうするか確認する必要があります。
まずは、令和4年度末の基金残高上位10基金において、3年分の予算措置(今回の見直しで新規基金の予算措置は3年に限定、それに合わせる)に当たる金額を残して残りの金額を国庫返納すべきであると考えます。
例えばグリーンイノベーション基金事業ではプロジェクトの振興に応じた毎年の予算支出を想定済みだとの経済産業省からの説明でした。
逆に言えば、3年分の予算措置も想定可能ということになります。
それぞれの基金事業においても基金事業に必要な金額を見積もった際に毎年の必要金額も見積もったうえで予算見込みを積み上げているはずです。
以上の理由から、まずは令和4年度末の基金残高上位10基金において3年分の予算措置に当たる金額を残して、残りの金額を国庫返納するよう政府を促します。
3. 保有割合が1を超えるのに国庫返納しない基金事業について
令和5年度基金シートで保有割合が1を超えているもののうち、今回の見直しで基金返納をしない基金事業はいくつあり、保有割合が1を超えた部分の総額はいくらになるかはっきりしていません。
令和5年度末でも残り、令和6年度終了時でも残るとの政府説明でした。
情勢の変化で必要なものとの判断との説明でしたが、それで良しとするならばこれまでの国の基準が無意味になってしまいます。
なぜ国の基準に違反しているのに放置するのかを今後質していきます。
4. 設置が古い基金について
かなり昔に設置された基金事業はいざという時に備えるものとの説明でした。
今回の見直しで原則10年以内に終えるようにしているが、事業終了するのが不適切なものも従来説明に照らせばあるのではないか。
例えば、昭和40年代に造成された6基金についてはどのように扱うか。
性格を分けた切り分けは難しいとの政府説明でしたが、「終了時期の明記」と「いざという時の備え、という従来説明」との関係については改めて政府に確認する必要があります。
5. 民間の拠出金を含む基金の扱いについて
出捐金など民間からの拠出金を中心に構成している基金事業についての取り扱いはどうするかも重要な点です。
区別していない、国費の適切な活用の観点で取り扱う旨の政府説明でしたが、基金終了時に民間出捐金の取り扱いを具体的にどうするのかも政府は明らかにすべきです。
6. 既存の基金事業の基金残高の返納について
今後新規の基金事業を行う場合は3年間の予算措置とする旨の政府説明でしたが、現存する基金事業においても事業点検をした上で、同様に3年間分の措置のための予算のみを残し、残りをいったん国庫返納すべきです。
7. 単年度国費で運営可能な基金事業について
基金残高がなくても単年度国費で運営可能な基金事業について見直しを行ったかは明らかではありません。
この点も改めて確認する必要があります。
8. 駆け込み変更した基金事業について
今回の見直しに当たって収支などを調整して基金規模などで問題ないように見せかけている事例があるのではないかとの指摘があります。
駆け込み変更事業がどのくらいあるか、政府から明らかにしてもらうべく資料を要求しています。
9. 補正予算での基金造成について
補正予算での基金造成についてどのように取り扱うかも大事な論点です。
複数年度での事業を念頭に置いている時点で、補正予算での事業に求められる緊要性の要件を満たさないものがほとんどです。
この点を踏まえ、政府基金はすべからく当初予算での造成検討とすべきです。
しかし、財務省によれば、この度の見直しにおいて議論すらなかったとのことです。
複数年度にまたがる事業を基金で行う場合、補正予算でスタートする場合は当該年度に必要な金額だけ予算計上し、次年度当初予算案において(この度の基金見直しで示された方針に則るならば)3年分をめどに予算計上するのが財政民主主義の観点からも適切であると考えます。
補正予算での基金造成の見直しについても政府に強く求めていきます。
10. 基金シートに記載されていない事業変更について
ワクチン生産体制緊急整備基金(厚生労働省)において、事業執行はすでに終了したのではと指摘したところ、事業を1年間延長したとの政府説明でした。
しかし、基金シートには記載がありませんでした。
このように、基金事業の変更があっても基金シートに記載がなければ国民も国会もチェックすることができません。
他にも事業変更を基金シートに記載していない事例があるのではないか、という点も政府に確認する必要があります。
11. 防衛省の基金について
400億円も計上しているのに何に使うか、どのように使うかを国民にも国会にも相変わらず説明しない状況です。
予算計上が適切か第三者によるチェックが不可欠です。
12. 定量的な目標の検証について
定量的な目標をすべての基金事業で記載するようにしたことは前進と評価しますが、書かれた内容が目標として適切か、第三者を含めたチェックや検証が必要です。
13. 事業費見込みと実績の乖離額が大きい、乖離率が大きい基金について
事業費見込みと実績の乖離額が大きい基金、乖離率が大きい基金について、今回の点検・見直しでどのような議論をしてどのように扱うこととしたかは確認できていません。
例えば、乖離額上位10基金と乖離率上位20基金について具体的に今後の取り扱いについて政府に確認する必要があります。
14. 支出が管理費のみの基金事業について
事業終了した11事業については令和6年度末までに廃止方針との政府説明でした。
令和4年度末で管理費率が100%の基金事業は29あり、18事業が廃止対象に入っていません。
これらの18事業についても見直しが必要と考えます。
政府に対応を促します。また、支出が管理費のみではないものの、管理費率が50%以上100%未満の基金事業が、令和4年度末現在で9存在します。
これらの基金事業についても見直しが必要です。
以上の点を踏まえながら、今後衆議院決算行政監視委員会での質疑等を通じながら国に基金の見直しを促します。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)